★悠悠自適な日記☆
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2004年06月20日(日) 芝居のアンケートに書く内容

 小劇場に芝居を観に行くと、ほぼ必ずアンケートのようなものが配布され、その作品の感想を書く欄があります。書くも書かないも自由ですが、だいたいどこの劇場に行っても半分以上の観客がメッセージを残していきます。芝居を観たということを証明する観客の礼儀がそこに表れているように私は感じています。私も劇場に訪れた際は必ずアンケートを書いて帰ってきます。

 芝居を観た直後に、わずかな時間で感想を書くためには、芝居を観ながらある程度何を書くのか考えておかなければなりません。しかしあらかじめ感想を書くことを想定して芝居を観たら芝居に感情移入できないよ!!なんて思う人もいて、中々難しい作業です。

 私はあらかじめ何を書くかを考えながらある程度システマティック(?)に芝居を観ます。面白かった部分、面白くなかった部分、そしてそこは何故面白くなかったのか…私のアンケートは主にこんなことを書いています。

 では他の人はどのようなことを書いているのでしょうか。ここからは私が芝居を見る側ではなく、私が芝居をしてアンケートを受け取る側になっての感想ですが、やたら「○○さんの演技がうまいと思った」というような記述の多いこと!!「○○さんの演技には感情が入っていて良かった」とか「××さんの○行のカツゼツが悪い」とか。あら探しのような感想が多いのです。

 カツゼツが悪いとか、声が聞き取りにくいという指摘は、観客に不快な思いをさせているのだから、ある程度は仕方ないなぁと思う気持ちもあるのです。しかしそれは「芝居を観た感想」ではないなぁと。「演技がうまい」や、「感情が入っていて良かった」という意見も、一見誉められているのですが、よくよく考えてみると、演技が上手いと書かれた時点で、感情が入っていると言われた時点で、観客は演じ手である私を見ているのであって、登場人物として観てもらえていないなぁとガッカリしてしまうのです。

 私なら、自分の演技が上手いと言われるよりも、物語の中に登場する私を「好き」だとか「嫌い」だとか言ってほしいです。物語の外にいる私ではなく、物語の中にいる私をどう思ったか。その物語全体をどう思ったか。それが「芝居の感想」だと思うのです。

 私も芝居を観始めた高校生の頃、アンケートに何を書いていいのかがわからなくて、やっぱり「○○さんの演技がうまいと思った」と書いていました。でも今はこのような内容を絶対に書きません。演技がうまいとか下手とか、芝居を観れば観るほど、そういうことはどうでもよく思えてきます。きっと演じ手が観てほしいのはそこではないのだろうなということがわかるからです。

 観客にはそういう部分を観てほしいなと思うし、演じる側はしょうもない駄目だし的な批評よりも自分達が見てもらいたい部分を観客に伝える努力が必要です。

 演劇は映画と違い、観客がいて初めて成立するものだと実感させられるのは、いつもこの時です。


嶋子 |MAILHomePage

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