Deckard's Movie Diary
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2005年05月21日(土)  キングダム・オブ・ヘヴン

いい加減、辟易している最近流行の史実モノ!と見られている『キングダム・オブ・ヘブン』。まぁ、仕方ないですね・・・ただ、監督がリドリー・スコットだったので腐っても『ブラックホーク・ダウン』っつー感じで(いいのかぁ?)観に行って来ました。『キングダム・オブ・ヘヴン』。

なるほど!さすが、リドスコです!ストーリーが地味なので、勧善懲悪の活劇物を期待する観客には不満が残るでしょうけど(それでも合戦シーンには観るべきモノがありますが・・・)、個人的には気に入りました。何と言っても今だからこその意味あるストーリーに好感触でした。また『グラディエーター』の時には妙に洗練された映像を撮っていたリドスコが今回は渋〜く決めてくれています(笑)。確実に言えるのは、このストーリーではアメリカでは全くウケないでしょうね(苦笑)。

優男の印象が強いオーランド・ブルームですが、今回は男も惚れるキャラクターを美しく演じています。また『ドリーマーズ』でも魅力的だったエヴァ・グリーンですが、妖しい瞳でエキゾティックな香りを振りまいています。レイチェルとプリスを足して2で割ったような印象とでも言うのでしょうか・・・とまぁ、褒めてはいるのですが、大いなる不満が残ります。登場人物の内面の描き方があまりにも蔑ろなんですよ。『ブレードランナー』でアレだけの世界を作り上げながら、キチンと人間の内面に迫ったリドスコが、こんなにも薄っぺらい描き方というのは、ちょっとガッカリでした。DC版があるのなら、早く観てみたいです。


2005年05月17日(火)  ベルンの奇蹟 海を飛ぶ夢 インファナル・アフェア3

とにかくサッカー物に弱いです。だから『青春とはなんだ』よりも『これが青春だ』ですし、『でっかい青春』よりも『すすめ青春』です(わっかんねぇだろうなぁ〜)。というワケで『ベルンの奇蹟』です。オイラが生まれた年のワールドカップでドイツ代表が起こした奇蹟は、敗戦に打ちひしがれるドイツ国民に大いなる勇気を与えた出来事だったようです。日本でも、戦後まもないロンドン・オリンピック(敗戦国のドイツと日本は参加を許されなかった)での水泳競技会と同じ日に日本で競技会を開催して、遠く離れたロンドンでの決勝記録を大きく上回る記録を残して溜飲を下げたように、スポーツというのは不思議な力を持っているモンなんですよね。物語はちょっとチグハグな印象が残るものの、気に入りました。一番良かった部分は、とにかく美術が素晴らしいです。特にラストのベルンでのサッカーシーンが良く出来ているんですよねぇ!プレイも今のようなトータル・フットボールじゃなくて、古臭くて良いです。他にも、敗戦国ドイツの中でのアメリカナイズされたスノッブな生活シーンとか、興味深い場面も多く観て損はないでしょう!



『海を飛ぶ夢』です。この映画の狙いが何処に在るのか・・・オイラには一生分からないと思います。メチャクチャ底の浅いドラマにしか感じませんでした(; ̄ー ̄川 アセアセ

基本的な疑問として、何故に多くの周りの人々が彼の自殺を止めようとするのか全く理解出来ません。彼は五体満足で自殺サイトで仲間を募って集団自殺しようとしているワケじゃありません。四肢麻痺の状態で30年も!30年も!生きて来たんですよ。好きなようにさせてあげればいいじゃないですか!(まぁ、宗教上の問題なんですけどね・・・)

遠い昔、田宮二郎扮する直江先生は言いました。「出来ることなら私が代わってあげたい・・・それは、自分がその人間と絶対代わることが出来ないのを知っているから言ってるんだ!」。そんな言葉が思い出されました。主人公ラモンの周りにいる多くの人間は自己満足ばかり欲している自分勝手な奴らです(家族は違うんですけどね)。

物語の最初の方で、DJの女性がラモンのところにやってきて、彼女の言葉を聞いたラモンがコテンパンにやっつけます。「おお!これは、ちょっと期待出来るぞ!」と思ったのですが、物語はそこから全く前に進みませんでした。125分の間、延々と同じことを手を変え品を変えです。

コテンパンにやっつけた後はもっとラモンの内面に迫ると思ったのですが・・・彼は自分の置かれた状況を把握した後、いつから死にたいと思っていたのでしょうか?その日からなのでしょうか?5年後からなのでしょうか?10年後からなのでしょうか?それでも死ななかったのは何故なんでしょうか?何か希望があったのでしょうか?何か生きがいはあったのでしょうか?何かやりたいコトがあったのでしょうか?それとも、友人知人に励まされたからでしょうか?ただただ惰性に流されるままだったのでしょうか?自分だったら、とても30年も生きてられません。どうせなら、もっとラモンの内面にグイグイと突っ込んで欲しかったです。抽象的な表現だけで満足出来ません。

この映画の収穫は驚異的なアレハンドロ・アメナーバルの演出力だけでした。自分は編集者・フリアみたいな人間ですから、とやかく言う資格はないかもしれませんけどね。


めちゃくちゃ期待していた『インファナル・アフェア3〜終極無間』。なんだかなぁ・・・方向は悪くないんですけどねぇ・・・っつーか、ケリー・チャンとか出すなよ!一番要らない部分をフューチャーするとは(苦笑)。このストーリーの骨子は十分理解出来ますし、最初に言ったように方向性は間違って無いと思いますが、前2作の切れ味が全く無く、ただダラダラと描かれています。全編に渡って、同じスタッフが作ったとは思えないほど緊張感がありませんし、エンディングもどうしようもなく金魚のフン状態です。また、今作で初登場となったレオン・ライも可愛そうなくらい存在感が(本人の魅力とは関係無く)ありません。正直な話し、出来れば観たくなかったですね。自分の中では無かったコトにします。キッパリ!


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