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■約束破り
横目でちらりと盗み見る世界は 暗黙とかいう訳の判らない強迫観念が蔓延っていて それはそれはとても温くて心地良さそうだ。
夜の闇は案外と明るくなってしまって 迫る朝への期待とか 繰り返す惰性の緩やかさとかが 何だかまるで滑稽になってしまう。
僕はいつでも簡単に揺らぐから 繋ぎとめるのが好きなあの子には やっぱり遣り難いのだろうけれど つまらない行程をひたすら反復することが 幸せになるコツだって信じているらしい。 ならばこっそり便乗しよう。
だから僕は その幸せがどんなものなのか ちゃんと見届けるまで もう馬鹿なことはしないって約束するよ。
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■翻弄
小さな音のはじっこにある 案外と大きな損傷 気付かぬままに閉じ込めてしまっていた 神様がこっそりした悪戯に わたし達は簡単に翻弄されてしまう
世界の片隅で 神の名の元に 君は待っている それがどんなに危うくて すぐに揺らぐ決意でも
待っていてね
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■大丈夫
うん大丈夫 いや大丈夫 もう大丈夫 まだ大丈夫
この先哀しい思いをしても 多分 きっと 大丈夫だよ。
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■終焉
終わり方ってさ、大事だよね。 ほら、そんな諺もあるじゃない。 うん、そうそう。
僕はいつでも終わりばかり気になって 疎かに物事のスタートを切る。 だから実力以下のチカラしか発揮出来ないのか それとも所詮それが実力なのか。
君はいつでも始まりばかり気になって 最後の最後に失敗する。 だから実力以下のチカラしか発揮出来ないのか それとも所詮その程度の人なのか。
でも僕は、それが面白い。 分析しちゃうと何とも簡単なんだけど いざ挑むと何とも簡単じゃない。
だから君は いつも最後に失敗するんでしょう? だから僕は いつも最後を夢想するんでしょう?
退廃的だ。
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■あなたのもの
時の流れる事の何と恐ろしい事。 物体は擦り減っていく。美しく醜く。 あなたの創ったこの世界 いつか全て消える。 人間は虚しい。
それを。あの人は。 あんなにも簡単に言ってしまった。
あなたの闇が見えないように しっかり蓋をしなくては わたし達は魅了されてしまう。
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■上手
緩い坂道のような堕落
物足りないほどの昂揚
あなたを好きだと言う事は
いつもそんな絶望がある
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■乙女心となんとやら
秋の青い空だ。
コレといった理由はなく 睡眠という安息を 放棄してしまった今日に限って 必要以上に晴天だったりするから 全く目が痛くなるほど眩しい訳で。
声は遠く。 真意は何処やら。 「本当」なんて優しさを 鵜呑みにして。
第三者が関わるコトで 事態を収束出来るのを憶えると 「そういう2人」になってしまいそうだから いつまでも知らん振りしてた。
知らん振りしていたかった。 認めたくなかったけど 僕が気付いたのが遅かっただけ。
あの人は判ってて なるべく「ステキな人」のまま 僕に接していてくれたのかも。
受け止める側次第か。
だからコロコロ変わってしまうのだ。
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■落し物
切ないような虚しいような
何も失くしていないはずなのに ぽっかりと何かが抜けているような 穴が開いているような
気付かぬうちに 何か落してしまったのだろうか 何か忘れてしまったのだろうか
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■世界
誰かが言ってた。 「世界はわたしが廻してる」
今更だけど 余りにも的を得過ぎていて わたしは愕然とする。
ああ、そうか。 そうだったよな。
世界はいつも此処だけにあって、 世界はいつも何処にもなかった。
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■鍵
いいんだ。
僕は生きているから。
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■愛
君の声を夢想する
好きだという一言すら 伝えられない 余りにも孤高過ぎて
時空を越えて 現実と幻想を超えて
多くを望まないと言いながら 君がわたしだけに言う特別な言葉を 聞きたがっている
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■切なさ
枕につけた埋もれた耳側から ちょろちょろと小川の様な水流が聞える
わたしは少し安心して 昔に思いを馳せる
手段の少なかった世の中で 人間に生まれた切なさは 距離でも情でもなく 時間だと気付いた時に
わたしと その燃えるような空白の間に 恋人との再会に似た 喜びも感じた
風が吹くような懐かしさ 土が匂うような哀しさ 水音のような穏やかさ 炎のような激しさ
遠く過ぎ去った時間が それらの切なさを生んでいる
刹那とは 切なさからきた言葉だろうか
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■向上
出来るかい?
