Deckard's Movie Diary index|past|will
『8人の女たち』、『スイミングプール』で、その才能を存分に知らしめたフランスの若き俊才フランソワ・オゾン!だと、勝手に思っていたのですが、その後の作品にはどうにも釈然としません。前作の『二人の五つの別れ路』も、新作の『ぼくを葬る』も、だから、なんだって言うんだろう・・・。全く魅力を感じません。『二人の〜』に関して興味ある人はインデックスから捜して読んで下さい。で、『ぼくを葬る』です。観終わって第一印象は「なんて、勝手な奴なんだろ・・・」でした。まぁ、相当なナルシス野郎なのは間違いないですね。誰だって自分の為に生きているけど、一人で生きているワケじゃないでしょ!そりゃ、普段は勝手していても最後くらい落とし前をつけましょうよ。やっぱり、恩とか礼儀とか大事なコトを忘れちゃいけないでしょう。この映画の主人公の親が一生後悔するのは間違いありません。親にとって、自分より先に子供が亡くなるコトくらい辛いことないですからね。親の写真も撮ってやれよ!どうして、そのくらいのコトが出来ないんでしょうか?まぁ、オイラが言ってるコトはこの映画に関しては的外れな意見なんでしょうけど、言わずに居られません!「理想の死に方を映画にしたっていいなじゃないですか!」という意見も分かりますが、そんな歪な理想なんて観たくも無いです!
カンヌ映画祭国際批評家連盟賞(どういう賞なの?)受賞作品『クライングフィスト』。ボクシングというのは、金持ちも貧乏人も、聖職者も犯罪者も、孤児も大家族も、一度リングに上がってしまえば、単に赤と青にだけ色分けされた世界がソコにあるだけです。ただ、彼らだって一人で生まれて一人で育って来たわけじゃない!親も居れば家族も居る。それぞれの人生を背負って生きているわけです。間違いなく、リングに至る道程は万の色を使っても描き切れないモノなのでしょう。この映画は、何の因果か、同じリングに上がった二人のボクサーのバックボーンを丁寧に描くコトによって、不条理な人生を浮き上がらせます。そう、勝者はたった一人です!そこにどれだけの思いがあり、願いがあったとしても勝者は一人!それでも、負ける可能性のある“勝負”というモノに挑むことのない人間の多い中、負けたとしても、それは賞賛に値するチャレンジなのは間違いありません!この作品のテーマは好きですし、狙いも悪くないです・・・ただ、あまりにも作り方が稚拙なのが惜しまれます。不良少年・サンファン・サイドの描き方は無駄に長く底が浅いし、逆にテシク・サイドは明・u桙轤ゥに説明不足の印象が残ります。無駄なパンチが多く、勝つには勝ったが、次戦に課題が残る試合のようです。それにしても、チェ・ミンシクの出演する映画は汚いなぁ・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ
友人が是非!と言うので観に行った『力道山』です。確かに力のこもった映画でした。力道山を演じる主演のソル・ギョングは素晴らしいですねぇ!こんな役者は今の日本には居ないでしょ!こういった作品を見ると、つくづく、韓国映画界の熱さを感じますね。韓国映画が日本の昔を映像にするなんて・・・美術(デザイナーは日本人!って、当たり前だろ)も素晴らしいっす!昔の邦画には、こういう熱さはあったんですけどねぇ・・・(苦笑)。力道山は小生(54年生)の子供時代のヒーローでした。街頭TVの前で多くの庶民が口角泡を飛ばし、翌日には興奮し過ぎて心臓麻痺で亡くなった老人の記事が新聞に載ったりするほどの、大騒ぎ状態でした。ただ、力道山本人の存在感というは、小生が子供だったからでしょうか、あまり感じられませんでした。何処か、距離があるような印象でしたし、彼の本音が見えるようなコトは無かったように記憶しています。力道山が刺された時も、なんだかキツネにつままれたような事件で、直後のニュースでも、まさか死に至るとは想像も出来ませんでした。後に、力道山が朝鮮人だったコトを知ったのですが、その時は、まだまだ発展途上だった日本の暗い闇の部分に触れたような気がしました。個人的な力道山に関しての印象はそんなモノなんですが、この映画で彼の苦悩の部分も多少は分かったような気がします。ただ・・・力道山はプロレスを立ち上げる時に、本当にあんなコトを言ったんでしょうか?「オレは朝鮮人でも、日本人でも無い!世界人だ!」という彼の主張は分かりますが、この映画にはその発言裏付ける部分が希薄です。それは、力道山と力道山の後見人、藤竜也演じる菅野武雄との関係の描き方がイマイチ中途半端ですし、彼が朝鮮から日本に渡ってきた部分も描くべきだったんじゃないでしょうか?個人的には、力道山と菅野武雄、そして中谷美紀扮する綾の3人の確執にギュっと焦点を当てた方が良かったと思います。全体的にボヤけてしまった印象が残りました。また、『キル・ビル』の時にも思ったのですが、日本語で演技が行われるのなら、その部分だけは日本の録音技師を使った方が良いと思われます。『キル・ビル』の時と同じように、この映画も日本人の役者が発する言葉が聞き取り辛いです。誰か教えてやれよ!
今年のアカデミー賞作品賞の有力候補だった『ブロークバック・マウンテン』は、とても美しい映画でした。この作品はゲイの二人を描いていますが、そんなコトは関係ありません。人が人を好きになるのに理屈は要りませんし、相手を求める狂おしい気持ちは異性だろうと同姓だろうと変わりません。その狂おしい心の発露がストレートに伝わって来ました。人を好きになるのは心だけじゃないですし、ましてや身体だけでも無い!でも、そのどちらかが欠けても満足は出来ません。主人公の二人は道ならぬ恋に身を委ね、そんな自分を受け入れていいのか?受け入れたいのか?既に受け入れているのか?心と身体の葛藤が切ないくらいに迫ってきて、涙がこぼれそうになりました。もちろん、オイラは全くのノンケですから、これからもそんな状況に出会うことは無いでしょう。それでも、二人の関係が切なくて・・・そこには、純粋に人を愛する姿があり、それはやっぱり美しいモノなのでしょう。
デッカード
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