Dailymovie
DiaryINDEX|past|will


2002年05月31日(金) 少林サッカー

さて、日韓共同開催のW杯開幕です。
これは便乗してしまいましょう。
明日からロードショーの、こちらの作品をどうぞ。

少林サッカー
少林足球 Shaolin Soccer

2001年香港 チャウ・シンチー監督


人気作家の馳星周(はせ・せいしゅう)は、
チャウ・シンチー(周星馳)の大ファンで、
彼の漢字名をひっくり返し、そのままペンネームにした……とか。

さかのぼること20年前。
「黄金右脚」と言われた香港サッカー界のヒーロー、ファンは、
八百長試合に乗ってしまい、後輩のハンに陥れられます。
ハンのさしがねで、蜂起した観客に右脚を痛めつけられたファンは、
サッカー生命を絶たれ、
今や最強チーム「デビル」の監督を務めるハンのもと、
卑屈に彼の下働きをする毎日です。

うらぶれて街を歩いていると、
テレビのサッカーの試合を見て難癖をつける、
生意気な若者シン(チャウ・シンチー)に出会います。
彼は「鋼鉄の脚」が自慢の少林拳の使い手で、
下火になった少林拳を何とか流布したいと考えていました。
あの手、この手を考えてはポシャっていたのですが、
そのキック力を買われ、ファンにサッカーを勧められます。
シンは、ともに少林拳の修行をした兄弟弟子たちに声をかけ、
その後、練習試合がきっかけで(注:この時点でメンバーは6人)
彼らの少林拳の妙技に魅了された?相手チームをも
メンバーに引き入れ、全国大会を目指す「少林チーム」が発足します。
転落人生に腐っていたファンも、息を吹き返し、
誇りを取り戻していきました。

この「自信を持って生きる」というのが、
結局はこの映画の最大のメッセージだったのではないかと思います。
少林拳をさまざまな人々に知ってもらいたいと歩き回る中、
シンは、ムイ(美女ヴィッキー・チャオ)という饅頭屋の従業員が、
太極拳を使って見事な「実演販売」を見せているのに感銘を受け、
彼女に「ネエさん、あんたすごい。それに美人だ」と声をかけますが、
ムイは、顔じゅうが醜くただれていることにコンプレックスを持っていました。
最初はからかっているんだと思い、相手にしないムイも、
シンのストレートさに惹かれ、だんだんと前向きになっていきます。
兄弟弟子たちも、シンにスカウトをしないかと持ちかけられるまでは、
自分たちが人生の負け組に堕したことを嘆きながらも、
どうすることもできずにいました。

繰り出されるギャグは、どれもコテコテですし、
「サッカーの映画」としては、はっきり言って破綻しています。
そりゃそうですね。シンがサッカーを始めた目的は、
「少林拳の一般への流布」なんですから。
なので、CGの使い方とワイヤーアクションには、
目を見張るものがあるということで、
十分過ぎるお釣りがくることでしょう。

見ながら思い出した映画……
『アンタッチャブル』『クール・ランニング』
『フル・モンティ』『アタック・ナンバーハーフ』などなど。
どれか1本、お好みの作品がありましたらぱ、
ぜひぜひ『少林サッカー』もごらんになってくださいませ!


2002年05月30日(木) 忘れられた子供たち〜スカベンジャー〜

本日5月30日は、語呂合わせで「ゴミゼロの日」ですが、
ちょっと違ったアプローチで、こんな作品はどうでしょう。

忘れられた子供たち〜スカベンジャー〜
1995年日本 四ノ宮浩監督


アジア最大のスラム街とも言われる
フィリピン・マニラのゴミ捨て場、スモーキーマウンテンを舞台に、
6年にわたって撮影された記録映画です。

こちらで御紹介したはいいものの、
実は、ビデオショップで借りて…という感じで
気楽に見られるタイプの映画ではありません。
けれども、機会があれば、ぜひとも見ていただきたいと思います。

スカベンジャーとは、ゴミの山から再生可能なゴミをピックアップし、
それを売ったお金でその日暮らしをする人々のこと。
日本人の感覚からすると、「これが売れるのか?」と思うような
汚れたビニールシートすら、彼らには大事な飯の種です。
それでも、満足に食べていけるわけではなく、
子供でも容赦なくゴミ集めをさせられる現実があります。
きょうこの作品を取り上げたのは、「ゴミゼロの日」に因んでですが、
実は、彼らにとっては、ゴミがなくなるということは、
死にもつながってしまうことなのでした。

たまたま、四ノ宮監督自身が話す撮影秘話などを
聞く機会があったのですが、
ゴミ溜めの悪臭は、シャワーを浴びても3日は落ちないすさまじいもので、
病気になるスタッフもいました。
まさに地獄絵図で、こんなところ2度と来るかとまで思うのですが、
いざ離れると、また行きたくなる……のだそうです。
フィリピンの恥部をさらす映像を撮られるこへの反発もあり、
撮影の邪魔をされることもあったといいます。

監督が出会ったある少女の話。
フィリピンといえば、敬虔なカトリック教徒の多い国でもあります。
日曜礼拝に行ったある女の子に、何を祈ったのかを尋ねると、
家族の健康や幸福と、ためらいなく答えるというのです。
「自分はいつも、金や名声のために映画を撮りたい、
というようなことを考えていたのに」
と、四ノ宮監督はおっしゃるのですが、
少なくともこの映画は、金や名声のために撮られたとは
とても思えない作品でした。

小ぎれいな服を着て、空調のいい劇場やホールでこの映画を見て、
帰りにおいしいものを食べて帰ったのでは、
それはただの物見高い悪趣味だと言われそうですが、
訴えてくるものに耳を貸す、目を向ける、
まずはその姿勢が大切なのではないかと思います。

最も印象に残ったのは、食うや食わずの母親が、
幼い子供のために食べ物を何とか調達し、差し出すときに、
豆料理を一口ぱくっと自分の口に入れるシーンでした。
彼女の「食事」は、その一口で終わりだったのでしょう。
何かを意図して撮られたわけではなさそうなので、
かえって「刻まれる」ものがありました。

なお、こちらは私は見ていないのですが、
2001年、同じく四ノ宮監督作品で、続編的な作品
『神の子たち』も製作されました。


2002年05月29日(水) 犬と女と刑(シン)老人

1966年5月29日、
中国・清華附属中学校で初の紅衛兵が結成されました。
紅衛兵とは、御存じのとおり、
毛沢東に賛同し、権威を否定した革命軍のような青少年の組織で、
あの悪名高き?文化大革命の立役者とも言える層です。

そして、文化大革命という一大歴史的事件は、
皮肉なことに、傑作映画の数々を生み出してもしまいました。

余談ですが、最近ではハリウッド資本の
『キリング・・ミー・ソフトリー』を監督した陳凱歌(チェン・カイコー)も、
当時は紅衛兵の一員で、「私の紅衛兵時代」なる自伝も出しています。


犬と女と刑(シン)老人 老人与狗
An Old Man and His Dog,

(香港公開時の英語タイトル)
1993年中国 謝晋(シェ・チン)監督


1972年、中国・寧夏の小さな村に、
愛犬と寂しく暮らす刑(シン)という初老の男がいました。
ある日、犬が激しく吠えるので、外に出てみると、
みすぼらしい身形の女が、物乞いに来ていました。

刑の暮らす村は比較的豊作に恵まれたものの、
近隣の村では食糧が不足しているという話は伝わっていたので、
物乞いもやむを得ないことだろうと女を憐れに思い、
芋とうどんを与えました。
刑があれこれ尋ねると、名前は答えず「女と呼んでくれ」と言います。
女には、家に帰れば小さな子供と舅姑がいるが、夫はおらず、
口減らしのために、自分だけが物乞いをしていました。

好人物でありながら、嫁の来手がなかった刑のところに、
若い(30代?)の女性がいるというので、
村人たちは、からかいつつも、女を村の人間として受け入れました。
いつしか刑と女は結婚します。
刑にとっては、口数は少ないものの心優しい女の存在がいとおしく、
夢見心地でおりました。
刑の犬もまたわかるのか、女に懐いていました。

女は実は、
文化大革命下では黒五類(否定すべきもの)の1つとされていた
富農階級の出だと言います。
富農の者は、財産を没収された上に、物乞いも禁止されていました。
といっても、「富農」のレッテルを張られているだけで、
女は、富農らしいそれ相応の暮らしなどしたことがありません。
「本当に富農ならば、物乞いの必要もなかろうに!」と、
社会のありように腹を立て、ますます女をいとおしく思う刑。

女はある日、一通の手紙を受け取り、刑の前から忽然と姿を消しました。
里で何かあったのでしょうが、確かめるすべもありません。
そして、女を失って嘆く刑の身の上に、
追い打ちをかけるような不幸な出来事が……。

余りにもあっけない終わり方に、
不満を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、
文化大革命の意義は一体何だったのか?
静かな怒りが伝わってくる作品でした。

