独り言
i| p| f
2006年07月05日(水) |
テリーデイズというBandについて・その27 |
その日テリーデイズのライブ見たさに中華大会館へと足を運んだ若者の数は確認が取れているだけでも2000人を超えておりこの状況に慌てた総会運営委員は取り合えず詰め込めるだけ詰め込もうと順次誘導を始めた
しかしそれに気付いた最後列の若者が明らかに自分達が入場出来ない事を察知し強引に人を押し退け入場を試みようとした為開場前から現場は騒然とした雰囲気に包まれ最終的には警官隊が導入される程の騒ぎへと発展している
当初16時からスタートされる予定だったテリーデイズのライブであったがこの状況を一刻も早く収拾したかったケビンは 「今すぐライブを開始してくれ」 と彼等に願い出た
しかしあいにくそこに亜龍は居らずほどなくして総会開始の時間を迎えてしまい入場を許され初めて体感するロックのライブを前に浮き足立つ者と入場を阻まれ閉ざされた入り口付近で警官隊と衝突する者とが混在する何とも厄介な状況の中大学教授や政治家達が壇上に上がり有り難い話をするという前代稀に見る滑稽な演説会が展開される事となる ちなみに何とも皮肉な話だがその客席にリバティー・ポイントの正会員の姿はほとんど無かったという
総会開始から約2時間後亜龍は頭に上海ガニの爪をかたどった赤い帽子を被って楽屋にあらわれよほど観光が楽しかったのか変質以前の彼を思わせる程に軽快な口調で上海の歴史について話し始めたという
亜龍到着の知らせを受けたケビンは直ぐ様楽屋へと飛んでいき一刻も早いライブの開始を迫ったがこの申し出を亜龍はあっさり却下したそうだ
理由は 「まだ時間になってないから」 というとてもシンプルなものだったという
この時の事をスージー・キューはこう話してくれた 「亜龍はポケットからしわくちゃになったタイムスケジュールをを取り出して『まだ1時間も前じゃんか』って言ったの そしてね…そっからが面白いんだけど彼ったら『16時からって告知してんのに1時間も早く始めちまったら…仮に俺等のライブだけを目当てに時間ギリギリに来た人がいたら…ダメじゃんかよ』って言うのよ 例え彼が出演者専用の裏口から会場入りしてたとしても間違いなく外の騒ぎは目にしてるはずなの だけど彼の中でその騒ぎと自分達のライブをうまく結び付ける事が出来なかったんでしょうね」
必死に今の状況を説明しようとするケビンの事等全く眼中に無いといった素振りを見せた亜龍は上海ガニの帽子を買った事によって使い果たしてしまったのかスージー・キューに金を貸す様せびり受け取った金を持ってまた上海の街へと消えていった
そしてライブ開始10分前になり再び楽屋へと姿を現した亜龍の手にはよほど気に入ったのか頭に被ったものと色違いの青い上海ガニの帽子が握られており 「何処を探しても緑が売ってないんだけれども…僕はどうしたらいいですかね?」 と深刻な表情で何故かケビンに相談していたという
|