Leonna's Anahori Journal
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朝六時過ぎに洋光台の父のところを出て帰宅した。 混みあう電車の窓の向こうに、まっ赤な朝焼けがきれいだった。
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着替えて眠るつもりが、国会中継をみてしまう。田中真紀子、鈴木宗男の参考人招致、あまりにも面白い。温室のように温かい部屋で、ゴロゴロしながらテレビをみていると、昨日のことがまるで嘘のように感じられる。そうやってぼんやりとテレビ画面を眺めていると、ときおり部屋の後ろの方をスイ、と横切るものがあって、それは、白い船のかたちになった母なのだった。薄暗い台所へ走っていくと、発作のように嗚咽がこみあげてきてなかなか止まらなかった。
午後。仕事のめどをつけて、オットが会社から帰ってくる。 横浜で葬儀の段取りをしてくれている妹夫婦や親戚から、ひっきりなしに電話がかかってきた。
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夜。ストッキング、ハンカチなどを買いに出たついでにファミリーレストランで食事。オットはものも言わずにガツガツ食べる私をみて、ギョッとしたという。どうしたというのか、普通のファミレスの食事が、異様に美味しく感じられる。
忘れられないのはデザートだ。たかだか400円ほどのファミレスのデザートが、味蕾のひとつひとつに沁み入るように美味しい。そうして、そのアイスクリームの入ったお菓子の冷たさは、そのまま母の寝かされている場所の冷たさに直結しているのだった。
人間は悲しいと味覚が敏感になるのだろうか? いずれにしても、今日、私はひとつの決心をした。それはもう二度と人間にはうまれてこないぞ、ということだ。人間は素晴らしいかもしれないけれど、悲しいから。人間だけではなく、犬にも猫にもボウフラにもならない。私が生き物として生きるのは、これが最終回だ。
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