因みに……黒五類と呼ばれる特権階級の対局にあるのが
紅五類と呼ばれるもので、貧しい農民や革命要員を指しました。
「紅」は、この場合は革命の象徴ですが、
そもそもの中国語では、めでたい、順調、人気があるなど、
好ましい意味を持っているようですね。


2002年05月28日(火) じゃりン子チエ

1947年5月28日、まんが「じゃりン子チエ」を描いた
はるき悦巳さんが生まれました。

じゃりン子チエ
1981年日本 高畑勲監督


『ルパン三世』や『クレヨンしんちゃん』なども輩出した
双葉社「漫画アクション」に、20年近くの長期にわたって連載され、
テレビアニメも、テツとチエの掛け合いが絶妙で大ヒットしましたが、
映画化作品を覚えていらっしゃる方も、おいでではないでしょうか。
吉本オールスターズと言いたいような超豪華キャストで、
テレビとはまた違ったよさを見せてくれました。

監督は、ある意味これがベスト作品だったのでは?とまで言われる
高畑勲さんです。
私は、いわゆるジブリものの中でも、
彼が監督した映画のユルさが結構好きなので、
あそこまで酷評されるのは、理解しつつも納得できないのですが、
この作品の持つ独特のドライな笑いは、
彼の監督作はちょっと…とおっしゃる方にも
お勧めできると思います。
(原作のよさを生かしているという意味で)

ストーリーは、テレビアニメとほぼ一緒で、
原作の中の小エピソードをうまく編み直した生活スケッチでした。

大阪・新世界に住むチエ(声:中山千夏)は、
テツ(西川のりお)が、
大好きな母ヨシ江(三林京子)を追い出してしまった後、
小学生でありながら、ホルモン焼きの店をたくましく切り盛りします。
が、そのヨシ江も、
テツたちの仲人で、チエの担任(桂三枝)の父親でもある
拳骨(笑福亭仁鶴)の計らいで帰ってきました。

学校に行けば、嫌みなマサル(島田紳助)と、
その腰巾着のタカシ(松本竜介)が、
何かといちゃもんつけてきますが、結局チエにはかないません。

テツに恨みを持つヤクザ(芦屋雁ノ助)が
店に脅しに来るというピンチもありましたが、
そんなとき助けてくれたのは、一見かわいい野良猫(西川きよし)でした。
チエは猫に“小鉄”と名づけます。
小鉄は、小鉄にケンカで負けて以来自信をなくし、結局は死んでしまった
ヤクザの愛猫アントニオの子供、アントニオJr.(故・横山やすし)と
いいコンビになり、人間界の出来事をクールに見据えては、
猫同士の会話を楽しむのでした……

アニメ映画の吹替に、声優ではない人を使うのはよくあることですが、
大抵は新鮮な下手さとやらにつき合わされるだけで、
どうもなあ…と、ちょっとストレスがたまってしまうのが相場ですが、
この映画はかなり成功の部類だったのではないかと思います。
最近、コンピニで「3コインコミック」と言われる、
過去の名作のダイジェスト版が300円(税込み)というタイプのものがありますが、
「じゃりんン子チエ」もその1つです。
私も時々買いますが、アニメ化された作品の常で、
読みながら、テレビアニメの吹替の声が頭の中で反響するのですが、
「映画の方ももう1回見たいなー」といつも思います。

ところで、どうでもいい話ですが、
私の役に立たない特技の1つに、テレビ版のオープニングテーマ
「バケツのおひさんつかまえた」の男声パートと女声パートを
1人で歌うというのがあります。お聞かせできないのが残念ですが、
ネット上でこれを読んでいる方は、聞けなくてラッキーでしょうか……。


2002年05月26日(日) 映画よろず屋週報 Vol.7 2002.5.26

*****映画よろず屋週報 Vol.7 2002.5.26*********************

皆さん、この1週間、いかがお過ごしでしたか?
私・ユリノキは昨日、よせばいいのに『少林サッカー』の
先行上映に行ってしまいました。
**********************************************************

          特集「お〜ふろ、おふろ」

毎月26日は、風呂の日だそうです(典型的語呂合わせ)。
そんなわけで、入浴シーンやお風呂・シャワーにまつわるエピソードが
印象に残った映画作品を列挙してみたいと思います。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ギルバート・グレイプ What!s eating Gilbert Grape 
1993年アメリカ ラッセ・ハルストレム監督
 
知的障碍のある弟のアーニー(レオナルド・ディカプリオ)を
お風呂に入れるのは、兄ギルバート(ジョニー・デップ)の
大切な仕事の1つでしたが…。

アメリカン・ビューティー American Beauty
1999年アメリカ サム・メンデス監督

中年男(ケヴィン・スペイシー)の妄想に登場する
美少女(メーナ・スヴァーリ)は、
真っ赤なバラの花びらに身を沈めていました。

こころの湯
1999年中国

取り壊し寸前の古い銭湯『清水池』を舞台に繰り広げられる、
「なんだかいいな〜」としみじみ浸りたい、
お風呂のように温かな人情喜劇 

七年目の浮気
1954年アメリカ ビリー・ワイルダー監督

「金髪美女(マリリン・モンロー)はすごい暑がりで…」
これだけでつくられてしまったような、艶笑コメディーの決定版?です。
裸を見られるのと、ペティギュアをつけていない足を見られるのと、
どっちが恥ずかしいですか?

コーリャ 愛のプラハ Kolya
1996年イギリス=フランス=チェコ
ヤン・ズビエラーク監督

母親に捨てらかけた5歳のコーリャ(アンドレイ・ハリモン)は
シャワーヘッドを耳に当てて、おばあちゃんに“電話”をします。
(ああ、これ以上書くと、涙が出てきそう…)

ウーマン・オン・トップ Woman on Top
1999年アメリカ フィナ・トレス監督

美貌と料理の才能と乗り物酔いが幸と不幸のもととなった
イザベル(ペネロペ・クルズ)は、
夫の浮気に傷つき、生まれ故郷のブラジルを飛び出して、
幼なじみのモニカが住むサンフランシスコへ。
イザベルとモニカの「美女2人」の入浴シーンは、
お約束のバブルバスですが、ちーっともエロチックではありません。

となりのトトロ My Neighbor Totoro
1988年日本 宮崎駿監督

青春デンデケデケデケ The Rocking Horsemen
1992年日本 大林宣彦監督

片やアニメ、片や実写、片方は昭和20年代後半、片方は40年代初頭、
一方は秩父の山の中、もう一方は四国の海辺の町…
でも2つには、共通して非常に似たタイプのお風呂が登場しました。
入った経験のない者にも、妙なノスタルジーを感じさせます。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
お誕生日1週間(5月26日〜6月1日)★は故人
5/26 ヘレナ・ボナム・カーター(1966)
5/27 ジョゼフ・ファインズ(1970)
5/28 キャロル・ベイカー(1950)
5/29 ルパート・エヴェレット(1960)
5/30 マイケル・J・ポラード(1939)
5/31 ブルック・シールズ(1965)
6/1  マリリン・モンロー(1932)★


2002年05月25日(土) ラブ・オブ・ザ・ゲーム

1965年5月25日、俳優のジョン・C・ライリーが生まれました。
“PTA”ことポール・トーマス・アンダーソン監督作の常連で、
ハンサムではないけれど、がっちりした頼れる兄貴タイプはお任せの
(ちょっとフィリップ・シーモア・ホフマンとキャラかぶるかも)
若き名脇役ですが、
この映画でも、いい味を出していました。

ラブ・オブ・ザ・ゲーム For Love of the Game
1999年アメリカ サム・ライミ監督


ほかのサム・ライミ作品を見たことがある人ならば、
誰もが「ええ〜っ」と思ったと思う、
びっくりのストレートなロマンス味つけの人間ドラマにして、
凋落…とまではいかないものの、最近精彩が上がらない気がする
「あの方」の俳優生活ともどこかダブるような、
何とも言えない作品でした。
(ちなみに、S.ライミは、昔はカルトなホラー映画、
最近ではヒット作『スパイダーマン』の監督でもあります)

所属球団の身売りが決定し、移籍か引退かの選択に迫られた、
たそがれのメジャーリーグ投手ビリー(ケヴィン・コスナー)は、
5年越しの恋人で美容ライターの
ジェーン(ケリー・プレストン)から、
仕事でロンドンに行くと宣言されます。
これは、実質的な別れ話でもありました。

ビリーがジェーンと出会ったとき、
彼女は自動車の故障のため立ち往生していました。
メジャーのスター選手で女性に愛され、また女性を愛するビリーは、
魅力的な彼女の歓心を買うために、
ここぞとばかりに助け船を出しますが、
実は、車について余り知識がなく、どうすることもできません。
……これが2人の出会いでした。

スター選手の恋人であることにおびえるジェーンと、
それまでのような軽いノリでなく、本気でジェーンにほれたビリーは、
軽く衝突しながらも、5年の間、絆を深めるように愛し合いました。

