2006年06月03日(土) |
クラブ選手権 東海予選 JUVEN FC戦 |
06年06月03日 (土) 14:00開始 日本平スタジアム 第30回日本クラブユースサッカー選手権 (U-18) 東海地区予選 対 JUVEN FC ※40分ハーフ 天候:晴れ
▼試合展開 静岡県大会を1位で通過した清水は、いきなり全国大会出場権 (3枠) を賭けた準決勝から東海大会に登場。日本平で開催ということもあり、Jリーグ中断中で試合観戦に飢えた数百人のサポーターが会場に駆けつけた。先発は2週間前の県大会磐田戦とほぼ同じ面子が並んだが、主将でCBの岩本が負傷欠場。166cmと小柄ながら、運動能力に長けた渥美が代役を務める。隣の佐野克も代表ではSBを任されていることを考えれば、本職SBの2人でCBを担うことに。3年生7人、2年生2人、1年生2人。 ジュベントゥーヂフットボールクラブは15年以上の歴史を持つ、岐阜県の街クラブである。数年前まではJUVENTUDEと表記していたはずなのだが、ブラジルの本家と区別するためか、JUVENと表記を変えたようだ。ちなみに会場でも誤解を生んでいたが、ユベントス (JUVENTUS) の方はラテン語。ジュベントゥーヂはポルトガル語で、共に「青春」という意味である。そんな豆知識はともかく、愛知4位のSC豊田、同2位のグランパス三好FCを連破し、全国大会を狙える位置まで勝ち進んできた。
[前半] 清水エスパルスユース −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− − 望月卓 −渥美− 佐野克 −小出−− −−−−−−滝戸− 佐野諒 −−−−− −−小泉−−−−−−−−− 佐野傑 − −−−−−−長沢−−町田−−−−−− 交代:なし
−−−−−−−−15−−−−−−−− −−−−−−10−−11−−−−−− −−−−14−−08−−12−−−− −−03−−07−−05−−18−− −−−−−−−−01−−−−−−−− 14分:下記布陣にシステム・ポジション変更
−−−−−−14−−15−−−−−− −−−−10−−11−−08−−−− −−−−−−−−12−−−−−−−− −−03−−07−−05−−18−− −−−−−−−−01−−−−−−−− JUVEN FC
開始2分、スローインからLB小出の高速クロスをフリーでFW長沢が頭を合わせるが、左へ外した。清水は佐野諒の配球や長沢・町田2トップのポストプレーから、小気味よくボールを回して左サイドに攻撃の起点をつくる。そして5分、CH佐野諒のサイドチェンジからRH小泉が右クロスを入れるが、GKキャッチ。しかし、そのパントキックを、相手を体で抑えたCB佐野克が左足で跳ね返した。バウンドしたクリアをJUVENの選手が跳ね返せず、裏に流れたボールへLH佐野傑が快速を飛ばす。相手を追い抜き、タッチ際から上げたグラウンダーのクロスがファーへ、しかし小泉が確保、小さく縦に勝負して折り返した右クロスをFW町田が丁寧に左へ流し込み、早々に先制点を挙げた。1−0。 先制後も攻め手を緩めない清水は8分、クリアボールをCH滝戸がダイレクトで左に叩き、長沢が巧みなトラップからクロス、町田がボレーを放つが左に外れる。9分、小出のFKが町田・長沢両名と惜しくも合わずに左CKとなると、滝戸のキックを中央の長沢が高い打点で叩き付けるが、枠左。13分、相手スローインを小出がカットしてタッチ沿いにクリア、受けた長沢は反転から右足アウトで股抜きスルーパスを送る。左に開いた町田がドリブルでPA左端まで持ち込み、中央に折り返したボールを長沢がフリーでボレーを決め、2−0。しかし、2点目直後のキックオフ、佐野克を交わした15番のスルーパスを14番が右45度からシュート、ファーへ外れた。4-3-2-1の守備的布陣で臨んだJUVENだが、ここで4-1-3-2の攻撃的布陣にシフトし、14番は15番と2トップの位置に上がっていた。清水は暫し対応に追われる。
