2002年01月12日(土)
望みは何だ!? 楽しいお茶の時間?それともお仕事のお手伝い? それともそれとも…
いつもの風景。午後3時。きっかりに時計を見て指差す。
「お茶の時間だぞ、プラチナ!」
休憩を強請るその声は少し怒った様な、楽しみだと言う様な。
「この書類、あと少しで目を通し終わるから…」
待ってくれ、という前にその書類を取り上げられてしまう。
「ダメ!休憩!!休め!これ、王様の命令!!」
唇を尖らせて言う様はまるで子供。いや、子供なのだが…自分も同時に。 短く嘆息し、『命令』を実行する。
休憩。
「サフィ、遅いね〜…」
いつも嬉々としてこの可愛らしい奈落王に茶を淹れにくる参謀が中々来ないものだから奈落王自身から自然とそう言う言葉が出て来た。 その言葉ははっきり言って聴いているこちらとしてはかなり面白くない。 これは独占欲。
「…プラチナもお茶淹れるの上手だよねぇ…」
やっとお鉢が回ってきた。…サフィルスの後だと言うのがかなり気にいらないが。
「プラチナ、淹れてよ!早くね。王様の命令♪」
どうやら『命令』をするのが気にいったらしい。またもやその単語を使ってきた奈落王に苦笑を向ける。
「わかった」
短く答える、が。
「ぶー!違うだろー、ちゃんとした返事!」
非難の声を浴びてしまった。
「承知しました」
全く、と思いながらも訂正をする。そして手早くお茶の用意。 ちらりと視線を奈落王の方に落とすととても楽しそうな表情でお茶の完成を待っているのが見えた。 彼の笑顔が見れるのなら『命令』されて茶を淹れるのも悪くは無い。 ただ、何度も言うがサフィルスの後に回されたのが気に入らない。
「ホラ」
間もなくして、お茶は完成した。
「わぁvありがと♪」
嬉々としてそれを受け取って一口飲む。
「おいしーvv」
幸せそうな笑顔を浮かべて感想を漏らす。それを見たらすぐに先程からの暗い感情も消えうせてしまうと言うものだ。 だから自然にプラチナの表情も緩む。
「当たり前だ。兄上に淹れる茶には特に気を使っているからな」
それを聴いてアレクはとたんに不機嫌な表情を浮かべる。アレクの変化にプラチナが気付いた。
「兄上?」 「俺以外にも誰かにお茶、淹れてやってるの?」
見つめてきた瞳はとても不安そうなのが見てとれる。けれど何故そうなったのかまでは判らない。
「…いや…」 「でも、今俺には特別だって言った」
成る程。ようやくプラチナは理解することが出来た。 つまりこの兄は嫉妬してくれていたのだ。兄以外の誰かに茶を淹れる自分に。
「自分の飲む分も淹れるだろう?」
それを聴いたアレクが、あ。と声をあげた。
「言っただろう?兄上に淹れるお茶は『特別』だと…」
そしてすかさず包み込むようにして抱きしめてやる。
「…『特別』じゃヤダ…」
小さな言葉が返ってくる。
「では、何が望みだ?」
両手でアレクの顔を包み込んでやると少し屈んで目線を同じにしてじっと見つめた。…何一つ見逃すまいとでも言うように。
「『唯一』がいい。お前には俺だけ。お茶を淹れるのも、『好き』って言ってくれるのも…」
見上げてきたアレクの顔は、いつもの元気な彼からは想像出来ない追い詰められたような表情をしている。
「それは命令か?」
質問。答えはNO。横に首を振っているから。
「…お願い、だから…」 「判った」
返答は間を入れずに出された。考えるまでもない。 もう、心の中に確立されたものだったのだから。
「お前だけだ…俺が茶を淹れるのも、この胸を締めつけるのも…」
独占欲。自分だけではなかった。 そんなものとはおよそ無縁だと思っていた彼も一緒だった。
「兄上も…俺だけでいてくれ。望みはなんでも叶えてみせるから…」 「…うん」
その愛くるしい笑顔で命令されれば必ず叶えてあげたくなるから。
お前は愛の権力者。
□□後書き□□
はい、やっと書けました。河原とむさんから戴きましたキリリクの『相手(アレク)に振り回される二人(プラチナ)プラアレ(またはその逆)』です。 リクされたときにすぐにタイトル浮かびました(笑)ハニーって響きいいよね(うっとり) でも、お昼はこんなカンジに振り回されてるプラチナさんですが、夜は逆にアレクを振り回してるんですよ!?(もういい、ダマレ) ちなみに、ココまでたくさんの小説書いてなんですが 私はプラチナが王様になったバージョンの方が好きです。(はかりにかけたら微妙に、ね) EDは(笑)セレスとキスしたら怒る兄上とか、「俺といると幸せ?」とか訊いてくる兄上とか(死) 地位的にはアレクが王様の方がスキですv 前のジャンルの某中国歴史マンガもそうだったしね!!(しつこい)
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