独り言
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2006年07月19日(水) |
テリーデイズというBandについて・その34 |
そして3つ目にして最悪の暴挙として亜龍はとても理解しがたく絶対に許されない行動を取っている
それはアルバムの最終曲『希望方』の間奏部分で起こった
何を思ったのか亜龍は突然物凄い勢いでスージー・キューの元へと駆け寄り肩からベースを外すとそれをまるで刀の様に持ちかえ無防備な彼女の頭部めがけて一気に振り下ろした
そして彼女がよろめき地面に倒れるか倒れないかというほんの一瞬を使って今度はドラムセットへとよじ登り同じ様にジョージの頭部を激しく殴り付けたのだ
ドラムが消えた事により曲は完全に姿を失い会場全体を2つのアンプが発するひび割れたフィードバックが支配する
亜龍はドラムセットから降りると顔色一つ変えずステージ上をゆっくり歩きだしまずはじめにベースそして次にギターアンプの電源を落としその瞬間今度は会場全体を一変した静寂が包む
その場に居合わせた客の中にはこの亜龍の過激な行動をパフォーマンスの一環だと勘違いした者も少なくなかった様で一部からは軽はずみな亜龍コールが沸き上がるが一向に立ち上がってこないスージー・キューとジョージを見て自分達の過ちに気付きその歓声もすぐになりを潜める
今現在の状況が理解出来ずただ固唾を飲んで見守る事しか出来なくなってしまった観客等まるで眼中に無いといった表情をした亜龍はステージ中央に立ち客の上空で渦巻く真っ白い蒸気をただじっと眺めていた
緊迫した状況は更に静寂を深めその静けさといったら遥か遠くで泣き叫ぶ赤ん坊の声さえ容易に聞き取れるほどだったという
しばらくすると亜龍はゆっくりとマイクの前へと進みかすれる程に小さな声で 「悪魔が呼んでいる」 と呟きまた少しの間上空を見つめそしてそれを最後にステージを降りそのまま会場から姿を消している
このライブイベント『Stend』の模様は一部の不道徳なファンによって無断で撮影・製造された非公認ライブビデオ『Scramble』に収録されており若干画像は荒いもののその一部始終を克明に知る事が出来る
『Scramble』は事実上テリーデイズが解散してしまったこの日の約2ヵ月後に無許可で発売されているのだがその商品価値は説明する必要が無い程に高く非公認でありながら有名大型レコード店の店頭でも当たり前の様に販売されているのを当時私も幾度と無く目にした事がある
しかし王盤社は当然この非公認商品の販売を認めず各レコード店に販売中止を要請 聞き入れられない場合は手当たり次第に告訴するという常套手段に出た為事実上『Scramble』はこの世から抹消された事になっている
ちなみにこの『Scramble』を製造した人物は未だに特定出来ていないがパッケージにはスタジオでベースでは無くギターを爪弾く亜龍の写真が使用されている事から極めてテリーデイズに近しい人間の行いだと考えられる
しかしこの人物はテリーデイズというバンドにさほど興味が無かった様でライブの1曲目で演奏されたアルバム未収録曲『Fly』をろくに調べもせず適当に『#1/テリーデイズ』とバンド名をそのまま当てはめ表記するという過ちを犯してしまった その為今日でもファンの間で『Fly』は『テリーデイズ』という間違ったタイトルで認識されている
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