JUVENは20分、RH8番が自陣からドリブルで持ち上がり、大きく左にサイドチェンジ。FW15番がこれを抑え、前に出てきたOH11番のミドル。GK山崎晃がキャッチする。28分にはLH10番のドリブルをCH佐野諒がカットするが、クリアを空振り。奪ったFW14番がドリブルでPA内に侵入するも、佐野克が辛くもシュートをブロックした。清水は守備に人数を回し、2トップとSHの片方を絡めた少数速攻か、滝戸のミドルで打開を図る我慢の時間帯。しかし、その我慢は正しく報われた。30分、滝戸が右に捌いたボールをRB望月卓がキープ、中央寄りにポジションを移していた小泉が大きく外を回って加速、スルーパスで一気にサイドを抉って低いクロスを送る。PA内中央で待ち構えるエース長沢、がスルー、完全にフリーになった町田が右足インサイドでゴール左に流し込み、3−0。 33分、JUVENのDH12番が佐野諒にファウルを犯す。クイックリスタートを目論むが呼吸が合わす、最後は佐野傑のドリブルから左CKへ。滝戸が蹴り込むが、GKと競り合った長沢がファウルを犯し、GKのFKでリスタート。34分、ロングキックに猛牛・佐野克が高く飛び上がり、跳ね返すその時、町田が反応。一気にDFラインの裏までクリアする豪快なヘッドに連動し、裏へ抜け出すや、飛び出たGKを嘲笑う右足アウトサイド。GKの脇の下を緩く抜け、ゴールに吸い込まれた。4−0。猛攻で2点を先攻、相手の反攻をじっくり耐え、縦に速い攻撃で追加点。ほぼ完璧な試合運びを見せ、4−0で試合を折り返した。
JUVEN FC 清水エスパルスユース 2(1) シュート 10(4) ×長沢、◎町田、×町田、×長沢、×町田、◎長沢、×滝戸、×滝戸、◎町田、◎町田 0(0) 右クロス 6(3) ×小泉、◎小泉、○卓馬、×小泉、◎小泉、×佐傑 0(0) 左クロス 11(3) ×佐傑、○小出、×小出、×佐傑、×佐傑、○長沢、×小出、◎町田、×佐傑、×佐傑 ×小出 0(0) 右側CK 1(0) ×佐傑 1(0) 左側CK 5(3) ×滝戸、○滝戸、×滝戸、○滝戸、○滝戸 0(−) 犯OS 0(−) 3(1) ファウル 3(0) ・佐傑、・町田、・長沢
[後半] 清水エスパルスユース (30分〜37分) −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− 10分:町田 →山崎竜 − 望月卓 −渥美− 佐野克 −小出−− 15分:佐野傑→佐野孝 −−−−− 佐野諒 −神田−−−−−− 24分:滝戸 →神田 − 佐野孝 −−−−−−−−−小泉−− 30分:長沢 →藤牧 (佐野孝と小泉をポジション交換、左記参照) −−−−−−藤牧− 山崎竜 −−−−− 37分:渥美 →岩崎
−−−−−−−−15−−−−−−−− −−−−−−10−−11−−−−−− −−09−−07−−08−−14−− −−−−03−−05−−18−−−− HT:12→09 (システム変更、左記参照) −−−−−−−−01−−−−−−−− 27分:10→13 (14OH、13RW) JUVEN FC (〜27分)
後半、JUVENは再度システム変更、3-4-2-1で攻守のバランスを修正した。オーソドックスな4-4-2を採用する清水は、それに対抗するシステムである3-6-1 (というか、WBを含めた5バック+2ボランチ) を苦手にするきらいがあり、攻撃の中心である長沢が連携で相手を崩すタイプなだけに、その傾向は強い。行徳監督も4-1-3-2にシステムを変更して、打開を図ることもあった。この日も攻撃の起点となる2トップを3バックに、突破口となるSHを相手WBに守られて、攻め倦むこととなる。攻撃は最大の防御、攻める時間が短くなれば相手に攻撃の機会が増えるのが道理であり、7分には望月卓のパスミスを奪ったOH11番が単独突破、PA内でシュート体勢に入るがCB渥美がブロックし、こぼれ球はGK山崎晃が確保した。 組織を崩せないときに頼りになるのは、セットプレーか、個人能力であろう。後半は無得点のまま時間は進んで19分、長沢、FW山崎竜と繋いで小泉が右クロスを入れるが、左サイドに流れる。それを追い掛けた長沢が後方に戻し、小出が中央の滝戸へ、更に前の佐野諒へとパスが渡る。と、右足一閃。守備組織を無にする鮮やかな軌跡が、PA外25Mからゴール左へと描かれた。5−0。更に23分、今度は中盤からマークを弾き飛ばして山崎竜が強引にドリブルを仕掛け、PA手前の滝戸へ小さくパス。内側を向いていた滝戸は、そのまま彼を追い越した山崎竜にワンツーを返すのが自然に見えたが、右足アウトで小さく外へパスを流した。そこへ後方から助走する小泉、右クロスを長沢が鮮やかに頭でゴール左へ流し込み、6−0。
