蛍桜

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ばーや

好きな人の教室に近い廊下で
きゃーきゃー叫ぶ女の子たちが
すっっっごく嫌いだった

同じように虫を
そこまで叫ばなくていいだろうっていうくらい
きゃーきゃー言いながら恐がる女の子たちも
同じくらい嫌い
恐いなら自分でころせ
叫んでてもどうにもならんがね

虫は悪くない!
叫ぶ口実に使うな!カワイソス

あんたがか弱い女の子ってことは
他のことで証明してくれまったく

あ、そういえばハチとか虫とかが
近くでブンブン来ても反応しない私を見て
なんにも興味がないんだねって言われたことがあるが
断じて違う
無駄に逃げ回って付いてこられるよりは
一つの場所に立ち止まってしっかりハチを見極めて
刺されないようにするのがいいじゃまいか
そうおもふ
ハチを刺激しちゃいかんよ

ただ個人的に爬虫類は私も
きゃーきゃー叫ぶから人のこと言えない
なるべく冷静を装ってるつもりなんだけど
さすがに猫がトカゲつれてきて
ねっころがってる私の横におろして
私の下にトカゲが入ろうとしたときは
冷静に起き上がりつつも
冷静に服脱いだからね(服の中に入ったと思った)
それくらい爬虫類はだめぽ(ぇ)


++

どうしたらいいのかわかんない
って言葉は
ほんとただのぼやきで

実際は選択肢なんてそこにいくつも並んでる
どこを選んだらいいのか分からないから
わざとぼかすんだね

どうしたらいいのかわかんない
なるようになればいい
ただとりあえず私は
幸せにしてもらうことも
幸せにしてあげることも
この先、一生できないだろう

でもそれでも
幸せを願うなら
私が進むべき選択肢は
少しだけ減って
2つになった

++

日本語っていろんな細かい部分を
微妙に言い表すことが出来るから
日本に占いとかが流行ってるんだなーと感じた
ほんと占いってバカっぽいと思うの

「あなたは弱い部分がある」って言われたら
誰だってそうでしょ、ってことであって

血液型だって
日本みたいに4種類がある程度混ざっていることなんて少ないのに
それぞれに性格を貼り付けて

ほんとバカだなぁって

だけど当たってるって思ってしまうあたり
日本人の性を感じるね
なんか嫌だな
そういう占いにあてはまる程度の人間だっていうことが



外国人並のサバサバになりたい

ねちねちしなくていいように
細かいことばかり気にして疲れないように
どうにかなるさーで
やっていけたらいいのに、ほんと
ネガティブではなくポジティブに


++


そこまで子供だなんて思ってなかった
もっと他人の痛みを分かる人だと思った
もっとデリカシーのある人だと思った
もう少し周囲を見渡せる余裕がある人だと思った
でも違った

多分
今まで私の中で作り上げてきたあなたは
確かにそこに居て
ほんとそれは美化していたとか
幻想を作っていたとか
そういうわけじゃなくて
嫌な部分もいい部分も全部まとめてそこに居て
だけど
実際目の当たりにしたら
受け止めれなかったの

ごめんね


++

愛してるって常に口に出来る女性は
可愛いね

愛してるって簡単に言える人は
本当の本当に愛してるとき
なんて言葉で伝えるのだろう

私の感情を伝える最終手段が「愛してる」だとしたら
あの女性の最終手段の言葉はなんなのだろう
なんで私はあの女性になれないのだろう

++

「素直なれない」
から
ただの「我侭」に変わる瞬間



結局は見えているものなんてなかったのかもね
見えているふりをしていただけで
自分なりにカタチを作り上げただけだったんだろうね


++

本気でやろうと思えば
やれることなんてたくさん転がってるんだよね
本当に嫌ならそれを改善させられる方法が
そこらへんに転がってるのに
どうしてそういうのに気づこうとしないんだろう
つらいよーつらいよー
そうやって言えば済む問題でもなかろうに

私には出来ないよって言うだけで
ちゃんと考えたり調べたりすれば
現実的に考えればどうにかなるはずなのに
行動する気もないくせに
ああしたいこうしたいって願望ばかり述べて
努力を嫌ってそういう「夢」を描きたいなら
他でやればいいのに
何をわざわざ現実で唄を歌うの?

そんなに甘い世界だっけ

私自身がなるべく人前で悩みや愚痴を言おうとしないから
軽々と口に出来る人がうらやましいだけだとは思う
というかもう少し我慢しろよ、ってね
言ってもいいけど私を巻き込むな、と
イライラするけど多分うらやましいんだろう
だけど私だってここで口にしているわけで
自分ではあいつらと一緒にしないで、って思ってはいるけど
多分一緒で、だけど一緒になりたくないからここに書いているわけで
思われたくないから、現実ではなるべく口にしないようにしているわけで
だから余計現実とこことは繋げたくなくて
でも勝手に繋がっていたりして

まあ、だから何が言いたいのって聞かれると
私は我慢してるつもりなんだよね、これでも
だから本音を言うと私より我慢してないやつが自分で何かを変えようとしてないくせに
そうやって夢物語だけ語っているのがうっとおしいのね
人それぞれだって分かってるんだよ
私だってそういう部分があると思うしね
だから鏡の中の自分にいらついてるのかもしれないけど

愚痴を他人に言えるのってすごいことだと思うよ
辛い時に辛いと、人の前で言えるのはかっこいいと思う
だけどね、そういう時にいくつかの解決案があったとして
それを述べても、えー私には無理ーって
ただ辛いって泣きたいだけのときもあると思うけど
結局は自分が大好きで大好きで
じゃあそうすればいいじゃない?っていったらいやだ、って言って
じゃあああすればいいじゃない?っていったら無理だよ、って言って
じゃあそのままれいれば?って言ったらうんって言う
そういう流れがすごく嫌いで
その「うん」がとても当て付けに聞こえて
自分から言い出したくせに、ってなる
結局は幸せなんだよね
幸せだけど幸せに埋もれるのが怖くて不幸を呼び出すんだよ
不幸自慢をしたいだけなんだよ
不幸な自分が大好きなんだよ

恋人が居て、うまくいってないとしても
その人は
遊んでポイされた人の気持ちなんて想像するしか出来なくて
想像するしか出来ないってことは、ほんと恵まれたことなんだよね

死にたくて、でも死ぬ勇気のない人は
首を絞められたことのある人の気持ちなんて
あの手の感触なんて
想像するしか出来ないんだよね
自分の数cm横に刺さっている包丁が
今自分に投げられたものなんだって理解することが
どんな恐ろしい気持ちになるか
想像するしか出来ないんだよね

両親がケンカばかりしていて仲が良くなくても
親が離婚していたりして揃っていない人の気持ちなんて
想像するしか出来ないんだよね

もう仕事が嫌で辞めたいなんて言っていても
仕事に就けなくてホームレスになった人の気持ちなんて
想像するしか出来ないんだよね

自分を不幸にしたいくせに
身近な人と不幸を競うくせに
世の中で自分が一番不幸になるはずないって分かってるんだよね

ああ、だからつまり
私より辛いふりをするなと
私は私なりに頑張ってるんだ認めろと
そういうことなんだろうね




今生きたくても生きられない人が居て
死んでいっているんだよと言われても
そんな遠い人たちのためだけに生きようとは思えないよ


++

自分の中で溜め込んで
うがー!ってなって
相手のことすごい嫌いになって
ああいってやろう
こうこらしめてやろう
わからせてやろう
そう思うんだけど
いざはなしてみると言えなくて
それどころか少し癒される

自分の中で作ったその人の像と
私はいつも戦っているけど
その人本人とは
戦ったことなんてない

きっと鏡の中の自分を見ているようなんだ
もうちょっと
ちゃんと見てみたいな
嫌なところもあるだろうし
いらつくところもあるだろうけど
でもそれがその人の全てじゃないはず



2007年05月30日(水)

今からあなたの元へ走るよ
みんな、何かしら我慢してるんだ
何かしら悩んでいるんだ

そのことに気づけないなんて
ほんと、バカだった


++

結局私は誰でもいいんだ
私を心から愛してくれて
私を最後まで離さないと言ってくれる人であれば
誰でもよかったんだ
愛情の前に情が湧いて
それで離れなくなって
私はそのほうがいい
愛情なんかを求められるよりも断然いい

