Deckard's Movie Diary
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2006年08月28日(月)  UA93 キンキー・ブーツ

<ネタばれしています。>

監督は『バージン・フライト』とか『ボーン・スプレマシー』とか撮っている(一貫性が無いですなぁ・・・)ポール・グリーングラスの新作が『ユナイテッド93』です。単館に近いロードショーだったんですが、そのあまりの人気の高さに日比谷スカラ座に格上げされた一品です。映画好きな友人たちも好感触なので突撃してきました。なるほど!これは紛れも無い“必見映画”でした!この映画の成功はファーストシーンが全て!と言っても良いと思います。ファーストシーンでテロ側を描いたコトによって、犯人達が単なるテロリストではなく、私たちと同じように幸せを願う人間なのだということが分かります。それはつまり“何故に同じように幸せを願う人々が争わなくてはいけないのか?”という人間同士が争うコトの不条理さが根底に流すのに成功しています。まぁ、そういう理屈的な能書きが\(^-^\) (/^-^)/ソレハコッチニオイトイテ… 全編を通して臨場感に満ちており、刻々と事実が判明していく怖さに観ている方は否応無しに画面に引き込まれます。ただねぇ・・・手持ちカメラの揺れがちょっと気になるんですよ・・・リアルな緊張感を演出しようとしたのでしょうが、逆にそのあざとさが気になってしまいました。この辺りは職業病かもしれませんが(苦笑)、個人的にはちょっと引っかかりました。それでも、この作品には監督ポール・グリーングラスの執念のようなオーラが出ていますし、十分に満足出来る仕上がりなのは間違いないです。確か・・・この93便には日本人も乗っていたんですよね?


『キンキー・ブーツ』は所謂英国の炭鉱映画系?の作品です。今回は職人芸が光る伝統ある田舎の靴製造工場が舞台です。ジリ貧の工場を立て直す為に二代目の選択はドラッグクイーン御用達の靴を作ることだった!こうやって書いただけで、いかにも!っつー感じですね。まぁ、ハッキリ言って、この題材(実話が下敷きらしいです。)を選んだだけである程度成功は約束されたようなモンなんですけどね。物語はセオリー通りに進むのですが、ちょっとエピソードが多過ぎです。多過ぎるので、次々と起こる難題ですが、全てがアッサリと片付いてしまいます。予定調和過ぎなんですよね。だから、盛り上がりませんし、平板です。ちょっと勿体なかったなぁ・・・。それにしてもだ!黒人ドラッグクイーン・ローラを演じたキウェテル・イジョフォー(『アミスタッド』『堕天使のパスポート』等)ですが、色っぽかったなぁ(笑)。

さてイギリスの炭鉱映画を手本にした日本の『フラ・ガール』はどうなんでしょ?まぁ、この手で失敗したら、どうしようもないですけどね。


2006年08月27日(日)  ハード・キャンディ

妙に気になっていた『ハード・キャンディ』を観てきました。キャッチは“赤ずきんが仕掛けるオオカミへのゲーム”・・・ロリコン好きな男に制裁を加える少女!みたいなストーリーというのは予告編から容易に想像出来ました。いやぁ、とにかく緊張感を強いられます!マジで、これは疲れましたわ・・・特に男性は疲れますよ(苦笑)。私事ですが、少女は嫌いじゃないですし、ロリコン気味のところがあるのは否定しませんf(^-^; ポリポリ。そういうオイラですから、かなり怖かったです!細かいツッコミ所はありますが、主人公のエレン・ペイジ(X−men3のテキィ役)が素晴らしくて、マジで怖いですよ。こんなコトされたら男はもう立ち直れないでしょうね。結局はこのオチが、男の純情と欲望の葛藤というか・・・とにかく!身に染みました(/・_・\)アチャ-・・。本当に男って奴は・・・馬鹿ですねぇ(苦笑)。でもなぁ・・・彼が○○してない方が、もっと怖かったけど、それだと映画的に納得出来ないかもね・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…


2006年08月23日(水)  カクタス・ジャック

『ダック・シーズン』では振り逃げされた気分でしたが、同じメキシコ映画の『カクタス・ジャック』は前進守備のウラをかいたバスター気味のセカンド上を越えたヒットでした(って、分かり辛いなぁ〜)。簡単に言ってしまえばガイ・リッチーとタランティーノを足したようなスタイルの映画です。基本的に脚本が良く出来ていて、クセの強いキャラクターが大活躍します。当然、何処かで出会ったようなキャラやストーリー展開なんですけど、それでも十分楽しめます。全ては模倣から始まる!まさに、そういった作品です。そういう意味で、この監督は次回作が勝負ですね。しかし!あの親子が可愛そうだなぁ・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…


