Leonna's Anahori Journal
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2006年02月08日(水) 遺品整理、継続中。

 
まだ、父の家の片づけが続いている。このまえは東京からいとこに手伝いに来てもらってタンスの類いを運び出した。

整理タンスやカラーボックス等をえっちらおっちら運んだあとで、母の桐箪笥を持ち上げてみて、驚いた。軽い。ほかの家具類とは重さも造りもまるで違っていた。半世紀以上も前、嫁入り道具として母の郷里の職人さんによって造られた箪笥には、表面が茶色く煤け、裏板に隙間があいているにもかかわらず、一瞬捨てるのをためらわせるような独特の質感があった。

なぜ着物を桐の箪笥に仕舞うのか、その理由を以前どこかで聞いたことがある。桐の木の内部は多孔質で、ちょうどスポンジのようになっているらしい。それで、昔、火事になると桐箪笥にザバザバと水をかけてから逃げたのだそうだ。多孔質の桐の木がスポンジのように水分を含んで、中の衣類を守ってくれる、というわけだ。

その桐箪笥から抽斗を抜き、三つに分割(そういう構造になっている)して、ゴミ置き場へ運ぶ。ゴミ置き場で元通りに組み立てられた箪笥を見たときには胸が塞がる思いだった。屋根のない寒空の下でその箪笥をみるのは初めてだった。

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桐箪笥の中から出した着物は、すべてリサイクルに出すつもりでいた。そういう場所もインターネットで調べて見つけてあった。ところが、出した呉服の紙を開いてみると、これはちょっと他人様に遣ってしまうわけにはいかないという気持ちになってしまった。

おそらく、母がまだ若い頃に着ていた着物を羽織に直したものなのだろう。唖然とするような鮮やかな裏のついた羽織が何枚も出てきた。触ってみると、とろけるような柔らかさ、ささくれた指で触るだけで、傷つけてしまいそうだ。

結局ほとんどの着物や羽織を、大きな段ボールに詰めて私の住まい宛てに宅急便で送った。どうするつもりかって? 勿論、私が着るのだ。他にどうしようがありますか。
 
 



 


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