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2003年11月01日(土) Jユース杯 予選リーグ 湘南ベルマーレ戦(H)

03年11月01日15:00開始 清水エスパルス三保グラウンド
 第11回Jユースカップ2003 Jリーグユース選手権大会
 対 湘南ベルマーレユース(H) ※45分ハーフ

▼布陣
−−−−−阿部− 篠田悠 −−−−

−大瀧−−−−−−−−−−上埜−

−−−−−真司−−枝村−−−−−

−篠田大−村越−−石垣−−森安−

−−−−−−−海人−−−−−−−

控え:前田、高柳、高野美、岡村、柴田、谷野、獅子内
交代:後半00分:大瀧と真司のポジションを入れ替える
   後半06分:篠田大→岡村 (そのまま左SBに)
   後半29分:篠田悠→獅子内(そのままFWに)
   後半44分:真司 →谷野 (そのまま左MFに)

湘南ベルマーレユース:

−−−−−永里− 中村友 −−−−

−−−−−−−宮崎−−−−−−−

−鶴見− 宇佐川 −飯塚−−田辺−

−−−齋藤−−渡部−−鈴木−−−

−−−−−−−徳永−−−−−−−

交代:後半15分:宮崎→北村、後半36分:飯塚→吉川、中村友→加藤


▼試合展開

 三連休の初日と最終日に2試合というのは、やってる選手達も大変だろうが、観る方も結構、大変である。私の場合、清水での試合の方がアウェイだし。本来なら、浜松の実家に泊まって楽をしたいところだが、この日は都合悪く、東京で飲み会を予定。たらふく呑むためだけに戻るのは少し馬鹿馬鹿しいが、まあ、それも人の世というヤツなのであろう。そして、実際にたらふく呑んで、終電で帰ったわけだが。

 さて、湘南と、ホームでの再戦である。清水の方は、メンバーだけ見ると、先週の柏戦から右MFが谷野から上埜に変わっただけの格好だが、実際には大きな変更点が。左MFを大瀧のままにして、真希のいないボランチに動かしたのは、普段はFWの真司! しかも、枝村ワンボランチで真司が前目というわけではなく、普通にフラットに並んだ。これが一体、どうなることか。メンバー表によると、先発の平均年齢は17.18歳。
 一方の湘南。前回の対戦と比べると、代わったのは藤田→飯塚だけ(清水は高柳→石垣、真希→悠輔、谷野→上埜の3人)。しかし、システムは3−5−2に変更、サミア直伝?のフラット3で中盤を厚くし、プレス合戦を仕掛ける。1年生は齋藤・宮崎の2人だけだが、2年生6人、3年生3人の若いメンバーで、先発の平均年齢は16.64歳と、清水よりも半年以上も若い。それ以上に、平均身長が171.9cmと小さく(清水は174.8cm)、トルシエ日本と同様に中盤で勝負を仕掛けたいところだろう。


(試合前の整列。凸凹な清水(特に先頭の2人)に比べ、湘南は平均して小さい)

[前半]
 試合は、どこか様子見で慎重に始めたい清水の機先を制そうと、湘南が選手全員、積極的な動きを見せる。フォアプレスで満足にボールを回させず、潰し合いに持ち込むと、4分に左サイド鶴見のスローインを最終ラインの裏で待つ中村友が受け、そのまま独走。左60度PA直前で放ったミドルは右下隅を狙ったが、清水のGKは海人、そこはキチンとキャッチする。
 以後も互いに高いラインを保ち、中盤の潰し合いに終始。11分に、GK海人のロングキックを阿部が競り落とし、枝村が正確なトラップからスルーパス、阿部のシュートがゴールを揺らしたが、これはオフサイド。渡部のライン統率が冴え渡る。ならば清水は、渡部の判断の間に合わないタイミングでパスを出したいところだが、激しいプレスに晒されて、なかなかPA周辺で起点を作れない。そのため、両SBが攻撃参加できず、厚みが生まれなかった。13分に枝村のクサビから阿部のポスト、戻して真司が30Mミドルで漸く初シュートが記録されるが、後が続かない。17分に清水が大瀧、19分に湘南が中村友が高いラインの裏を取るが、互いにDFの寄せが早く、決定機に結びつかなかった。