2006年08月12日(土)  ゲド戦記

宮崎駿の息子、宮崎吾郎氏が初監督した『ゲド戦記』です。親の七光りかと思ったら、意外や意外!これがけっこう良く出来ています。個人的には『ハウルの動く城』なんかより断然上です!“若さゆえの青さ”が良い方向に作用していて、メッセージが明快で分かりやすいです。また、親父には無い表情やあざといくらいなストレートな表現など、とにかく真っ直ぐで好感が持てます。何処かで見たようなキャラクターや表現も多々ありますが、それでも、この映画には観るべきものがありますし、どうしてこんなに評価が低いのか理解に苦しみます。どう考えても『日本沈没』なんかより間違いなく面白いです。まぁ、確かに、ツッコミ所が満載ですし、消化不良の部分も多く、キャラクターの作りこみも親父に比べたら雲泥の差ですけどね。でも、自分に小学生の子供が居たとしたら、ハリーポッターなんか見せるより、コチラの方を見せると思います。それにしても、この映画って女性には圧倒的に不人気ですね(苦笑)。


2006年08月11日(金)  サイレントヒル

『サイレントヒル』は日本のコナミが世に送り出したゲームソフトの映画化です。長過ぎるのが玉に瑕ですが、悪くは無かったです。監督は『ジェヴォーダンの獣』なんぞを撮っている、ちょっと変化球気味のクリストフ・ガンズ。彼はこのゲームのファンらしいですから、上手くいったのかもしれません。個人的にはゲームは全く知りませんが、中々どうして楽しめました。エンディングのオチも好きですし、何よりも“サイレントヒル”の世界をキチンと作り上げているのに好感が持てました。個人的には、もっと心理描写が多い方が好きかな・・・。


2006年08月09日(水)  ゆれる ブライアン・ジョーンズ/ストーンズから消えた男 ディセント

デビュー作『蛇イチゴ』で、新人離れした卒の無さを見せた西川美和監督の2作目『ゆれる』。これは驚きました。紛れも無い力作であり、傑作です。実に良く出来た脚本で恐ろしいくらいです。確かに終盤でのストーリーに納得出来ない人々も多いでしょうけど、オイラはOK!でした。それはウチが3人男の兄弟(オイラは真ん中)で仲が悪いからかもしれません(苦笑)。男兄弟にとって、その家を守るのは、継ぐのは長男だというのは暗黙の了解事項です。弟は、実家を兄貴に任せて自分はいずれ家を出て行くコトは漠然と感じています。日本において、長男という存在は父からも弟からも頼りにされている特別な人物です。自分の好き嫌いよりも父親の期待に応える事が最優先であり、弟はそんな兄貴を見ながら、窮屈な人生だなぁ・・・と思いながらも嫉妬のような感情も持ち合わせています。長男の人生は親の言う通りのツマラナイ物かも知れないが、ある程度成功が保障されている将来だったりします。逆に、弟の人生は面白いかも知れないが、全く先の分からない将来だったりします。そういう複雑な心情から、弟は兄貴に頼りたいと思いながら、心の片隅には兄貴より自分の方が能力は上!だと考える部分があったりもします。素直な性格の弟なら地元に残ってそのまま兄貴を支えるような生き方をするのでしょうけど、多少なりとも兄貴よりオイラのが・・・と、考えたことがあるのなら自分の好きな人生に賭けることになるでしょう。それが、オダギリ・ジョーです!彼は幸いにして母親から受け継いだ才能が開花し、東京で成功します。真面目なだけが取り柄の兄貴が起こした事故・・・やっぱり成功している俺が助けないと・・・あのまま、地元で兄貴を支えるコトも出来た・・・でも、家を離れた後ろめたさも有り・・・でも、どこかで自分の方が上と、見下しているところもあり・・・その確認行動が人の気持ちを大きく左右して・・・天は人の上にも下にも人を作るし、世の中なんて生まれながらにして不公平だらけだし、価値観なんて収入や生き方によって変わってしまう・・・兄はプライドから弟の偽善的な部分を思いっきり指摘!そして、糸が切れてしまった・・・弟。弟は後ろめたさは一杯だったんでしょう。さすがに兄弟ですからね。そしてバス停でのラストシーン・・・兄は弟を、弟は兄を、兄弟だけが理解しあえる微妙な空気でした。それは赦すとか赦さないとかじゃなくて、お互いの心情を理解しあった瞬間でした。血の繋がりって、本当に厄介なんだよなぁ・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…

