Deckard's Movie Diary index|past|will
数々の話題を巻き起こしている『華氏911』。この映画はジョージ・W・ブッシュに対して真正面から片手に敵意を、片手に侮蔑を掲げて作られています。もちろんジョージ・ブッシュとそれを取り巻くカネの亡者達は完璧なる戦争犯罪人(っつーか、悪魔だろ!)ですから、当然のお仕置きです!ただ、ブッシュ批判だけの作品だったらカンヌでパルムドールは取れないでしょう。裕福と狡猾、貧困と無知、クソくだらねぇ選民意識・・・真のメッセージはそこにあります。映画としての完成度は『ボウリング・フォー・コロンバイン』には及びませんが、それは、おそらくマイケル・ムーアの拳が怒りに震えていたからでしょう。描かれているコトのほとんどは公になっている事実(怪しいモノもありますが・・・ボソ)ばかりですが、観る価値は十分にあります!ドキュメンタリーだろうと、創作だろうと、そんなジャンル分けはどーでもイイんです。要は、作者が何を伝えたかったのか?マイケル・ムーアのメッセージは多くの人々に間違いなく伝わるでしょう。しかし、世の中には『スターシップ・トゥルーパーズ』を反戦映画と受け取る人も居るように(苦笑)、悲しいかな、これほどまでに明快なメッセージさえも伝わらない人が居るんですよねぇ・・・。
『TOMORROW/明日』『美しい夏キリシマ』に続く黒木和雄監督の戦争レクイエム三部作の完結篇『父と暮せば』。今回は前二作と打って変わって戦争の悲惨さをストレートに訴える台詞劇になっています。原作が井上ひさしの戯曲というコトもあり、ほとんどのシーンは原爆で焼かれた家(旅館)の一角で演じられ、さながら舞台劇を観ているように原田芳雄と宮沢りえの二人劇として進んでいきます。広島弁で交わされる二人のやりとりは時にあたたかく、そして切なく、時に微笑ましく、そして悲しくもあります。テーマは分かりやすく、演出にも不足はありませんが、例によって地味すぎてモノ足りません。被爆というトラウマからの脱出、生きていく糧になる出会い、その為の父の役割等・・・もっと映画的手法を使ってドラマティックに描いた方が良かったんじゃないでしょうか。もちろん悪い映画ではありませんが、ベタな話だけにあざとく描いてくれた方が観ている方としては、安心してドップリ浸かれるというモンです(苦笑)。どうにも作りが真摯過ぎて固いんですよねぇ。魅力的な話だけに惜しいなぁ・・・ボソ。さて、宮沢りえです。確かに上手くなりましたし、広島弁の長台詞もしっかりと自分のモノにしています。それでも、演技だけで人を感動させるほどの力量にはまだ足りません(だからと言って、この役を宮沢以上に上手く演じられる若手の役者が居るとも思えませんが(⌒o⌒;A) すっかり“女優”という仕事が板についてきた宮沢ですが、この映画は彼女にとって“素晴らしい女優”になる可能性を感じさせる作品でした。
見終わった帰り道、「プレデターが自爆した時の爆発って大きかったようなぁ・・・キノコ雲上がってたし・・・アレでシュワちゃんが生きてるってオカシイよなぁ・・・そう言えば、先日観た『プレデターvsエイリアン』の予告編・・・アレはヤバそうだなぁ・・・」な〜んて、考えながら歩いてました。真相は・・・『IZO』を観ると言っていた友人に携帯メールを送ろうと思い、その文章を考えていたワケです。え、わからない?(当たり前やがなぁ(笑))つまりですねぇ!この映画は近年最強の地雷映画なんじゃないかと思い、その強力な地雷の威力をどう表現しようか考えていたんです(バカですねぇ)。というワケで『IZO』は“プレデター自爆級”の超ヤバい地雷映画です。武知鎮典+三池崇史はこれまで『許されざる者』『荒ぶる魂たち』『新・仁義の墓場』等で一緒に仕事をしていますが、この作品は全くの異質の映画になっており、救いようの無い駄作として仕上がっています。70年代に道端に転がっていた出来損ないの前衛映画のような、しょーもない描写に終始します。あの頃は三上寛でしたけど、今回は友川かずきですか・・・なんだかなぁ(苦笑)。今どきこんな時代錯誤な映画を作る人が居るんですねぇ。観客の半分は上映中に昏睡状態ですし、場内から出ると次の回を期待に目を輝かせて並んでいる人々と目を合わすことすら出来ない・・・っつーか、うなだれていたからか!(爆)しっかし、この時代に“天誅”するつもりなら相手を曖昧にしないで、もっとキッチリ落とし前をつけろ!てんだぁ〜。空前の豪華キャストの皆さんも、くだらねぇ仕事を受けたモンですねぇ!“オールスター・スーパー・カルト・ムービー”ですってぁ?・・・アホか!ところで桃井かおりって外反母趾ですか?