 27分、湘南は3月30日生まれ田辺の右アーリークロスに、またも中村友が裏に抜け出すが、素早く飛び出したGK海人が188cmの体でコースを完全に塞ぎ、そのまま交錯して跳ね返す。すると清水も28分、左の大瀧から枝村→悠輔→枝村と捌いて右へと展開、角度30度から阿部が強烈な20M砲を発射するが、GK徳永の好守。これで試合が動き出し、清水は大瀧の左サイドに起点を作って、FWとMFが繋がり出す。
 しかし、湘南は中央3枚のDFの集中が途切れず、最後の一線を崩さない。逆に36分には、宮崎のクサビを受けた中村友がトラップで村越のチェックを外し、永里にスルーパスを送る場面があったが、惜しくもオフサイドの判定に阻まれる。清水は38分に、大輔がアンティシペーションして奪ったボールを枝村がチェンジサイド、上埜のクロスに阿部と悠輔の2枚が飛び込む場面があったくらいで、これもGK徳永の判断の良い飛び出しに防がれる。
 湘南にとって、得点こそ奪えないものの、中盤の潰し合いが続いて互いにゴール前の場面の少ない展開は、前半としては望むべきものだったろう。だが、42分、湘南の最終ラインでのパス回しに悠輔が食いつくと、奪われた鈴木が悠輔のドリブルに食いつき返し、左CKに。前半3本目のCKは、初めての枝村サイド。やや緩いボールを低く蹴り込むと、ファーに流れながら「空中戦最強」石垣が折り返す。叩き落とさず、高さを保って戻したボールを、ニアポスト付近の村越は競り勝つことに専念すれば、あとは頭で押し込むだけで良かった。1−0。
 その後、湘南はFKの好機があったが、中央から右に流して齋藤の狙ったシュートは大きく上に外れる。非常に良い時間帯に先制した清水が、余裕を持って試合を折り返した。

湘南        清水エスパルス
2(1) シュート 3(3) ○真司、○阿部、◎村越
1(1) 右クロス 2(0) ×大瀧、×上埜
2(0) 左クロス 5(1) ×枝村、×大瀧、○大輔、×大輔、×大瀧
0(0) 右側CK 2(1) ×大瀧、○大瀧
1(1) 左側CK 1(1) ◎枝村
3(−)  犯OS  4(−) 大瀧、阿部、阿部、大輔
5(−) ファウル 6(−) 上埜、森安、悠輔、阿部、悠輔、上埜


[後半]
「見えねえよ」

 序盤は湘南のプレスが復活し、再び潰し合い。だが、2分に大輔のロングフィードから裏に抜けた阿部がループ(枠上)、5分にドリブルする宇佐川の横パスをカットした枝村が、逆に50Mを持ち上がり、小さく右に流して上埜が右クロス(渡部クリア)と、余裕のある清水の方が効果的であった。前半、真司のボランチは破綻はなく、特に運動量の点で守備面では効いていた面もあったのだが、後半に大瀧をボランチに戻すと、両ボランチの展開力が高まり、また大瀧と枝村が交互にトップ下に上がってキープ力を生かすことで、左右中央に起点を作れるようになってきた。
 10分には、ポストに入った悠輔が粘る間に、森安が中盤中央に攻め上がってボールを受ける。そこから、阿部に再びクサビ、戻して枝村がサイドチェンジ、大瀧が受けて左クロス、枝村がPA内に飛び込んでダイレクトボレー。全て2タッチ以下で繋ぐ鮮やかな攻撃だったが、GK徳永が素早くコースを塞ぎ、ゴールを割らせない。湘南は11分、中村友が石垣を交わして30Mを突破、ループを放つが枠上へ。
 13分にも湘南は、鶴見が左サイドから突破するが、中に切り返したところを森安がカットし、ボールは枝村へ。枝村に宮崎と宇佐川がチェックに来るが、タックルを弾き飛ばして、体勢を崩した2人を抜き去る。そのままハーフウェイラインまで持ち上がってから、左サイドへとスルーパス。そこに親友・真司が抜け出し、こちらも早い判断で、最終ラインの裏を転がす左クロスを送る。悠輔は左から斜めに走り込み、GKの位置を見て、小さく左足を振り抜くと、低く強いシュートをファーサイドへ突き刺した。2−0。悠輔のユース初ゴールは、凄みは殆どない、簡単な場面で簡単に決めたゴール。だが、基本に忠実な自然な動きは、目を見張るものがあった。

