2003年03月16日(日) |
中日本スーパーリーグ U-17 藤枝東高校戦 |
03年03月16日11:02開始 草薙球技場 第6回中日本ユースサッカースーパーリーグ(U-17) 対 藤枝東高校 ※40分ハーフ
▼布陣 −−−−−阿部−−真司−−−−−
−岡村−−−−−−−−−−真希−
−−−−−大瀧−−枝村−−−−−
−高野−−高柳−−森安−−雄也−
−−−−−−−前田−−−−−−−
交代:後半13分:枝村→村越(森安をボランチ、村越をCBに)
藤枝東高校:
−−−−−柴田−−閨谷−−−−−
−−−立田−−赤星−−佐々木−−
−−−−−−−木村−−−−−−−
−新庄−−小関−−北村−鈴木大−
−−−−−−−高橋−−−−−−−
交代:前半36分:鈴木大→滝田 (新庄を右SB、立田を左SB、柴田を左MF、佐々木をFW、滝田を右MFに)
▼試合展開 期末に出張が重なり、ここ数週間は非常に忙しいのだが、会場が草薙と聞いて翻意。前日の浜名戦も観戦したいところではあったが、土曜は残務を片づけ、早朝の電車に乗り込む。前日、切符を買えなかった(みどりの窓口が開いてる時間内に帰れなかった)こともあり、色々と焦ったが、無事に会場到着。 しかし、門が開いていない!(正面だけが開いていたようだ) ここで引き返せるほど、筆者は金銭的余裕も時間的余力も精神的教養も持っていない。乗り越える。その際に、錆びた金網で指を流血。もし自分が破傷風で死んだら、この時の愚行が原因だと思い起こして頂きたい(苦笑)。 さて、清水・藤枝というサッカーの町同士の静岡ダービーである。それだけでなく、藤枝東には赤星・滝田というエスパルスジュニアユース出身選手が、エスパルスには阿部・枝村・真司・真希という志多榛原地区出身者(藤枝出身は真司だけだが)が在籍。中盤中央では枝村−赤星、清水の左サイドでは途中から真司・岡村−滝田という因縁の同期対決となった。天気は曇天ながら時折光も差し、風もない穏やかな春の兆し。芝の状態も良好で、好コンディションが舞台を彩った。
[前半] 試合は探り合いの様相から落ち着いてきたと思われた5分、いきなり動く。中盤の底で枝村が奪うと、簡単に右へ流す。受けた真希も、正確なダイレクトミドルパスで、左の岡村にチェンジサイド。さらに岡村も軽く前へボールを流すと、そこに起点となった枝村が走り込み、フリーで左クロスを上げる。中央でマークを外した阿部が、右足でファーに流し込むと、不器用なループは、しかしGKが触っても軌跡を変えず、ネットに吸い込まれた。1−0。 清水は意図のないパスミスも多く、コンビネーションの点では、まだまだ未成熟だが、1ヶ月前とは比べようがないぐらい、システムとして役割分担が整理されている。元々攻守の切替の速い真希だけでなく、岡村も精力的な守備を見せ、2列目がバランスを保ちながら攻撃していた。だが、特筆すべきは最終ライン。昨年のように相手の前に出て中盤に参画する、積極的な守備を披露。相手の藤枝東の最終ラインが、守勢の時にはかなり深く下がっていることもあり、圧倒的な中盤支配を得て、そのまま試合の趨勢を掴んだ。
8分、枝村が散らしたボールを受けた真希が、マークの寄り切れない早いタイミングで大きくチェンジサイド。左の岡村がドリブルを仕掛け、CKを奪う。続く枝村のキックは、ニアで合わずにDFがクリア。枝村はパスミスもあり、棒立ちになる時間も長く感覚で動けていない印象だが、それでもボールを集められ、その後も試合を創り続けた。 13分にも枝村が、中盤やや左で奪ってドリブル。相手マークに詰まって後ろに戻すと、大瀧が枝村の裏のスペースに精密なループパス。受けた岡村がターンして再び大瀧に戻すが、さらに大瀧が後ろに下げたボールがミス。しかし、これも枝村がタックル、こぼれたボールをライン際の巧みなトラップで前方スペースへと抜け出して、クロス。阿部が胸で受ると、右前方へ流した先に真希が駆け込むが、一歩早くGKキャッチ。 16分、ゴールキックの競り合いでこぼれたボールを真司が拾うと、軽く仕掛けて戻した先はやはり枝村。そこから右サイドに散らすと、真希は2タッチ目で素早くクロスを入れる。ピンポイントで合わせたボールを、前向きの姿勢のまま真司がダイレクトで後ろに戻すが、誰にも合わず。 20分、またも枝村が中盤中央で奪って、速攻。右に流すと、早いタイミングで真希が低く球足の速い横パスを中央へ。このボールを大瀧が跨いでスルー。受けた枝村が短く前に繋ぎ、ここで受けた大瀧がループパス。これを阿部が再び右に流すと、勢いよく真希がボレーシュートを放ったが、ボールは大きくファーへ外れた。
