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2004年10月30日(土) Jユース杯 ジュビロ磐田戦 (A)

04年10月30日 (土) 14:00開始 ヤマハスタジアム
 第12回Jユースカップ2004 Jリーグユース選手権大会 予選Dグループ
 対 ジュビロ磐田ユース (A) ※45分ハーフ
 天候:雨、弱風、気温/湿度:17.2℃/87%、観衆:203人

▼布陣
先発:                終了間際:

−−−−−−−−長沢−−−−−−−− −−−−− 篠田悠 −長沢−−−−−−

−−−−− 鈴木真−山本真 −−−−− −−−−−−− 山本真 −−−−−−−

−−岡村−−枝村−−池田−−谷野−− −−岡村−−枝村−−池田−−谷野−−

−−− 桑原卓 −岩本−−村越−−−− −−− 桑原卓 −岩本−−村越−−−−

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−−

控え:前田、佐野克、渥美、桑原彬、神田、篠田悠、石垣
交代:後半44分:鈴木真→篠田悠 (FW、2トップに)

ジュビロ磐田ユース:

−−−−−−藤井−−岡本−−−−−−

−−−−−−−−中村−−−−−−−−

−−増田−−上田−−徳増−−石神−−

−−−−飯田−−森下−−宮本−−−−

−−−−−−−−八田−−−−−−−− 交代:後半44分:石神→渡辺恵


▼試合展開

 今年3度目の対戦。清水はクラブ選手権静岡県予選プリンス東海、共に0−5の大敗を喫している。7月の対戦後も、清水はクラブ選手権不出場・高円宮杯全敗、磐田は両大会で準優勝と明暗を分けた。だが、主将の枝村が3試合目で遂に登場。フォーメーションも磐田と同じ3バックに変更し、四ツに組んで勝負を挑む。湘南戦で好調だった長沢が石垣に代わってワントップを起用、一方でミスの目立った左CB佐野のポジションに本来左SBの172cm桑原卓を抜擢という、驚きの采配もあった。3年生5人、2年生2人、1年生4人。今までの対戦より、平均年齢は高め。
 一方の磐田は、最終ラインからレギュラーの和田・萩原が抜け、代わりに宮本と飯田が入った。元々高さのない最終ラインが更に低くなり (平均身長171cm)、長身GK八田の責任は増している。ただ、その八田を最後尾に、森下・上田・中村・藤井・岡本と昇格内定者6名を一本立てに通したセンターラインは強烈。日の丸経験者徳増も含め、昨年からほぼ同じメンバーで経験を積んできており、タレントに組織力を加えた攻撃力で相手を凌駕する。3年生7名、2年生4名と、この時期の磐田としては例外的に上級生が多い。
 この大会、残念ながらアルビレックス新潟ユースが中越地震の影響で出場を辞退。翌日、新潟で試合のあった磐田の選手は、動かない上越新幹線の中で立ち往生したそうだが、清水の選手が長岡市で試合したのは、地震の丁度一週間前。時間帯的に帰りのチームバスが、川口町のあたりを通り過ぎていた可能性も高い。全く人ごとではない。試合前、黙祷が行われたが、一週間前に中越を訪れた一人の人間として、改めて哀悼の意を表したい。