だけど
私を心から愛してくれて
どんなに暴れても一生離さないと言ってくれる人は
この世の中に一人もいなくて

私はこうやって傍に居てくれるなら
誰でもいいと言っていても
外から見ている人にとっては
私が、私じゃなくてもいいんだ
私が私で居る意味なんてないんだ

「誰でもいい誰か」を求めている私は
「私じゃなくてもいい」んだ

代わりがきく立場にしかなれないのは
自業自得なんだ

++

私の知らないところで
私のよく知っていたはずの人が
笑ってるって
不思議な気分だね

私がいないところでも
生きていける人たちを見ると
悲しいのね

当たり前だけど
分かってはいるけど

私が居なくても
この世界は
みんなは
何も変わらないのね
それでも
繋がってたってことは
変わるんだね
なんて思うよ

++

辛くなったら
言葉を吐きたくなったら
誰かに頼れるような
素直な女になりたくて

だけどそうなれるようになる前に
頼りたいと思える誰かさえ居なくなったから
気持ちを共感しあえる誰かがいるってことが
うらやましくてしょうがない


++


今からあなたの元へ走るよ
足がちぎれ落ちるのも忘れるよ
五体が届かなくとも
この脈打つ心臓を見てくれ
あなたがいるから鼓動を刻み
あなたがいるから紅く染まるよ
あなたがいるからぼくは生きられる

あなたがいなけりゃ
ぼくは・・・死んでるよ


【心臓】
2007年05月28日(月)

だから消えてくれなんて

何が怖いと言うのだろう
生きている実感さえないのに
何に、そんなに怯えているのだろうね

いっそそこに病名を与えてしまえば
前よりはずっと楽になるのに
普通の子、じゃなくて
病気の子、として
頑張っていけるのに

誰かにいらつくたびに
一つ、深呼吸する
何故いらつくのか?
何が気に食わないのか?
そうやって突き詰めていったら
結局は自分のエゴで終わるから
誰にも八つ当たりしちゃいけない
と、思ってしまう

なんとなく
2007年05月27日(日)

新しい未来を創造して

ああ、こういう時
誰に頼ればいいんだろう、って
誰に弱音はけばいいんだろう、って
考えるだけ考えて
結局誰にも頼れないし誰にも弱音をはけないという
結論を導きだすだけで

人と関わっている現実より
私は文章のほうが心が現れやすい、から

いくら現実で笑っていても
文章だけでは笑えない
おかしいなあ

こんなこと繰り返してたら
また誰かの後姿を見なきゃいけないだろうなって
想像できるのに
誰かを大切にすること、出来なくて
自己嫌悪
誰でもいいから大切にしたいってわけじゃないけど
大切にしてくれてる人に対しては
いつまでも感謝していたい
したい、のに
できないのはなんでだろう

運命というものがあるのなら
この先
私には奇跡しか待ち受けてないんじゃないだろうかってくらい
奇跡のカケラも見なかった
小さな奇跡も
本当の奇跡も

誰かが私を好いてくれるということが小さな奇跡だとしたら
この先
私には奇跡なんて一度も待ち受けてないんだろうな

2007年05月24日(木)

疑うより信じたいのに現実は
自分の気持ちに素直になって生きていけるほど
この世界は上手く成り立ってはいないのね
何かに縛られて
働きゃいけない、逃げ出しちゃいけない、そうやって
自分に言い聞かせて
悩んで悩んでも
結局は同じ一日が来るだけでエンドレス
どうしようもないんだと思う
何かを得たいなら
何かを諦めるように出来ているんだこの世の中は

どちらも選べないまま
だらだらと歩いてきた私には
何かを諦めてまで得たいと思えるほどの大切なものがなければ
何かを諦めるほどの決断力も、覚悟もない






大切な人の大切な人が私じゃなくなって
大切な人が大切な人じゃなくなって
そうやって、居なくなって
一緒に居た日々に後悔を張りつけるなら
あの言葉も
あの行動も
あの決意も
全てあの時は本物だったというならば
あの時じゃない今にはもう
全部嘘だっていうことなのかな

2007年05月23日(水)

願おう
どうしてどうして、って疑問ばかり並べて
私だって誰かを好きになりたい
私だって大切なものがほしいって
願うことしかしなくなって

でも、どうやったらその願いが叶うのかも分からなくて
神頼みなわけでもないけど
空に願いを馳せるしか思いつかなくて

天まで届く梯子があったなら
迷わず昇って
星に手が届くところまで行って
手を伸ばして星をつかんで願いをかけるだろう
なんていうのは、おとぎのお話で
かわいくないから私は
梯子なんてあるわけないし
あったとしても最後まで昇るまでに力つきるだろうし
たとえ星に手が届くところまでいけても
窒息して死ぬだろうし
たとえ窒息して死ななくても
地球から見える星なんてでっかい惑星なんだから手に出来るわけないし
もし出来たとしても、願いを叶えてくれるわけじゃない、から
やっぱりそういう乙女ちっくな思考はただの気休めだと思う
だからただ笑うんだよね


+++

例えばあのとき、嘘でもいいから
私も好きだよ、と言えば
今でも私の隣であの人は笑っていたのかな
例えばあのとき、嘘でもいいから
いつまでも待ってるよ、と言えば
あの人は間に受けてまた来年のチャンスまで頑張ってくれたのかな
もし、そんな嘘をついても
いつかは二人うまくいかなくなって
結局は今と同じになってしまっていたのかな
誰かの傍に居たいだとか好きなんだとか
そういう感情をうまく自分で把握できていないから
そういう言葉を言うことは本当に嫌いで
本気で言える言葉じゃないのに言いたくなくて
だけど好きだと言ってくれ、と頼まれたら
自分の中に何かひっかかるものがあっても
嘘になるかもしれない、と分かっていても
言わなきゃいけないのかな

いつまでたってもたった一人の人に好きだよとも言ってあげられずに
でも寂しいから傍にいて、なんて言葉言えるわけもなく呑み込んで
好きでもないのに傍に居てほしいなんて自分勝手で
相手は宙に吊られた感覚になるから
だったら好きだと言ってやれと言われても
無理 私には無理
好きだけど そういう好きにはなれない
私はずっと続く永遠があるなんて信じられない
だから私自身、期待させて裏切って悲しむ誰かや
いつか夢が覚めたときに奈落に落ちる自分自身を
見たくないから、永遠というものに憧れなくなった

彼氏彼女になったら
いつ終わりがくるんだろう?
彼氏彼女という肩書きに
どれほどの意味があるんだろう?
彼氏彼女じゃないから
一緒に居たらだめなの?
なんかそういうの、よくわかんない

「彼氏だから」「彼女だから」で
できるようになることがあるのなら
そうなってまでしたいことなんて、私にはない
そんな肩書きなんてなくてもやれることがあるから
私は彼氏彼女という関係をうらやましくは思わない
ただただそういう肩書きがあってもなくても
傍に誰かが居る、っていう幸せが羨ましい

昔から、クラスメイトとかに彼氏のことを話すのが苦手だった
どう尋ねられても私は相思相愛ではなかったから
私は誰も好き、に、なれなかったから
自信を持って、あの人が好きだ、と
あの人とずっと一緒に居たい、と
純粋にいえる日なんてなかったから

彼氏に嫉妬したり、約束を破られて悲しくなったりはするけど
それが好きってことなんだよって誰かが言うならそうなのかもしれないけど
少なくとも私は、「好き」だなんて言葉にするほど思ったことはなかったから

「どうよ、最近。うまくいってる?」と言われれば
「さーどうなんやろうね」と言う
「いいね、彼氏優しくて」と言われれば
「そうかな、自己満足でやってるだけでしょ」と言う
一度も誰かの前で、彼氏を褒めたことがないと思う
誰かに思われたくなかったのだ
私が恋をしている、ということを
そしてあまり多くを知ってほしくなかったのだ
別れがいつか来ることを分かっていたから
別れたときに、あんなにらぶらぶだったのに、とか
分かったふうな口を聞いてほしくないから