身の振り方を決定する大切な試合で、マウンドに立ったビリーは、
ジェーンとの出会いも含め、自分の野球人生を振り返りつつ、
一球一球投げ込んでいきます。
そして、最後に彼が下した決断は、
「For Love of the Game(野球が好きだから)……」というものでした。
(……の部分にナニが入るかは、ごらんになって確かめてくださいませ)

ブロンド美女のケリー・プレストンが、
この映画では、10代で出産したシングルマザーという役どころですが、
彼女がビリーとの別れを覚悟で出産時のエピソードを話すくだりと、
辛い境遇を生きてきた母親を思いやるティーンの娘の話が泣かせます。
ビリーでなくても、母娘まとめて愛してしまうことでしょう。
(卑猥な意味ではありません)

さてさて、本日1つ年をとったジョン・C.ライリーですが、
彼のポジションは、彼を御存じの方なら何となく見当がつくと思いますが、
ビリーの野球の上でのパートナー、キャッチャーでした。
出しゃばるわけでなく、
それでいていつもビリーを友情で支える「いい奴」です。
どこか、『恋におちて』のハーベィ・カイテルみたいな雰囲気がありました。

スポーツ選手が、まだまだ若い(40歳前後)身空で
「有終の美を飾って引退か、あくまで現役にこだわるか」
という選択に迫られるというのは、
もちろん、そんじょそこらの身近な話ではないのですが、
それでも、感情移入して見入った人は多いのでは、と思います。
別口の映画ではありますが、
数字の羅列を見ると、暗号を読み解かずにはいられない天才数学者に、
「わかるわぁ…」と思いっ切り感情移入した、
言葉を見ると頭の中で符号化してしまうヘボ速記者というのも、
この世には存在しますし……。


2002年05月24日(金) 制服の処女

本日も、見たばかりの映画を1本御紹介いたします。
古い古いドイツ映画でしたが、
『会議は踊る』のような甘やかなものではありませんでした。

制服の処女 Madchen in Uniform
(英語タイトルGirls in Uniform)

1931年ドイツ レオティーネ・サガン監督


私の相方は、このビデオのタイトルだけ見て、AVと勘違いしました。
内容は、ほのかな年上の同性への憧れも含んでいますので、
つくり方次第では、そちら方向にシフトしてしまったことでしょう。

母親を亡くした少女マヌエラは、伯母に連れられ、
厳格な寄宿制の女学院に入学します。
その厳しさたるや、お世辞にもオシャレとは言えない制服を着せられ、
(『ソフィーの選択』や『ライフ・イズ・ビューティフル』の
ナチスの収容所のシーンを思い出しました)
育ち盛りなのに、十分とはいえない食事を与えられ、
(院長によれば、プロシア人は空腹に絶えてきた国民なのだから、
当たり前なんだとか…)
手紙のやりとりすら制限されているような状況でした。

そんな生活の中でも生徒たちは、
お気に入りの映画スタアのブロマイドを隠し持っていたり、
(もちろん、これとて規則違反です)
他愛もないおしゃべりに花を咲かせたり、
(これも場合によっては×)
それなりに楽しみを模索していますが、
マヌエラは、いいしれない心細さのせいで勉強に身が入らず、
毎晩泣いてばかりいました。

ところで、厳格な院長の言いなりの教師たちの中にも、
生徒たちにとっては心のオアシスのようなベルンブルク先生がいました。
美しい容姿と、筋の通った厳しさと温情味を感じさせる人柄に、
生徒たちは皆憧れます。マヌエラも例外ではありませんでした。

ある日、しぶちんの伯母がマヌエラに
十分に下着を持たせてくれなかったことに同情したベルンブルク先生が、
こっそり下着を渡したことから、
とんでもない大騒動に発展してしまうのですが…。

結論から言うと、マヌエラが退校処分になるかならないかの瀬戸際まで
追いつめられるような大事件に発展してしまうのですが、
このときのほかの少女たちの、マヌエラを救おうという機運には、
少し救われるものが見えました。
この学校の規則、厳格が売りだとしても、ちょっと行き過ぎを感じます。
が、映画がつくられたのは1931年。
あのチョビヒゲちんちくりんの台頭は目の前という時代です。
何らかの力で、この学校にもっと人間味のあるムードをと願っても、
(虚実含めて)たぶん叶わなかったろうなあと思うと、
気楽な女子高生活を送った者としては、やりきれなくなりました。

見て愉快な気分になれる映画では決してないのですが、
1つの参考としてどうぞ。


2002年05月23日(木) 俺たちに明日はない

1934年5月23日、銀行強盗を繰り返していたカップル、
クライド・バーローとボニー・パーカーが
警官隊に射殺されました。

↑
ここでもう、半分ラストのネタばらしをしたも同然なのですが、
この一連の強盗事件は、そのまんま映画化されました。

俺たちに明日はない Bonnie and Clyde
1967年アメリカ アーサー・ペン監督


アメリカ映画には、主人公名をタイトルにしたものが多いですが、
それに「何だかなあ…」な邦題をつけるのも、日本の十八番です。
これも、直訳で「ボニーとクライド」でよかった気もしますが、
邦題も悪くはない方ではと個人的には思っています。

田舎町で母親と2人で暮らす美しいボニー(フェイ・ダナウェイ)は、
母親の車に手を出そうとしていたクライド(ウォーレン・ベイティ)に
怒鳴りつけますが、それがきっかけで2人は接近し、
不景気な世相に反抗するように、
派手な銀行強盗を繰り返すようになります。
そのうち、クライドの兄(ジーン・ハックマン)の夫婦とも合流し、
「バロウ・ギャング」結成と相成ります。

犯罪行為とはいえ、胸のすくような快進撃を繰り返すバロウ・ギャングの
庶民レベルでの人気はすごいものでした。
折からの不況で、銀行に家や土地を抑えられている人々の
怨嗟の声を、そのまま反映しているように見えるからでしょう。

「君は田舎でくすぶっている女ではない」という、
クライドの口説き文句のとおり、
最先端モードに身を包んだボニーは、美しさに磨きがかかり、
またその非情な犯罪者ぶりも板についてくるのですが……。

アメリカン・ニューシネマ黎明期の作品です。
好き嫌いはともかく、映画を楽しむだけでなく、
ちょっと学究的に見たいという方には、必見の作品でしょう。

ところで、漫画家の萩尾望都さんは、
デザイン学校時代、「フェイ・ダナウェイのファッションが参考になる」と、
学校の講師から、この作品を勧められたとか。
小ネタ失礼。でも、確かに彼女のモダンな美しさは印象的です。


2002年05月21日(火) オール・ザ・キングスメン

本日5月21日は、『小学校開校の日』だそうです。
歴史的には、1869(明治2)年、京都市に日本初の小学校
上京第二十七番組小学校が開校したことにちなむとか。

小学校建設が重要なエピソードとして登場する、
こんな映画を思い出しました。

オール・ザ・キングスメン All the King's Men
1949年アメリカ ロベール・ロッセン監督


「悪徳政治家ができるまで」という副題(メーン邦題でも可)をつけたい、
かなり苦くてシビアなお話ですが、
そのシビアさが、エンターティンメントまで高まっていた気がします。

タイトルは、マザーグースの
※『ハンプティ・ダンプティ』の一節に由来しています。
失墜した政治生命は、塀から落ちて粉々になったハンプティ・ダンプティ同様、
王様の家来(や馬)をすべてかき集めても、元には戻せません。

1930年代の実在のルイジアナ州知事ヒューイ・P・ロングが
主人公のモデルと言われる小説を映画化した作品です。

新聞記者ジャック・バーデン(ジョン・アイアランド)は、
もとは無学ながら、懸命の努力で弁護士の資格を取り、
田舎でひっそりと暮らす人権派の弁護士
ウィリアム・スターク(ブロデリック・クロフォード)に仕事で会い、
その人格やカリスマ性にすっかり見せられてしまいます。
クロフォードは、小学校の校舎老朽化のために起きた事故の
賠償をめぐる訴訟を担当していたところでした。

また、その一方でスタックは、州知事選の当て馬候補として担ぎ出され、
人のいい彼は、訳もわからずに乗ってしまいますが、
真相を知るや、自分ももより底辺の人間だという思いもあり、
堂々と体制批判をして支持を集めます。
選挙そのものには善戦空しく敗れたものの、
よせばいいのに「癖になっちゃった」彼は、
次の選挙こそ勝ってやるとばかりに、
悪魔に魂を売り渡してしまいます。
そして、出馬前の彼を知る者には到底考えられないような
悲劇が起きてしまうのでした…

ドラマと映画で大いに話題になった『踊る大捜査線』の名台詞の1つに、
いかりや長介演じる和久さんの、
「正しいことをしたければ、偉くなれ」というのがあります。
スタックも、最初は苦労人の人権派として、
「人々の役に立つために」偉くなりたかったはずですが、
権力という名の美酒は、悪酔いするものらしいですね。

また、役者というのは、役柄でこうも変わってしまうものかと思うほど、
ブロデリック・クロフォードの変貌ぶりには目を見張るものがありました。
最初は「いいおじさん」風だったのが、
見終えるころには悪の権化と化しています。
いや、人によっては最初からアクの強い顔に見えたかもしれませんが。

念のため…1949年度(第22回)アカデミー賞作品賞受賞作でもあります。
B.クロフォードも、主演男優賞を受賞しました。

※Humpty Dumpty 
Humpty Dumpty sat on a wall,
Humpty Dumpty had a great fall.
All the king's horses,
And all the king's men,
Couldn't put Humpty together again.


