Leonna's Anahori Journal
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2003年02月02日(日) 椅子の誘惑

新しいテニスシューズはナイキのやつだ。
でもまだこなれてないので、スキーブーツみたいにかたい。
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テニスの後、輸入家具を扱っているインテリアショップで思う存分目の保養をした。実は私はこのところ北欧の家具に興味を持ち始めているのだが、一昨日の晩、出かけたついでに立ち寄った某家具店でみた家具があまりにもひどいので、すっかり嫌な気分になってしまっていたのだ。

別に輸入家具でなくても、国産だって良いものはたくさんあるし、特別高級なものでなくても値段に見合ったまっとうな商品だったら、私だってそんなにガックリきたりはしない。しかし一昨日見たのは、一見プチブル風を装ったまがい物ばかりで、色もデザインもどこかズッコケている(センスも悪いが、要するに人間工学を無視しているのだ)うえに結構な値段がついていた。

ソファもダイニングセットも総じてそんな感じだったのだが、なかに一脚、わざわざ“北欧風”と但し書きのついた一人掛けのソファがあり、北欧ブームにあやかろうというセコさも含めてその貧乏たらしさといったらなかった。腹立たしいやら情けないやらで、もう二度と来ないッと思いながら店を出るとき、うっすらと涙がにじんでいるのに気がついたのだが、どうやらそれは店内に充満したホルムアルデヒドの匂いによるものらしかった。

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そんな酷い思いをしたあとだけに、ウィンドーの中で下からのライトに照らされて浮かび上がるヤコブセンのスワンチェアーを見たときは、目を洗われる思いがした。

モーエンセンのスパニッシュチェアーの無骨なハンサムぶりを愛で、次にハンス・J・ウェグナーの椅子を一脚一脚見てまわる。最後にデコラティブチェアー(通称Yチェアー:ウェグナーの代表作)に腰をおろしたら、フゥと溜息が出た。お尻の下でしなっているペーパーコードの座面と、なめらかなオーク材の、オイル仕上げのフレーム。

椅子に興味を持ち始めた事は年齢と関係があると思う。身体に無理のかからない、楽で快適な座り心地の椅子にいつも座りたい。デザイン的な刺激や面白さよりも、座り心地優先。そう思ったときに、浮上してきたのがウェグナーをはじめとするデンマークのデザイナーたちの椅子だった。こういう生理的欲求に基づいた執着というのは強い。

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すっかり良い気分になっての帰り道、私は頭の中に、自分の理想のリビングダイニングを思い描いている。現在使っている丸座卓をリフォームしたテーブルにクロスをかけて、椅子はウェグナーのCH25だ。この椅子に座って食事をしながらサッカーを観る。中途半端なソファで場所を塞ぐより、食事もそのあとのサッカー観戦も、くつろげる一脚の椅子でした方がずっといい。

でも、ちょっと待てよ。私の理想のリビングダイニングには猫と犬が各一匹ずつ居ることになっているのだ。CH25は座面も背もペーパーコード張りだから、猫の恰好の爪とぎにされてしまうのではないのだろうか。それに子犬がウェグナーの脚をかじったりしたらどうしよう…
いまだ持っていない椅子、居もしない子犬や子猫に一喜一憂するのが、どうしてこんなに楽しいのだろうか。
 


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