好きだけど、好きだけど、でも心から溢れ出しそうなほど
そんな気持ちが暴れているわけではない
つい口を出て、好き、と言ってしまうような
そんな本気の「好き」がほしいな、って願うけど叶うことはない

誰にも私が幸せだなんて思ってほしくない
いつも何かを考えて悩んでいるような私を
誰かの中に埋め込んでいてほしい
それだけで私は満足だ
そうやって誰も踏み込んでこない世界で
私はさびしいさびしいと言いながら、花を咲かすから
いつでも私が「助けて」と泣いているように思っていてほしい
そんな他力本願な願いなのに
私が精一杯頑張っているように見えるから
誰も踏み込まない世界で花を咲かせ、散るのを見守るわ

人のいいところを見ようと努力をしているけれど
誰かに他の誰かのことを聞かれたら
私はきっといいところなんて伝えないだろう
「自分がかわいそうだって思っているような子だよ、ほんわかしてていい子だけど」
どこまでが本気なのか、自分でも、分からない

ただ誰かに、嫌な部分を黙ってまで
いいところを押すほどお人よしでもない

常に私が、全てを否定しているのだと
思ってくれればそれは嬉しい
実際はどうなのかは、知らない、けど
常に私が、誰も認めていないのだと
感じてくれればそれでいい

関わる価値なんてない人間なのだ、と


+++

拍手>>
いつもありがとうございます。BBSはレンタルサーバーだったので、何故か急に消されてしまいましたが、拍手機能があってよかったです。前回のも合わせて、ちゃんと読ませていただいています。いつかHPのリニュと同時にBBSも新しくつけたいと思っているので、その時はまた書き込んでくれると嬉しいです。
2007年05月22日(火)

バスロマンス

あと一ヶ月で4年だったんだなぁって思うと
長かったのか短かったのかは分からないけど
何かしらこういう年数で決め付けていたな、と思った
3年も4年も付き合えば
ちゃんとした絆が結べるかな、と思うのもバカだった
そんなものは何年培っても脆いんだ


+++

すぐバレる嘘をついて
嘘をついた理由を聞いたら
言葉を濁しながら誤魔化して
そこまでして私を遠ざけたいなら
もう何も言わない

+++

あなたを乗せてやってくる
夜行バスピンク色に見えました
あなたを連れて走っていく
夜行バス灰色に見えました

早すぎる3日間
あなたを見送った帰り道
何度も後ろ振り返り
無言で歩いた

あなたを好きでいてよかったな
あなたを待っていてよかったな
新しいスタートラインから今
走り出すよ 二人だけを乗せて

あなたを好きでいてよかったな
あなたを信じてよかったな
ウェディングベルが鳴り響く今
走り出すよ 二人だけを乗せて

あなたを乗せてやってくる
夜行バスピンク色に見えました
あなたを連れて走っていく
夜行バス灰色に見えました

離れて過ごした三年間
あなたが来る日
子供みたいに 指折り数えた

あなたを好きでいてよかったな
あなたを待っていてよかったな
新しいスタートラインから今
走りだすよ 二人だけを乗せて

あなたを好きでいてよかったな
あなたと出会えてよかったな
ウェディングベルが鳴り響く今
走りだすよ 二人だけを乗せて

もう一人では行かないでね
真っ白なバスに乗って 永遠を誓おう
隣どうし座って 虹の橋渡ろう

あなたを幸せにするからね
真っ白なバスに乗って 永遠を誓おう
隣どうし座って この愛を祝おう
2007年05月21日(月)

いちにちまえ

愛がない、だとか
寂しい人間だから、だとか
不器用だから、だとか
そういう抽象的なこと?
なんていうか逃げ場的なそういう言葉たち?
を簡単に好んで言っている人を
客観的に見た小説を読んだ
いや実際はそれだけじゃないけど
作中でそういうのがあっただけで

うん、まぁそれで思ったのが
おもいっきり私もそのパターンの人間にはまるわけだが
そういう「言葉」にしたところで
そうやって嘆いたところで
どうなるわけでもなく
なんか違うなーと感じた

その作品の中の女性は言う
「私たちはみんな孤独なの。寂しいの。だから
ネットで家族ごっこをするの。」と
それを聞いた男性が言う
「相変わらずそういうの好きだな、だが俺を一緒にするな」と
こういう場合、私は女性の言い分が分かって男性の言い分は
多分理解できないであろう、と思ったのに
意外なほど男性の言い分がなんか分かった気がする
ちゃんとした言葉では説明できないけど
まあ言うなれば
孤独だ、寂しいのだ、と言えるのは自分を客観的に見ているだけであって
まあそれだけの余裕もあるわけで
実際自分にそう言い聞かせているような感じで
逃げ道を作っているような
言葉で片付けようとしているような
なんともよくわからないもやもやが伝わってきた
とにかく思うのは
そうやって分かって、思っているからそうしているんだ、という
言い訳だけは綺麗に建てられるんだな、という感じで
んーたとえば、いじめられてひきこもっている人に
「あなたは寂しいのよね、孤独だったのよね、でも大丈夫私がいるから」
というような若干熱い感じの言葉と通じる感じ
何かのドラマやら映画やらの見過ぎだというような、そんな感じ
自分に酔っている、まさにそんな感じ
それで救われるひきこもりもいれば
救われないやつらもいるわけだけど
なんにせよ、胸を張っていえる言葉じゃない
「私は寂しいです、孤独です」と
だけどそれを言えるようになっているのがこの世の中で
そういうことによって同情を得ることも多少の目的であって
そういう言葉を言えば、誰もこれ以上は深入りしないとか
自分の気持ちを多少は分かってくれるかもしれないとか
まぁよくもわからないすごく他力本願な言葉に聞こえるわけだ
「私は親に愛されていない」
愛されてないと、思い込んでいるだけだろ、と
思うような人がたくさん居る
一度そんなことばかり言っている人を見て
その思い込んでいるだけだろ、という言葉をそのまんま投げかけたことがある
その相手は一瞬固まり「そうだよ」と答えた
それなのに何かを否定することによって
自分は救われているのだろうね
期待することよりも否定することのほうが容易いもんね
「誰も私なんて好きになってくれるわけない」と言うならば
好きになってもらえるだけの努力をしろと
「自分の全部がコンプレックスで、自分が嫌い」と言うならば
好きになる努力をしろと
そういう矛盾だらけなのに
誰もつっこめない自虐的な、卑屈な、ネガティブなそういう言葉を
少し嫌だな、と感じることもあるのが事実
だけどそれを好んで使っているのは
他の誰でもない私だったりして

まぁこの小説を読んで少し客観的に考えることが出来て
周りから見たらこうなんだな、って分かって
だからって私は変わらないんだとは思うけど
ああそっか、と何か納得できるものがあったわけだ
書いてて思ったが、そういうのは嘆きとしても受け止めれるわけだが
自分でそういう言葉を自分自身に捧げることによって
自己陶酔
私は可愛そうだわ
どうしたらいいのかわからないわ
的なことに繋げようとしているような気がしてならない
そしてそれが自分自身への救いになっているわけでもあるけれど


うん、まぁよかった
私はまだ頭が固くなっているわけじゃない
まだ吸い込めることがたくさんあるはずだ
もっともっと視野を広げたいな



2007年05月20日(日)

海の底へ沈んでしまって
駅に来たらいろんなこと思い出す
どんな気持ちで誰に会いに行ったとか
どんな気持ちで誰かを待ったとか
一緒にこの海眺めたとか
いまごろペアリングはどこだろうとか

今の私には想像するしか出来ない
あの人が居なくなって私は悲しいだろうとか
そういうたぐいの感情を
自分の感情を想像するしか出来ない

自分のことなら分かるはずなのにね

想像するしか出来ないの
いつまでもそばに居てくれるって言ってた人が
しょうがなく
ほんとは約束を守りたかったのに
守れなくなっていなくなった人のことを
今でも求めているのか
諦めているのか
信じていた絆がなくなって悲しいのか分からなくて
相手の気持ちを理解しようとして
自分の気持ちがどっかいっちゃって
悲しいのかなぁ私
でもさそれでみんな幸せになったなら
私は嬉しいし
だから悲しくないのかなぁって
想像しか出来なくて