後半は無失点を維持してきたJUVENだが、この連続失点で精神的な体力が切れてしまったように見えた。DH8番を中心に忠実に掛けてきたプレスも、綻びが見える。しかし、清水の方も戦術の鍵となっている滝戸、長沢を交代させ、強引な展開が増えてきた。それでも32分、山崎竜のスルーパスでRH佐野孝がエンジンを吹かす。たまらずDH7番が後ろから引っ掛け、PA直前で小泉のFKとなるが、DFがクリアして左CKに。再び小泉のキックを中央で藤牧がDFの背後から体を投げ出し、ごり押しのヘッドで、7−0。次いで36分、左スローインから佐野諒、得意のピンポイントクロスを送る。絶妙の軌跡でDF2枚の頭上を越え、ファーの佐野孝が胸トラップボレー、左ポスト直撃。が、リバウンドをLH小泉がカットしてゴールエリア左角の藤牧に繋ぐと、藤牧は強引なターンから左へ持ち出してシュートコースを確保、鋭角から左足を強振して連続ゴールを挙げた。8−0。 完全に集中力の切れたJUVENを、清水のパワーとスピードが襲い掛かる。ロスタイム、CH神田が自陣から50Mダイアゴナルフィード。受けた佐野孝はトラップの際にマークを弾き飛ばし、中央へと持ち上がると右に切り返してPA右角からシュートを放つが、GKがディフレクトする。左CK、既に佐野克ら後方の選手は上がらず、JUVENも前に選手を残す。結果、人口密度が薄くなったPA内、小泉のキックがニアの山崎竜を越えて落ちた先には誰もおらず、一人跳び込んだ佐野孝が左足インサイドで合わせ、9−0。駄目を押し、その直後試合終了を告げるホイッスルが鳴った。力量差の大きい相手ではあるが、4月29日の浜名戦以来の完封で勝利を収め、無事に全国大会出場が決まったのである。
JUVEN FC 清水エスパルスユース 1(0) シュート 11(6) ×小泉、×滝戸、×滝戸、◎佐諒、◎長沢、◎藤牧、×孝洋、◎藤牧、×藤牧、○孝洋 ◎孝洋 1(0) 右クロス 8(2) ×小泉、×小泉、×卓馬、×小泉、◎小泉、○卓馬、×卓馬、×小泉 1(0) 左クロス 6(2) ×小出、×小出、×孝洋、×孝洋、○佐諒、○竜男 0(0) 右側CK 0(0) 0(0) 左側CK 2(2) ◎小泉、◎小泉 1(−) 犯OS 2(−) ・小泉、・竜男 9(4) ファウル 6(1) ・佐傑、・渥美、×竜男、・佐諒、・小泉、・孝洋
▼試合結果 清水エスパルスユース 9−0 JUVEN FC 得点:前半05分:清水・町田 朋弥 (小泉 慶治・右クロス) 前半13分:清水・長沢 駿 (町田 朋弥・左クロス) 前半30分:清水・町田 朋弥 (小泉 慶治・右クロス) 前半34分:清水・町田 朋弥 (佐野 克彦・スルーパス) 後半19分:清水・佐野 諒 (滝戸 諒 ・縦パス) 後半23分:清水・長沢 駿 (小泉 慶治・右クロス) 後半33分:清水・藤牧 祥吾 (小泉 慶治・左コーナーキック) 後半36分:清水・藤牧 祥吾 (小泉 慶治・ショートパス) 後半39分:清水・佐野 孝洋 (小泉 慶治・左コーナーキック) 警告:後半31分:清水・佐野 諒 (ラフプレー) 後半32分:JUVE・07番 (ラフプレー)
▼選手寸評 [私撰MVP] ●小泉 慶治 (3年・RH) 全体では左からの仕掛けが多く、さほど目立たなかったが、結果として6アシスト。ドリブルからのクロスに絶対の自分の形があり、いざボールが渡った時に確実に得点への仕事ができる。調子が悪くてもアレックスは外せない、そんな感じ。
[私撰MIP] ●佐野 諒 (2年・CH) フィジカル的に苦労しなければ、フィールドの魔術師の本領発揮。足技のトリックと急所への視点で、正確なパスを駆使して展開を縦にドライヴさせた。しかし、ただのファンタジスタではなく、サイドをフォローする運動量も見せている。
●小出 洋孝 (3年・LB) SBが板に付いてきた。相手のドリブルを確実にブロックし、中央へのカバーリングも合格点。本来攻撃の選手なのに、変に前掛かりに色気を出さないのは、低い位置からでも攻撃に貢献できる速く、低く、正確な左足キックがあるからだ。
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