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2004年01月18日(日) 映画よろず屋週報 Vol68「愛すべきツインズ」

*****映画よろず屋週報 Vol68 2004.1.18*********************

1945年1月18日、
映画評論家“おすぎ”と
服飾評論家“ピーコ”の姉妹が生まれました。
私はファッションには全く疎いので、
ピーコさんの毒舌コメントの数々が当を得たものかどうか、
全くわからないのですが、
おすぎさんの映画評を聞いていると、
映画評論家というよりは、
映画にとっても詳しい毒舌タレントだと思っていた方が
腹立てずに楽しめそうだなといつも思います。

そんなお二方に因み、双子が登場する映画を特集してみましょう。

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ジーンズ 世界は二人のために
Jeans

1998年インド S・シャンカル監督

インドからアメリカに渡り、
レストラン経営で成功した父親を持つ
双子の医大生ヴィスとラム(プラシャーント二役)。
ヴィスは、たまたまアルバイト先の空港で知り合った
美しいインド女性マドゥを見初め、結婚を考えますが、
父親に猛反対されてしまいます。
そこには、自分自身双子だった父親の
若き日の辛い経験が裏打ちされていたのでした。


くちづけはタンゴの後で
Mrs. Winterbourne

1996年アメリカ リチャード・ベンジャミン監督

家出の後、ロクデナシ男にひっかかって、
妊娠して捨てられたコニー(リッキー・レイク)は
リッチで親切なカップル
ヒュー(ブレンダン・フレイザー)&パトリスと
親しくなるものの、列車事故に巻き込まれてしまいます。
2人は死亡、コニーはお腹の子ともども一命をとりとめ、
誤解に誤解が重なり、「ヒューの嫁パトリス」として
大富豪のウィンターボーン家に迎えられます。
が、ヒューの双子の弟ビル(フレイザー二役)が、
コニーの素性を怪しんで……。


ハリー・ポッターと賢者の石
Harry Potter and the Sorcerer's Stone

2001年イギリス/アメリカ

ハリー・ポッターと秘密の部屋
Harry Potter and the Chamber of Secrets

2002年アメリカ
いずれもクリス・コロンバス監督
説明の要はなさそうな大ヒット作。
ハリー(ダニエル・ラドクリフ)の親友
ロン・ウィズリー(ルパート・グリント)は
7人兄弟の6番目で、
同じくホグワーツに通う兄が3人いますが、
(「秘密の部屋」では妹ジニーも入学)
そのうちの一組が、おとぼけコンビの
フレッド&ジョージ
ジェームズ&オリバー・フェルプス)です。
出番こそ多くないものの、独特の愛嬌ある存在感に
隠れファンも多いとか少ないとか。


グッドモーニング・ベトナム
Good Morning, Vietnam

1987年アメリカ バリー・レビンソン監督

兵隊の士気をあげるようなDJをという要請を受け、
ベトナムにやってきた
エイドリアン・クロンナウワー軍曹
ロビン・ウィリアムズ)と
彼を取り囲む人々の悲喜こもごもの物語。
軍の放送局には、
ニュース検閲係の大男の双子がいました。
ステロタイプにちょっと感心しない点もあるものの、
ユーモラスな描写は笑いを催します。


カラー・オブ・ハート
Pleasantville

1998年アメリカ ゲイリー・ロス監督

双子の兄妹デビッド(トピー・マッガイア)と
ジェニファー(リーズ・ウィザースプーン)は
恵まれない家庭環境の中、
それぞれ、50年代のテレビドラマと
男の子の気を引くことにハマっていますが、
そんな二人は、チャンネル争いの兄妹げんかの末、
なぜかデビッドご贔屓のドラマ
『プレザントヴィル』の仮想世界へと
紛れ込まれてしまうのでした。


2004年01月17日(土) マン・オン・ザ・ムーン

1949年1月17日、
アメリカの喜劇俳優アンディ・カウフマンが生まれました。
(1984年5月16日肺ガンのため死去)
日本では決してお馴染みとは言えない、
その上、アメリカでも本当に愛されていたのかどうか、
そんな人ではありますが、
1999年、伝記映画がつくられました。
それも、主演として配されたのは、
1962年1月17日に生まれた大人気コメディ俳優です。


マン・オン・ザ・ムーン Man on the Moon
1999年アメリカ ミロシュ・フォアマン監督

アンディ・カウフマン…ジム・キャリー
ジョージ・シャピロ…ダニー・デビート
リン・マーグリーズ…コートニー・ラヴ


幼少時代から、人を笑わせることが生きがい。
とはいえ、その芸風は一風変わっていて、
人気者というよりは、ただの変わり者だったアンディは、
寒いギャグ?で座を白けさせる芸人へと成長しました。
が、敏腕プロモーター、シャピロのマネージメントを得て、
テレビのレギュラーも獲得するに至り、
何故だか売れっ子芸人になってしまいます。