自分の感情を制御してるうちに
どれが本当か分からなくなったよ

悲しいって言われりゃ悲しいよと答えるし
諦めてるんだって言われりゃそうだよ

とりあえず言えるのはさ
何があったって私は変わらないってことだよね
時間が止まるわけでもなくて
私も死ぬわけじゃない
なんも変わらない毎日があるんだよね
だから特に
泣き崩れる必要なんてないんだよね

ないんだよ

2007年05月19日(土)

必要な語彙が見当たらない
「おとぎ」


君と僕はただの友達で
それ以上でも以下でもなかった
だからそんな関係がずっと続くんだと思ってたよ

どうして「フリ」までして
いい子でいなくちゃいけないの
でも
またいつもの様にただ過ぎていく日々に
さよならを言うのが怖かったよ

何千マイルも向こうで
僕らをここまで導いてくれる光を
ただ探していたよ

僕の為に君がいて
君の為に僕がいた
君は愛の他に何が欲しかったの

君はいつだって知ってた
僕らはこの世に産まれてから
ただ何かを与えられて
でもそこには
新しいモノなんて一つもないってこと

でも僕は幸せだよ
君もそうだといいな
君に元気がない日は僕も悲しいよ

「昔々あるところに…」から始まるおとぎ話
僕らは今
まさにそこで生きてるんだ

ところがどっこい
君は僕に失せろと言った
「お願いだから二度と目の前に現れないでくれる?」
冗談であって欲しかったけど
君は僕に一度だって嘘を付いたことはなかったね

僕らはそんなことを
何度も何度も乗り越えた

でも君が名前を呼んでくれるだけで
僕は特別な何かを感じるんだ
つまりはそれが愛ってやつなんだね

誰が、何を、いつしたかなんてどうでもいいよ
本当に大事なのは今なんだから

何千個もの理由を君は探したね
でも本当のことを言うとね
誰かを愛するのに
理由なんか一つでいいって
僕は信じてるんだ

僕の為に君がいて
君の為に僕がいた
君は愛の他に何が欲しかったの

君はいつだって知ってた
僕らはこの世に産まれてから
ただ何かを与えられて
でもそこには
新しいモノなんて一つもないってこと

でも僕は幸せだよ
君もそうだといいな
君に元気がない日は僕も悲しいよ

「昔々あるところに…」から始まるおとぎ話
僕らは今
まさにそこで生きてるんだ

理由なんて一つでいいんだよ
信じてみてもいいんだよ

思い出に浸る暇もないってくらいの思い出作りたい
そしていつか読み返そう
昔々あるところに…

僕の為に君がいて
君の為に僕がいた
君は愛の他に何が欲しかったの

君はいつだって知ってた
僕らはこの世に産まれてから
ただ何かを与えられて
でもそこには
新しいモノなんて一つもないってこと

でも僕は幸せだよ
君もそうだといいな
君に元気がない日は僕も悲しいよ

「昔々あるところに…」から始まるおとぎ話
僕らは今
まさにそこで生きてるんだ


さあ始めようか
「昔々あるところに…」の一行から

僕らの物語を

--------------------------------------
「ノットビコーズ」


僕が君を愛したから、君は僕を愛してくれた
僕が一番だから、ってわけじゃなくて

僕が望んだから、君は僕といてくれた
君が望んだから、ってわけじゃなくて

僕があまりにかわいそうだから、君は僕にキスをした
僕がいないと寂しい、ってわけじゃなくて

君は僕を愛して、僕と居て、僕にキスしてくれた
でも・・・

僕にとって君はまさに君で
君にとって僕は皆のうちの一人で
君を僕に振り向かせる方法なんてあったのかな?


僕は君にキスをした、僕は君を抱きしめた
だってただ僕がそうしたかったから

僕は君のために泣いて、君のおかげで笑ったんだ
だってただ君は美しかったから

僕が感じた悲しみの原因は君なんだ
一体君は僕と僕の人間関係、僕の曲がりくねった教育に何を与えてくれたんだろう?
今僕は君に夢中なんだ
もう十分なんだよ

僕にとって君はまさに君で
君にとって僕は皆のうちの一人で
さよならは君のためだったんだけど、僕にとってはホントに辛いさよならだったんだ

-------------------------------------

「傘拍子」

この歌は、雨の中だけで歌えたらいいのに
だって、この歌はまた僕を泣かすんだもん
この歌が痛みの歌だなんて思ってもみなかったんだ
でも、最後まで歌ってみせるよ

君の心に触れるような歌を作れたらいいのに
けど、それには僕の言葉は全然足りないよね
でも、僕は君に何か感じてほしかったの
それがたとえちくっとした痛みでも
君が嫌って言っても、少しでも僕は君とつながってたいんだ

だって、この歌は全部君のためなの
だって、この歌は全部君のためなの

僕の名前が「あなた」だったら良かったのに
そしたら、君が名前を呼ぶたんびに
僕たちはまるで恋人同士みたいじゃん?うふふ
頭ん中修理したほうがいいって、僕もそう思ってる
言うの怖いけど、誰でもない君こそが、僕をうさぎさんにしたんだよ?

それが唯一の、僕がなれるものなの
それが唯一の、僕が生きる人生なんだ

君の靴ひもになれたらなぁ
そしたら、僕が君が転ばないように、怪我なんてさせないように守るのに
君の前でしか息が出来なかったらいいのに
そうしたら僕は、君のために、僕の人生を捧げるの

君が好きな音楽を奏でれたらなぁ
君の人生の一部になれたらなぁ
君が大好きになる詞を書けたらなぁ
君の「愛」の象徴になれたらなぁ

この歌は雨の中だけで歌えたらいいのに
だって、この歌はまた僕を泣かすんだもん
この歌が無駄なものだなんて、思ってもみなかったんだ

でも、僕がんばった
これが、僕のぜんぶなの
2007年05月17日(木)

未来ばかり考えていても

もし自分に子供が生まれたら
思い出の場所を作ってあげたい、と思ったのは
カフェで子供連れの家族を見たから

その3歳くらいの子供はこのカフェの雰囲気を
大人になってもどこかしら覚えているのかな、と思うと
そういう場所があるってことも悪くない、と思えた
もしこの子が大人になって、恋人が出来たときに
このカフェがまだあったなら
その恋人と思い出話を語りながらこのカフェでデート、なんて
いうのもいいな、って
なんにせよ、親との思い出の場所があるっていうのがいいな

私は、幼かった頃のお父さんとの思い出も
お母さんとの思い出も
家の外では、あまりない

お父さんがカフェのモーニングが好きだったということも
そのカフェに幾度か連れて行かれていたということも
母の口から聞いて初めて知ったわけで何も覚えてはいない
ただ一つだけ覚えているのは
お父さんと一緒に外食した時に食べたスクランブルエッグが
とてもおいしくてお母さんに作って、とせがんだことだけだ

幼稚園の頃に(もしくはそれ以前かもしれないけど)
ディズニーランドに行ったと聞かされてもなんら覚えてない
ビデオを撮るのが好きな父が残したビデオテープを見て
自分の記憶だと錯覚することはあってもしっかりとは覚えていない
大人になったら忘れてしまうと分かっていながら
ディズニーランドに連れて行きたかった両親は
私に、なにを求めていたのだろう
その場の笑顔がほしかったのかな

夜中に眠れなくて、母親が寝ている横で、家族旅行のビデオを見ていたことがあった
別に父親が恋しくなったとか
そういう深い意味はなかったけど
途中で母親が起きて
「なんでそんなもの見ているの?」と言われたときは
自分でもなんでだろう、って思った
他に見るものがなかったから、なんとなく、って答えるのは容易だったけど
そういうわけじゃないってことは痛いほど分かっていた

昔から、わけのわからない使命感があった
一言も文句を言わず、足を踏ん張って生きている母を見ていたから
いつかは、母を支えられるようにならなきゃ、と漠然と考えていた
「私は結婚なんて一生しないから」と母や姉に言ったのは
その時は恋愛なんて愚かなものをしたくなかったからっていうのもあるし
結婚するような状況に、自分が陥るわけないと信じて疑わなかったし
なにより
私はずっと母のもとで居たいと思っていたから
そんな私を、母はどんな瞳で見つめていたのかな