言葉を理解出来ても 言葉の意味を理解出来る事なんて 稀にしかないのかも。
判っていて
いつもキミはボクを試すんでしょう?
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■信じている
流れる鐘が君にも聞こえている それは耳を塞ぎたくなるほど静寂に過ぎる時の音
君はこっそり抜け出して 僕に会いに来る
信じている 僕の中の君は変わらない 信じている 君の中の僕は揺るぎない
砂利に埋もれる 小さな石の構造さえ知らないけれど
その存在意義を 見えている部分が全て真実と 信じている
君は何度も耳を塞ぐ
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■夜
以前はあんなに怖かった朝焼けが 今では愛しい
命の光が弱くなっていくような不安
簡単でいいから声をかけてね 妙な孤独感を味わうのは 誰かが傍にいるせいだとやっと気が付いた
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■小さなノート
部屋の掃除をしていたら 乱雑な字の詰まったノートを見つけた。
過去の自分は 別の人。
『死ぬ事も出来ないのに 生きる事の方が辛いなんてあんまりだ。』
すみの方に小さい文字。
いつだったか 死んでしまいたいと思った事。 その余りに刹那な気持ちを 上手にあしらう事も出来なかった頃。
本気だった訳じゃなかったのかもしれない。
だけど他人に言われると とても悲しい言葉。
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■忘れないで。
すごいね、と言うけれど 僕はいつでも君の言葉が鮮明。
その閃きの向こうに 緩やかな冒涜。
君は少し優し過ぎる。 貶める人が居る事も憶えた方がいいのに。
僕は君のその 鮮明な冒涜に 戦慄しながら惹かれるという 自虐的性癖の持ち主なんだ。
それでも君は 僕を受け入れると言うのか。
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■発表会
理不尽な物言い
だけど正誤の区別さえ出来ない
その個人世界の披露を
わざわざする必要が何処にあるというのか
悪い事なら忘れてしまえばいい
友人や恋人 などと言う枠の中で
のうのうとあぐらをかく弱き人に
同じように個人世界を生きる僕が
何を言えるのか
それでも
傷付けた事 傷付いた事
僕は忘れない
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■凶器
敵と味方
てのひらに余る凶器
あなたを傷付けるのは 多分とても簡単だけど
それよりも上手に わたしが傷付いてしまう
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■ひなまつり
小さい頃 何時間も雛壇の前にいて その遠いような近いような目を眺めてた
学業の意味 ちょっとだけ判ってきた高校生活は いつも窓の外に見える 桜の木が全てで
誰しもが 学生生活が一番愉しかったよ 何て言うけれど
この苦しさや心地悪さから 開放される事ばかり思う
家では もう出す事さえ何年も躊躇った雛飾りを 母がこっそりと出していた
遠いような近い目が 僕の気持ちを見透かすようだった
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■静寂の夜
独りで居る事を意識する時は 逆に必ず誰かを意識していて
何故か恋しい誰かが居ない時の方が 独りを充分満喫出来たり 雪の降る窓の外を眺めても その孤独感に耐えられたりするのに
会いたいと思うこと
好きとか愛してるとか その大まかな言葉の意味を理解出来ないまま がむしゃらに走るような気持ち
学生の頃のような
もうそんなに若くないはずなのに あの頃のような情熱を抱えて
まだ良く判らない その大まかな言葉の意味を 独りかみしめる 音のない季節
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■環境
ひとつ 思い出。
景色は変わる。 あの頃寒空が白むまで 何をするでもなく居座っていた 桜の生い茂る小さい公園は、
大きな駐車場を兼ねて 広々と小奇麗な 見通しのいい冷たい広場になっている。
若さとパワー。
必ずしも比例する訳ではないけれど 今、無意味だと思うあの時間を 大切だと思えてた頃のチカラは
やはり今のわたしにはない。
それでも、 その無意味と思える時間を繰り返して 何となく大人に近付いている。
大人、 というその定義を まだ判らないままで。
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