Deckard's Movie Diary index|past|will
『愛を乞う人』で映画賞を総なめにし、『ターン』であららぁ〜!となってしまった平山秀幸監督最新作『笑う蛙』。まぁ、それなりに面白かったです。一風変わったコメディで、舞台劇のような、ある意味密室モノとも言える映画でした。ただ、結局何が言いたかったのかわからないし、ちょっとアッサリし過ぎていましたね。おそらく原作(虜/藤田宣永)はもっとドロっとしているんでしょう。この手の映画って往年の今村昌平が上手かったんですけどねぇ。しっかし、大塚寧々って女優はワッカンネー女だなぁ・・・・ボソ。
「全然混んでないよー」という巷の噂を信じて、「観るのは秋でいいや!」って思っていたのですが、遥か昔の銀河系へ行ってきました。『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』。既に「お祭り」と化している映画シリーズの名に恥じない?作品でした。前半はかなりダルかったですけど、まぁ、後半はそれなりに・・って、感じです。豪華厚化粧の特撮はベタベタで、ストーリーなんかどうでもよくなっちゃいます。エピソード1の時からそうなんですけど、特殊技術映像等ばかりに気をとられていて、キャラクターがちっとも魅力的じゃないんですよ。笑っちゃうのは生身の人間が演じているオビ・ワン、アナキン、アミダラよりも、R2D2、C−3PO、ヨーダの3キャラのが魅力的(旧3部作からの財産があるので)に見えちゃうコト!色んなモンを背負い込んじゃって、所帯もでかくなっちゃったからなぁ・・・。それでも!美味い不味いは別にして、1800円分お腹一杯にはなるでしょう。噂に通り、50%の入りでした。今回はフィルムで観ちゃったので、後半だけDLPで観て来ようかナァ(笑)
昨年『GO』で映画賞を総なめした行定勲監督の新作『ロックンロールミシン』。全く面白くありませんでした(笑)。原作は鈴木清剛の三島賞受賞小説。仕事も恋愛も行き詰っている会社員の男が、ひょんな事から高校の同級生に出会う。彼は仲間3人とデザイナーズ・ブランドを立ち上げようとしていた。自由に生きている彼らに惹かれ、いつしか仲間になるが楽しい日々もいつのまにか・・・。って書いてるだけで、もうワカルでしょ!良くある青春モノですよ。やがて僕らは大人になった!みたいな。もちろん、その手のストーリーが悪いって言ってるワケじゃないですよ。どちらかというと好きな方ですけどね(苦笑)。「いつでも、みんなのミシンの音がまるでロックンロールを奏でるように響いていた。」ってパンフに書かれているのですが、その一番大事な「ロックンロール」がこの映画から全く聞こえてきません。タイトルはイイのにねぇ(苦笑)デザイナーズブランドを起そうと頑張っている3人の一生懸命さもまるで伝わって来ないし、全てが上っ面なんです。まぁね、行定のいつものパターン。「こんな感じッショ!」って作ってる風なんですよ。ガツン!と対象に踏み込んでみろ!っつーの。彼に監督賞を上げた連中は考えて欲しいもんです。監督作の『ひまわり』『贅沢な骨』等、観たことあるんすかねぇ。奇しくも『GO』の脚本を書いた宮藤の新作『ピンポン』が素晴らしかっただけに、その功績がどちらにあったか一目瞭然!
本年度、邦画ベスト1決定!松本大洋原作、宮藤官九郎脚本、曽利文彦監督、その名は『ピンポン』だぁ!これこそ、今の映画!今の青春映画!昨年の『ウォーター・ボーイズ』よりも圧倒的に完成度が高く、『GO』よりも格段に愛着が持てる。宣伝コピー「とまらない胸の高鳴り、究極の青春映画ここに誕生!」まさにコピーの通り!臭いセリフも、あざといポーズも、ベタなストーリーも、全てOK!ついでに竹中も許す(笑)。お馴染クドカン(宮藤官九郎)の時空を越えるシナリオが、VFX得意の曽利監督らしい演出と心地よいスーパーカーの音楽に彩られ、さらに密度濃く仕上がった素晴らしい作品!緩急のテンポも気持良く、全く無駄がない。ジワっときて、けっこう泣いちゃいました。スポ根モノってやっぱイイや。青春モノとしては近来稀にみる傑作でしょう!もう1回観に行きます。ボーン♪
それまで刺身のツマみたいな扱いだったハル・ベリーがアカデミー主演女優賞を受賞した『チョコレート』。差別にまみれ、お決まりのコース(旦那が刑務所)から貧乏&子持ちの黒人女性と男尊女卑&人種差別丸出しの白人男性の恋物語。社会の底辺で生きている人間と、それなりに恵まれた環境で古い因習を何の疑問も感じず受け入れている人間。言い方を変えれば、愛と誠。お嬢様とやくざ。女中(女郎)とボンボン。下男と奥様。まぁ、良くある話しと言ってしまえばそうなんだけど、この映画が表現として今までと違うところは、二人の結びつきをSEXそのものに起因させた点にあるんじゃないでしょうか。基本的にはある種のカルチャー・ショックが相手を虜にするっつーワケです。R−15だか17だかの規制がついたSEX描写は生々しく、何処からか、昔懐かしいATGの香りがしたハリウッド映画でした。