決壊したスクリーンから濁流のように溢れ出てくる氾濫した映像、全てのシーンに異常なテンションを張り巡らし、耳をつんざくばかりの轟音が絶え間なく襲ってくる・・・椅子に固定されたまま、ゴーグル型のディスプレイ装置をかけられ、数分の間に何人もの人生を力ずくで見せつけられたような・・・とにかく凄まじい勢いのハイブリッド・アニメーション(って、言うんですって)でした。観終わった後にここまで脱力感に襲われたのも久しぶりです(苦笑)。まさにアニメでしか表現出来ない手法で42・195キロを全力疾走したような映画でした。簡単に言ってしまえば『モーレツ!大人帝国』を3倍速で3回続けて観たような感じでしょうか(観たくねぇ〜!)。物語の繋がりがイマイチ曖昧なトコや、コテコテの関西風味や、中盤ダレる部分もありますが、観て損はないでしょう(損しても知らないよ!)。この映画が只者では無いのは、単に強引なイメージの羅列ではなく、時々ハッとするような繊細な部分を鮮やかに描いたり、郷愁を誘う部分を嫌味のない程度に上手く融合しているからなのだと思います。それにしてもアレだけの出来事をよくも詰め込んだモンです。観客はどの程度理解出来るのでしょうか?オイラの後ろに座っていた中学生と思える二人・・・ほとんど分からなかったと思いますよ。おそらく40代以上の人には直球ど真ん中でしょう。ただ、そういう年齢の人間にとってはかなり疲れる映画であるのは間違いありません(苦笑)。
『機関車先生』はカネボウ化粧品のキャンペーン“クッキー・フェイス”のCM演出家であり、ユーミンの“水の中のアジア”等の舞台演出家でもあり、“伊達歩”のペンネームで有名な作詞家でもあり、あの夏目雅子をダマクラカシタ(デヒ〜)伊集院静の原作です。夏目雅子と言えば白血病で亡くなった不出生の女優ですが、早慶戦で慶応側が早稲田に「医学部も無いくせに〜!」とヤジを飛ばすと、早稲田側は慶応病院で亡くなった夏目雅子を引っ張り出し「夏目雅子を返せ〜!」とやり返したのは有名な話です。って、何の話だよ!え〜、夏目雅子と言えば瀬戸内海です。で、この話も瀬戸内海の小島が舞台です(´―`)┌ ヤレヤレ…。というワケで、けっこう評判が宜しいようなので、邦画応援団としてチェック入れてきました(苦笑)。ストーリーは、剣道の試合で口が聞けなくなってしまい、教職という仕事に挫折した若い先生(坂口憲二)が代用教員として母の生まれ故郷にやってくる・・・という話です。数年前にアニメで映画化されましたが未見です。監督は昨年『ヴァイブレータ』で高評価を獲得した廣木隆一。以前から暖めてきた企画だったらしく、かなりの力が入っていたようですが、力不足を露呈してしまいました。やはり、ピンク映画育ちの監督には男と女の話の方が向いているのでしょう。物語の筋道は難しくないので描こうとしているコトは分かりますが、演出がヌル過ぎて心に響いて来ません。主人公は口が利けませんから必然的に寡黙なシーンが多くなりますし、喋れない分、表情を要求されることも多くなります。しかし、その表情を坂口憲二にそれを求めるのは酷と云うモンでしょう。また、肝心の子供達との結びつきが弱過ぎてピンと来ません。ほとんどのエピソードは描き方が単調で拍子抜けしてしまいます。自分の信条を覆して決心するラストのエピソードも全く説得力がありませんでした。っつーか、意味わかんねぇ〜!どちらにせよ演出なり、脚本なりが対象物にもっと踏み込んで行かないと人を感動させるような映画にはならないでしょう。因みに、校長役の堺正章は良い味を出していました。それとロケーションが美しかったですねぇ!
