Deckard's Movie Diary
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2006年07月29日(土) |
ローズ・イン・タイドランド |
あのギリアムの新作『ローズ・イン・タイドランド』。全編に渡ってヒロイン?ジェライザ・ローズ(ローズ役のジョデル・フェルランドは驚異的な魅力を振りまいています!)の独白で進み、スクリーンには彼女の頭の中と現実?が交差するように映し出されていきます。そこにはギリアム特有の映像やキャラクターが所狭しと踊っていますが、どうなんでしょ(苦笑)。それなりに楽しめますが、ストーリーはあまりに散漫です。で、ラストシーンです。ここだけが異常に現実味があります。つまり、彼女はその事故で両親を亡くした孤児と捉えることも出来るワケで、それまでの話は全て妄想、空想の類なのかもしれません。まぁ、今作は子供とか少女とかの頭の中にチラチラと浮かぶ狂気をダラダラと映像化したような作品です。ハッキリ言って完成度は低いですね。観るのはギリアム好きな方だけでいいんじゃないでしょうか。主演のジョデル・フェルランドがカナダの子役だそうですが、個人的にはダコタ・ファニングより魅力的でした。なそれにしても、ジェフ・ブリッジスはこういう役も上手いですねぇ・・・まぁ、クリス・クリストファーソンも上手いですけど、クリスの場合は酔っ払いのくせに、ちょっと説教臭いんですよね(笑)。
しかし、本当に日本映画は大丈夫なんでしょうか?そんな感想しか浮かばない『日本沈没』です。酷い!あまりに酷い!この脚本って、マジで最悪でしょ!この映画を観て、本当に面白いと思っている人って居るんですか?ハッキリ言って、どうしようもない駄作!全く!と言ってイイほどダメダメです。観るべきモノは映像のトーン、それに音楽くらいでしょうか・・・。『日本沈没』・・・その“日本”にある意味もまた、ほとんど手付かずでした・・・。
まずパニック映画には絶対に必要な“予兆”がありません。どういうワケか、既に始まっています。そりゃ、ないだろ!これじゃ、観ている方は置いてけぼりじゃん!よって「日本って沈没するかも?」という切羽詰った印象を観客が持つことはありません(まぁ、地震は実際に切羽詰ったモノがあるので、ちょっと怖いですが・・・)。この時点で、もう試合放棄みたいなモンです!
また、救世主となる主人公のキャラクターが恐ろしいほど曖昧で全く存在感がありません。この主人公って、本来はリアリストで、クールで、危機管理能力だけは異常に優れている世捨て人みたいな人物だったと思うんですけど・・・そんなキャラだからこそ!ラストで彼の行動が感動を呼ぶワケじゃないですか!それが、どうしようもなく中途半端で、ダラダラとフラフラとウロウロしているだけです。で、そんな全く魅力の無い奴に惚れる女性なんて居るワケないのに、いつのまにか惚れられているし!なのに、抱かないし!って、なんじゃ、こりゃ!おままごとかよ(笑)。オートバイでこけてるシーンを撮ってる前にヤルことあるだろ!
さらに!地震によって引き起こされる身近な出来事が全く描かれません!例えば、建物が歪んでドアが開かなくなるとか、風呂に入っている時に地震が来たら?とかの、人間臭い描写が一つありません。そういう誰もが実感として理解出来るシーンが無いのでリアルな説得力に欠けます。とにかく、全編に渡って全くと言っていいほど臨場感も人間味も感じられません。おそらく樋口監督は人間になんて全く興味が無いんでしょうね。原作は相米慎二監督の『風花』でも有名な帯広在住の作家・鳴海章の小説「輓馬」。脚本は『800 Two Lap Runners』『ゲレンデがとけるほど恋したい』『水の中の八月』『女学生の友』『雪に願うこと』と手堅い仕事をしている加藤正人ですが、今回ばかりはどうしようもなく嘘臭いです!
それなりに良く出来ている特撮シーンもチョビっとだけで、もっと観たい!と思ったところで切れてしまいますから、お腹が満たされることはありません。多少なりとも収穫があるとすれば、せいぜい「及川光博ってこういう役も出来るんだぁ」ってなモンです。それなりの製作予算を使って、それなりの広告予算を使って、このテイタラク・・・情けない!正直な話・・・「恥を知れ!」と言いたいです。ばかやろ!アレ?この言葉って、つい最近も書いたような・・・(苦笑)え?韓国で200スクリーンで公開?勘弁してくれよぉ〜頼むから誰か止めてくれ!マジで別の意味で日本沈没しちゃうよ!
2006年07月07日(金) |
ステイ カーズ 不撓不屈 |
『チョコレート』で名を挙げたマーク・フォスター監督の最新作『ステイ』。この監督は珍しく邦画に通じるウェットな部分を持った人だと思うのはオイラだけでしょうか?で、この『ステイ』ですが、実に興味深い映画でした。個人的にはかなり好感触の1本です。色々書くとネタバレになるので、詳しく書けないのですが、この映画を観て一番感じたことは“生きる、生きたい、生きていく、というコトは『想像』し続ける”というコトです。この映画を観てどう思ったか・・・これは、その人が『生』とか『死』をどう捉えているかに寄って、かなりの差が生じます。それは年齢に寄ってもかなり違うかもしれませんし、一概に言えることではありません。ただ、オイラみたいに50歳を過ぎると、若い時と何が一番違うのか!というと“死”というモノを身近に感じる事が出来るコトなんですね。ある程度の人生経験(恋愛、仕事、子供とか・・・)をして来ると色々なモノが見えてきます。で、全く見えて来ないモノが“死”だけなんですね。そういう意味で興味だったり、恐怖だったり、未知との遭遇のようなモノとして存在しています。死にたいとか、無気力とかとは違うので誤解しないで下さい。突発的に死に直面した時「許してくれ、死にたくない、生きたい、でも、ごめんなさい、みんな助けて、誰かぁ?」と様々な思いが交錯す中、脳裏に浮かんだモノ・・・それは想像力が成せる技なんですね。で、その想像力こそが生きている証なんじゃないでしょうか?やっぱり、パズルゲームばかりやって時間を無駄に消費していてはダメですね(/・_・\)アチャ-・・。
ところで、監督のマーク・フォスターは幼い頃に兄を自殺で亡くしており、自殺と苛めのドキュメンタリーも撮っていたりしてるんですね。そういう過去も微妙に影響しているのかもしれませんね。
ピクサーに新作『カーズ』。最近のピクサーはストーリー的にあまり魅力を感じていなかったので、もう観なくてもいいかなぁ・・・と、思っていたのですが、友人が『トイ・ストーリー』に次に面白いかも・・・と言ってたので観てきました。いやぁ、面白かったですね(苦笑)。ストーリーは定番なんですが、コレでいいんですよ。古きを訪ね新しきを知る・・・みたいなね。天晴れ!『ドリヴン』より断然良い!(って、なんじゃそりゃ!)映像も相変わらず良く出来てますわ!
あの『若者たち』の森川時久監督(幾つなの?)の新作『不撓不屈』です。悪い映画では無いですが、物足りないです。文部省推薦のような映画で、あまりに正直で毒が無く、人物描写も教科書的です。交通違反を犯して講習を受けに行った時に見せられる映画があるのですが、この映画は税理士になったばかりの人々に見せるような作品です。オイラは税理士じゃないですから、観なくても良かったかな(苦笑)。
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