Leonna's Anahori Journal
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母の新盆。
父の家へ行く途中、教えられた花屋で仏花を買っていく。坂の上、四つ辻に面した角店の花屋。 父によれば「あそこで買うと花が長持ちする薬(鮮度保持剤)つけてくれるからいい」のだそうだ。
私は店の前は通ったことがあるけれど、買い物するのは初めてだ。 桶に入った仏花を二束取って「これください」と言いながら入っていくと、白のU首シャツ(要するにアンダーウェア)にベージュのコッパン姿の店主と思しき中年男性がいた。いつもこんなふうですといった感じの、普通に機嫌の良さそうな笑顔。 中背、白髪混じりの頭で、顔がなんとなく白洲次郎に似ている。
この店主に「これください」と花を渡すと、紙にくるむ手をとめて私の提げているスーパーマーケットの袋へさっと何かを放り込んだ。驚いて、見ると、ほうずき。
「お盆でしょ。お仏壇にあげるか、そうじゃなかったらご自分で遊んでくださいな。」
早口で、歯切れよくそう言ってニコニコしている。 もう若くはない女性に、ほおずきで遊べとは…。今の世の中に、こういうことをごく普通に口にするこの生花店主、こりゃなかなか粋なオジサン!とチマリス感心してしまった。
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午後一時過ぎ、お坊さんがお経をあげにきてくれた。 そのあと、妹とふたりで白玉あずきを食べたりしながら、母の仏壇の前で夕方まで過ごす。 父に「あの花屋さん、チョット白洲次郎に似てるわね」と言ったら可笑しそうに笑っていた。
これが花屋の白州さんからもらったほおずき。母の仏壇に供えました。
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