2002年05月20日(月) ミュリエルの結婚

5月20日は、お笑い芸人光浦靖子さんの誕生日です(1970年)。
…と紹介するほど、この方に魅力を感じていたり、
ファンだったりするわけではないのですが、
好きな映画について話す某トーク番組で、
彼女が次の作品を挙げていたのが印象に残ったので、今日はそれを。

ミュリエルの結婚 Muriel's Wedding
1994年オーストラリア P.J.ホーガン監督


秀作揃いで好きな作品もたっぷりあるはずなのに、
なぜか取り上げる機会が少なかったオーストラリア映画の1本です。

ミュリエル(トニ・コレット)は、金持ちの娘ということで、
それなりにつき合ってくれる友達もいたけれど、
性格悪し/やる気なし/その上見栄っ張り、などなど、
とにかく失点が多過ぎて、だんだんと周囲から人が遠ざかってゆき、
ますます「救いようのなさ」に磨きがかかっていきます。

そんな中で、彼女と本当に通じ合ったのは、
同じようにイケてないのに、妙に「自分」というものを持った
ロンダ(レイチェル・グリフィス)でした。
イケてない2人は、退屈な田舎を飛び出してシドニーへと赴き、
そこで幸せ探しというか、自己実現のようなものを試みますが、
そんな中、ミュリエルが考えた最高の方法は、「有名人との結婚」でした。
それがもと?で、ロンダとの友情にはひびが入りかけますが……

一応「コメディー」の棚にあるのが一般的だと思いますが、
さまざまなテーマを包含しているので、お気楽な話を想像していると、
結構裏切られた気分になると思います。
(裏切りにも、嬉しいのと腹立たしいのと2種類ありますけどね)

ミュリエルに扮したトニ・コレットは、
『シックス・センス』『ベルベット・ゴールドマイン』などでも知られる、
ちょっと三白眼で、正統派美人とは言えないかもしれないけれど、
色気や雰囲気は十分なステキな女優さんですが、
この映画では、かなり体重を増量して、
「うわ〜、見苦しい」を全身であらわしていました。
でも、素のよさのおかげで、徐々に魅力的になっていくヒロインとしては
かなり健闘していたと思います。
オーストラリア人らしくアバが大好きで、
そう公言してはばからないけれど、
周囲の「仕方なくつき合っている」子たちから、
「今はR.E.M.よねぇ。アバなんてダサいわ」
と言い放たれてしょげてしまうような、どんくさい感じがよく出ていました。
(そう言われて乗り換えたりしないところが、思えば彼女のよさでした)

ロンダ役のレイチェル・グリフィスも、この映画以外では、
どちらかというと「きれいな人」と言えなくもない役が多い人ですが、
この作品では、徹底的に冴えない女性でした。
それでいて、妙に自分らしさというものを持っていて、自信さえ感じる。
こういう人、現実にも結構いますよね。

監督P.J.ホーガンは、
『ベスト・フレンズ・ウェディング』の演出も知られる人ですが、
あれも2人の美女(ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアズ)が
キャラ立ちした、しかも皮肉なところが魅力の結婚コメディーでした。
「2大ヒロイン」と「結婚」、このテーマに強い人なのでしょうか。
また、『ベスト…』ではディオンヌ・ワーウィック、
本作ではアバを効果的に使っていて、「懐メロに強い人」の印象も…

結構、紆余曲折のドロドロの悶着もありますが、
ラストシーンの爽快さには、他の追随を許さないものがあります。
機会があれば、ぜひごらんになってくださいませ。



2002年05月19日(日) 映画よろず屋週報 Vol.6 2002.5.19

*****映画よろず屋週報 Vol.6 2002.5.19*********************

こんにちは。ユリノキマリです。いかがお過ごしですか?
私が住む地域は、今、小学校の運動会シーズンです。
我が家の長女(小6)も来週土曜日なのですが、
一家みんなそろってテンションが低いので(本人までもが)、
グラウンドの隅っこにお弁当スペースだけ確保して、
関係のある競技でのみ、ちょこっと盛り上がる程度になりそう。
朝の5時からベストポジションをキープしている人たちのエネルギーを、
ほんの少し分けてもらいたい気もします(マジで)。

**********************************************************

          特集「自信をお持ちよ」

本日5月19日の花は、白山千鳥(アリスタータ)だそうです。
この花言葉が、「美点の持ち主」だということで、
いいところをいっぱい持っているくせに、自信がない…
でもって、その自信のなさがまた魅力になっているような、
一見冴えない、でも実は本当にチャーミングな
映画の中のキャラクターを御紹介いたしましょう。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

キャント・バイ・ミー・ラブ Can't Buy Me Love
1987年アメリカ スティーブ・ラシュ監督

古い曲(ビートルズ)のタイトルをそのまま拝借した映画タイトル、
主人公を演じた人(パトリック・デンプシー)が、
その後何だか鳴かず飛ばず…
いろんな意味で、「80年代を代表する青春映画」という気がします。
主人公ロニーは、芝刈りのバイトで稼いだお金を、
ひょんなことから、学園の女王を助けるために使うはめになり、
彼女の引き立てのおかげで人気者になっていきますが…
結構カワイイし、頭もいいし、性格もいい。
そんなことしなくても、君には君のよさがあるんだよと
ロニーに敢えて言いたくなるほど、
アメリカ学園ドラマの「頭脳も筋肉」志向の滑稽さがよく出ていました。

デルフィーヌの場合 Mauvaises frequentations
1999年 ジャン・ピエール・アメリス監督

優等生デルフィーヌが、たまたま知り合った不良少女オリビアとの接触で
転落・挫折するさま描いた、実話が元になったお話ですが、
実は、私はデルフィーヌ自身には好感が持てませんでした。
(オリビアを介して知り合った男ロランこそが、
彼女の失敗の直接の原因で、オリビアは友情に厚いいい子です)
デルフィーヌに思いを寄せる映画オタク少年に御注目を!
正直、こんないい子が、なんであんなイヤミな女に惹かれるの?と
不思議に思ったくらいでした。
(その割に、役名も役者名も思い出せないのですが)

フル・モンティ The Full Monty
1997年イギリス ピーター・カッタネオ監督

(済みません、この映画やたら好きだもので、頻出させてしまいます)
主人公ガズ(ロバート・カーライル)といつも一緒の
「気のいいおでぶさん」を絵に描いたような親友デイブ(マーク・アディー)。
肉体的コンプレックスから、一度は挫折するけれど…
でも、思い返すと、結構おいしいとこ取りしてる役でもありました。
妻ジーン(レスリー・シャープ)との夫婦愛もいい感じです。

待ちきれなくて… Can't Hardly Wait
1998年アメリカ  ハリー・エルフォント / デボラ・カプラン監督

プロムの一夜の悲喜こもごもを描いた、
内容なんぞないに等しい青春コメディーなのに、 妙に惹かれます。
自分を男のお飾りと卑下する
美少女アマンダ(ジェニファー・ラブ・ヒューイット)、
彼女に恋い焦がれる気弱な秀才プレストン(イーサン・エンブリー)、
粋がってはいても、実は分をわきまえているケニー(セス・グリーン)、
「皮肉屋」の殻で自己防衛しているデニス(ローレン・アンブローズ)、
この映画で目を引く少年少女は、みんなどっか自信なさげでした。
『スタンド・バイ・ミー』でバーンズを演じていたジェリー・オコネルが、
高校時代はマッチョでもてもて(またこのパターン)、
大学行ったらただのアホ…という役で、ちょこっと出ています。
また、ドラマ『サブリナ』のメリッサ・ジョーンズ・ハートや、
『ダーマ&グレッグ』のジェナ・エルフマンも、おもしろい役で出ています。

ロミーとミッシェルの場合
Romy and Michele's High School Reunion

1997年アメリカ デビッド・マーキン監督

『フレンズ』のフィービー同様、この映画でも
リサ・クドローの天然ボケぶりが最高にかわいらしいと思いました。
(それでいて、高飛車女もはまるのが彼女の強み?)
ミラ・ソルビーノとのおとぼけコンビも何だか好感が持てるし、
卒業後の人生はいわゆる「勝ち組」なのに、
高校時代はそんな彼女たちをうらやんでいたジャニーン・ガロファロウ、
この映画、この3人だけで十分っす。
(って、それだけでは同窓会High School Reunion寂し過ぎ…)
リサを愛し、ジャニーンに愛されるアラン・カミングは、おいし過ぎ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
お誕生日1週間(5月19日〜25日)★は故人
5/19 アリソン・エリオット(1970/『この森で、天使はバスをおりた』)
5/20 ジェームズ・スチュワート(1908−1997)★
5/21 ファルーザ・バーグ(1974/『あの頃、ペニー・レインと』)
5/22 ローレンス・オリビエ(1907)
5/23 ダグラス・フェアバンクス(1883−1939)★
5/24 クリスティン・スコット・トーマス
     (1960/『イングリッシュ・ペイシェント』)
5/26 ジョン・C.ライリー(1965/『マグノリア』)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