今では、結婚という言葉に現実味があって
結婚なんてしない、と言い切れる自信はないけれど
結婚しても私は家に残るんだ、と決めている
まぁ、支えてあげたい、じゃなくて
家事とか料理とかしてくれるから、っていう依存のほうがでかい気もするけど
いつかは私もそういう依存とかなくなればいいな



2007年05月16日(水)

まもってばっか

文章を、綴りたくなった
でも今の私の気持ちを表す言葉なんて
そこらへんに転がっているわけではない
今の私、じゃなくても
いつの私でも、表す適切な言葉なんてない

何かを訴えたくなった
伝えたくなった
だけどその術を私は知らない

辛い苦しい悲しい死んでしまいたい

そういう言葉はあまりにも軽く見えてきた
そんな言葉じゃ言い表せられない

別に楽しくないわけじゃない
楽しい
嬉しい
ちゃんと感情はあるし

だけどなんでこんなにも
こんなにも・・・なんだろう

全部を失っても歩けるほど
人間ってもんは強くない
だけど
全部を失っても死んでしまうほど
人間ってもんは弱いわけでもない

めちゃめちゃ強いか
めちゃめちゃ弱いか
どっちかになってしまえたら楽なのに
中途半端に宙ぶらりん
上下左右なんもなし
手に触れるものはなんもなし
冷たい空気
それを噛みしめるべきか否か

見失うものはたくさんある
それを拾い集めて自分のもとに連れてかえってくる術を知らない
どうしても失いたくないものというものがない
あるのかもしれないけど
近すぎてわからない
そんなうぬぼれの中に生きていて
大切なものさえ分からずに
何を抱いて歩いているのか、と

突然全てがなくなってしまうかもしれない
そうなったとき私はどうやって生きていけるんだろう
わからないなぁ今は恵まれてるからさ、きっと







前に進むことを拒むより
それが愚かでも
過ちでもいいから
一度進んでみようかと思った

たとえそこで後悔しても
どんな風に状況が変化しても
そうなったことを素直に受け入れられるようになろう

ずっと同じところをくるくる回ることはもう疲れた
景色だって見飽きたよ
居心地がいいかもしれない
安心が出来るかもしれない
だけどその中でも辛いことだってあるんだし
とりあえず
また違う道へ逸れてみようかな、って思うよ

愚かでも
過ちでも
なんでもいいから

まだ若いんだから
躓いて転んでもいいんだから
過ちを起こしてもいいんだから
出来るうちにやらなきゃ損だと
自分に言い聞かせて

この先全部が全部楽しいわけでもなきゃ
引き返したくなるときも来るだろうけど

もしそうなったら
別に引き返せばいいと思う
いくらでもやり直せばいいと思う
何かを始めることに大した理由なんてなくていいと思う

この先うまくいかないかもしれない、とか
本当に頑張れるんだろうか、とか
そういうのはなしにしよう
とりあえずいってみよう
後先考えるのも大事だけど
後先考えなくてもいい今を大事にしたい

2007年05月14日(月)

唯一の柱だって言ったのに

思い返せば
あれは偶然なんかじゃなかった

2回目が終わった後に気づいた
気づきたくなかったけど気づいた

見慣れない地で泣いたことを頭が覚えてる
独り電気のつかないベットの上で泣いたことを
特に意味もなかったけど
1日目にしてホームシックだったとか?笑

とにかく
都会の夜景はきれいだった
慣れない化粧をして
新しい出会い求めたふりして
結局そんなもんいらなかった
ただ、胸が締め付けられただけだ

今度は外国の田舎の景色を見て
何を感じるか、だ


---------------------------------------


ワンタイム、
おおきなおおきなお屋敷がありました
まっしろい壁とまっしろい柱と殺風景な部屋
ぽつりとある長い赤い絨毯の先には
金で出来た椅子が二つ
しかし、誰もいない
かつて誰かが住んでいたわけでもなく
王室だったわけでもない
ただきれいに建てられきれいに置かれているだけのお屋敷
ただそこにあるだけ

空から見下ろせば円形につくられているこの屋敷
誰が、なんのためにつくったのかはワカラナイ
この屋敷の周辺は、茂った森しかない
誰かが訪れるわけでもなく
9本の柱に支えられた空虚感漂う屋敷はただそこに存在した

ワンデイ、
どこからともなく、キリンがその屋敷へと足を踏み込んでいた
キリンの長い足が一歩踏み込むと
足元でネズミがキリンを見上げながら口が裂けるように叫んだ

本気かい?やめておきなよ!

キリンは足元で叫ぶネズミが見えないふりをしながら
屋敷の中にたどり着いた
この屋敷の柱は9本
円形の周辺に等間隔に8本と、真ん中にとてつもなく太い一本
その全てが真っ白だった
キリンはまず、一番北にある柱へと向かった

ここからがスタートだ

キリンはゲームを始める合図として、よだれをたらした

ガリ、ガリ、

キリンは、真っ白い柱を食べ始めた
大きな口に、似つかない頑丈な歯を従えて
ガリ、ガリ、
なんども噛んだ
味わっている様子もなく、あっという間に噛み砕く

ねえ、やめなって、やめなよ

尚もネズミはキリンの足元でちょこまかと動く

うるさい、おれは、歯を手に入れたんだ
この頑丈な歯を
いいだろ、この屋敷なんて
誰もいないんだから
ただ白いだけの寂しい家さ

そういい終わると同時に、その柱を食べ終えたらしく
柱は、音を立てて崩れた

さ、次は南だ

そういって反対側の柱へと足を踏み出す
ネズミはまだ足元で叫んではいるが全く効果はない
キリンはそのまま南の柱をも食べ
次は東、その次は西、そして北東、南西、北西、南東、と食べ続けた

まだか、やっぱりこれが最後だな

キリンは真ん中の大きな柱を見上げながら言った
ネズミはもう、叫ぶ声さえ失って
がらがら鳴る喉を鳴らしているだけだった

やめなよ、やめなよ、それは最後の柱なんだよ
この屋敷は、いまやその柱しかないんだよ
やめなよ、やめなよ、、、

ネズミの言葉はキリンには伝わらない
キリンは大きな柱を前に、ごくり、とつばを飲んで
気合を入れた

この柱を食ってしまえば、この屋敷は崩れるだろう
今まで聳え立っていた意味なんてなかったのだから、いいだろう?
ああ、ぞくぞくする、ぞくぞくする、

少し身震いをしたあと、キリンはとうとう最後の柱を食べ始めた
ネズミが声にならない声で叫び続けても、届かなかった

やめて、やめて、支えを取らないで
やめて、やめて、その一本だけしか私には残されてないのに

急にどこからか甲高い声が聞こえた
ヒステリックに、その声は叫び続ける

やめて、やめて、その柱が私にとって
どれほど大切か分かっているでしょう?
私がここにいる意味がないといわれようと
私はその柱が必要なの

声の主は、悲鳴のように叫ぶ
さすがのキリンも、少しひるんだように返答した

おまえ、なんだ?
おまえ、なんだ?
この屋敷の主か?

ちがう、この屋敷そのものよ
だから、助けて、壊さないで、お願いだから、必要なの、、

だがな、この柱はいまやもうこんなに震えているぜ
必死に支えて、かわいそうなもんさ
もう限界なんじゃないのか?
この柱も、おまえを支えるのに嫌気がさしてるんだよきっと
いいじゃないか、食っちまうぜ
おまえのためにも、この柱のためにも、な

それっきり、甲高い声の主は何も言わなくなった
ただ泣き声だけが、屋敷の中を反響した

キリンはそれを気にせずに再び食べだした
他の柱に比べて、あまりにも太く、今まで数本を食べてきたキリンも
さすがに苦悩の表情になる
あと少しというところまで粘って
とうとうキリンは、最後まで食べることなくその場に倒れた
ネズミは、声を出さずに無事だった屋敷を想って喜んだ
しかし、その場に泣き声がやんでネズミに問いかける声が聞こえた

ネズミさん、この柱はあと少しで崩れてしまいます
今崩れなくても、近いうちに、きっと・・・
だから、ネズミさん
私はもういいんです
もういいから、その柱を最後まで食べてやってはくれませんか
その柱を楽にし、私も崩れる
それがきっと好ましいのです

ネズミは思いがけない言葉に、一瞬固まった
でもすぐに、大きく頷き、残りの僅かな部分を食べ始めた
キリンの歯よりは丈夫じゃないから時間はかかったが
キリンの歯に比べては鋭いから、うまく削っていた
そして、とうとう最後の一口になった

いいんだね?

