Leonna's Anahori Journal
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忘れていた初夢の内容を、唐突に思い出した。
それが誰の家なのかはわからないのだけれど、歳取った女の人の家の中にひとりでいる夢。家は平屋で、比較的新しくて、大通りに面した玄関の側に住居ではない、お店のような部分がある(ただし、がらんどうでほとんど何も置いていない)。
無人の家の真ん中を貫く廊下に立って、意外にせまいなと思っていると、廊下に面して並んでいる襖に気がついて、おや他にも部屋があるのだろうかと思って開けてみると6畳くらいの和室に年代物の和箪笥。その抽き出しのひとつがあけたままになっていて、和服の柄がのぞいている。
空き巣に入られたという感じではなく、少し前までここに家の主(あるじ)がいて、いま急な用事でちょっと立って行った、という感じだ。部屋の真ん中に真四角の紫檀の座卓。掃き出し窓の外は、低い庭木の植わった小さな庭になっているらしい。箪笥と着物の柄の感じから主の人柄がしのばれて、私はなんだかうれしいようなホッとしたような気分になっているという、そういう夢だった。 これは明らかに、年末に中里恒子の短編「家の中」(戦後短編小説再発見16のうちの1篇)を読んだことの影響だろう。 家の主は、小説家の中里恒子であるようでもあり、また亡くなった母、また九州にいる叔母(父の二番目の妹)のようでもあった。
玄関から表へ出てみると、大通りから家の側面に沿って直角に入る小路があった。曲がってみると幅1.5メートルくらいの細い坂道がずっと先まで下っている。きれいな石の路で、2メートル行くと20センチ下るというような緩やかな階段になっていた。その坂道の終わりは川のほとりの自動車道路で路肩に常緑樹が植えられて、その緑のあいだから流れる水の青い色がのぞいている。
夢を見ている私はなぜだかそこが東京都内であることを知っていて、坂の上に立ち、下の景色を見下ろしながら「この道があるだけでもこの家に住む価値がある。これからは毎日この道を散歩しよう」、などと思っていた。
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