2002年05月18日(土) 映画の中の(私的に選んだ)名セリフ

きょう5月18日は、「こ(5)とば(18)の日」だそうです。
そこで、映画の中の名セリフをちょこっと集めてみることにしました。
今までも少し触れることはあったのですが、
こうして集めてみるのは初めてです。
あくまで私的な「実感」として「名セリフ」とさせていただいたものばかりなので、
「はぁ?」というものも含まれているかもしれませんが、御容赦ください。

「秘密ということは、みんなが知っているということだ」
What happened in the dungeon between you and Professor Quirrell is a complete secret, so naturally, the whole school knows.
直訳すれば、「ダンジョンでクィレル先生(イアン・ハート)と君の間に起こったことは、完全な秘密だ。もちろん、学校全体が知っている」……という感じでしょうか。

日本では先頃ビデオ&DVDがリリースされた
『ハリー・ポッターと賢者の石 ※Harry Potter and the Sorcerer's Stone』の終盤、
ハリーとその仲間の大活躍について、
ダンブルドア校長(リチャード・ハリス)が言った一言。
「衝いてるなあ」と思いました。
※アメリカ版タイトル。イギリス版Harry Potter and the Philosopher's Stone

「好きでやっているんじゃない。親だからやっているんだ」
I may as well not bother.Except I'm your dad.
イギリス映画『フル・モンティ The Full Monty』で、
養育資金稼ぎのためにストリップの練習をするばかっ父に
呆れた息子ネイサン(ウィリアム・スネープ)に対し、
バカっ父ガズ(ロバート・カーライル)が。
私も人の親の端くれだけど、あそこまでは言えないし、できないなあ。

「男は幾らでもいるから、あなたは人間になって」
The world is full of guys. Be a man. Don't be a guy
青春映画の最高傑作(独断)
『セイ・エニシング Say Anything...』の中で、
恋人アイオン・スカイと喧嘩し、
男のプライドが邪魔して素直になれないジョン・キューザックに、
ジョンの「性別無視の親友」リリー・テイラーがさとすように言うセリフ。
「人間になれ」というニュアンスのセリフは、
『アパートの鍵貸します』でも使われていましたし、

「僕は夫で父親だ。これ以上の作品は書けない」
Being a husband and a father.I will never ever write anything that lovely.
『ガープの世界 The World According to Garp』で、
作家でハウスハズバンドのT.S.ガープ(ロビン・ウィリアムズ)が
愛しい我が子の寝顔を妻ヘレン(メアリー・ベス・ハート)とともに拝み、
満足げに言うせりふ。これ自体すばらしいのですが、
そのときヘレンが置かれている状況を考えると、また皮肉さが漂って、
深み・含みのあるセリフになっています。

“For Love of the Game”
野球映画だけならハズレなしのケヴィン・コスナー主演
『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』で、
コスナー演じる、引退がささやかれるベテラン投手ビリーが、
ある決断をしたときに、ボールに書き入れたメッセージ。
映画の原題でもありますが、人生ここ一番にこのセリフという感じの、
実にツボにはまった一言でした。
ベタベタですが、「野球が好きだから」とでも訳したいところです


2002年05月17日(金) スパイシー・ラブスープ

非常に個人的なことですが、当地は現在、雨模様です(17:55)。
こういうときは、何かすかっとした映画をと思ったのですが、
どちらかというと、湿っぽい映画が好き(かもしれない)なので、
これという決定打が思い浮かびません。
ならば、タイトル頼みですが、こんなのはどうでしょう。

スパイシー・ラブスープ
愛情麻辣湯(Spicey Love Soup)

1998年中国 チャン・ヤン監督


「好きな映画は?」ではなくて、
「映画のタイトルでは何が好き?」というけったいな質問を受けたら、
きっと上位に挙げると思われる作品です。
結婚を目前にしたカップルと、彼らの周囲で
(彼らとは無関係に)繰り広げられる恋愛模様を描いた、
ちょっとおもしろいつくりのオムニバスでした。

この映画自体も嫌いではないのですが、
約1本、非常に身につまされるエピソードがあり、
ちょっと辛い作品でもあります。

エピソード1 声
さまざまな音を録音することに取りつかれた少年が、
この世で最も魅力的だと思った音は?

エピソード2 麻雀
お見合いビデオで再婚相手を探す、美しい初老の女性。
3人の男性を家に招いて、4人で雀卓を囲むけれど、
さて、「戦果」はいかに?

エピソード3 おもちゃ
やたらとおもちゃを買ってきては遊ぶ若い夫婦が、
本当に埋めたい心のすきまの正体は?

エピソード4 ※十三香
離婚しそうな両親を何とかしたい少年、料理に挑戦!
彼の心尽くしの料理に、両親は…
※十三香…作中、少年が易者から譲り受けた「妙薬」


エピソード5 写真
典型的なおしゃれボーイ・ミーツ・ガールの落とし穴(笑)。
(「おしゃれ」なのが典型的なのであって、
お話自体はさほど類型的ではなく、むしろ新鮮な感じがしましたけど)

というような感じの5本です。
どれが「身につまされた」かは、言わぬが花ということで。
あらゆる世代の魅力的なキャラクターが登場しますが、
エピソード1のヒロインの少女が、本当にかわいい子でした。

惚れたはれたを並べておけば
「恋愛オムニバス」として成立する……わけではない、という
当たり前のことを、よ〜く教えてくれる映画です。
「集中力には自信ないけれど、軽薄でない映画が見たい」と
いうときにお勧めします。

そうそう、幾つかのサイトで似たようなことが書かれていて、
ああ、やっぱりみんな考えることは一緒だなあと思ったのですが、
「スパイシー・ラブジュース」ではないので、お間違えなく。
18禁映画で、本当にありそうなタイトルですが…


2002年05月15日(水) スペースボール

5月15日はヨーグルトの日だそうです。
じゃ、これですね(強引)。

スペースボール Spaceballs
1987年アメリカ  メル・ブルックス監督


SF映画のある種の古典『スターウォーズ』に登場する
おなじみのキャラクターや小道具等を徹底的にパロディにしていますが、
大筋はフランク・キャプラの『或る夜の出来事』そっくりそのままなので、
どちらかというと、徹底的におばかなラブコメディーとしてお勧めします。

スペースボール星の
邪悪な司令官ダース・ヘルメット(リック・モラニス)は、
大統領と共謀し、隣の星から清浄な空気を奪う悪巧みを立て、
可憐なベスパ姫(ダニネ・ズーニガ)を誘拐します。
父王から姫の救出を頼まれた流れ者のローン・スター(ビル・プルマン)と
半犬人バーフ(ジョン・キャンディ)は、
賞金に釣られて依頼を受けるも、助けてみたら、
わがまま姫と、その側近ロボットにきーきー言われてうんざりし……
でも、そんなところから恋が生まれちゃったりするのも、お約束でしょう。
また、ローン・スターの意外な出生の秘密にも注目です。
後に「ハリウッド一のフラレ男」の異名をとることになる彼は、
この頃は(一応)二枚目だったのですね。

監督のメル・ブルックスは、スペースボール星の大統領と、
マスター・ヨーダを彷彿とさせる
「ヨーグルト」という名の賢者の2役で登場します。
楽屋落ち的な笑いが多いので、
そうしたものが好みでない方には受け付けないと思いますが、
乗ってしまえば、いわゆる「○分に1度の笑い」ってやつを体験できます。
また、ほかの各種SF映画のパロディも織り込まれているので、
そうしたものを探すのも楽しみの1つです。
『コレリ大尉のマンドリン』『ハリー・ポッターと賢者の石』
(いずれも今月ビデオリリース)で
渋いところを見せていたジョン・ハートが、
おなじみの出演作のセルフ・パロディで登場するシーンもお見逃しなく。
(念のためにつけ加えますが、
もちろん、上記2本とは全く無関係の作品のパロディです)


2002年05月14日(火) グリッドロック

5月14日はティム・ロスの誕生日(1961年)ということで、
こちらの作品をどうぞ。

グリッドロック  Gridlock'd
1997年アメリカ ボンディ・カーティス・ホール監督


原題“Gridlock'd”とは、「停滞した」というような意味だそうです。

ティム・ロスと、今は亡きラッパーのトゥパク・シャクール(2Pac)が
何だか危なっかしいシャブ中のおとぼけコンビといった風情で、
なかなか笑わせてくれました。

映画の製作年度は「1997年」となっていますが、
実際に2Pacが亡くなったのは、1996年9月のことでした。
つまり、彼の遺作となったわけです。
存在感のあるハンサムだし、なかなかいい演技をしていたので、
惜しいことです。

