Deckard's Movie Diary
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2008年02月21日(木)  エリザベス:ゴールデン・エイジ

『エリザベス:ゴールデン・エイジ』
素晴らしかったですね。『エリザベス』から9年、満を持しての続編ですが、全体的に危くあやふやな雰囲気が纏わりついていた前作が単なるプロローグだったとしか思えないほど堂々たる続編になっています。とにかく、スクリーンが溢れてくる全てが一級品の出来映えです。ケイト・ブランシェットを筆頭に個性豊かで達者な演技人、堂々たる演出、無駄の無い脚本、光と影の扱いも見事な撮影、眩いばかりの美術、絢爛たる衣装、魅惑的なメイク、大袈裟でありながら均衡を保っている音楽、その全てが映画という総合芸術が到達する最高峰の仕上がりと言っていいでしょう。後半のエリザベスの心理描写が物足りなく最後の最後に盛り上がりに欠けますが、そんなコトはどーでもいいです(いいのかよ・・・( ̄。 ̄ )ボソ…)。何故なら『エリザベス:ゴールデン・エイジ』は観ている間は“映画”という別世界に間違いなく行ける作品だからです。至福の2時間。映画ってこういうモノでしょ!


2008年02月14日(木)  L change the WorLd  チーム・バチスタの栄光  ぜんぶフィデルのせい

『L change the WorLd』
『デスノート』はそこそこ楽しめる作品になっていましたし、松山ケンイチ扮する“L”もなかなか魅力的なキャラではありました。今作はその“L”を主人公にしたスピンオフ作品なんですが・・・しょーもないですなぁ。監督はハリウッド進出も果たしたホラー映画の第一人者と言われる中田秀夫ですが、相変わらず脚本がデタラメです。環境保護団体の研究職員がいきなり過激派のテロリストになったり、ジャンボジェット機を操縦出来たり、肝心のブツを手に入れる前に行動を起こしたり、“L”がアクションをこなしたり、どう好意的に観ても子供騙し程度のシロモノです。だいたい、主人公である“L”が電車の座席の上を土足で遊びまくるってどういうことだよ!バカモノ!制作者の程度が知れる駄作!


『チーム・バチスタの栄光』
監督は『アヒルと鴨のコインロッカー』で名を上げた中村義洋。この人は脚本に破綻が無いですねぇ!これは最近の邦画では驚くべきことです(って、情けねぇ〜)。また、シリアスなシーンとコミカルな部分のバランスが絶妙で十分観賞に耐える作品に仕上がっています。ただねぇ・・・ここから先なんですよ!もったいないなぁ・・・と思ったのは前半部分で調査を依頼された田口女医(竹内結子)がバチスタチームに聞き取り調査をするんですが、ここがアッサリし過ぎていて、あんまり後半の盛り上がりに繋がらないんでね。それぞれのキャラをもっとどろどろに描いて欲しかったです。もっと一癖も二癖もあるように描かないと面白くならないですよ。米とか、ゴミ箱への投げつけ等、面白い部分があるだけになんとかならなかったかなぁ・・・と。それにしても主演の竹内結子は上手くなりましたねぇ・・・キネ旬の主演女優賞はダテじゃなかったんですね。これから先も伸びていって欲しいなぁ・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…阿部寛は最近の得意とするパターンで危なげないです。荷が重たかったのはやはり吉川晃司で、迫力不足は明白で物足りません。まぁ、なんだかんだ言っても良い作品だと思いますよ。


『ぜんぶフィデルのせい』
とにかく主演のアンナを演じたニナ・ケルヴェルがキュートですわ!その表情はもちろん、言動も行動もキュートなんですわ!キョーサン主義、団結、革命等、数少ない自分の経験から一生懸命理解しようとしている姿は微笑ましい限りです。幼き頃、耳に挟んだ大人の会話に自分の知らない未知の世界を垣間見たような、そんな懐かしい気持ちを思い起こさせてくれました。ただ、全体に展開が早いと言うか、雑な印象が残るのがちょっと残念でしたね。監督はあのコスタ・ガヴラスの娘ジュリー・ガヴラス。これが初めての長編だそうですから、出来に物足りなさを感じるのは仕方ないのかもしれません。それでも、その観察眼の確かさは目を見張るものがありますし、血は争えないというか、やっぱり社会派なんですね。それも、そういう父を持った娘の視点という意味では実に興味深い作品でした。次回作も期待したいです。