 畳み掛ける清水は、真司と岡村の高速左サイドコンビが、次々に左サイドを切り刻む。攻勢時のこの2人の圧力は、強力であった。18分には、大瀧→枝村と繋いで岡村が受けると、真司とのワンツーで縦に抜け出し、左クロスに悠輔ボレーはDFブロック、だが岡村自ら拾ってシュートを放ったが、これもDFが防いだ。岡村は縦突破に留まらず、直後の19分には、左サイドからアーリークロスを上埜がマイナスに戻し、大瀧が痛烈ボレー。GK徳永、素晴らしい反応で防ぐ。
 対する湘南は21分、枝村のクサビのパスを読んだ永里が、正面に突っ込んでカット、その勢いで枝村を抜き去る。左に叩いてフリーの鶴見は右に切り返し、シュートエリアに入ったが、選択したのは左クロス、ニアに斜めに入ったボールへ中村友が飛び込む。しかし、GK海人も飛び込み、シュートをブロック。だが、中村友は素早く立ち上がり、転がったボールにゴールライン寸前に追いついて、左角度5度から再度シュートを放つ。十分に力の込められたシュートだったが、同じく素早く立ち上がったGK海人が、自らの体重でボールの勢いを殺し、ライン上でゴールを阻んだ。
 だが湘南は、北村投入で前半消えていた永里がトップ下に下がると、そこを起点に徐々に攻撃の形が見えてきた。23分にも永里は、トップ下の位置から石垣を切り返しでコースから外し、ミドルを放っている(海人キャッチ)。互いに次の1点を狙って、攻守が目まぐるしく変わる面白い展開が続いた。
 一方、清水の起点は、やはり左。24分、中盤左サイドの岡村が前方の真司にクサビを当てると、自慢の快速で疾走、単純なワンツーで簡単にサイドを破ると、上げた左クロスに阿部が左足ボレーで合わせる、完璧に崩した形。だが、肝心のシュートが当たり損ねでヘロヘロ。しかし、体勢を崩されていたGK徳永は弾き返すのが精一杯で、そしてリバウンドは運悪く阿部の元へ。後ろ向きで受けた阿部だが、反転、…の最中に左足一閃。一つ早いタイミングに徳永は対応しきれず、ボールは右サイドに突き刺さる。3−0。

 清水は続けて26分にも、クサビのボールをPA右角で受けた悠輔、反転してスルーパスを送ると、右スペースにいつの間にか枝村。ピンポイントクロスで狙った先のニア、爆撃機・阿部の豪放そのもののダイビングヘッドが炸裂する。決まったかに思われたが、GK徳永の反応速く、これを弾き、こぼれたボールをDFがクリアした。悠輔は、これでお役ご免。獅子内は彼自身の動きは悪くなかったが、結果として清水の攻撃は一段落する。やや引き気味に守りながら、縦に速いカウンターで前方のスペースを脅かすことで、逃げ切りを図った。湘南も36分にリベロの渡部をボランチに上げ、引いた清水に対しボール支配を回復する。
 すると、攻勢時には問題なかった攻撃的な左サイドに、徐々に穴が見えてくる。33分には、ロングフィードの空中戦で、岡村が北村に競り負け、それに釣られた村越の裏へと中村友が走り込む。ドリブルは石垣がタックルで右CKに逃げるが、鶴見のキックが低く入ると、これをクリアできずに混戦。そこから誰か(…)がシュートを放つと、GK海人の腕は及ばなかったが、右ポスト前に立っていた岡村?がクリアし、事なきを得る。清水も39分、大瀧のスルーパスから左に流れた阿部が後ろに戻すと、真司を経由して岡村がアーリークロス。それをファーで上埜が「普通に左足で狙えよ!」的な技巧派の本領発揮、強烈な右足アウトサイドボレー。観衆に驚嘆の声を上げさせたが、僅かに右に外れた。
 今度は湘南。42分、やはり右サイド(清水の左サイド)を起点にして、中央に繋いだボールを宇佐川?が左へと展開。中に絞っていた清水DFはスペースに流れた永里を完全にフリーにしており、仕方なくクロスを跳ね返すことに集中。十分に縦に抉って上げたクロスは、ゴール前を横切って転がる速いボール。森安はカットできず、ニアに飛び込んだ加藤に石垣が競り合い、GK海人もシュートに備える。が、意図的かは不明だが結果としてスルー。ファーで待つ北村がガラ空きのゴールに蹴り込み、一矢報いる。3−1。北村は喜ぶそぶりも見せず、ボールを拾ってセンターサークルへと戻っていった。
 だが、その後に大きな動きはなく、湘南が前半同様に終盤に得たFKも、鶴見が外してしまった。快勝を飾ったが、高円宮・滝二戦、全クラ大分戦、プリンス磐田戦・藤枝東戦などと同様に、残り5分で完封勝利に失敗してしまった点は、自省してほしいところだ。


