Leonna's Anahori Journal
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四万温泉の泉質は、ナトリウム‐カルシウム塩化物硫酸塩泉(弱食塩泉)だそうで、町中に硫黄臭がまったく漂っていないのが少々さみしい。しかし、そのおかげ(?)で飲泉が可能なのだった。ブラボー。飲める温泉へ行くと用法用量を守らずにとにかくガブガブ飲むチマリスである。今回もたくさん飲んだ。
下の写真は散歩途中で立ち寄った飲泉所(Y撮影)。 タダなのを良いことに何杯も汲んでは飲み、「なんか、ほんのりとしょっぱい味がする〜」などとはしゃいでいたのだが、あとで写真をみたらそもそも飲泉所の名前が「塩之湯」というのだった。
四万温泉でもうひとついいなと思ったのは、お湯が熱いこと。ひなびた雰囲気だけど、温泉パワーはなかなか。四万川に沿って白い湯煙があがり、町中には無料で入れる外湯がいくつもある。ブラボー!ブラボー!! ところで、小さな温泉町を流れる渓流四万川は、とてもきれいな薄水色をしている。きれいはきれいだけど、こういう色はあまり見たことがない。はい、これが水色ですよ、というまるで見本のような色と透明感なのだ。川底の色とりどりの小石の色が全部きれいに見える。上流にある積善館のそばの橋の先は普通の水の色で魚が泳いでいたから、あの薄水色は川岸(あるいは川底)から湧出して流れ込む温泉成分と関係があるのかもしれない。
散歩帰りに酒屋で日本酒「水芭蕉」を買った。以前、草津で飲んで美味しかった冷用酒だ。温泉には地酒。これもチマリスの掟のひとつ。「水芭蕉」は人気商品とみえて(旨いもんなぁ!)吟醸だの、純米吟醸だのいろんな種類があった。甘口の純米吟醸の小瓶を選んで上機嫌で宿へ戻り、夕飯前に一風呂。熱めで、柔らかいけどしゃきっとした、いいお湯だった。 内湯で温まったあと、四万川に沿って造られた露天風呂に入ると、すぐそばで小さな段差を流れ落ちて下流へと向かう水のザーッという音がする。立ち上がってみると仄暗い照明の中に白い水しぶきが見える。怖い。ザーッという音がやたら大きく聞こえ出す。 前世で何があったのか知らないが、私は水の落ちる音が怖いのだ。特に、動物の口から水の吹き出る大きな噴水(ヨーロッパの町に多いやつ)は恐ろしくて、近くへ寄ることもできない。 ずいぶん前、会社の友人と大きな温水プールへ行ったとき、ブロンズ製の小さなイルカ(件のヨーロッパ風に造ってある)の口から水が流れ落ちている場所があり、最初気づかずに泳いでいたのだが、そばへ行って水を吐くイルカに気づくと慌てて水から上がった。気分が悪くて、それきり泳ぐ気がしなくなった。 川は人造物ではないし、昼間見る分には何でもなかったのだが、夜も休まずザーザーと流れ続けている(当たり前)。音だけで、暗くて見えない分にはそうでもないのだろうけれど、薄暗い中でしぶきをあげている水を見たら、急に恐ろしくなって露天風呂から出た。よろめきながら内湯へ退避。あー、こわかった。みんなあの中途半端な照明がいけないのだ。夜は暗いのが当たり前なのだから、見えないものは見えないままにしておくのがよろしい! この訳の分からぬ恐怖心についてYに話したのだが、まったくわかってもらえず、不思議そうな顔をされてしまった。うーん。ま、そういうものかもしれません。あきらめて風呂場の外の休憩室でカプカプと飲泉した。
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