コミカルな作品ではありますが、
各国ではほぼ「成人映画」のような扱いになったこの作品の内容は…

ストレッチ(ティム・ロス)とスプーン(トゥパク・シャクール)は、
女友達クッキー(サンディ・ニュートン)が
ドラッグのオーバードーズで意識を失ったのをきっかけに、
自分たちも、そろそろまともな暮らしというやつを
考えるべきでは?と思い直します。

では、その「まともな生活」を手に入れようと思ったら、
まあ障壁の多いこと多いこと。
まずはヤク漬けの体を何とかしよう殊勝なことを考えても、
それすら、いかにもお役所仕事な数々の窓口で、
ややこしいことを聞かれ、杓子定規なことを言われ、
更生施設に入ることさえままならないとは!
一体、彼らに明日はあるのでしょうか……。

本当は非常に深刻な問題を扱ってはいるのですが、
2人が余りにもふらふら、へらへらしているせいか、
全く深刻に見えず、何が起こっても笑ってしまうような映画でした。
アメリカの一側面を見る作品としてお勧めしますが、
考えてみたら、ティム・ロスはイギリス人なんですよね。
ついつい、日本のスクリーンで知り得るそのキャリアから、
「アメリカを代表する個性派」と言ってしまいたくなりますが。


2002年05月12日(日) 映画よろず屋週報 Vol.5 2002.5.12

*****映画よろず屋週報 Vol.5 2002.5.12*********************

1週間のごぶさたでした。
今週も、「映画偏食オンナ」を自認するユリノキが、
個人的にお勧めの映画を御紹介する「よろず屋週報」を
お届けいたします。
**********************************************************

             特集「ママ・アイ ラブ ユー」※

本日5月12日(第二日曜日)は、母の日です。
そこで、強い母、美しい母、才能ある母にバカ母、
いろいろひっくるめて、
映画の中の「おかあさん」に注目してみました。

※特集名としてそのまま使ったのは、
ウィリアム・サローヤンの小説のタイトルです。
このお話も母もぶっ飛んでいましたが、愛すべき人でした。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

○ディープ・エンド・オブ・オーシャン The Deep End of the Ocean
1999年アメリカ ウール・グロスバード監督
先日見て、久々にボロ泣きしました。
母云々というよりは、幼児連れ去り事件によって変貌した家族と
その再生が描かれていますが、
ミシェール・ファイファー扮する悲しき母と、
母の愛を求める長男を演じたジョナサン・ジャクソン(美形)が見どころ。

○ディス・イズ・マイ・ライフ This Is My Life
1992年アメリカ ノーラ・エフロン監督
はっきり言って地味な上に、「母と2女」の設定が、
シェール主演の『恋する人魚たち』とカブるのですが、
拾い物と言っていい一編でした。
一時期はウディ・アレン映画の常連だった、
肝っ玉かあさんタイプのジェリー・ガブナーが、
コメディアン志望の危なっかしい母を好演しています。

○パンチライン Punchline
1988年アメリカ デヴィッド・セルザー監督
日本公開が決まりかけたのに、
おクラ入りになってしまった不幸な作品ながら、
未公開ビデオの中でもポピュラーな方では?
サリー・フィールドが、これまたコメディアン志望の主婦、
そして、そんな彼女に思いを寄せる医大生をトム・ハンクスと、
今にして思えば、かなりの豪華キャストでした。
(しかも2人は「フォレスト・ガンプ」で母子役で共演…)

○ラブ・オブ・ザ・ゲーム For Love of the Game
1999年アメリカ サム・ライミ監督
カルト監督S.ライミが撮った、びっくりの感動人間ドラマ。
ケヴィン・コスナーが初めてマジ惚れした美女ケリー・プレストンは、
10代で産んだ、年頃の娘を育てるシングルマザーだった!
彼女の出産時のエピソードが泣かせます。

○あなたのために Where the Heart Is
2000年アメリカ マット・ウィリアムズ監督
お高く見えがちなナタリー・ポートマンが、
「ホワイト・トラッシュ」と呼ばれる下層白人の
気のいい少女ノヴァリーを好演。
彼女を捨てた母(サリー・フィールド)は身震いするようなバカ母ですが、
ノヴァリー自身は、その好ましい性格で人々の助けを得て、
立派に10代での出産を成し遂げ、人間として母として自立していきます。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
お誕生日1週間(5月12日〜18日)★は故人
5/12 ガブリエル・バーン(1950)
5/13 ハーヴェイ・カイテル(1939)
5/14 ケイト・ブランシェット(1969)
5/15 チャズ・バルミンテリー(1951)
5/16 ヘンリー・フォンダ(1905−1982)★
5/17 ビル・バクストン(1955)
5/18 チョウ・ユンファ(1955)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
では、また来週お会いしましょう。さようなら。

ユリノキマリ
「土曜日生まれの館」


2002年05月10日(金) 願い、空を舞う

今日5月10日から愛鳥週間です(16日まで)。
そこで、私もたまたまNHK教育の放映を見ることができただけなので、
ビデオやDVDのリリース状況はわからないのですが、
なかなか味のある作品だったこちらを。

願い、空を舞う Tosepiger(Watch Me Fly)
1996年デンマーク  監督 ビベケ・ガズ

(※原語タイトルは、2文字目のoの上にウムラウトが入るのが本当)

デンマークの小さな田舎町での、
境遇の全く異なる2人の少女の生活スケッチと、
2人をつなぐレース鳩の飼育と競技に挑戦するまでを描いた、
決して道徳的なばかりではなく、
さらりとシビアな大人の現実も見せてくれた、
そんな「ファミリー向けドラマ」でした。

父親が失業中で貧しいけれど、幸せに育っているマイと、
裕福ではあるけれど、それは親がしゃかりきに働いているためで、
温かな家庭の雰囲気には飢えているクリスは、
どうしたものが仲がよく、時には言い争いやすれ違いがあっても、
かけがえのない友達同士です。

デンマークなどの北欧の国々は、高福祉高負担だとよく聞きます。
2人がたまたまちょっとしたことですれ違うことになったとき、
クリスがマイに向かって、
「あんたのパパが失業している分を、うちの両親が働いて稼いでいる」
などと、言わなくていいことを言ってしまうくだりには、
ためらいながらも笑ってしまいました。

デンマークといえば、日本人にとっては、
アンデルセンの生国とか、酪農の国とか、そういったイメージですが、
一国資本で撮っている映画が少ないせいか、
映画的には「おなじみの国」と言い難いところがあります。
こうしたごく普通の、
あの国のどこかにありそうな生活ぶりを見られる作品というのは、
貴重だと思いますし、また微笑ましい好編でした。

2人がけがをした鳩の治療費を稼ぐために、
都会に行ってストリートミュージシャンをやってみたり、
(ドイツ映画『点子ちゃんとアントン』にも、似たシーンが登場しましたね)
バッジを手づくりして、それを売ったりするシーンが好きです。
殊に、「その方が売れる」という理由で、
バッジは「エコロジー活動のため」売っていると言ったり、
目の不自由なおじさんが買おうとしたとき、
さりげなく最も大きくてできのいいものを選んだりする、
そういう細かいところが、なかなかいいんですよ〜。

地味ではありますが、
マイナスの意味で「地味」と使っているつもりのない私としては、
「機会があったらごらんくださいませ」とだけ申し添えたいと思います。


2002年05月09日(木) エリザベス

5月9日、語呂合わせ「May(5月)ク(9)の日」ということで、
1998年、第71回アカデミー賞において、
メイクアップ賞で受賞したこちらをどうぞ。

エリザベス  Elizabeth
1998年イギリス=インド シェカール・カプール監督


まず初めに、この年の作品賞ノミニーは、
きれいに2つの分野に分かれていました。
『プライベート・ライアン』『シン・レッド・ライン』
『ライフ・イズ・ビューティフル』の、いわば「第二次世界大戦系」、
そして、『恋におちたシェイクスピア』『エリザベス』の、
「エリザベス朝系」です。

結果は『恋に…』の圧勝でしたが、
メイクアップ部門においては、『エリザベス』が競り勝ちました。
主演のケイト・ブランシェットが、自分の顔を鏡で見て吐き気がした…と
後に漏らしたとか漏らさないとか言われている、
あの「眉無し白塗りメイク」は、確かに強烈でした。
けれども、もちろんこの作品は、それだけが売りの際物ではありません。
あのメイクには、「英国と結婚し、男妾が1人」と放言した、
エリザベス一世の意志の強さがあらわれているようでした。

新旧の宗教対立もあらわな、16世紀のイングランドが舞台です。
エリザベスは、ヘンリー八世と愛人の間に生まれました。
宗教的見方による私生児への偏見も根強い中にあって、
いつも生命の危機に怯えながら、
幼なじみダドリーとの恋に夢中な、政治とは無縁に見えた娘は、
21歳で、ある叛乱に加担している疑いで反逆罪に問われますが、
腹違いの姉メアリーの死後、
25歳で即位し、政敵を次々と「粛清」の名のもとに殺っちゃいます。