はい

そうして、誰も訪れることのなかったまっしろな屋敷は
森の中で大きな音を立てて崩れた
それがネズミには、心の叫びに聞こえて仕方なかった
そして最後の最後に声の主は

ありがとう

と言って消え去った
ネズミは小さい体を活かし、崩れ落ちた瓦礫の中から顔を出し
森へと帰っていった
崩れた屋敷はいつしか、そのまま少しずつ風に運ばれて消えるだろう
ネズミはその空気を吸うたび
あれで幸せだったんだろう、と祈るだろう


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コロナ

何をそんなに焦ってんだい?
もっとゆっくり生きればいい
他人の歩幅は気にせずに
君らしく居ればいいさ

何をそんなに悩んでんだい?
もっと自信を持てばいい
眩しいと日影に隠れてちゃ誰も君を見つけられないだろう

無理矢理に答えなんて
一つには決められないよ
幾つもの選択肢の中から
正解を作り出すのはこれからの君次第

一人一人の僕たちが
望む未来は違くても
共に歩んでた道のりは
変わる事などなく
一人一人の僕たちが
望む未来は違うけど
いつもそう繋がっていくんだ

何をそんなに泣いてるんだい?
自分は何も変われてないって?
まだ朧気だけど夢がある
それはかなり大きな進歩だと思う
進むべき道の方向が
“分からない”そんな時は君が一番好きな歌を唄おう
後悔を一歩に変える 勇気の歌

一つ一つのメロディが 紡ぐ未来は違くても
笑顔のための涙なら
止める訳などなく
それでも辛い悲しみは
一人で抱え込まないで
時々はこの場所へ帰ろう

一人一人の僕たちが
望む未来は違くても
共に歩んでた道のりは
変わる事などなく
一人一人の僕たちが
望む未来は違うけど
いつもそう繋がっていこう

一人一人の僕たちは
いつもそう繋がっていこう

2007年05月10日(木)

もう昔話か

おとうさん、
おとうさんはどうして、おかあさんを幸せにしてあげなかったの?
おとうさん、
おとうさんはどうして、独りが平気なふりをしたの?

思い返せば知らないことはたくさんある

おとうさん、
おとうさんは、おかあさんがいなくても平気だったの?
おとうさん、
おかあさんが出て行ったあと、一回でも泣いた?後悔した?

おとうさんとおかあさんの絆が、
どれほど深かったのかは知らない
おとうさんとおかあさんの溝が、
どれほど深かったのかも知らないよ

でも、おとうさんとおかあさんは
最後まで気持ちがすれ違ったまま
もしくは
お互いの気持ちが通じ合わないまま
お別れしたんだね

おとうさん、
おとうさんは死ぬ前に、死ぬ瞬間に、誰を思った?
おとうさん、
おとうさんは私に、おかあさんのもとに戻ってほしくなかったのは
独占欲?意地?プライド?
おとうさん、
おとうさんは本当に、おかあさんが好きだったの?

二人が仲良くしている姿なんて
いくら思い出してもなかった
でもおとうさんが笑ってて
おかあさんが笑ってて
それぞれ一人ひとりが笑っている姿は思い描けるの

おとうさん、
おとうさんはおかあさんと結婚して
私が生まれて、幸せを感じた?
おとうさんは死ぬとき、幸せだな、って死ねた?

そんなはず、ないよね
二人が通じ合っていなくてもいいから
無理矢理でも仲直りしてよ、なんて言えないけど
でも、おとうさん、
おとうさんはおかあさんを選んだんだよね?
そして、おかあさんも、おとうさんを選んだんだよね?
それが、二人の答えだよね?

おとうさん、
おとうさんが死んだ後ね
おかあさん、怪しい人に「おとうさんは地獄で苦しんでいるから毎日経を読みなさい」
って言われて、毎日毎日仏壇の前でお経を読んでたんだよ
明らかに、だまされていそうなのに
おかあさんは、おとうさんのために読んでたんだよ
おとうさんのことが嫌いで
出て行ったわけじゃないんだよね?
今だっておとうさんのためにいろんなことしてるんだよ
そりゃおかあさんの自己満足かもしれないけど
でも、ねえ、おとうさん、
おかあさんは、おとうさんのこと忘れてないんだよ
愛した人として、残っているんだよ
おかあさんが新しい彼氏を作ったって
多分ね、いまだって、たまに思い出すと思うんだよ

おとうさん、
おかあさんとたくさんデートした?
ねぇ、二人にひと時でも幸せだと思えるときがあった?
私が生まれてきた意味、あった?
二人の血を引き継ぐ意味は、あった?


姉は二人いるのに
戸籍をとりにいけば、私は二女って書かれていたの
おとうさんにとって、私は二女だった?三女だった?
おとうさんは、おかあさんのことも
おかあさんがつれていた子供のことも愛せた?

ねぇおとうさん、
もしおとうさんがおかあさんを愛せていたのなら
私にも、誰かの愛し方を教えてほしかったよ
でもおとうさんの娘だもんね
きっと、うまくいかないに決まってる
不器用だもんね
おとうさん、
おかあさんが出て行った時、悲しかった?
私には悲しそうに見えなかったのは強がりだった?
おとうさん、
おとうさんが、ポーカーフェイスだったのかクールだったのか
それともやんちゃだったのか、覚えてないんだ
性格のひとつも、知らないの
でもね、おとうさんの笑顔が、かわいらしかったってことだけ
なんとなく、ほんとぼんやりと覚えているんだよ
ねぇ、おとうさん、
おかあさんはその笑顔に惚れたのかな?

おとうさん、
もし今おとうさんが生きていたら
私はうざい、とか、きもい、とか、言っていたのかな
そうだとしたら私は
おとうさんが死んでくれていてよかったと思うよ
私はおとうさんにそんなこといいたくないから
近くに居すぎて当たり前で傷つけられるなんて
そんなバカげた子にはなりたくないから
おとうさんも、おかあさんも、愛せる子になりたかった
休みの日はおとうさんやおかあさんと、出かけたかった




おかあさん、
おかあさんは今幸せですか?
おかあさんは、今、どれくらい無理をしているの?
毎日毎日仕事で、辛くないはずないのに
洗濯も、料理も、掃除も、なにもかも全部やってくれて
自分がやることが当たり前のように振舞ってくれて
私、自分が甘やかされていること、知ってるよ
もっと、家事の手伝いしなきゃいけないなって思うのに
おかあさんがあまりにも普通に振舞うから
当たり前なんだって思い込んでたよ

おかあさん、
おかあさんはうちら3姉妹の中で誰が一番好きですか?