[前半]
 序盤、潰し合いの様相ながら、やや清水が優勢。しかし、面子が変われどよく訓練されている磐田の3バックを前に、立ち上がりの10分で4回とオフサイドの山を重ね、攻めきれない。FW長沢がよく競り勝つのだが、この布陣の売りである2枚のトップ下、真司・真希の奔放な動きが封印されていた。高い位置でボールを奪えずに得意のショートカウンターが出せない磐田だが、ボランチ徳増の忠実かつパワフルな潰しに率先されて、徐々に清水を押し込んでいく。
 12分、桑卓のクリアミスから得たCKのクリアをPA外で拾った中村が、オープニングシュートを記録 (枠外)。続けて14分、清水左WB岡村の縦パスを徳増がカット、FW岡本が拾ってショートカウンター開始。岡本は猛烈に右サイドを駆け上がる徳増を囮に中央をドリブル、PA内にクサビを入れる。トップ下の中村が受けるが、右CB村越が厳しく対応して攻撃を遅らせ、中村はすぐ横のFW藤井に小さくパス。このスイッチにスイーパー岩本、ボールを見失ったか、一瞬棒立ちに。と、藤井が右足で押し出すようにシュート、岩本がブラインドになったGK風間も反応できず、ボールは転々と清水ゴールに収まった。0−1。
 過去の対戦と同じく、自分たちのミスで先制点を献上してしまった清水。下級生の多い清水の隙とも言えるし、それを突く磐田の上手さとも言える。ただ、従来と違うのは、中盤の潰し合いがかなり拮抗している点。24分には抜け出そうとしたボランチ枝村に左CB飯田がバックチャージ (警告)、岩本がハーフライン付近から長いFKを蹴ると、PA内右側で長身FW長沢が頭で落とし、そこに枝村が走り込んでハーフボレー! バウンドする難しいシュートだが、GK八田が落ち着いて処理した。一方、磐田は徳増と藤井のサポートに恵まれた右WB石神が、起点を築けるようになってきた。

 30分、上田の右CKはファーで岩本がタッチに逃げ、逆サイドでやり直し。再び上田のキックをGK風間がパンチング、増田が拾ってミドルを放つが、ワンタッチあってもう一度右からやり直しに。32分、上田3回目のキックはファーで岩本?がヘッドするが弱く、PA左側外縁で混戦に。ボールがGK風間へと流れたところ、風間のミスか、DFが足を出したのか、中途半端なクリアを左ポスト付近にいた石神が強引に体を捻り、押し込んだ。0−2。3回のCK、いずれかで大きく前に蹴り出していれば…、後悔の残る失点だった。
 呆気ない2失点が、過去の大敗を思い起こさせる。ここまで重ねた8個のオフサイドを元に修正を図る司令塔の枝村は、33分、自ら中央から持ち込むと、間合いを計算したループのパスで、ついに長沢が裏に抜ける。長沢はGK八田との距離を保ってストップ、ラストパスを選択したが…リベロの森下がカット、譲らない。磐田は41分、右サイドから徳増が真希を振りきってミドルを放ったが、GK風間正面。43分、岩本がクリアを2つ重ねて右CKに。上田の鋭いボールがファーでフリーの石神にピタリ、あっさりと3度目のゴールが揺れる。が、判定はノーゴール。ボールが一度タッチラインを割ったという判定だと後に分かるのだが、この時は副審が旗を地面に水平に上げて (=オフサイド) いたために、会場騒然。磐田ベンチが、観客席が、一斉に声を荒げ、主審が監督を宥める場面も。
 結局、長沢からのパスで真司がチーム通算9回目のオフサイドを記録し、前半を折り返した。全体的にはよく戦えていたが、ゴール前でのミスの有無、ラインディフェンスの精度、チーム全体で統一されたチェンジ・オブ・ペース、小さい確かな差が積み重なっての2点差だった。

磐田        清水エスパルス
6(2) シュート 1(1) ○枝村
5(0) 右クロス 0(0)
2(0) 左クロス 0(0)
3(0) 右側CK 1(0) ×岡村
2(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  9(−) ・岡村、・長沢、・真司、・真希、・谷野、・岡村、・真司、・長沢、・真司
8(2) ファウル 5(0) ・長沢、・真希、・枝村、・村越、・岡村

