Deckard's Movie Diary index|past|will
『さよなら、僕らの夏』は悪い映画では無いですけど、特にお薦めでもありません。あまりにもそのまんまなんで物足りません。良かったのはジョージのキャラクター設定ですね。こういう奴って居るんですよ!・・・でも、こういう奴だって人間だし、殺して良いワケじゃありません。生きている時は「死ねばいいのに!」と思ったとしても、そんなコトが現実になるほど恐ろしいコトはありません。ちょっとした悪戯から人生に降りかかってきた悲劇・・・さぁ、彼等はどうするのか?ところが、映画はそのまんまを生真面目に描いていくだけで、そこには作り手の思い入れが感じられません。一体、何が言いたかったのでしょうか?十代ならではの心模様、葛藤をナイフでグリグリとえぐってくれないので、まるでそこらへんに転がっているTVドラマのようです。ちょっと期待しすぎたかな(笑)。
“天才と秀才の戦い”という知識しかない『デスノート』。観終わって最初の感想は「金子修介、復活したじゃん!」でした(苦笑)。『あずみ2』でボロボロだったので、ちょっと心配していたんですが、まだまだヤレば出来るじゃん!それにしても、金子はこの手の非現実的な世界が上手いですわ。まぁ、欲を言えば、まだまだ青臭い(もっと緊張感を研ぎ澄まして下さい)ので、もうちょっと精進して欲しいですけどね。相変わらずちょっとルーズなんだよなぁ・・・(って、オレって何様(苦笑))。
予告編でけっこう惹かれた『ココシリ』です。言葉を失うような環境の中で生きていく人々を描く・・・例えばバフマン・ゴバディ監督が描くクルド人映画とか、フィリピンのスモーキーマウンテンに住む子供たちを描いた『神の子たち』とかが思い出されますが、今作も似たような印象を持ちます。こういう状況に追い込まれると、人間にとって何が正しくて、何が悪いのかが分からなくなります。炙り出される矛盾は、日々是平和を満喫している自分にとってはまるで別の星の出来事です。ただ、このような事実があったことを世の中の人々に知らしめる作品としては、その責務を十分の果たしているとは思いますが、1本の映画としては物足りない部分が残ります。その悲惨な環境の中、無償で頑張る人々を突き動かしているモノは一体何なんでしょうか?単にココシリを守りたい・・・と言われてもなぁ・・・それとも、それが分からないオイラはやっぱり平和ボケ人間なのでしょうか?人を拒絶する厳しさも、人を癒す優しさも、神々しいまでの美しさに溢れているだけに惜しまれます。それにつけても、中国って国は・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ...
自身でも予想外だったらしい『下妻物語』のヒットにより一躍邦画界で注目の監督になった中島哲也。新作はベストセラー小説の映画化『嫌われ松子の一生』です。公開前から主演の中谷美紀の『嫌われ松子の一年』という告発?本も発表され、その壮絶な舞台裏が披露されたり、TBSがフジに負けずとプッシュしたりしているので話題性は十分です。朝一番(1000円)の鑑賞(渋谷シネ・クイント)でしたが、7割がた埋まっていました。客層は、もっと若い人がほとんどかと思っていたのですが、意外と老若男女を問わずでした。予告編が終わって、始まった!と思ったら、初っ端から大音響に乗って怒涛の如く、観客の首根っこを掴んで強引に物語に引きずり込みます!今回も『下妻物語』のテイストを踏襲して、その手法は格段にパワーアップ!そういう意味では、前作が苦手だった人にはお薦め出来ません!全編を通して、中島監督の「不幸な物語だからこそ“ミュージカル”という手法が生きる!」と判断した狙いが鬱陶しい?くらいにハマっています。悲惨過ぎる状況に何度陥っても、メロディーに乗せられると何だか前向きになってしまいます。その時代の歌謡曲や時事ネ・u档^も効果的に散りばめられており、とある名曲なんぞが流れてきた時には、あまりのタイミングの良さに背筋がゾクゾクとしてしまいました(苦笑)。この作品の良いところは、一見ただのドタバタ映画に見えるんですが、松子が落ちていく様は分かりやすく説得力があります。一般ピープルの誰もが持っている保身とか、プライドとか、意地とか、そういう人間の面倒臭い性分が幸せになることを邪魔するんですよねぇ・・・・( ̄o ̄;)ボソッ。キャスティングも絶妙で登場人物は皆魅力的です。黒沢あすかは今までのイメージ一新ですね。谷原章介がツボの人も多いかもしれません(笑)。で、中谷美紀ですが、本人は罵倒されながら頑張ったのかもしれませんが、別にどうってことありません。もちろん!主演を張るのに十分な存在感を示しております。また、病的な素晴らしさを発揮した美術も、この作品に大いに貢献しています。基本的にはうるさいし、ケバいし、汚いし、暴力的だし、長いし、決して万人に薦められる作品ではありませんが、間違いなく本年度邦画ベストの1本と言えるでしょう。終わりがダラダラしているのが玉に瑕ですね。因みに原作は全く知りませんです。
デッカード
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