デビュー作『ビフォア・ザ・レイン』でベネチア金獅子賞他10部門受賞、さらに各国で30以上の賞を獲得したミルチョ・マンチェフスキーの7年ぶりの新作『ダスト』。予告編から不可思議な映像の連発で、かなり興味をそそられていたのですが・・・まぁ、『ビフォア・ザ・レイン』も一風変わった時間軸でしたからねぇ。前作は個人的にはちょっとダルかった印象でしたが、本作は・・・?こっれはスゲェ!っつーか、良くぞ映画化した!というか、20世紀の100年に渡る物語をビシっとまとめた監督の演出力に完璧に脱帽!前半は物語が散らばっていて、ちょっと取っつき難いのですが、中盤からは全ての登場人物がボディブローのように体の中に沁みこんできて、物語は大きい波のうねりと変貌します。それにしても、よくもこんなストーリーを考え出すなぁ。考えたとしても、まとまらないものなぁ・・・・ボソ。胸の深いところでジワっと泣けました。映画の宣伝コピー「誰か、私という物語を覚えていてほしい。」が身に沁みます。万人ウケはしませんが、カルト・ムービーとして世に残っていく映画でしょう。惜しむらくは銃撃シーンが長くて、ちょっと閉口しちゃったかも・・・・。
2000年度のチェコの最優秀作品賞を受賞し、アカデミー外国映画賞にもノミネートされた『この素晴らしき世界』。久々の岩波ホールです。ナチス支配下のチェコで暮らすヨゼフとマリエの夫婦、そして彼らを取り巻く様々な人達。チェコが解放されるまでの歳月を思いやり深く描いています。この映画は戦時下における普通の人々の弱さ、強さ、狡さ、賢さを、哀しくも可笑しい人間の本質として、等身大の目線でとらえています。人って、自分を取り巻く状況によって、いい人にも悪い人にもなっちゃう小市民なんですよねぇ。はい、告白します。この映画のあちこちに自分が居ました(笑)ラストは複雑ながらも、清々しい感動に溢れ、「ああ、観てよかったなぁ・・・」という気分になりました。何だかんだ言っても、人間って逞しいッスよ。しかーし!この邦題はどうにかならないんすかねぇ。原題は「私たちは共に助けあわねば」。ホルストのマルコ伝からの有名な言葉「手を携えよ、さもなくば滅びん」からきているそうです。まぁ、この映画自体、ある意味かなり宗教色が強いですから、その辺がハナにつく人もいるかもしれません(苦笑)
40代に入ってから記憶障害と闘い続けている小生は、最近、観たことのある映画か、否か、区別がつかなくなっているようで・・・・お恥ずかしい限りです。トホホ。で、今回のお題映画は『ケンタッキー・フライド・ムービー』。観た記憶はあるんだけど、ハッキリして無い部分も・・・・で、確認しに行ったのですが、これがもう3分の1くらいは完璧に観てるんですよ。でも、残りの3分の2がねぇ・・・。77年作ですけど、公開はいつなんだろう・・・。小生は社会人になったのは78年。その頃、会社の2年先輩に超ヘンテコな人が居まして、とある大学院で助手の経歴がある人なんですが、この人のやってた研究?っていうのが、教授が外国から買ってきた8ミリを4分の3のビデオに綺麗な色のまま変換するという、今で言えば「テレシネ」という作業でして、で、8ミリの中身ってのはほとんどがブルー・フィルムって奴ですから、それをまた横流ししたりして小遣いを稼いでたような輩で・・・って、文章が終らなくなっちゃいますので、止めますが、その人がブルーフィルムの他に教授から御褒美でもらっていたのが洋画のビデオ(もちろん4分の3)だったワケです。一体何が言いたいのかというと、その頃ってのはマジで忙しく、でも新しい映像や表現には飢えてましたから、暇があれば、何でもかんでも観てたんですよ。で、そのドタバタな時期に『ケンタッキー・フライド・ムービー』もそんな怪しいビデオの中から掻い摘んで観てたんじゃないかなぁ・・・と、だから中途半端な記憶になって残っている!と結論を出しました。(出しちゃったよ!)映画は懐かしかったですねぇ。若かりし頃の悪戯を見ているようでした。まぁ、その後のヴァラエティ番組で使い古されたようなネタばかりですけどね。しっかし、オイラの隣で観てた20代と思しきデブ女3人組。最初からズーっと笑いっぱなし!グリーンドアもキラーハットも知らないだろうに!ヘンなの?