[後半]
 後半4分、磐田のロングスローを村越が跳ね返すと速攻。枝村から長沢にクサビ、左に叩いて岡村が縦にスルーパス、起点になった枝村が飛び出し、左クロスを送る。惜しくもクリアされたが、続く岡村の右CKに大外ファーで岩本が合わせるなど (GK正面)、清水攻勢。そのまま7分、スライディングで上手く足を残して奪った村越から、真希が受けて速攻。スルーパスに外側にいた真司が猛スピードで反応、飯田が何とかパスをカットし、右CKに逃れる。再び岡村のキックに対し、ファーから斜めに中央へと走り込むは村越、ほぼフリーで完璧に頭を合わせ、追撃の狼煙を上げた。1−2。
 実は前回、プリンス東海でも後半序盤、清水が攻勢を仕掛けている。その時は逆にカウンターから決定的な3失点目を喫し、緊張の糸が切れてしまった。一方、今回は2点差から追い上げられた磐田に、焦りが見える。また、前半不安定だった岩本が立ち直り、裏のスペースのカバーから高さに不安を残す左CB桑卓のサポートと、手広く活躍。得意のダイレクトフィードで攻撃にも貢献した。藤井や石神のドリブルを、幾度となく体を張って食い止めた桑卓も、特筆すべきだろう。

 藤井が目立たない磐田は、攻撃が淀みがち。岡本がPA内で強さを発揮するのだが、落とした地点に誰もいない場面も散見される。17分にこそ、左スローインを藤井が胸トラップターンボレーで左クロス、ファーで岡本も胸トラップターンボレーでシュートを放ったが、GK正面。ならばとボランチの上田や徳増がドリブルで持ち上がるが、岩本のカバーリングが冴える。磐田は攻めてはいるが、前半と違って効果的にサイドを使えず、DFラインを崩せなかった。
 一方の清水は21分、中盤で飯田のファウルを受けた真希が、すぐさまロングキックでリスタート。逆サイドの真司がダイレクトで左クロスを送ったが、ファーに流れた。そこから波状攻撃を仕掛け、桑卓のサイドチェンジから真希がPA手前を横切るように逆サイドへ、最後は岡村のダイレクトスルーパスに枝村がPA内左側に飛び出すと、切り返しでタイミングをズラしてループでの折り返し、は僅かに長沢の頭に合わず。続く22分、最終ラインにカバーに入ったボランチ池田が、頭でクリア。枝村がマークを背負いながら受け、反転しつつ、ため息の出るような美しい浮き球のスルーパスで、真希の飛び出しを誘導してみせる。真希のドリブル開始と誰もが思った瞬間、彼は激しくインに回転を掛けた「低く速く正確な」35Mアーリークロスを、DFラインとGKの間に送った。オフサイドなしで裏に抜けた真司、ファーで待ち構えると「壊れた玩具」の所以たる左足ダイレクトボレー。池田、枝村、真希、真司、中盤中央の4人の良さが存分に発揮された速攻で、ついに清水が同点に追いついた。2−2。
 同点後の24分、池田のダイレクトフィードに岡村が飛び出し、戻して枝村のスルーパスに真希が抜け出すなど、清水が縦に速い攻撃で勢いに乗るが、磐田が3つのオフサイドで耐え凌ぐ。真希、判定にキレ気味。27分磐田、中村がPA前でのキープから3バックの左外へ展開、左WB増田のシュートは矢のようなスライディングで村越が防ぐが、再びボールは増田の下へ。フリーでのシュートは、しかし、大きくゴール右上に外れた。この場面以降、ラインを押し上げ、上田・徳増のダブルボランチが攻撃に絡む磐田が優位に立っていたのだが、確度の低いミドルが目立ち、拙攻を繰り返した。