その後、大瀧のミドルや、真司のファンタジーア(前を向いたまま、右からのパスを跨いで左足インサイドでトラップ、直後に股間のボールを右足インサイドでバックパス)などが飛び出すが、清水が綻びを見せたのは、意志疎通の不足から来る単純なミスから。26分、右に流れてポストした阿部がバックパスを相手に渡してしまう。一気に突破を許すと、サイドチェンジから藤枝東の右クロス。これは流れたかに見えたが、クロスバーを直撃。雄也のカバーが遅れてリバウンドを拾われるが、上手く中を切ってボールはタッチラインを割る。 続いて32分、中盤で奪った藤枝東の速攻。清水の左サイドから仕掛けると、森安がボールに寄ったのを見て横パス。雄也の戻りが遅れており、全くのフリー。15M弱の距離からミドルを放たれるが、前田が素晴らしい横っ飛びを見せて阻止。こぼれたボールはDFクリア。時間がだいぶ経ってからの藤枝東のファーストシュートだったが、前田はブランクを感じさせず、見事な集中力を持続していた。 藤枝東がやや流れを取り戻した38分、FWにクサビを入れる縦パスに対し、高柳が相手の前に出てクリア。これをハーフライン付近の枝村に渡して、フリー。枝村は振り向いてドリブル開始。藤枝東のDFは十分後ろに残っていたが、枝村の選択は30Mミドル。強烈なボールだったが、バーの上に1M弱外れた。 その後、終了間際の嫌な時間にCKを奪われたが、DFが着実に跳ね返し、前半終了。
藤枝東 清水エスパルス 1(1) シュート 4(2) ◎阿部、×真希、○大瀧、×枝村 2(0) 右クロス 2(1) ○真希、×雄也 1(0) 左クロス 3(2) ◎枝村、○枝村、×岡村 1(0) 左右CK 1(0) ×枝村
[後半] 開始早々1分、高柳が奪取から、大瀧の足下へ縦パス。大瀧はボールを持って左へ流れると、短く戻す。受けた岡村はトラップから一度切り返し、一息に縦へ。左クロスはDFが阻止、CKに逃れる。枝村の左CKは、前半のミドルを思わせる速いボール。これに中央の阿部が頭二つは抜け出して、ドンピシャでヘッド。強烈なシュートがニアサイドネットに突き刺さった。2−0。
これで一気に試合のギアは上昇。3分にも右サイドの展開で失ったボールを、枝村が奪い返して、真司に当てる。ワンツーのタイミングだったが、枝村は逆に真司のさらに右へと走る。真司が折り返したのは枝村でなく、3人目の動きでフリーになった中央の阿部。10M弱の絶好の位置でフリーになったが、上手く力を抜いたシュートはサイドへ外れてしまう。「あ゛あぁ」という悔恨の叫び、やはりブンは考えてシュートを撃っちゃいけない(苦笑)。 4分には藤枝東が反撃。滝田の突破を高野が縦を切り、CKへ。赤星のキックは前田がフィスティングでクリアするが、エリア外で拾って20Mミドル。キレのあるシュートだったが、曲がりすぎて横に外れる。 清水も阿部のポストから大瀧のミドルと、攻勢を緩めない。9分には、真希の早めの右クロスはやや浅すぎて、阿部が後ろ向きでトラップ。マークに寄られて振り向けずにファーに流れるが、岡村がフォロー。左クロスに対し、ファーで真希が頭で合わせたが、今度は深すぎて角度なく、ニアサイドに外れる。
