★悠悠自適な日記☆
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ファミレスでバイトをしていると、ふと思うことがある。
ない時間を搾り出して、働いて、働いて。
私の大学の学科は、他の学科や学部と比べるとアルバイトをしている人間が少ない。それは、授業は他の学生と同じだけ5限くらいまであって、そこから稽古が始まるからだ。公演に参加すると、9時から18時まで授業で、18時から22時まで稽古。その後打ち合わせや会議があったりして、家に帰るのは終電。次の日もまた朝早くから起きて、授業に出て…同じことの繰り返し。
しんどい。学校の生活でいっぱいだ。バイトをしていない子に聞いてみる。「本当はバイトしたいねんけどな、体もたへんし。」うん。わかる。休める時に休んでおかないとと思う。しかし、そんな子に限って芝居を観に行かない。そして観に行かない子のほぼ100%の子がこう答える。「本当は観たいねんけどな、お金ないし。」うん。そりゃ、ないだろう。
私はファミレスで働いている。割りに合わない自給で、それでもせっせと働いている。芝居を観るために、芝居をやるために、そしてやっぱり、生きていくために。少しの満足のために、ギリギリの生活を送る。
本当はせっかく両親に高い学費を出してもらっているのだから、それを活かすために、バイトなんかせずに学業に専念できればいいなと思う。でも、それはあくまでも理想であって、実際の演劇活動に裕福な生活なんてありえない。
うちの学科には、お嬢様ボンボンが多い。他学部よりもはるかに高いお金を両親に出させておいて、携帯代も親払い、遊びに行くとなればお小遣いをもらっている。それでろくろく芝居も観に行かず、学内でそこそこ頑張って、お金のありがたみもわからないまま、将来は演劇で生きていこう…なんて考える。演劇をすると仕事ができないから、就職活動はしない。役者志望という名のフリーターが続出する。
自給780円でバイトをしながら私は思う。しんどいんだよ!!生きていくということは!780円もらうために、私は何回「いらっしゃいませ」を言うか。何度「ありがとうございます。」を言うか!何度も言っていると、頬の筋肉が麻痺してきて、「ありがとうございます。」が言えなくなるんだぞ!深夜のバイトは肌に悪いんだぞ!
私は、今のバイトに、未来はないなって思う。あくまでもお金を稼ぐ手段でしかない。生きていくための手段でしかないそのバイトを少しでもやりがいのあるものとするためにニコニコするように務めるけれど、今は学生で、親がご飯を作ってくれて、洗濯もしてくれて、だからまだ裕福に暮らしていけるけれど、卒業して、社会に出て、どうするんだ。きっとフリーターになって演劇活動をするといっても、まずは生活をしていくのに必死で、そこから活動のお金を出すのは至難の業だ。
皆、卒業して、バイトをしながら演劇をして、駅前で、稽古場に近いちょっと綺麗なマンションに住んで、インターネットを繋いで、時々好きな服を買って遊びに出かける…なんてことを夢見ている。今が裕福な暮らしをしているから、そこそこ頑張ればこのくらいの生活はできるんじゃないかと思い込んでいる。…甘い。演劇をやりながらこの水準に持っていくことがどれだけ大変か。そこそこ裕福に育ってきた私達が貧乏に耐えるということがどれだけ大変か。貧乏が続くストレスに耐えれるのか。
自給780円で働いていると、そんなことばかりを考える。演劇に貧乏はつきものと昔からわかっていて、それでも私はやりたいんだ!って思っていた。だけど、そのお金の動きがよりリアルに、シビアに感じられるようになったのはやはりバイトを始めてからで、「演劇やる!」って今ここで簡単に決意できることではないなぁと、疲れた足をほぐしながら思うのである。
私は、ブルジョワ感漂う裕福でのんびりした流れに少し抗ってみようと思う。質素に、謙虚に。就職したいなと思う。卒業までに就職が決めれるかどうかは自信がないけれど。演劇を除いたら何がやりたいのか見失ってしまって不安だけれど。それでも、私はフリーターではわからない社会を見てみたいなと思う。それで演劇がやりたいと思うならやると思うし、その時のその気持ちはホンモノなのだろう。やりたいと思わなくても、それはそれでいいじゃないか。
今は演劇学科に在籍していて、皆が演劇方面へ、アートの世界へと望むから、自分もそうしなければ創作者として失格のような、落ちこぼれのような空気が漂っているけれども、就職して、堅実で、ささやかな幸せに満足したっていいじゃないか。最近私はそんなことを考えていて、将来は「演劇やろう!」と気負わないようにしている。
きっと気負わなくても、やりたい時はやっているだろうと、安易にも自分の中に絶対的な信頼を置いていてみちゃったりする。きっとやってるんじゃないかな。そんな核みたいなものが自分の中に備わっている気がする。備わっているから、そういう方向に自然と向かっていける気がする。考えないといけないけれど、でも、今の私がちっこい脳みちょを使ってとりあえず出した結論がコレで。
780円で、日々苦悩しながら私は私が喜ぶ生き方を探している。
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