Leonna's Anahori Journal
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2003年02月01日(土) 『フランドル遊記』、その後。

このまえジャーナルに書いた金子光晴の『フランドル遊記・ヴェルレーヌ詩集』、bk1で検索してみたがやはり出てこなかった。

そのかわり、息子の森乾(もり・けん)という人が書いた『父・金子光晴伝』という本があることがわかったので、そちらを注文してみた。
プロの物書きではない息子の書いた父親および家族の話というのが、当たればプロの作家が取材して書いたもの以上に面白いということは森類(もり・るい。鴎外の次男)の『鴎外の子供たち』という“当たり本”を読んだ経験から解っている。

この乾という息子さん、三年前に七十五歳で亡くなったそうだが、私がいま読んでいる『どくろ杯』には可愛らしいいたいけな幼児として登場している。
たとえば、夜逃げのようにして住処を転々とする両親につれられて引っ越した先で、近所の主婦が昼寝しているその枕元に裸足で上がり込んだエピソード。きちんと正座して「お客様ですよ」と呼びかけると、びっくりして目をさました主婦に「お客さまですよ。お菓子をください」と言って催促したそうだ。寝込みを襲われたおかみさんは、尋ね尋ね家までつれてきたとき、それでも「ほんとうに可愛い」と、愛らしくてならないといった口上だったという。

金子の息子なのに森という名字なのは母の森美千代の姓を名乗っていたのだろう。

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ところが。

夜、外出先から帰って、Easy Seekで検索してみたら、あったのだ。たった一件、『フランドル遊記・ヴェルレーヌ詩集』を在庫している古書店が。
コンディションは普通で2千円だという。結局これも買うことにして、即購入を申し込んだ。山口県の古本屋さんだった。思い立ってEasy Seekにアクセスしてからわずか十数分間の出来事だった。



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