2008年02月07日(木)  結婚しようよ KIDS

『結婚しようよ』
覚えているのは煙草の香りと
私を離したときのすきま風
通りすぎる あなたが風なら
私も今すぐ 風になりたい

フォーライフの第1回オーディションで合格した“5人目のフォーライフ”こと川村ゆうこのデビュー曲『風になりたい』が流れて来た時(劇中では中ノ森バンドが唄ってます!)には既にこの映画を認めていましたね(ダメじゃん)。これは隠れた名曲だと思いますよ!後に拓郎自身もカバーしていますが、オイラは鼻にかかった高音と苦しそうに搾り出す低音部分を物憂げな表情で歌う川村ゆうこが好きでしたねぇ・・・憂いのあるぎこちない佇まいも良かったですわ(6 ̄  ̄)ポリポリ 彼女は今でも歌っているらしいですけど、詳細は知りません。この第1回オーディションで落ちたのが当時高校生だった原田真二!後に3ヶ月連続シングルリリースという前代未聞のデビューを飾り、そのどれもが水準以上の楽曲で「どんだけ凄い奴なんだ!」と思ったりもしたのですが、後年、松田聖子と浮名を流すとは(苦笑)。

話しが逸れてしまいました・・・肝心の映画ですが・・・これがチョー健全で、チョー大甘で、チョー恥ずかしい!っつー仕上がりで、もう参っちゃいますよ(大笑)。ある意味メチャクチャ松竹節なんですけど、それにしても時代錯誤だろ(苦笑)。だけんどもしか〜し!そんなこたぁ、どーでもいいですわ!だって、オイラにとって拓郎の唄の説得力っつーたら、やっぱり半端じゃないんですよ。ちょっと思い出すだけでも「今日までそして明日から」「落陽」「結婚しようよ」「明日に向って走れ」「人生を語らず」「春だったね」「イメージの詩」「人間なんて」「祭りのあと」「おやじの唄」「花嫁になる君に」「こっちをむいてくれ」「加川良への手紙」「夏休み」・・・こうなりゃ、何でもOK!マリアンヌ隊員!です。でも、拓郎節に大して魅力を感じてない人々が観たら辛いと思いますよ。だって、そこらへんにある2時間ドラマ程度の出来ですからね(/・_・\)アチャ-・・しかし、松方弘樹は上手いなぁ!


『KIDS』
それなりに評判がいいので観てきました。『KIDS』。う〜ん・・・下手糞だ!演出があまりに稚拙なんで素人かよ!と思ってしまいました。監督の荻島達也ってどういう人なんですかね?全編に渡って音楽がうるさい!うるさい!そりゃ、音楽つけちゃえばどんなシーンだってそれなりに見えますけど、それって自信の無さの表れ以外何物でもないでしょ!間延びした演出にダラダラとしつこく流れる音楽。ついつい早く先に行けよ!とツッコミ入れたくなります。それでも脚本が良ければ観られるのですが、これもまたツッコミ所満載でしょーもありません。っつーかさ、アサトは赤の他人に自分の能力を見せ付けたいワケじゃないでしょ!それなのに、単に調味料を取るためだけに使うってどういうコトなんですかね?要は観客に見せたいだけ!そういうアザとさがダメダメなんですよ!はっきり言ってこういう脚本を平気で書くって頭が悪いですよ。例えばね、何かを落としてしまい簡単に手が届かなかったのでチョコット使うとかにしたらいいんですよ。どうせ、タケオは見ているワケなんですからね。シホのマスクだっておかしいだろ!一日デートしていて何とも思わないってありえないでしょ!アサトの持つ超能力はかなり魅力的なので、もっとキチンと細部を練れば相当面白くなったと思うのはオレだけじゃないでしょう。


2008年02月05日(火)  アメリカン・ギャングスター

『アメリカン・ギャングスター』
ここのところ『ブレードランナーFC』を観ながらリドリー・スコットってやっぱ凄いなぁ・・・と再認識していたのですが、『アメリカン・ギャングスター』を観ると・・・なんだかなぁ・・・リドスコって人間に興味あるのかなぁ?と思ってしまうんですよ。決して悪い映画じゃないですよ!2時間半を越える大作を飽きさせず重量感タップリに描くなんぞ、そうそう出来る事じゃありません!様々なギャング映画のエッセンスが塗されていて中々興味深いですし、胸にグっと来るセリフや魅力的なシーンな数々、デンゼルとラッセルの演技合戦も見応えタップリで大人の鑑賞に十分堪える仕上がりになっています。だけんどもしかし!いまひとつ物足りません。両主役の家族や背景なんかもキチっと描かれているのに、どういうワケか胸に刺さってきません。人間臭さとか、生きている泥臭さとか、そういうモノが感じられないんですよねぇ。『グラディエーター』で復活したと言われたリドスコですが、個人的にはどれもこれもがイマイチです。なんだか、英国人の品の良さが邪魔している感じです。上手く言えないのですが、登場人物がウンコしているような気がしません。分かって欲しいなぁ・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…