二作目で堂々としたこの作品をモノにした西川監督には驚きを隠せません。素晴らしい才能の開花と言っても過言ではないでしょう。っつーか、末恐ろしい!正直言って、会いたくない女性ですね(苦笑)


『ブライアン・ジョーンズ/ストーンズから消えた男』。私の記憶が確かならば(かなり怪しい・・・)オイラが中学生の頃『素晴らしい世界旅行』という番組(おそらく読売テレビ?)が日曜日の9時からオンエアされていたと思うのですが、ある日の日曜日にその映像がいきなりブラウン管から流れてきたのです。正確なタイトルは忘れましたが、ハイドパークで行われたストーンズによるブライアン・ジョーンズ追悼コンサートでした。ミックのマッシュルームカットと白い提燈ソデのブラウスが印象的でした。月曜日に学校へ行くと「見た?」「見た?」と、ロック好きな連中で盛り上がっていたのを昨日の事のように憶えています。なんてたって、あの頃はミュージシャンの動く画なんてほとんど無かった時代でしたから、貴重だったんです。

さて、本編は謎の死を遂げたブライアン・ジョーンズに迫ります。って、迫ってないじゃん!映画はゴシップ的な覗き見感覚での描き方で、かなり不快な印象が残りました。これではブライアン・ジョーンズは単なる薬中野郎でしかありません。彼はストーンズを創った人物ですし、初期のストーンズの方向性を決め、引っ張っていた原動力でした。しかし、ジャガー&リチャードが徐々に類稀なる作詞作曲の才能を発揮しだすと、彼はだんだんと孤立していきます。何故なら、彼には・・・哀しいかなその手の才能に恵まれていなかったからです。結局、彼はストーンズのお父さん的役割であって、子供達が大きくなるにつれて居場所を失ってしまったワケです。しかし!彼の才能は本当にそれで終わってしまってたのか?その辺りのコトにもっと突っ込んで欲しかったのですが・・・彼の仕事は「オレたちはビートルズになる気は無い!」の、たった一言だけってのは無いでしょう?そりゃ、あまりに片手落ちだし、もし本当にそうだったんだとしたら、もっと辛らつに描いて欲しいし・・・どちらにしても、中途半端な覗き見主義的な作品でした。主演のブライアンを初め、ストーンズのメンバーを演じた役者陣は良く似ていました(苦笑)

ブロンドの髪の隙間から見える、君のふてぶてしい瞳は何を見ていたんだ・・・。


『ディセント』。ハッキリ言ってクソ映画です。なぁ〜にが、『ダニー・ボイル、ガイ・リッチーを超えた才能!』だよ!こんな映画をまともに作っている人間が居ることが笑っちゃいます。小生の友人の中にはこの映画の評価が高い人間が居るんですが、オイラに言わせれば『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の方が傑作に思えるくらいです。っつーかねぇ、こういう映画、マジで嫌いなんですなんですよ!要は、何でもありで、後ろから「わ!」っと驚かすだけ!つまらん!


2006年08月05日(土)  M:i:III

『M:i:III』・・・タイトルだけだと分かり辛いですが、要は『ミッション・インポシブル3』です。まぁ、個人的には『スパイ大作戦3』なんですけどね(苦笑)。トム・クルーズが制作も兼ねているシリーズ第3弾。簡単に言ってしまえば、デ・パルマ監督作の『1』は玄人受けする作品、ジョン・ウー監督作の『2』は単にトムチンだけが大活躍の内容で“スパイ大作戦”のニュアンスなんて全く無い作品、で、今作ですが、誰が観てもお金を払った分だけは十分楽しめる仕上がりになっています。特にバチカンシーンまでは今までで一番面白い!これこそ、“スパイ大作戦”だよ!と膝を打ってしまいました(笑)。ところが、後半は例によってトムチン大活躍映画になっちゃいました。残念だなぁ・・・(苦笑)。結果的にトムチンが大活躍してもいいんですけど、仲間のフォローを忘れて欲しくないんですよ。その辺りがキチンと描いてくれないとオイラ的にはダメです。例えば、上海での振り子作戦なんか、TRYするのはトムチンでも、絵を描くのは他の誰かにやらせればいいのになぁ・・・と思ったりもします。それと、もっと小技の仕掛けを作って欲しいですね。あの有名なラロ・シフリンのテーマは指先でコチョコチョとやっている時にこそ!ハマると思うんですよ!もうちょっとなんだけどなぁ・・・(苦笑)


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