独り言
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2006年07月18日(火) |
テリーデイズというBandについて・その33 |
1991年4月1日
余りにも過密な計画だったので一部報道で発売延期もささやかれはしたが予定通りこの日めでたく『Stend』は全国一斉発売された
しかしレコード店の商品棚にこの『Stend』が陳列される事はほとんど無かったという
アルバム『Stend』はスージー・キューの思惑を見事に反映させる結果をあらわし発売前の購入予約の段階でそのほとんどを売り切ってしまっておりレコード店には今後の入荷予定や購入予約に関する問い合わせが殺到したという
こういった事態を受けて初めて王盤社はテリーデイズの商品価値を認め『Stend』の大量再プレスを決定する運びへと至った
音源の売れ行きや再プレスの決定については勿論直ぐ様テリーデイズ本人達にも伝えられたがスージー・キューもジョージもその事より前日何も言わずオーウェンから姿を消した亜龍の事が気掛かりで喜ぶ所では無かったという
「亜龍が何も言わないで消えるのはいつもの事だけど…あの時は明らかに様子が違ってたの 彼があんなに取り乱した表情を見せたのはあの時だけじゃない? それを見て凄く嫌な予感がしたわ 漠然とだけど…嫌な予感がした 何でかはわからないけど…もう二度と彼に会えないんじゃないかと思って不安で仕方無かったの」 とスージー・キューはその時の心境を語っている
この彼女の予感はある意味的中し亜龍はあの後から4月5日のライブまで一度も2人の前に姿を見せずそしてライブ当日約5日振りにあらわれた彼の様相はというとかつての変質を大きく上回る程に強大な負のイメージを引き連れた本来亜龍が持つ愛らしさ等微塵も感じさせない変わり果てたものだったという
1991年4月5日
この日は朝から小雨が降り続きライブ中止の提案も出されたが開始の6時間以上も前から会場にはすでに多くの若者が詰め掛けており何より変質した亜龍がその場に来ているという事実がライブを開催せざるを得ない状況を作り出していたとスージー・キューは語っている
「彼は何も言わなかった またいつかみたいに完全に心に鍵をかけてしまっていたの …でも彼は来た 何でそんな状態なのに彼がライブ会場に姿をあらわしたのか全然理解出来なかったけど…客も相当集まってたし…今更『中止します』だなんて言えやしなかったわ」
午後19:00 ステージ上にあらわれたテリーデイズを約2万人もの歓声が迎え入れた オーディエンススペースの上空は降り続ける雨に打たれた客の体から立ち上る蒸気によって白く渦巻きこの世のものとは思えない程に幻想的な雰囲気を創り上げていたという
このテリーデイズ最大にして事実上最後となったライブイベント『Stend』 そのステージ上で変質した亜龍は誰も予想だにしなかった3つの暴挙をしでかす
当初ライブはアルバム『Stend』を曲順通りに演奏すると決められていたが亜龍は1曲目にあの封印していた『Fly』を演奏する様2人に強要したのだ
この事についてジョージはこう語っている 「アルが僕の所へ来て『Fly』をやれってまるで怒ってるみたいに言ったんです スージーさんは反対しましたし僕もずっと演ってない曲だったんで反対だったんですけどアルは全く聞く耳を持ちませんでした」
こうして演奏された『Fly』は序盤ぎこちなくたどたどしいものとなっているが1番のコーラス部分が終わる頃には3人の息も合いはじめ最終的にはこの日のベスト・テイクに挙げてもおかしくない程の輝きを放っている
そして2つ目の暴挙として亜龍は6曲目の演奏が終わった直後デタラメなベースラインを弾きはじめそれに合わせて何語とも識別のつかない言葉を用い独りで歌を歌った スージー・キュー曰くその姿は「路上で歌を歌ってた頃の亜龍そのもの』だった様で戸惑う2人を気にも止めず約4分半にも渡り彼はこのパフォーマンスを展開している
そして3つ目にして最悪の暴挙として亜龍はとても理解しがたく絶対に許されない行動を取っている
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