10分の藤枝東。右から速攻は、滝田が早めに中央の閨谷に預ける。高柳が縦を切るが、後方から佐々木が斜め右に走り込み、そこへスルーパス。高柳は出し手をマークし、スルーパスの処理をカバーに来ていた森安に任せる判断をしたが、森安はマークの受け渡しをすると考えていたのか、反応が遅れてボールを見送ってしまう。これで佐々木が独走。前田との1対1に冷静にサイドネットへ流し込む。2−1。 試合の優勢を支えていた最終ラインの犯したミスである。チーム全体が浮き足立った。11分、高野のハンドから、赤星がクイックリスタート。ノーマークの滝田が低い右クロスを送ると、足下に入って威力は弱いが、しかし至近距離のシュート。だが、前田がこれに反応、前方にこぼすが即座にパンチングで味方に渡し、難を逃れる。 この後、枝村が村越に交代、森安が中盤に上がるが、あまり改善は見られなかった。森安が前掛かりだったこともあるが、両チーム共に前日にも試合があったこともあり、中盤がぽっかり空いてしまった。サイドから速攻の撃ち合いとなり、逃げ切りたい清水としては嫌な展開。
24分、左サイド30M程の距離から大瀧のFK。これはDFにクリアされるが、岡村が拾うと左のオープンスペースへ。大瀧が走り込み、鋭く曲がって落ちるクロスを、森安がスライディングボレーで合わせたが、威力無くGK正面でセーブ。 その後、高野が最終ラインで横パスをミスしてシュートを許す場面もあったが、チームが落ち着いてくる。サイドから遅攻と単独突破でFKを誘い、或いは阿部の単独突破一本に頼るなど、リスクを犯さない。ただ、当の阿部は、大瀧FKからの至近距離ヘッドを外したり、突破から巧くサイドに流れてCKを奪ったはずがゴールキックと判定されたり、岡村の新境地を開く40Mロングフィードで裏に抜け出しながらバテたのかDFに跳ね飛ばされたりと、苛立ちを募らせた様子(ラフタックルで警告頂戴致しました)。何はともあれ、巧みに時間を費やして、最後の10分余りは満足な攻撃を許さず、勝利を手中にした。
藤枝東 清水エスパルス 5(4) シュート 8(3) ◎阿部、×阿部、×大瀧、×真希、×真希、○森安、×阿部 ○岡村 3(1) 右クロス 3(1) ○真希、×雄也、×真希 0(0) 左クロス 6(3) ×岡村、○岡村、×岡村、×岡村、○岡村、○大瀧 1(0) 左右CK 2(1) ◎枝村、×大瀧
名古屋戦でも感じたが、今年のチームは、なかなかプレーが汚い。タックルは激しいし、判定に不服があれば文句も言う。倒されれば叫喚してアピールするし、時間稼ぎもする。ただ、これは良いことだと思う。昨年のチームのような「大人のプレー」も結構だが、やはり勝利への意欲は大前提。去年の対戦では淡々と藤枝東を下した印象だったが、今年は声の大きさでも上回っていたと思う。 勿論、相手を怪我させるのは論外。だが、それと球際の激しさは別。それが分かっていれば、少々やんちゃでも構わないのではないか。今年の3年生が中3の時、内容は酷評されたが高円宮杯を制した。その理由が、少し分かった気がした。
▼試合結果 清水エスパルスユース 2−1 藤枝東高校 得点:前半05分:清水 ・阿部文一朗(枝村匠馬・左クロス) 後半02分:清水 ・阿部文一朗(枝村匠馬・左CK) 後半10分:藤枝東・佐々木太朗(なし)
▼選手寸評 前田陽平 6.5 中学生だと思えば+1.0してもいい。後はキャッチの握力とコーチング。
杉山雄也 6.0 ポジショニングが曖昧な部分があるが、概ね相手左サイドの攻撃を遮断。 森安洋文 5.5 一度のミス以外は総じて安定していたのだが。ボランチでは前掛かり過ぎ。 高柳亮太 7.0 森安にない自然なポジショニングは経験の差か。渋く守備陣を繕い続ける。 高野美臣 6.0 強引な突破に危うさもあったが、質の良い位置取りとクリアで攻守に貢献。
山本真希 6.0 真希へのパスはやたら長すぎたのだが、相当速い選手と思われてるのか? 枝村匠馬 6.0 相手の攻撃を棒立ちで見ること多し。赤星との対決は、互いに消化不良。 大瀧義史 6.5 左足の魔法でゴール前に変化を与えた。守備も精力的で赤星を封じ切る。 岡村総一郎 6.5 真司と絡む技巧的かつ素早い攻撃で、昔の僚友・滝田をイジメ続けた。
鈴木真司 5.5 ファンタジーは堪能させてもらったが、シュート0はFWとしては不可。 阿部文一朗 5.5 ポストなどで強さと高さは使えたが、まだ速さを活かすパスが出てこない。
村越大三 6.0 高柳のカバーに後押しされ、積極的な競り合いを披露。よく声が出てる。
|