■■■
■■
■社
その日、私はいつも以上にぼんやりしていたから 多分君のとても良い仕草を見逃してしまった。 空が白んでもそればかりが気になって 一向に睡魔は訪れなかった。
だから、 君が休学してしまったことも 何処となく落ち込んでいたことも つい先週聞いたばかりで、 喉元の小骨は 未だに嚥下もされず取り除かれることもなく残留している。
ウチの裏庭から 竹薮の生い茂った空き地を抜けると 小さな社があるのよ。 何を奉っているのか私は全く知らないけれど それでも裸足で走ってお祈りしたんだ。
風は温くてべちゃべちゃと心地悪い。 それは君の蟠りに似ているようで 私は居た堪れなくって
何度も何度も祈ったのよ。
でも君にはもう二度と会えなかった。
| |