独り言
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2006年07月20日(木) |
テリーデイズというBandについて・その35 |
亜龍がステージから立ち去った直後スージー・キューは頭部から血を流しながらも立ち上がりマイクに向かって 「何でもない…何でもないのよ」 と言い何とかその場を取り繕おうと努めるがその行動が逆に観客の不安を煽る形となってしまい会場は一気に混乱しはじめ一部では正気を保てなくなってしまった女性客が泣き叫び気を失い運びだされるという騒動も起こっている
ジョージはというと余程打ち所が悪かったのか一向に起き上がる気配を見せず慌てた王盤社のマネージャーが呼んだ救急車によって病院に運ばれそのまま約8日間にも渡り意識不明の重体へと陥っている
とんでもない暴挙をしでかし姿を消した亜龍の事よりも意識の戻らないジョージの方に皆の関心は集められこの日から亜龍の存在はスージー・キューも含めた全てのテリーデイズに関わる人間の頭の中からもその姿を消す
そして3日後の4月8日 まだ意識の戻らないジョージの傍らで不安な心を抱えていたスージー・キューの元にある一人の男が訪ねてくる その事により亜龍の存在は皆の頭の中に強烈にして鮮明に戻ってくるのだがそこには余りにも悲しすぎる結末が用意されていた
「もう何だか普通じゃない事が起こり過ぎてて訳がわからなかったわ でもね…とんでもなく悲しい事が起きてしまったんだって事だけはわかったの あなた知ってる? 本当に悲しいと人って涙を流したりなんて出来ないのよ 私こう見えても結構泣き虫なんだけど…涙なんて一粒も流れやしなかった…あんなに悲しかったのに …でも私が一番悲しいと感じたのはあの事件の事よりも亜龍っていう人間の存在そのものに対してだった 亜龍っていう何処までも真直ぐに屈折していってしまった人間の存在自体が…只々不憫で仕方無かったの」 とスージー・キューはその時の心境を振り返っている
ジョージは 「目が覚めて一番最初にスージーさんに言われた事は『絶対に亜龍を嫌いにならないでね』って 『亜龍は生まれてきた時点で被害者だったんだから』って言われました そして僕が眠っている間に起きた事を聞いたんですけど…正直訳がわからなかったです どうしてそんな事になったのか理由が全然わかりませんでした …でもその後にアルの日記の事やアルの周辺で起きていた事実を知って 彼がそれまで歩んできた人生や僕等には決して見せなかった本当の素顔を知るうちにスージーさんが言った『亜龍は被害者』だっていう意味が何となくわかってきて …でも彼がした事は絶対に許されてはいけない行為だし他に選択肢は無かったのかと未だにやり切れない感情に襲われる事がありますよ」 と言っている
1991年4月8日
まだ意識の戻らないジョージの傍らで不安な心を抱えていたスージー・キューの元にある一人の男が訪ねてくる
その男はノックもせずに病室の扉を開けるとおもむろに「中央警察署に所属する刑事」だと名乗り訝しい表情を浮かべるスージー・キューに対し間髪入れず 「アーロン・ユウ・パークハイドの居場所を知らないか?」 と言ってきた
ジョージの事で精神的に疲れ切っていた彼女は特に何も考えずただ何となく 「どうして亜龍の居場所を知りたいの?」 と逆に問い掛けたのだがそんな彼女に返された言葉とは
「アーロン・ユウ・パークハイドをミツコ・パークハイド殺害の容疑者として指名手配中だからだ」
という余りにも衝撃的なものだった
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