しかし、露悪的で心臓に悪い、
冗談とマジの境目がさっぱりわからないような
アンディの芸は、観衆からは非難轟々でした。
そのエキセントリックな振る舞いが災いして、
ショービズ界でも嫌われ、追放の憂き目に遭います。
その上、肺ガンの告知を受けてしまうのでした。
それすら、いつもの悪い冗談だと思われてしまうのですが、
気丈な恋人リンにも付き添われ、
東洋の心霊手術に身を任せるのでした……。

正直、芸人としての彼に共感や好感を覚える間もなく、
映画が終わってしまったというのが率直な感想です。
人間アンディ・カウフマンについても、
個人的につき合ったとして、
愛すべき人物だったと言い切れるかどうか、
全くわかりません。
だのに、これは間違いなく催涙映画でした。
何とも胸が詰まるような、独特な哀愁が漂っているのです。

エンドロールで使われるR.E.Mの映画と同名の曲も
お勧めポイントです。
本編を見ている間、全く感じなかったアンディへの愛着が、
なぜかこの曲を効いているうちに、徐々に湧いてきました。

IMDbで御確認いただければわかると思いますが、
このアンディ・カウフマンという男は、
顔もジム・キャリーにそっくりでした。
ジム・キャリーにこの役を振りたいという発想が
映画化が実現させたのではとさえ思います。
ルックスだけでなく、その演技もお見事でしたが、
例によって例のごとく、アカデミー賞ノミネーションからは
まるっきり無視されました。


2004年01月16日(金) 男が女を愛する時

1920年の今日、米国で禁酒法が施行されたことに因み、
本日1月16日は「禁酒の日」だそうです。

そこで、こんな映画はどうでしょう。
ロマンチック・コメディの女王の異名をほしいままにし、
ちょっとシリアス演技を見せると痛々しく見えてしまう
そんな“彼女”の個性が
この映画では、逆にある意味生きていた気がしました。


男が女を愛する時
When Man Loves a Woman

1994年アメリカ
ルイス・マンドーキ監督

アリス…メグ・ライアン
マイケル…アンディ・ガルシア
ジェシカ…ティナ・マジョリーノ
ケイシー…メイ・ホイットマン


パーシー・スレッジの同名曲が
そのまま映画のタイトルになっています。
(余談ですが、10年ほど前、
マイケル・ボルトンのカバーバージョンが、
石油会社だったかのCM曲として
使われていたと記憶しています)


子持ちの小学校教師アリスは、
パイロットのマイケルと出会ってすぐに恋に落ち、
再婚して2人目の子供を設けます。

賢い姉娘ジェシカと、甘ったれでかわいい妹娘ケイシー、
ハンサムで優しく仕事もできる夫に囲まれ、
アリスの暮らしは、何不自由なく幸せそのものに見えましたが、
実は、忙しい夫の留守に寂しさを感じ、
酒を飲んで紛らわせるようになった彼女は、
徐々にアルコール依存症へと陥っていくのでした。

妻の窮地を救おうとしマイケルは、
仕事を減らして家事をこなし、
アリスをリハビリセンターに入れるなど、
協力を惜しみませんが、
アリスは、そんな夫に感謝というよりもなぜか苛立ちを覚え、
リハビリは難航します……


メグの酔っ払い演技がそのまま投影されたような、
辛くて痛々しい映画です。
決して“いい出来”とは言い切れないのですが、
アルコール依存症の元凶は決して特殊ではなくて、
きっかけ1つで誰にでもその可能性はあるんだということを
単なる“警告”にならずに伝えているところは
褒められていい気がしました。
ラストシーンの清々しさも、経験の価値アリです。

2人の娘たちの演技もすばらしいものでした。
母親の酩酊ぶりを、覚めた、しかし辛そうな顔で見つめる
ジェシカ役のティナ・マジョリーノは、
美少女とは表現しにくい顔立ちながら、
賢さや感性の鋭さが光っています。
無邪気でかわいらしいケイシーを演じたメイ・ホイットマンは、
この後いよいよキャリアを重ね、
【素晴らしき日 One Fine Day】で
ジョージ・クルーニーの娘、
【微笑みをもう一度 Hope Floats】で
サンドラ・ブロックの娘役など、
大スターとの絡みをさらりとこなし、
TV【マイ・スウィート・メモリーズ State of Grace】※では、
裕福で奔放な母親に屈折した愛情を感じる中学生を
憎ったらしさギリギリで見せてくれています。
※【マイ・スウィート…】は、先日までNHK教育で
第一シリーズが放映されていましたが、一旦休止の後、
春に第2シリーズ以降が放映予定とのことです。


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