やさぐれていた長女や
うそばっかりつく次女や
なんにもはなさない三女

おかあさん、
うちらが不器用なのは、おかあさんのせいじゃありません
だから責任を感じないで

私は長女のことはよく知らないよ
ただ私よりも重い過去を背負っていることはなんとなく知っているだけで
元ヤンだったかもしれないし
そうじゃなくても、やさぐれていたのかな、っていうイメージがあるだけで
怒ったら怖いよね
あの巻き舌は、怖い
長女と、父親が違うって聞かされたときは
ショックっていう言葉が似合わないくらい
ああそうなんだと思ったよ
別に関係ないよ
ねえちゃんは、ねえちゃんなんだもん

おかあさん、
白状すると、ねえちゃんのことは苦手です
11も離れていると何はなしたらいいのか、わからない
気を使ってしまう
でも、おかあさん、
ねえちゃんは、大切な妹だと、なんども言ってくれました
血が半分繋がっていないこと
私よりも知っているはずのねえちゃんが、そう言ってくれたんだよ

おかあさん、
おかあさんの娘はね
みんな思いやりがあると思うんだ
おかあさんに似て、優しさがあると思うんだ
カタチが違っても不器用でも
でもね
みんな、おかあさんの娘に生まれて
よかった、って思ってるんだよ

おかあさん、
体がどんどんいうことがきかなくなって
くるしいんじゃないのかな?
年齢を重ねてきて
少しずつ不安になってきてるんじゃないのかな?
いつか階段が上れなくなって
そのうち歩けなくなって
寝てすごすようになって

私、そんなおかあさん、見たくないんだよ
苦しすぎて、見てられないんだよ

でも、いつかはそうなるなら
私は、おかあさんのためにできることをしたいから
無理だけはしないでほしい

おかあさんが、ねえちゃんの結婚式で
泣きそうで、こらえていたこと知っていたよ
泣けばよかったのに
おかあさんの涙、見たかった

いつも、おかあさんを追い詰めてごめんなさい
学校いかないって我侭いって、ごめんなさい
高校に入るとき
ねえちゃんが中退したから
私が卒業するよって約束したこと
覚えていたよ
でもおかあさんが覚えているなんて思っていなくて
中退しようとして、ごめんなさい
あの約束を破ろうとして、ごめんなさい
おかあさんは私が思っている以上に
私のこと、みてくれていたんだよね

おかあさん、
なんだかんだで私は幸せです
おかあさんの娘に生まれて、幸せです
他の家に生まれたいとも思わない
他の家をうらやましく思うこともない

当たり前にあるこの場所が、好きです

おかあさんがいなくなることだけは考えたくない
でも現実として、近くにあると思うと

おかあさん、
こんな私で、ごめんなさい
おかあさん、
多分、マザコン並みにおかあさんのこと好きだよ

最近、固有名詞が出てこなくて、アレ、コレっていうようになって
口から言葉が潤滑に出てこなくなって
考え込む時間が増えて会話にならなかったりするけど
そういうとき
おかあさんが歳をとっているんだと実感して悲しいけど

おかあさん、
いままでよく頑張ったね
もうおかあさんだけが我慢しなくてもいいよ

頑張るからね
私、頑張るからね

おとうさんとおかあさんが産んだ命だから
きっと頑張れるでしょう?

きっと頑張れるんです


2007年05月08日(火)

あわれ人の子

独りじゃないことを知ったとき
独りになるのが怖いと思うのと同じように
どんな幸せが訪れても
その先の闇に埋もれていくしかないんだろう
我慢しなきゃいけないところは我慢していくけれど
いつまで我慢すればいいの?って
充分頑張ったじゃない、って思ってしまえば
そこが自分の限界だと決め付けて終えてしまうから
私の心は底なしだ、と
いつまででも我慢しよう、と思えば我慢できるし
視点を変えれば、詰め込み方を変えれば
もっと多くを自分の中に受け入れることが出来る、と思う
何事も否定するのは簡単だから
どんなに捻じ曲げてでも
私はそれらを受け入れることに努力したい

------------------------------------------

こんにちは

地面からモグラのように顔を出したその場に不似合いなイルカが
僕を見上げて言う
いや、実際は声が耳に聞こえたわけではなく
言葉じゃない言葉が、心に、響いた
イルカは、体中全てが干上がっているようで
水分はまるでなかった
イルカの周りの土は、みずみずしく湿っていて
とても対照的だった

どうしてそんなところにいるの?

僕は尋ねる
イルカのように、心へ響かせる方法を知らないから
強く心に願って、心に届けるふりをしながら
実際は、いつもどおり口に出して言葉にして尋ねていた

理由なんてあると思う?

イルカは尚も心に言葉を届ける
まぶたのないその瞳が少しずつ灰色に近づいているのが分かる

苦しくないの?

もう一度、心に届けようとしても無理で
諦めて、心で念じることをやめて口に出して尋ねた

苦しく見えるのならば、苦しいのかもしれない
でもそうは見えないのならば、そうではない

イルカは少し顔を傾けながら、高い音を漏らした
その姿は、明らかに苦しそうなのに
きっと彼はこれでいいと思っているんだ、と
感じ取ることが出来た

なにを求めているの?

どうしてそんなところにいるの?という質問がダメなら、と
少し考え、捻って、尋ねてみた

聞きたいかい?

イルカは少し、もったいぶった
僕は大げさに首を縦に振って見せた
イルカはそんな僕を見て、自慢げに口(この場合は心だろうか)を開いた

ボクには友達がいるのさ
そう、それこそいろんな友達が

イルカはそう言うと、一息置いた
次を促すように、僕は 友達って? と尋ねた

ボクはずっと海の中に居た
だけど、世界がこれだけじゃないことに気づいていたんだ
ボクはいろんなやつの心に、声を送ったんだ
でも、ボクのように心に返事を返せるやつなんて、そうそう居ないのさ
居たとしても、それはボクの仲間、イルカたちくらいさ
だから誰とも話せなかった
誰かがボクの声に気づいているかさえ分からなかった

イルカは少し伏せ見がち(のようにみえた)に言った
また一呼吸置いて話し始めた

でもある日、カモメと出会ったんだ
カモメはボクに、たくさんの伝言を伝えてくれたよ
キリン、アリ、彼岸花、ユメクイ、モグラ、コウノトリ、、
とにかくみんながボクに返事をくれたんだ
だからボクもまたみんなの心に返事をした
そしたら、一週間後くらいにカモメはまたやってきて僕に返事をくれる
そうやってボクたちは知り合い、意気投合したんだ

これでわかっただろ、というようにイルカは僕をしっかりと見据えた
それでも僕はさっぱりだった

つまり、会いにきたんだね?

イルカはまた高い音を喉から出して、肯定した

じゃあ、今ここにいるのは、何故?

聞き方を変えただけだが、結局は一番初めにきいた質問と同じだった
頭のいいイルカも、それはわかったようだが答える気になったようで
また僕の心に声を送り始めた

ボクは会いに来た
だけど、みんなはボクがイルカだって知らなかったんだ
みんなにとってボクは、強烈だったのさ
あんなに言葉では、意気投合しても
実際会えば、何かが変わるんだ
ボクを食べようとしたやつさえいたさ

少し悲しげに、イルカは鳴いた

だけどボクからしたら、みんなは友達だ
だから待っているんだ
またカモメがボクに何か言葉を運んできてくれるかもしれない
ここから居なくなったモグラさんも、アリさんも、帰ってくるかもしれない
ボクはイルカだ
だけどボクはボクなんだ
そのことを知ってほしかっただけなんだ
誰か一人でもいいから気づいてほしかった
ボクはただ、みんなに会いたかっただけなんだ

イルカの声は、どんどんと冷静さを欠いていた
きっと、自分に言い聞かせるようにしているに違いない、と想像することが出来た

ほんとうは

僕が何か言おうと、口を開いた時、また心に言葉が飛び込んできた

ほんとうは、分かっていたんだ
ボクはイルカだってことを
海の生き物であって、みんなと出会ってはいけなかったこと
違う世界の生き物だったということ
だけど言葉を交わしていくうちに思ってしまったんだ
世界は違っても、きっと何かつながれるはずだ、と

そんなはずないのにね、とイルカは小さく付け足して話を終えた
世の中、そんなにうまくいかないらしい
僕に分かったことはそれだけだった

君は、君なのにね

僕がそういうと、イルカはまた喉から高い音を出した
それがあまりにも高々に、力強く僕の心に響くものだから
別に悲しくもないのに、涙が出た
その音を最後に、イルカは完全に干からびて
僕の心に声が届くことはなかった
僕の瞳から零れる涙を一滴、イルカの上に落としては見ても
染み込みさえせず、土の上に落ち、吸い込まれるだけだった

僕がしばらくその様子を見ていると
カモメが、どこからともなく飛んできて
乾いて果ててしまったイルカの上に足を置き、とまった

イルカさんはどこだい?ここらへんだと思ったんだが

そこだよ
君のしたに、いるよ

なんと!
なんということだ
わたしは彼に、言葉を伝えることが出来なかった

なんていう言葉だったんだい?