駆け足で紹介すると、こういう、
四半世紀だけでも波瀾の人生を語れる人でした。

豪華絢爛な衣装、名優たちの納得の熱演はともかくとして、
大ロマン歴史絵巻というよりは、
歴史に翻弄された1人の強く悲しい女性の物語でした。
そこんところを細い体で力いっぱい演じたケイト・ブランシェットは、
正直、この年『恋に…』で主演女優賞を受賞したグィネス・パルトロウを
女優としてはるかに上回っていたと思います。

セクハラ的ではありますが、「女を捨てている」という表現があります。
歴史の表舞台に立った女性は、
大抵これで説明できそうな乗りがありますが、
この映画を見ていたら、そうしたすべての女性の生きざまを
覗いてみたい気分になりました。
(本当は歴史コスプレものは、それほど得意ではないのですが…)

もしもどちらも未見という方がいらしたら、
これをごらんになった後、『恋に…』もごらんになると、
より楽しめるかと思います。
(ついでに言えば、さらにその後、
トレバー・ナン監督の『十二夜』を見ることもお忘れなく)


2002年05月08日(水) ティファニーで朝食を

1994年5月8日、俳優ジョージ・ペパードが亡くなりました(享年65歳)。
『特攻野郎Aチーム』でおなじみだった人ですが、
このシリーズをほとんど見たことがない私には、多くを語る資格はありません。
(日曜洋画劇場でやっていても、「ああ、やってるな〜」程度)
そこで、ちょいとベタな気もしますが、こちらなんかどうでしょう。

ティファニーで朝食を Breakfast at Tiffany's
1961年アメリカ  ブレイク・エドワーズ監督


監督は、『ピンクの豹』『ピンクパンサー』シリーズで知られる
ブレーク・エドワーズです。

ミッキー・ルーニーの冗談のような日本人役とか、
些事で一言二言言いたくなるタイプの映画ですが、
オシャレさや独特の切なさ、ロマンチックさ、
オードリー・ヘプバーンの乗りのいい演技などなど、
個人的には、もっと評価されてもいい映画だと思っています。
(名画、とは言いませんが、いい線行っていると思うので)

G.ペパードの役は、有閑マダムの囲われ者のような若い作家、
そして、A.ヘプバーンは、「朝食のシリアルのような清潔さ」を持った、
何とも魅力的な娘、ホリー・ゴライトリーを演じました。
はっきり言って、職業はいわゆるコールガールですし、
ちょっとヤバイことにも知らずに手を貸しているのですが、
あんまりいかがわしい感じはありません。

同じアパートに住む2人が徐々に惹かれ合い、
紆余曲折を経て結ばれる(と解釈していいのかな)というのが大筋で、
そのほかのエピソードは添え物的というか、
「おもしろがる」程度で差し支えないかと思いますが、
この映画が何故にああも「記号的」に使われるのか
(若い女性がヘップバーンのイメージで写真を撮るとなると、
これか『ローマの休日』ファッションか、ですもんね)
やっぱり、まずは1度ごらんになってから
考えるべきではないかと思います。

宝飾品のお店「ティファニー」の前で食べるホットドッグ、
名前をつけられない猫、ホリーの長いキセルを含むファッションなど、
シンボリックに扱われやすい材料は確かにたくさんあるのですが、
そこに込められた、彼女の愛らしさや嫌らしさ、
心の傷などを味わってからの方が、
よりこの映画の存在価値がわかるかと思います(自信はないけれど)。

ところで、有名人大好きだったという作家のトルーマン・カポーティは、
自作『ティファニーで朝食を』(映画の原作)映画化に当たり、
実は、ホリー役のヘプバーン起用には賛成ではなかったそうですね。
ヘプバーンという女優その人を嫌いではなかったようですが、
彼が後年語ったところによると、イメージにぴったりなのは、
『タクシードライバー』のジョディ・フォスターだったそうです。
といっても、この映画が製作されたのは、彼女が生まれる前年…
無茶なおっさんです。

しまった。G.ペパードの命日にちなんで取り上げたはずなのに、
オードリー“ホリー・ゴライトリー”にばかり触れてしまいました。
強いて言えば、ペパード氏の御しやすいというか、
振り回されやすそうな気弱な二枚目ぶりが、
役にはまっていたと思います。
(所詮はヘプバーンの引き立て役…なんでしょうか)


2002年05月07日(火) オペラハット

1901年5月7日、ゲイリー・クーパーが生まれました。
アメリカに先んじて、日本の映画ファンが見出したという説のある、
(獅子文六の「悦ちゃん」の中で、気取ったハンサムのことを
「ゲイリー・クーパーが曲がったみたいな顔」
と表現するくだりがありましたが、
それって果たしてハンサムなのでしょうかねえ…)

クーパー氏の御清潔そうなハンサムぶりにぴったりの作品といえば、
何といってもコレではないでしょうか?と、個人的には思います。

オペラハット Mr. Deeds Goes to Town
1936年アメリカ  フランク・キャプラ監督


最近、“Mr. Deeds”(邦題不明)というタイトルで、
アダム・サンドラーとウィノーナ・ライダーによるリメイクもつくられました。
プロットはほぼ同じと思われます。(そりゃ、リメイクだからね…)

田舎で、ポストカードに添える詩などを書きながら
のんびりと暮らしていたディーズ(クーパー)は、
ある日突然、大富豪の遺産相続人になり、大都会へと赴きます。

彼は「悩める乙女を救う」という恋愛観の持ち主で、
たまたま屋敷の近くで行き倒れになりかけていた
可憐な女性メリー(ジーン・アーサー)に一目惚れし、
彼女に食事をごちそうしながら、気の毒な身の上を聞いたことで、
すっかり彼女のとりこになってしまいました。
が、彼女の正体は、実はスクープ狙いの新聞記者だったのです。

「田舎から出てきて、大金をつかんで調子に乗っている男」として、
彼は新聞にからかいの意図のみで書き立てられ、
「シンデレラ男」と揶揄されます。
そんな中でメリーだけは自分を笑わないと、ますます信頼を深めますが、
彼女こそ「シンデレラ男」と書き立てた張本人であることなど、
知る由もありません。
メリー(本名じゃないけど)はメリーで、
最初は取材のためにつき合っていた彼に、
だんだんと惹かれていくのでした。

しかしある日、ディーズは側近の男からメリーの正体を知らされます。
そのショックと、
有り余る財産を人々の役に立つことに使いたいと思い立ち、
大規模な農場建設の計画を立てたものが、
それをよく思わない周囲の人間に妨害され、
禁治産者呼ばわりされて裁判にかけられたことで、
明るく屈託のなかった彼が、すっかり心を閉ざしてしまうのですが……

起伏に富んだ、飽きさせないドラマでした。
艱難に遭いながらも、行き着くところに行き着くという筋運びは、
いかにもキャプラ節という感じですが、
中でも痛快さにおいてはピカイチだと思います。
もうネタバレしたも同然ですが、約束されたハッピーエンドというのも
この場合、悪くないと思いますよ。

ゲイリー・クーパーの、取り澄ました顔でボケをかますさまや、
「働く美女」がよく似合うジーン・アーサーの泣き笑い顔が最高です。

実はこの作品、メリーが速記者だと自称したことに因み、
昨年10月28日(速記記念日)に御紹介したのですが、
その分を手違いにより削除してしまったので、
今回改めて取り上げることにしました。


2002年05月06日(月) マンハッタン・ラブ 女と男のいい関係

1626年5月6日、オランダ・西インド会社がマンハッタン島を買収し、
自国の都市名をとって「ニューアムステルダム」と命名しました。
後のニューヨークですね。

ニューヨークが舞台の映画となると、
このコーナーでの特集どころか、サイト1つつくれるくらいありますが、
「より穴を狙う」ユリノキとしては、こちらの映画なんかいいかなあと……

マンハッタン・ラブ 女と男のいい関係 Married To It
1991年アメリカ アーサー・ヒラー監督


ニューヨークに住む、
タイプの違う3組のカップル(夫婦)の交流を描く、
ちょっと拾い物のコミカルなお話でした。
(邦題はちょっと見当違いですが、原題はあっさりし過ぎ)

田舎からニューヨークに越してきた新婚カップルは、
夫チャックが証券マン(ロバート・ショーン・レナード)、
妻ニーナが精神分析医(メーリー・スチュワート・マスターソン)で、
まだまだ初々しい関係です。

2人の息子をがさつに、しかしたくましく育てる
おもろい夫婦ジョンとアイリス(ボー・ブリッジズとストッカード・チャニング)は、
騒々しいけれど、何となく憎めない感じ。

年頃の女の子を連れて、
お高い美女クレア(シビル・シェパード)と再婚した
ちょっと影の薄い男レオ(ロン・シルヴァー)。
この2人は、何だかちぐはぐな感じがします。