(試合終盤。こちら側はまだマシだが、暗くて見えづらかった。阿部がトップ下に下がって、クサビを左に捌いた場面)

湘南        清水エスパルス
10(6) シュート 12(8) ×阿部、○枝村、×枝村、◎悠輔、○岡村、○大瀧、○阿部、◎阿部
               ○阿部、○大瀧、×獅子、×上埜
2(0) 右クロス 2(1) ×上埜、○枝村
5(3) 左クロス 12(8) ×岡村、○大瀧、○真司、◎真司、○岡村、○岡村、○岡村、×枝村
               ×岡村、○枝村、○岡村、×真司
1(0) 右側CK 1(0) ×大瀧
2(0) 左側CK 2(0) ×枝村、△枝村
1(−)  犯OS  0(−)
7(−) ファウル 9(−) 悠輔、森安、阿部、森安、岡村、枝村、枝村、森安、岡村


▼試合結果
清水エスパルスユース 3−1 湘南ベルマーレユース
 得点:前半43分:清水・村越大三 (石垣勝矢・ポストプレー)
    後半13分:清水・篠田悠輔 (鈴木真司・左クロス)
    後半24分:清水・阿部文一朗(なし)
    後半42分:湘南・北村尚人 (永里源気・左クロス)
 警告:後半44分:清水・岡村総一郎(ラフプレイ)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●枝村匠馬 90分出場:シュート2(枠内1)、クロス4(成功2、右1左3)
 今日は80%枝村匠馬ぐらい。質と量の両面で動きが良く、前線は左右中央の全てに顔を出し、パスにクロスにシュートに、攻撃に絡んだ。得意の大きな展開にドリブルスピードも速く、欠けていたのは強烈なミドルぐらいか。守備でも頑張っていたが、フィルター役を任せられるには粘りが足りない。

[私撰MIP]
●岡村総一郎 39分出場:シュート1(枠内1)、クロス6(成功4、左6)
 余りある攻撃力で主導権を握り、真司と組む守備も破綻を来さなかった。その快速を存分に発揮、80Mを往復する持久力もさすが。岡村の速さにパスを完璧に合わせた真司も見事だった。一方で的確にファーに合わせるアーリークロスなど、今までと違った大きな展開も見せている。守備の脆さがなければ、MVP。

●阿部文一朗 90分出場:シュート5(枠内4、得点1)、クロス1(右1)
 前半こそ高いラインに苦しんだが、DFラインの平均身長は172cmということで、パスさえ供給されればマークは一切問題にしなかった。パスの来ない時は、サイドに流れて自らの突破で起点になるなど、工夫が見える。阿部と悠輔の2人が絡む機会が少ないので、その点が課題だろうか。

[個人的好印象選手(相手方)]
 中村友昭(2年):最後まで掴みきれなかった。速いだけでなく、いやらしい動きができる選手。
 渡部翼(2年):前半は高いラインと鋭い読みでパスを遮断した。それはボランチとしても同様。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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