知り合いの女性二人が一緒に観に行って「とっても良かったよ!」と言っていたので、ひょっとしてヤバイかも?(って、何故なんだ!)って思っていたら、ヤバかった!(笑)映画名は『ガウディ・アフタヌーン』。だって、ワザとらしい事ばかりなんだもーん!だいたい何故にガウディ?それに、どう考えても無理のあるキャラ&ストーリーのオン・パレード!全く共感できる部分はありませんでしたねぇ。それでも、女性にはウケるんすかねぇ?
『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ監督最新作『ラッキー・ブレイク』。誰かが言ってましたが、刑務所モノが続きます(笑)ストーリーは、脱走する為にミュージカルを上演する囚人達の物語。『フル・モンティ』を期待するとガッカリしちゃいますが、普通に面白いです。ただ、全体に温いんですよねぇ。長く感じちゃう。基本的に、予定調和なストーリー展開は見えてるんで、どうやって観ている者を引っ張るか!ってコトになるんですけど、その辺りの魅力に乏しいんですね。それはやはり、普通の恋愛モノに話しが寄りかかったからじゃないのかなぁ・・・・。
評判が良くて単館から2館になった『es』。映画の元ネタは1971年、米スタンフォード大学で行われた実験で、新聞広告で集められた24人を無作為に「看守役」と「囚人役」に分け、それぞれの役割を演じさせる事。当初2週間の期間が予定されていたのだが7日間で終了。その後、この実験は禁止!一体何が起きたのか?で、この映画がその実態のようなモノを描いてるみたいんなんですけど・・・。観終わって最初に思ったのは「こんなに人間って馬鹿なの?」。まぁ、オレが楽観主義者なんでしょうけどね。ちょっと強引な展開に納得出来ませんでした。またサイドストーリーの部分は全く不要!
けっこう面白いじゃん!巷の評判はあまり宜しくない『ブレイド2』。確かにハリウッドでのワイヤー・アクションの火付け役になった前作に比べると、ドニー・イェン演出のアクションシーンはググっと引っ込んじゃったので、ある意味別の映画?って感じですけど。でも、個人的にはこちらの方が好みだなぁ。ストーリーはさておいて(笑)、中々魅せます。暗いシーンが多くて眠たくなる・・・という意見もごもっともですが、映像としては『遊星からの物体X』『エイリアン2』辺りに近いモノもあります。ラストシーンもけっこう好きだったなぁ。まぁ、CGアクションはいただけなかったけどね(笑)
全く印象に残ってないんですよねぇ、ビッグコミックスピリッツで連載されていた松本大洋原作の『青い春』。映画は監督・脚本:豊田利晃、主演:松田龍平。予告編で見て、「こういう映画なのかなぁ・・・・」と思ったとおりの映画でした。結局は何もない。ただ屈折した青春像を描写しているだけで、お決まりのラストが待っている。基本的に焦点が絞れていません。グループなのか?二人なのか?不良の青春なのか?不良の友情なのか?まさか不良グループの中の二人の友情モノだったりして?だとしたら陳腐だなぁ。シーンだけを追ったってそんなモノは描けませんよ。定点で朝まで撮影する事にナンの意味があるのかサッパリわかりません。でもこの映画の一番ダメな部分は被写体(描くモノ)に対して愛が感じられないところ。自分が描くキャラ、自分が作り出すキャラ。もっと深く考えてあげれば、もっと魅力的なキャラになると思うんですけどねぇ。別に「語れ!」と言ってるんではなく、役者の表情一つで変わることだってあるんですから。
『アイ・アム・サム』で役者としての存在感を見せつけたショーン・ペン監督作第三弾『プレッジ』。細部に渡って実に丁寧な作りで、一滴の水も漏らさぬような緊張感のあるシーンが幾つも積み重なり、まるで無数のカットで構築された木造建築のようです。中盤からは、計算されつくしたカットバックの挿入によって、真綿で首を絞めるかのように観ている者を不安の中にどんどん閉じ込めていきます。物語は、雪の夜に一人の少女の遺体が発見され、その母親と真犯人を突き止める約束(プレッジ)をした退職間近の刑事。事件を解明していくうちに・・・。本当に良く出来た映画なんですが、前半部の一番大事なシーンが意外とアッサリしていて、後半までそのシーンの印象が持続しませんでした。またラストシークエンスはかなり好き嫌いが分かれるでしょう。個人的には、あんまり好きじゃないです。しかし、この映画は主演のジャック・ニコルソンを始め、サム・シェパード、ロビン・ライト・ペン、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ミッキー・ローク等、観ておいて損はない豪華役者陣なんですよ。極めつけはナンと言ってもデル・トロさん!す、す、凄いッス!
デッカード
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