はっきり言ってショーモナイ映画です。何がダメって、国際救助隊なのに救助する話になってないんです。え?最初に救出シーンがあるだろ!ってぇ?ふざけんなよ!あんなのただの説明じゃん!だからさぁ!『サンダーバード』って国際救助隊でしょ!違うの?人々を救助する中で話を作れ!てんだぁ〜!って、思うオイラがオカシイんですかね・・・ オイラが云いたいのはアランの成長物語でも、仕上がりがキッズ・ムービーでも、設定が多少変わっていても全然構いません!でも、ストーリーの軸になるのは人々を救助している話にして欲しいんですよ。だってね、『サンダーバード』ってのは、とある場所で事故や災害が起きて、危険な救助作業をしていると、些細な人間のエゴや欲がさらに過酷な状況を作り出し、それでも何とか救助に成功する!ってのが、基本じゃないんですかぁ!で、親父(ジェフ)は基地で的確な指示を出し、スコットが操る1号が現場で指揮を取り、バージルの2号が困難な救出作業を行う!ってのがパターンで、兄弟(スコット1号、ジョン5号、バージル2号、ゴードン4号、アラン3号)が基地に居る親父に向かって「パパ!」と呼びながら刻々と救出作業を遂行するところに、この番組の魅力があったんですよ。当時、アットホームなファミリーを感じさせながら困難に立ち向かう姿は子供心にも響きましたよ。ああ、それなのに!この映画と来たら、救出作業なんてな〜んも関係ないし、兄弟もほとんど無視!ただただスパイキッズ&グーニーズ風味に終始しており、メチャクチャ何じゃこりゃ!的作品です。だいたい2号がコンテナを選ぶシーンが無いじゃないですか!(もし、あったのなら御免なさい!途中あまりにつまらなくてウツラウツラしちゃったんで・・・(⌒o⌒;A))で、色んなところで「キッズ・ムービーとしては云々」って評価があるんですが、オイラはキッズ・ムービーだとしてもダメダメだと思いますよ。これだったら『ガオレンジャー』のが圧倒的にマシですよ。この映画だと『サンダーバード』のカッコ良さ、つまり“救助隊”としてのアイデンティティが曖昧ですから、メカに関して及第点は出しても映画全体を通しての“サンダーバード”のイメージが残りませんよ。っつーか、この程度で「キッズ・ムービーとして良く出来てる」なんて、キッズを馬鹿にし過ぎ!子供はそんなにアホじゃないです。
この夏、物凄い勢いで宣伝している『リディック』。まぁ、想像している通りの映画でした。原点である『ピッチブラック』ほどのアイデアはありませんが、個人的にはヴィン・ディーゼルって嫌いじゃないんで、十分楽しみました。それにしても、監督(『グランド・ツアー』『アライバル』『ピッチブラック』『ビロウ』等、脚本家としては『逃亡者』『ウォーターワールド』『GIジェーン』『クローン』)としては大した実績の無いデヴィッド・トゥーヒに170億円も任せちゃうってのがなぁ・・・やっぱ、ハリウッドはすげぇ〜や!それなりに面白かったとは言え超低予算の『ピッチブラック』の続編がまさかこんな大作に化けるなんてねぇ(苦笑)。ところでデヴィッド・トゥーヒの評判の宜しいデビュー作『グランド・ツアー』って未見なんですけど山形TVが全額出資しているって本当なんですか?誰か教えて下さい。
なんとももったいない!あまりにも中途半端な作品になってしまいました。言いたいコトは分かるんですけど、もっとしっかりと噛み砕かないと誰も納得しないよ!と、諭してあげたくなりました。邦題は『歌え!ジャニス☆ジョプリンのように』ですが、この原題って『ジャニスとジョン』なんですよ。そのワリにはジョン・レノンがないがしろですし、他の全てのエピソードもとってつけたような印象です。冴えない中年ロッカー役のクリストファー・ランバートなんか、いい味を出してるんですけどねぇ・・・。この映画が完成する直前に当時の恋人だったロッカーに突き倒され急死するという悲劇に見舞われてしまったマリー・トランティニャンですが、レノン役のフランソワ・クリュゼも、監督のサミュエル・ベンシェトリも元々はマリーの恋人だったそうで、さらに父親のジャン・ルイ・トランティニャンも出演していて、まさに関係者一同が集まった作品と言えます。マリーはかねてから歌手の役をやりたがっていたそうで、そういう意味では念願叶った役どころだったんでしょう。その想いはラストでのジョプリンに成りきっての♪コズミック・ブルースに現れています。それだけに、なんだかなぁ・・・の想いが残ります。フランス制作でモチーフがジャニス・ジョプリンで挿入される歌はブリティッシュ・ロック(テン・イヤーズ・アフター、ドノバン、Tレックス等)ばかりというヘンテコなコラボレーションは、やっぱりイマイチでしたわ(苦笑)。
