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海老日記
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2005年01月13日(木)
ミズ・ブロッサム


 物に名前をつけるという習慣は古来よりあるもので、小さな子がぬいぐるみにミギーとか慎吾とかつけたり刀匠が鍛え上げた刀に名を与えたり軍が原子爆弾に愛称をつけたりとか飼っている犬に人間名をつけたり大鋏にマインドレンデルなんてつけたりするのは、もう人間の本能なのだなーとか考える。
 擬人法というものを、どうして人間はするのだろう。周りにも人はいっぱいいるのに、それでも友達は本だけ、とか恋人はノートパソコンみたいな人もいっぱいいる。かくいう私もそんな感じ。
 でもたまに考える。なんで、命のない物に命のある者の反応を求めるのだろう。
 ……嘘、今思いついて言ってみただけ。




 結論。
 それはやっぱ寂しいからではないだろうか。他の人間と生きていればストレスを感じるものだ。価値観の違い、経験の違い、思想の違いがぶつかって、精神的な疲労を感じるのは常で、おそらくダメージ0で済むのは一人きりの時間。そういう時人間は自分の価値観を百パーセント肯定してくれる何かが欲しくなるのだと思う。
 自分の価値観に沿って、決して自分の期待を裏切らない、自分だけのおもちゃ。
 『名付ける』って行為はそういうことなのかな、なんて思ったり思わなかったり。




 閑話休題



 さて、何が言いたいかと言えば、私もたまに物に名前をつけてみることがある。あまつさえ、物の三人称に「彼女」なんて使ってみる。
 
 彼女の名はミズ・ブロッサム。重量六キログラム。高さ一メートル(本来の姿にすれば十メートルは超える)
 付き合いは一年。
 私が所属する高知大学吹奏楽団の備品。金管楽器のチューバ。
 金管楽器の最も低音をパートとする無骨な金属。

 けれど、その体は曲線で造られ、温まらないといい音を出さず、一日触れなかっただけで調子が悪くなるという人間のような奴。

 昔、チューバの表面に映った桜の花弁を見たときから、自分の使うチューバにはそんな名前をつけている(嘘。昨日思いついた)



 何が言いたいかと言えば、名前付け遊びはおもしろいと、まあそれだけ。