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◇◇サイ・セイ◇◇
りえ



 流産で感じたことなどを、ぽつりと。

小吉が1才半を過ぎたころから
ずっと続いていた懸案事項。



次の子どもをどうするか?



ゆうさんは、はじめから小吉に兄弟を作ることを希望していて
わたしは、本音をいえば面倒だと思っていた。



自分の年齢のことや、通信で学んでいる学校のこと、
その先にあってほしい就職の夢。



30も数年すぎると、ひとつひとつ選び取っていくのがとても難しい。



それでも。
積極的に子作りしたわけではないのに
わたしは妊娠した。



妊娠すると不思議なもので
それまでの迷いが一気に消えて、わたしの心はすぐ“母”になった。
数ヶ月後に起こるであろう色々なシーンを想像したり
便器に顔を向けて吐きながら、お腹の中にいる命に助けを求めたりした。



いったいいつ、その命は成長をやめてしまったのだろう。
確かに大きくなって、その姿はハッキリ見えるのに
わたしは、その命が鼓動を打つのを ついに一度も見なかった。



医師が「心拍が見えない」と診断を下すとき
それが覆ることは、ほぼ100%ないのだという。
手術までに5日の猶予をもらって帰宅し、その話を彼にして
そのまま彼の実家にも話してもらった。



感傷的になることは、極力避けるようにした。
誰を責めても仕方がないから。



胎児は生きていない。
それでもつわりは続くのだ。
肉体の馬鹿正直さに、ちょっと笑ってしまう。


2005年05月20日(金)
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