Leonna's Anahori Journal
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2004年09月10日(金) |
村田喜代子アワー(3) |
検索エンジンから“深沢エリサ”のキーワードで来られた方→ こちらです。 --
そうこうしているうちに、もう着いた、bk1からの第一便。 「戦後短編小説再発見18 愛と幻想の世界」(講談社文芸文庫)と「木炭日和」(文春文庫)の二冊が。で、両方とも短い文章だからもう読んじゃった。結論から言うと、やっぱりホンモノだ、村田喜代子。
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かつて、大江健三郎の師、東大仏文の先生である渡辺一夫は、脳に障害を持った息子が生まれて、半ば自暴自棄、ネガティヴな生活態度に逃げ込んだ大江氏にこう言ったという。
「作家とはしごく正常(健康)な日常を送りながら、異常(特異)なことを考えるのが仕事。然るにいまのきみは、不健康な日常をおくりながら、健康な生活に焦がれている。全く逆ではないか」、と。(以上、私個人の記憶を頼りに大意を記す)
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良いこと言うでしょう、渡辺一夫先生。この言葉、作家ではない私の心と生活態度にも深くしみ込むものだった。 で、ね。村田喜代子という作家はとても正常な生活者で、その健全さが彼女の作品を、文学としてより高いところへ押し上げているという気がした。 だからこそ読み手は安心して、その特異な状況に寄り添える、とでもいうのかな。
文学少女は歳をとらない、八十歳になっても“少女”なのだけれど、村田喜代子は、文章を書く女“村田喜代子”として生まれてから死ぬまで年齢不詳のまま、という印象を強く受けました。
さあ、ゆっくり読むぞ(あわてて買って、ゆっくり読むのが私の流儀)。
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