Deckard's Movie Diary
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2007年04月27日(金)  ブラッド・ダイアモンド ハンニバル・ライジング

これは素晴らしかったですね。さすがはエドワード・ズウィックです!脂が乗ってますねぇ!っつーか、オスカーの監督賞のノミネートもされないっておかしくないか!主演、助演の男優賞だけってどーなのよ!作品賞だっていけたんじゃないですかぁ?どう考えても実際の受賞者より上でしょ!
ジャイモン・フンスー


またやるのかよ!とツッコミを入れたくなるハンニバル・レクター・シリーズ最新作。監督はデビュー作『真珠の耳飾りの少女』で並々ならぬ力量を見せたピーター・ウェーバー。というワケで、それなりの出来に仕上がっています。まぁ、散々手垢が付いたネタですから、今更ねぇ!ただ、それでもちょいと期待した部分もあったのですが、それなりでしたね。しっかりと作っているのですが、なんだか雑な印象が残ります。スマートじゃないんですよ。「そこは持っとかないと・・・」じゃないけど、「そこは見せちゃダメ!」って、感じでしょうか・・まぁ、これはその人もセンスの問題ですから、どーでもいいんですけどね(苦笑)。原因をそういうコトにしたのは容易に想像がつきますが、描き方がなぁ・・・ちょっと下手です。もったいぶり過ぎて、いまいち説得力に欠けてしまっていますし、日本関係の係わり方も中途半端です。若きレクターを演じたギャスパー・ウリエルですが、中々良かっただけに、もう少し頑張って欲しかったな(何様だよ!)で、次は『レクター都へ行く』とかですかね?


2007年04月18日(水)  檸檬のころ

原作は静かにベストセラーを続ける有名な小説らしいのですが、全く知りません。物語は高校三年生の男女5人の卒業までの半年間を描いています。しかし、これは一体どの星の話しなんでしょうか(笑)。現実的にはそう簡単にある話じゃないでしょう。っつーか、在り得るのかなぁ?というワケで、小学生の妊娠ドラマがTVでオンエアされる昨今ですが、この映画には妊娠はどころか、セックスもガラス越しのキス・シーンさえもありません。さらに!苛めも暴力も酒も煙草も邪推も邪心とも無縁です。もちろん、誰も死にません!だからと言って説教臭ささがあるわけでもなく、偽善的でもありません。おそらく多くの人(特に年配の人!)はこの映画を観て、あの頃を思い出すのではないでしょうか。それくらい真っ直ぐに高校三年生の揺れる心を描いているので、間違いなく清々しい気分に浸れます。嘘くさいという人も居るでしょうが、そういうコトじゃなくて、昔から読み継がれているような青春小説の定番を読んだ気分です。書かれた時代によって古臭く感じる描写もあったりしますが、誰もが思い当たる思春期の心模様は永遠に不滅です。ストーリーに複雑なモノは何もありませんし、全編に渡って無駄の無い仕事を丁寧にしているだけです。最近では定番になっているパンチの効いた暴力スパイスとか、隠し味のドラッグとか、そんな物を使わなくても丁寧な仕事をするだけで、十分味わい深いラーメンが出来るという好例です。な〜にが、味の玉手箱だよ!逆に意味分かんねー\(^-^\) (/^-^)/ソレハコッチニオイトイテ…

演じる高校生5人(榮倉奈々、谷村美月、柄本佑、石田法嗣、林直次郎)のアンサンブルが素晴らしく、この5人に主演グループ賞をあげたいくらいです。また、音楽好きの目ざとい人は教師役で出ている人物に時の流れを感じるかもしれません(笑)。監督はこれが長編デビュー作となる岩田ユキですが、今後に期待出来そうです。

青春とはなんだ?青春とは・・・届かぬ想い。ひょえ〜!言っちゃったよ!それにしても、オイラは完全にこの手の邦画の担当になっちゃったなぁ(苦笑)。まぁ、嫌いじゃないですけどね(自爆)。


2007年04月10日(火)  デジャヴ

ブラッカイマー&トニ・スコの『デジャヴ』。予告編をチラっと観て「相変わらず、あざとい題材で派手な花火を打ち上げてんなぁ・・・全く観る気しないよ」と思っていました。ところが、ブラ&トニにオイラと同じような印象を持っている友人が「これは意外と・・・もぞもぞ」というコトを言ったので、観てきました。な〜るほど!こりゃ、すげーや!