 神経を削るような展開、途中真司が痛む場面もあったのだが、両ベンチ動かず。38分、枝村のスルーパスで真司が右サイドを破った場面を境に、流れが清水へと移る。40分、岡村の右CKのクリアボールを枝村と藤井が奪い合い、最後は藤井がたまらずバックチャージ (警告)、中央35M程の距離でFKを得る。真希の弾丸キックは壁を直撃するが、リバウンドを自らダイレクトで左に展開、壁の横で待っていた枝村が裏へと抜け出し、PA内で素早い切り返しを2、3入れてシュート、僅かにファーに逸れた。
 43分、GK八田のゴールキックで再開するが、村越が頭で簡単に跳ね返す。クリア体勢に入った飯田?に真司?が強引に体を寄せ、こぼれたボールの先に枝村。ここまで13のオフサイドを奪っている磐田DFライン、司令塔の枝村に対して一瞬、足を止める。だが、この男、身体能力も並ではない。爆発的ダッシュで中央から抜け出してGKと1対1、切り返してボールのない左足へとGK八田を誘いに乗せた。PK (八田に警告)。3年生3人の頑張りで奪ったPKを蹴るのは、2年生の真希。息詰まる場面でも、「早く低く正確な」キックは、彼を裏切らなかった。ゴール右に突き刺し、3−2。逆転!
 磐田はPAへの放り込み、強引なミドルシュート、なりふり構わず反撃するが、清水も真司に代わった悠輔がスピード豊かに前線で起点を作るなど、簡単には譲らない。左サイドのスローインを中村がダイレクトで反転ボレークロス、ファーで岡本がボレーという後半17分の場面を再現するが、GK風間正面。リバウンドをPA手前から渡辺恵のミドルは大きく枠を外し、万事休す。3度目の対戦で、とうとう磐田に勝利。その原動力になったのは、下級生の成長以上に、3年生の意地だった。

磐田        清水エスパルス
8(2) シュート 5(4) ○岩本、◎村越、◎真司、×枝村、◎真希
4(1) 右クロス 4(1) ×真司、×真司、◎真希、×真司
5(4) 左クロス 3(0) ×枝村、×枝村、×枝村
0(0) 右側CK 3(1) ○岡村、◎岡村、×岡村
3(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  4(−) ・真司、・真希、・真希、・長沢
7(2) ファウル 8(1) ・池田、・長沢、・岡村、・真司、・枝村、・長沢、×真希、・長沢

 次節、池田出場停止。チーム最長の出場時間を誇るこの1年生の不在は、かなり痛い。ただでさえ、過密日程だし。おまけに翌日のサテライトに、長沢と風間を除く全出場メンバーが同行、8人も連戦をこなしてるし。

▼試合結果

清水エスパルスユース 3−2 ジュビロ磐田ユース
 得点:前半14分:磐田・藤井 貴 (中村 豪 ・ショートパス)
    前半32分:磐田・石神 啓 ※リバウンド
    後半07分:清水・村越 大三 (岡村総一郎・右コーナーキック)
    後半22分:清水・鈴木 真司 (山本 真希 ・右クロス)
    後半43分:清水・山本 真希 ※PK
 警告:前半10分:清水・山本 真希 (遅延行為)
    前半23分:磐田・飯田 祐 (反スポーツ的行為)
    後半34分:清水・池田 康彦 (反スポーツ的行為)
    後半41分:磐田・藤井 貴 (反スポーツ的行為)
    後半43分:磐田・八田 直樹 (反スポーツ的行為)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●村越 大三 (3年・右CB)
 3バックが徐々にハマってきており、後顧の憂いを岩本に任せ、ボールに集中して前に出る守備に専念できている。運動能力を発揮し、勢いをつけて厳しく当たっていた。守備のリズムの良さが調子に乗せたか、得点のヘッドは実に高かった。

[私撰MIP]
●枝村 匠馬 (3年・ボランチ)
 徹底マークを受けるのは、司令塔の宿命。磐田の3枚の警告は、全てこの男を倒してのもの。そんな中で決して100%ではないものの、高いキープ力と絶妙の長短のパスでリズムを創った。と思えば、自ら突破も受け手として飛び出しもできる。

●池田 康彦 (1年・ボランチ)
 細かいパスミスは気になったが、司令塔役を枝村に委ね、潰し職人の本領発揮。村越が前に出て守備できたのも、枝村がゴール前に飛び出せたのも、池田が知的にバランスを保ち、最終ラインからサイドスペースまで広くカバーできていたからだ。

[個人的好印象選手 (相手方) ]
 徳増 欣也 (3年・ボランチ): 真希にも負けない強力なフィジカルで体を張って奪うと、そこからの突進力は脅威。漢気。
 中村 豪 (3年・トップ下): ピッチ全体を動き回り、一瞬の隙に高いテクニックを発揮する姿は、藤田の後継者の資格。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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