独り言
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2006年06月25日(日) |
テリーデイズというBandについて・その22 |
王孔明はこう話す
「俺の中ではもうある程度ビジョンも出来上がってたんだ どうやって奴等を売り出すかって事も具体的に練り上げられてたし それでいざ行動に移そうってなった時に…親であるサンレコードの承諾を取らなきゃならないんだけど …クソ下らねぇ理由であっさり却下されちまったんだよ」
そのクソ下らない理由とは…スージー・キューに関するものだった
これまで再三に渡りテリーデイズの活動を陰ながら支えてきたスネークストリートの主である蛇孔という組織 この組織は北京近郊に住む人間なら知らない者はいないという程に有名なものでその中枢人物であったスージー・キューの存在は数多くの業界人は元よりサンレコードの首脳陣にも当然認識されていた
蛇孔の行っている稼業やそれにまつわる印象の悪さに対する懸念はサンレコード首脳陣の中で 「自社のイメージを著しく失墜させるに充分な可能性を持ったリスク以外の何物でもない」 という意志になりその意志は最終的に 「テリーデイズとの契約は許可出来ない」 という結論を導き出す事となった
しかし個人的にはテリーデイズの音楽性を買っていた王孔明はそんな理由で彼等を跳ね除ける事等出来ず仕方無く 「日本語詞では商品として成立しない」 という嘘の理由を作り泣く泣く彼等との契約を白紙に戻したのだ
多くのアーティストから一日に何本もデモ音源が送り付けられるレコード会社側からアーティストへ再び音源が送り返される等という面倒な事は一般的に考えて有り得ないのだがこれは王孔明のテリーデイズに対する淡い愛情と申し訳なさの現われだったのだろうと考えられる
そんなサンレコードの真意等知るはずも無いスージー・キューはこの(実際には嘘であった)拒絶理由に納得出来ず四方八方手を尽くして奔走してみるが流石の蛇孔の影響力もサンレコードの中枢部分までは届かず彼女はもうそれ以上どうする事も出来なくなってしまっていた
そして失意の底に暮れ半ばヤケになった彼女は自分の知らない所で仇となっていた蛇孔の力をここでまたしても利用しある一つの暴挙を起こす
1990年11月
先代から続く蛇孔の中枢家系という事もあり財力には相当の余裕があったスージー・キューは蛇孔の若い衆約10名を引き連れ大型電気店へと赴きそこで最も性能が良いと思われる日本製のオーディオコンポを全員に買い与えた それと同時に店頭に並んでいるカセットテープを全て買い占め 「テリーデイズの音源を可能なだけ複製し街中の若者にばらまけ」 と指示したしたのである
この行動に関してスージー・キューはまたしても例の使命感について言及しておりそれは彼女曰く 「分刻みで増幅していく」 程に強力だった様で商品となり得るはずだった音源をタダでばらまいた事やそれにかかった費用や労力等はその使命感に追われる苦しみから逃れられるという事に比べると 「東南アジアでババァのストリッパーを仕入れるよりもずっと安い買い物」 だったという事である
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