これはもう何て言いましょうか?ベルトルッチの新作『ドリーマーズ』ですが、ただのアホな若者の色狂い映画にしか見えませんでした(って、そりゃ、幾らなんでも言い過ぎだろ(笑))。まぁ、とにかくしょーもない内容です。元々ベルトルッチってあんまり魅力を感じないんですけど、今回は68年5月革命前夜のパリを舞台にした青春モノだったので観に行ったんですが、これが飛んだクワセモノでした(笑)。シネマテーク・フランセーズの入り口から目の前に見えるエッフェル塔を延々とパンダウンした映像にスタイリッシュにタイトルがINするし、ジミ・ヘンの♪サード・ストーン・フロム・ザ・サンなんてマニアックな名曲で始まったりするし、シネマテーク閉鎖のシーンで当時のジャン・ピエール・レオのアジテーションに現在のレオを同じ動きで重ねたりするし、けっこういいじゃん!と思ったのも束の間、その後はだらだらと若者3人のデタラメな生活ぶりを描いてるだけでウンザリ!裕福な家庭に生まれて親のスネを思いっきり齧っているのに、例によっての親批判とか、不安定で青いから奔放な性にハマっちゃうのぉ〜とか、そりゃ若い時なんてそんなもんだけど、今更それだけじゃなぁ・・・ヌル過ぎるよ!ベルトルッチもいよいよ呆けて来たんかなぁ・・・(笑)。良かったのはヒロインを演じるエヴァ・グリーン。何処かで見たことある面影だなぁ・・・と、思っていたら『雨の訪問者』のマルレーヌ・ジョベールの娘だそうで、血は争えないモンですなぁ。なかなか魅力的なオーラを振りまいてました。
最近のバレエを題材にした映画って、どうしてつまらないんですかねぇ?(って、オレだけだったりして・・・ボソ)昔はもっと面白かったと思うんだけどなぁ・・・今回は『ゴスフォード・パーク』で会心の手腕を見せ付けたロバート・アルトマン作品なんで多少は期待したんですが・・・やっぱりダメでした(⌒o⌒;A。『バレエ・カンパニー』はバレエを生業としている劇団(カンパニー)の人間模様の上辺だけをスケッチしたシロモノでした。群像劇はアルトマンお得意の分野ですが、悪い癖が時折出ます。今回はその典型的なパターンでしょう。様々なスライス・オブ・ライフを積み重ねるのですが、結局のところナ〜ンも描いてないんですよ。ひとつでもキチンと突っ込んでいれば他のモノまで輝いて見えてくるとは思うのですが、どれもこれもサラ〜っと上澄みだけをすくっているので、全編を通して薄っぺらい仕上がりになってしまいました。主演のネーブ・キャンベルは今までのイメージからガラリと変身した役柄ですが、元々カナダの国立バレエ学校の出身(ノイローゼになって退団したそうです)だそうで、今回は企画・製作を兼ねて念願叶った作品だったのでしょう。嵐に見舞われた中で彼女が男性と二人だけで演じる野外公演のシーンは素晴らしい限りですが、ラストの蛇をモチーフにした作品はどうなんですか?オイラは、バレエは全くの門外漢なので単なる疑問なんですが、アレって面白いんですかねぇ?アレだったらバレエよりミュージカルの方がピッタリ来るんじゃないんですか?(って、書いてたら、意地の悪〜い見方をしている人から「アレはね、アルトマンがバレエをバカにする為の演目なんですよ」って言われました。な〜るほどねぇ!って、納得かよ!(笑)))
そりゃ、前作に比べるとインパクトはイマイチですが、それでも十分楽しめました。『シュレック2』です。相変わらず音楽のセンスが抜群で観ていて楽しいですし、色とりどりのパロディもクスッ!と笑えて嫌味のない仕上がりです。前作の世界を踏襲したストーリーも良く出来ていますし、CG映像も「ここまで進歩したかぁ!」と溜め息が出るほど美しい髪の毛(CGでは難しかったんですよねぇ・・ボソ)だったりします。確かに、長靴を履いた猫の活躍をもう少し見たい気もしますし、最後のオチもなんとな〜く見えちゃいますが、それでも続編としては好感触!個人的にはピノキオがツボでした。でも、あいつら・・・あんなに早く来れるはずないのになぁ・・・ぼそ(って、野暮は言いっこ無しよ(苦笑))。
デッカード
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