Leonna's Anahori Journal
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寝不足が続いているので今日こそはやく寝よう、と、毎日思っているのだけれど。テレビをつけるとトリュフォーの映画なんかやっている。
そうなのだ、NHK-BS2ではトリュフォー監督特集で「大人はわかってくれない」「終電車」「ピアニストを撃て」などを連日オンエア中。これまでは横目でチラと一瞥するだけだった私も、本日の出し物「突然炎のごとく」がかかっているのを認めるに至って、ついにTVの前から動くことができなくなってしまった。
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しかし凄い話、そして、凄い女だよね、あのジャンヌ・モロー演じるカトリーヌというのは。あれはもう、モンスターだよ。この映画、観るたび毎回、倫理観が揺らいで変な気分になるんだけど、今回はハッキリと「あのひと病気だったんだ。じゃなきゃあんなことあり得ないよ」と思った。
というより、現実にひきつけて考えすぎるからいけないんだなと気がついたのだ。あれはあくまで“映画”であって、映画という限られた世界、限られた表現方法のなかの女だから、彼女もなんらかの意義を認められて生き長らえてきたわけで。あのカトリーヌというのはトリュフォーの考える女のモンスター性のエッセンスを集めて、ぎゅっと固めたものなのだ。
私はオスカー・ウェルナーという役者が結構好きで、観るたび毎回、やつれ果てたジュールの姿に胸が詰まるのだけれど、しかし冷静に考えたら、彼もまたビョーキとしか言いようがないなあ。
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それにしても。この映画の日本語タイトルを『突然炎のごとく』としたのは、つくづく名案だと思う。原題は『ジュールとジム』とそっけないが、これでは日本人には分りにくい。『突然炎のごとく』とは、カトリーヌのモンスター性を見事に表した素晴らしいタイトルだと、今さらながらそう思った。
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