それを部外者に言うことは禁じられているよ
ああでもイルカさんがこうなってしまっては
部外者もなにも、なくなるわけか
言葉
この言葉はね
モグラさんからだよ
実は―――――




海は急に、凪のように、静まった
僕の涙を頬に垂らしたイルカは
何事もなく、眠っているだけだった

何事も、なく





2007年05月06日(日)

手をつないで歩いた道は

私の文章にこれっぽっちのとりえもない
そんな文章で誰かを幸せにすることができたなら
それは、奇跡だ
だけど、そんなことはあるはずないと
はなっから決めてかかるのもむなしいから
少しだけ自分の中で期待をしてみる
「文章を書くことで、誰かのなにかが、いいほうに変わりますように」
だけど、それを裏切られることが怖いから予防線を張る
「私は自己満足のために文章を書いているだけだもん」
実際私は、自分のためだけにしか文章を書いていないんだから
誰かのために、なんて思うこと自体が間違っているのだ
偽善なのだ 偽物なのだ
それを理解しているからこそ、逆に強く願うのだ
何が本物かなんて、今の私には見分けられないけれど
今私がつづっている言葉たちが
私の指から奏でられたものたちだっていうことだけは本当だ
あのビルの屋上で、初めてみる景色を見た時
感動も、なにもなかったけれど
ただ思ったのは、ここには私はいないんだ、ということだけだった
誰かの中に私は存在しているだろうか
存在してなくてもいい、なんて強がりはいつでも言えるけど
それでもちっぽな自分を発見したとき
どうやって自分を大きくみせようか、って悪戦苦闘する
そして、大きくみせようとした自分がとった行動が
どれだけ陳腐で、どれだけ幼稚なものなのかと考えると
苦笑いしか浮かばなくなる
強がることって意外に簡単だ
誰にも頼らないようにすることっていうのも意外と簡単だ
私からしてみれば
誰かに素をさらけ出したり
すべてを預けて頼るということはとても難しいんだ
理屈を並べてみれば、それは過去に囚われているのだろうけれど
今、の私が囚われているのは何か別のものであって
その正体が見えない限り、それを打ち破ることは出来ないのだ



相変わらず愚かだと思う
1時間経つたびに返事は返ってこないと分かっていても
どこかで、まだ寝てるのかな、とか
気づいていないのかな、とかっていう期待を抱いて
自分の中では認めたくないのに
何度も携帯をチェックする自分が鬱陶しい
頭の中でいろんなシチュエーションを考えては
うまくいけばいいのにな、と思う
なのに夢の中ではいつも
その真逆のことが起こって項垂れる
昨日は、寝ることで逃げた
起きたらきっと何かが変わっているんだと
そう自分に言い聞かせて夢に堕ちた
でも夢の中の私は早く答えが知りたくて
最悪の場面に出くわしていた

何を求めればうまくいくのだろう
確かなものなんて何もないけれど
それでも縋れるものがあるならそれでよかったかもしれない
中途半端に浮かび上がっていて
足さえ地面についていなくて
でもそれでも
誰かが私を見守ってくれると言ってくれたなら
それで満足できたかもしれない
いつも何か言葉を求めていた
でも言葉で埋められると
今度は行動を求めた
ずっと私は欲張りだった
確か、完璧な、ものがほしかった
だから完璧主義者だと言われるのかな
おびえることばかりしていた
うずくまって何も見えないふりをしていた
そのほうが何かと都合がよかった
いつでも逃げた
過去のせい、親のせい、友達のせい、すべてそうして逃げた
最終的に突き詰めれば自分のせい
じゃあ自分さえも悪者にしてしまいましょう
自分を否定することで、強くなれた気がした
昔から頑張ってね、っていう言葉は好きじゃなかった
だけどそれ以外になんていえばいいのかいまだに分りかねている
昔から自分の位置を見失っていた
それは、どこにも立っていたくない理由を見つけては
すぐに宙に浮いてしまうからだと知った
自分で自分の首を絞めていたことは知っていた
それが本望だと知っていた
だけど、どこかで誰かが助けてくれることを求めていた
そんな幻想をいつまでも見ていた
自分ではどうにもならないと決め付けた
限界まで頑張りもせず、限界を知りもせず
もうだめだ、と嘆くことだけは一人前だった
私は頑張ったんだよ、と言い張ることだけは出来た
頑張ったんだから、誰か、認めてよ、って

でもどこかで自分が甘えていることを知っていた
みたくはなかったけど、知っていた
知っていたところで、認めたところで
私は頑張り方を忘れてしまった
どうやったら本気を出せるのかも忘れてしまった
どうやったら
どうやったら本気で人を愛せるの?
中途半端な覚悟なんていらない
全部捨てられるほどの覚悟なんてどうでもいい
私を殺せるほどの覚悟を持って
私を殺して
一瞬のうちに、救ってみせて

この世の中には本当の意味での悪者なんて、いないと思っていた
人間は、裏の裏の裏の裏まで見たら
きっとどこかに理由があって
どんなに他人を傷つけても
どうしようもない理由があって
誰もが悪者なんかじゃないんだって信じていた
でも、裏の裏の裏の裏まで見たって
何も読み取れない人たちはたくさんいたし
理解しようとしても、理解できない人はたくさんいた
見せてくれない人だっていた
昔から、チャットの荒らしとはよく仲良くなれた
ちゃんと相手の気持ちを考えて話しかけたら
荒らしをやめて、ありがとう、と言ってくれた
私は自分にはその才能があるんだと思っていた
誰かを救う才能が
だけど、それはただのうぬぼれで自己満足だった
ただ楽しくて、荒らしをする人にとって
私みたいに馬鹿正直に向き合おうとしているやつは
笑いのネタだった
分かりました、ありがとう、ってふりをしておいて
それはとてもおもしろいネタになる
あいつ、ばかなんだぜ
世の中、きれいごとでやっていけるとおもってやがる
だから更生されたふりしてやったんだぜ
聞こえてくるような気がする
きれいごとだけな世の中なんて私もいやだ
だけどきれいに纏めたいと思っていた自分がそこにはいた
誰も傷つかずに済むことがきれいごとだというなら
そういう願いをもつことさえ許されないの?
矢沢さんの漫画を読んで学んだこと
誰も悪くなんてない、っていうこと
だけど、それだけじゃやっていけなかった
しょうがない、で終わらせるしかないのね
しょうがない、って言葉はとても便利だ
この世の中のすべてを肯定しているようにみえて
すべてを否定しているんだね
しょうがない、しょうがない
しょうがないんだから、しょうがないんだよ

楽しい?笑えてる?
苦しい、苦しい、と嘆きながらも毎日生きることができている?
何か一つでも楽しみがある?
孤独に溺れていたとしても、私のことを覚えていてくれる?
つらい時、私を思い出してくれる?
それとも、私を思い出して、つらくなる?
私って何?

私は、毎日笑えているよ
相変わらず人との付き合いは億劫だし
初めは楽しくてもそのうち義務的に感じて嫌になるし
なんかもう、どうでもいいや、ってなるときもあるけど
ひとつ深呼吸して考え直すと
やっぱり私は何もかも恵まれているんだきっとって
思い直すことができるんだよ
それがただの気休めだったとしても
心のどこかで自分を責めていたとしても
私はそれでも、毎日笑うことを忘れていない
笑うことができているのは
あなたのおかげ、だから

泣いてしまったときは、泣けたことに感謝しよう
その時感じた気持ちを大切にしよう
私はほかの人よりも
何倍も、感情を噛み締めることができる
そう、思っていよう
私が考えていることは、無駄じゃないって信じよう
いや、無理だけど
信じてみよう、としてみよう
それが大切、だと言い聞かせて
私は誰かのために笑えないけど
自分のためなら、笑えるから
強くなりたい、なんてしばらく思っていないのは
強くなることに、意味を見いだせないからであって
自分が弱いことを、開き直っているわけではないけれど
寂しくなって誰かにメールしてしまって
返事が返ってこなくても、そういう縁だったんだと思おう
もし、返事が返ってきたら、まだ続けられるその縁を喜ぼう

みんな知ってのとおり私は扱いにくいやつだけど
みんなからどう見られているのかは知らないけど
みんなの中の私は、息をしていますか?

2007年05月02日(水)

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