映画が始まって直ぐに、とあるキーワード(コアな映画ファンなら反応すると思います)が出てきたんで「まさか○○○○○○○モノじゃないよな(苦笑)」と頭の中でツッコンでいました。ところが、ありがちな形をした造形物が垣間見えた時に「マジでマジかも?」とぞくぞくしたところ(ぞくぞくしたのかよ!)、まさにその通りの展開で、普通のツッコミで言うところの「そっちかよ!」という方向へ!って、分かりづらいなぁ(苦笑)。で、そういう方向ってのは、あちこちに散りばめられた細部の合わせが重要で、それは田宮模型の部品がキッチリと右と左が合うくらいの優秀さが欲しいのですが、悔しいくらいに良く出来てるんだなぁ、これが!すんごい力技なんですけど、ここまでやってくれれば脱帽ですよ!もう、とにかく何でも喰らうし、消化する!みたいな、言い方を変えるとメジャー・ナイト・シャマランみたいな(ワカンネーよ!っつーか、この文章自体、ほとんど意味不明だわな)。というワケで、ま、いいか!みたいな映画でした。って、なんじゃそりゃ!


2007年04月05日(木)  バッテリー 約束の旅路

巷の評判の良さに観に行ってきました。なるほど!これは傑作野球映画の1本として後世に残るのは間違いありません。“バッテリー”とは野球に置いてピッチャーとキャッチャーの二人を指した言葉ですが、この映画は「人間同士は全てバッテリー」という考えに基づいてコーナーコーナーに素晴らしいコントロールで直球を投げ分けています。監督は滝田洋二郎ですが、ひょっとしたら彼の最高傑作かもしれません。兄弟、友人、父と母、母と息子、父と祖父、先生と教え子、それぞれがお互いの欠点を補い、励ましあい、時にはけなし合い反目し、そして助け合う。そんな当たり前のコトが、こんなに上手く収まった作品は珍しいんじゃないでしょうか。無駄な登場人物は一人も居ませんし、全てのキャラに存在感があります。そして、何よりも驚いたのは人生の全てを悟ったような祖父の言葉を義理の息子がうっちゃるところです。まぁ、厳密にはうっちゃっているワケでは無いんですけど、要はモノの見方は一つじゃない!ってコトです。「野球って、素晴らしい!」というセリフが多かったのは鬱陶しかったですが、大目にみます(何様だよ!)。子供がいる親は、その子供が野球をやっていなかっとしても、是非!一緒に観て欲しい映画ですね。


性懲りもなく岩波ホールへ観行きました。まぁ、ここでしか観られないので仕方ありませんわな(´―`)┌ ヤレヤレ… 映画は『約束の旅路』。ストーリーは1980年代に行われたモーゼ作戦(“ファラシャ”と呼ばれるエチオピア系ユダヤ人をスーダンの難民キャンプから軍用機でイスラエルに移住させる計画。1990年代にも『ソロモン作戦』という名で行われたらしいです。正直、全く知りませんでした(/・_・\)アチャ-・・)でイスラエルに渡った少年の半生を追ったものです。9歳のシュロモは生き延びるために母に言われるまま、キリスト教系エチオピア人である自分をユダヤ人と偽りキャンプを後にし、イスラエルの白人ユダヤ人一家の元で新たな人生を手に入れます。勉強不足のオイラには一枚岩のように見えるユダヤ人社会ですが、実際はそうではなく宗派や出身地で微妙な差別があるようです。ましてや“ファラシャ”と呼ばれる彼らは肌の色から“黒い人”と呼ばれ、イスラム系アラブ人は仕方無いとしても、ユダヤ系白人からも差別されます・・・

難民キャンプからイスラエルへ、養子になり、思春期を向かえ、最後に手に入れるモノとは・・・途中で何度もジワっと来て、最後は涙無くしては観られませんでした。一人の人間の半生をドップリと描いているので疲れますし、長いですが、全く飽きさせず、観終わった後には何故かホっとした気分に浸ってしまいました。ラスト・シークエンスは実話を元にしているらしいです。彼が生きてきた道程は想像を絶するモノで、オイラにはとても理解出来るモノではありません。仕事柄世界の国々へ行き、様々な国の人々と知り合いましたが、自分が日本人だというコトを忘れたことはありません。それは、ある意味、自宅があるような感覚に似ています。逆に言えば、それが無いと『住所不定』のような感覚で定職に就けないような後ろめたさを感じるのかもしれません。つまり、オイラは自分が日本人である(日本人として守られている)という最低限のアイデンティに胡坐をかいているのでしょう。監督のユダヤ系フランス人、ラデュ・ミヘイレアニュは“アイデンティ”に対しての明快な答えを上質なドラマの中で描き、一本の映画として必見の価値がある作品に仕上げました。この映画の全ては冒頭の言葉に集約されています。生母と別れる場面・・・そこで発せられる台詞。その言葉は今の日本人の多くが忘れているモノなのかもしれません。そう!それこそが“アイデンティ”なのです。存在証明とは、生まれも国も宗教も性別も何も関係ありません!それを手に入れる為には、まずは生きるコト。生き延びるコト。「行きなさい!生きて・・・」生母の言葉が胸に響きます。何不自由無く、ノホホンと生きて来たオイラにとっては耳に痛いです。オイラは一体何者なんだろ・・・(/・_・\)アチャ-・・


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