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| 2007年01月14日(日) ■ |
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| 伯爵と25のシチュエーション |
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サニーマート。 下りのエスカレーター。 僕と彼女は二人並んで乗っている。
前には家族連れがいた。 大柄な父親。髪の長い母親。 厚着をした娘。 父と娘がじゃれて、母親がそれを見ている。
隣の彼女に聞こえるぐらいの声で言う。 「僕は思うんだ」 「何を?」 「僕がいつか大人になった時には、休日に買い物に行くだけでも家族ででかけて、あんな風に家族で楽しめる。そういう大人になりたいと。すごく、そういう平凡にあこがれるんだ」 「そう……」 「こんなこと言うなんて、僕は変かな」 彼女は少し考えて 「それはプロポーズでもしているつもりかな?」 僕はまったく普通の声で 「いいや、違うよ」 ちょうどエスカレーターが下りきったので、僕たちは同時に歩き出した。
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