2008年02月02日(土)  テラビシアにかける橋

『テラビシアにかける橋』
ネットでの評判があまりに良いので観てきました。原作は全く知りませんので、ほとんど何の知識もなく観てきたのですが・・・ぶっちゃけ、チョー掟破りの展開に言葉を失ったのですが、それでも良い作品でした。ジェシー役のジョシュ・ハッチャーソンとレスリー役のアナソフィア・ロブの二人も中々のモノでした。

“誰もが懐かしみ、共感できる物語。皆が心の中に『空想の王国』を持っている”というキャッチフレーズなのですが、まさにその通りの内容でした。ある意味、昨年度の傑作『パンズ・ラビリンス』がダース・ベイダーだとすれば、この映画はルーク・スカイウォーカーってコトになるんでしょうか(わかんねーよ!)。ジェシーとレスリーが直面している現実から二人が織り成す空想世界への橋渡しがとても自然で映画の世界にドップリと浸かっていました。だからこそ!唐突に訪れる終盤の出来事には身を切られるような感情に見舞われ、ちょっとどうしていいか分からない状態になってしまいました。こんな感情は久しく経験したことが無いものでしたね。

“この橋を渡れば、またきみに会える”・・・生きていくってコトは忘れることではなく、憶えているってコトなんでしょう。しかし、そんな“橋”がオイラの中にあるのかな?甚だ疑問(/・_・\)アチャ-・・


2008年02月01日(金)  ペルセポリス

『ペルセポリス』
予告編で流れた下手糞英語&歌唱の♪アイ・オブ・ザ・タイガーが耳から離れず、どーしても観たかった作品。だけんどもしかし!上映しているのがチョー苦手な渋谷シネマライズっつーことで様子を伺っていたのですが、映画の日の最終回にどうにか潜り込んで観てきました。白黒のシンプルなアニメで描かれたイランの少女マルジのグローイング・アップ・ストーリーは、イラン・イスラム革命やイ・イ戦争という過酷な歴史を背景にしながらも、誰もが身に憶えのあるあの頃を鮮やかに描いており観るに値する佳作でした。『シティ・オブ・ゴッド』でもそうでしたが、どんな状況であろうと、そこには子供から大人になっていく過程で経験していく甘酸っぱい出来事が息づいています。マルジャン・サトラビ監督の自伝的な作品だそうですが、おそらく彼女はイランにおいては特権階級の出身だと思われます。確かにマルジは恵まれていますが、恵まれていたからこそこの作品が生まれ、遠い島国でオイラのような平和ボケ爺の目にふれるようなコトになっているワケですから悪いことではありません!個人的にはジャスミンの香りで溢れているおばあちゃんの言葉が良かったですねぇ・・・

「この先おまえはたくさんのバカに出会うだろう。そいつらに傷つけられたら、自分にこう言うんだ。こんなことをするのは愚かな奴だからって。そうすれば仕返しなんかしないですむ。恨みや復讐ほど最悪なことはないんだから…いつも毅然として、自分に公明正大でいるんだよ」

いい言葉ですねぇ・・・ただ、なかなか実行出来ないなぁ・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…この監督はインタビューでもいいコト言ってますわ!

「今も現地に住んでいて、私の考えを理解してくれて、でもそれを口にすることができない人たちへの敬意を込める意味でも、文句を言うことは間違っているし、行けないことだと思う。もし絶望のあまり降参していたら、すべてを失っていたかもしれない。だから最後の最後まで、顔を上げて笑い続けるわ。そうすれば私の一番大切なものを奪うことは出来ないから。生きている限り、抵抗し、叫ぶことができるし、それでもなお、最強の武器というのは笑いなのよ!」

やっぱ“笑い”なんだな!“笑う角には福来る”ってことだ!


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