ひょんなことで知り合い、
子供が学校の同級だっただの、
カウンセラーとして学校に出入りするようになっただの、
誰の女房はアイディアの固まりで頼れるだの、
誰それのドレスを借りて着ると、
お前も馬子にも衣装で美人に見えるだの、
誰々のダンナさんは、アンタと違って知的だわ〜だのと、
それぞれの夫婦間で、ヤキモチを焼き合ったり、支え合ったりして、
無理なく大団円に持ち込むという、他愛もない話なのですが、
独特の安定感があり、何より好感が持てるお話でした。
(大きな事件といえば、証券マンのチャックが
背任事件に巻き込まれるくらい)

例えばですね、このキャストを、
もう少し派手に置き換えてごらんください。

若い新婚カップルが、ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツ、
おもろい夫婦がメル・ギブソンとミシェール・ファイファー、
再婚カップルが、ケヴィン・スペイシーとシャロン・ストーン…

私など、こうして架空のキャストを書いただけで、お腹いっぱいです。

この映画の魅力は、
「地味なキャストのアンサンブル」にもあった気がします。
殊に、「ど〜せアタシは不細工よ」とぶーたれる
チャニング女史がすてきでした。
可憐なマスターソンが、彼女を褒める夫にヤキモチを焼くシーンも
妙な説得力を持っていましたし。

ビデオショップで結構見つかりやすいと思いますし、
BSでの放映実績もあるようですので、
この手のお話が嫌いではないという方には、
機会があったらごらんになることを勧めます。


2002年05月05日(日) 映画よろず屋週報 Vol.4 2002.5.5

*****映画よろず屋週報 Vol.4 2002.5.5*********************

皆さん、こんにちは。この連休を利用して、
映画三昧という方もいらっしゃることでしょう。
そんなときのナビゲーター…とまではいかなくとも、
ちょっとした作品探しのヒントになればいいなあと思いつつ、
ユリノキマリがお届けする「映画よろず屋週報」に、しばしおつき合いを。
**********************************************************
      特集「可愛いだけじゃダメ…に決まってる!」

5月5日はこどもの日です。
世界中に、これに類する日はあるようですが、
韓国でも同じ5月5日だとか。

古今東西、映画界でも、小さな名優たちが、
達者な演技で泣かせ笑わせてまいりました。
きょうは作品というよりは、そんな子供たちについて
お話ししたいと思います。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

☆セス・グリーン(1974年2月18日生まれ/アメリカ)
『ホテル・ニューハンプシャー』(1984)
『ラジオ・デイズ』『キャント・バイ・ミー・ラブ』(ともに1987)
(日本公開順)
子役だけで終わる役者も多い中、28歳の現在も活躍中ですが、
身長がせめてあと10�儿發�ったら、使われ方も変わっていたでしょう。
天才子役と呼ぶにふさわしい達者さで、
ちょっと個性の強い役どころも難なくこなしていました。
近作では、『ラットレース』のアホ兄弟の兄、
『アメリカン・スウィートハート』のビリー・クリスタルの助手的な役で
姿を見せています。

☆アンドレイ・ハリモン(1990年生まれ/ロシア)
『コーリャ 愛のプラハ』(1996)
この役ができる子供を発掘するためには、
モスクワ中の幼稚園を回ったという製作スタッフの逸話あり。
母親の偽装結婚によって、初老のチェコ人と父子の触れ合いをする
ロシア人の少年を、けなげさ全開で演じていました。

☆ビクトワール・ティビソル(1991年7月6日生まれ/フランス)
『ポネット』(1996)『ショコラ』(2000)
ベネチア国際映画祭主演女優賞を4歳で受賞!のポネットは、
『ショコラ』では、ジュリエット・ビノシュの娘として、
堂々と英語のセリフをこなしていました。「女優」ですねえ。

ウィリアム・スネープ(1985年4月17日生まれ/イギリス)
『フル・モンティ』(1997)
ロバート・カーライルの息子役の、金髪を刈り上げたかわいい坊や。
余りキャリアはないようですが、賢そうな目をした、
抑えた演技がイケる子だと思うので、
そのうちぽこっと再登場するのを楽しみにしています。

☆ジョルジオ・カンタリーニ(1992年12月5日生まれ/イタリア)
『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)
同じイタリアの『ニューシネマ・パラダイス』の反省から、
かわいい子役として有名になったサルバドーレ・トト・カシオのように
スポイルされないように…との配慮から、
この映画に出演当時は、名前以外のプロフィールは
伏せられていたようですね。
割と近作では、『グラディエーター』(2000)にもちょっと顔を出しているとか。

☆クイン・カミングス(1967年8月13日)
『グッバイガール』(1977)
マーシャ・メイスンの娘ルーシーを好演しました。
「おしゃまなルーシー」といったら、
スヌーピーの『ピーナッツ』だけでなく、こちらもお忘れなく。
改めてプロフィールを調べたら、私ことユリノキより年上でした。
90年代以降は何にも出演していないようですが、
今、どうしているのでしょうか。

☆ジョルジュ・デュ・フレネ(1985年生まれ/フランス?)
IMDbでもイマイチ詳しく調べがつかなかったのですが、
『ぼくのバラ色の人生』(1996)のリュドヴィック少年役が鮮烈でした。
性同一性障碍や家庭崩壊などの重いテーマを扱いながら、
夢見心地と言いたいような美しい映像で酔わせてくれます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
お誕生日1週間(5月5日〜11日)★は故人
5/5 マイケル・ペイリン(1943/モンティ・パイソン)
5/6 ジョージ・クルーニー(1961)
5/7 ゲイリー・クーパー(1901−1961)★
5/8 赤木圭一郎(1938−1961)★
5/9 キャンディス・バーゲン(1946)
5/10 フレッド・アステア(1899−1987)★
5/11 ナターシャ・リチャードソン(1963)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
では、また来週お会いしましょう。さようなら。

ユリノキマリ
「土曜日生まれの館」


2002年05月04日(土) アンダーグラウンド

1980年5月4日、ユーゴのチトー大統領が死去しました。
第二次大戦下、ドイツ占領軍に対して※パルチザン闘争に打って出て、
戦後の1953年に大統領に就任し、
スターリンとの対立もあり、独自の社会主義路線を進めた人のようです。
※パルチザン…武器兵力の劣る一般の農民、労働者階級が組織した非正規軍のこと。

この人から連想される映画といえば、かの国の名匠の、
あの映画しかないでしょう。


アンダーグラウンド  Underground
1995年 ドイツ・フランス・ハンガリー合作
エミール・クストリッツァ監督


いいタイトルです。
直訳「地下」とか、あるいは「地下の人々」なんてのもよかった、かも。
1941年、ナチスドイツのユーゴ侵攻の後、
地下に潜って生活する人々の、日常の喜怒哀楽、狂気、享楽、
そういうものがぎっしりと詰まっていました。
なので、その分非常に長いです。
ビデオ1本で収まったのが不思議なほど。
(つまりは3時間以内ってことですが)

1つ1つのエピソードをあげつらって云々するのはばかばかしいほど、
目まぐるしくあらゆる人々が登場し、ナンカするという感じです。
ユーゴの苦難の歴史の一編でありながら、
オープニングの底抜けというか、天井知らずのアホっぽさだけでも、
映画史に残るかもしれません。
(そこだけ一緒に見ていた私の相方が、
「うわ〜、オバカでいいなー」とぼそっと言ったほどです)
…そこまで言うと誤解されそうですので、
「パレードのシーン」と言い換えましょうか。
それだけなんですが、なんというか、漫画に描いたような風景でした。

でも、結末は余りにも皮肉なものでした。
(ネタバレ防止のため、以下、自主規制します)

世界史で教わったり、もっと進んで、
自ら求めて本を読んだりしただけではリアルに伝わってこない、
そんな歴史の気分が充満している映画だったと思います。
理解するというより、感じて堪能する映画です。

人が生きていくことって滑稽だなあと思わせる映画には、
傑作が多いものですが、
(きっと、人生の本質や、それに近いところを描いているからでしょう)
中でも出色の出来といえるのではないでしょうか。

ところで、E.クストリッツァの映画というと、
絶対タイトルで誤解されそうな『パパは、出張中!』というのもありました。
これは、1950年代、『アンダーグラウンド』の人々が地下にいる間、
地上で起こっている小市民の事件を描いた、
よく言えば素朴なつくりの、悪く言えば結構辛気臭い映画でしたが、
奇妙に印象に残るものであり、個人的にはお勧めです。
いつかこちらで取り上げさせていただくこともありましょう。

人が生きていくことの滑稽さといえば、
先日、私の父が急死したのですが、
母から連絡を受けて、
家族そろってとるものとりあえず実家へと向かいました。

久しぶりに会った、何となく人見知りな次女に、私の祖母は、
キッチンで牛乳を飲ませて懐柔しようとしたのですが、
牛乳瓶に慣れていない次女は、その滴を床にこぼしてしまいました。
そこで、「あらら、これで拭きな」と祖母が私に手渡したのは、
何と、亡くなったばかりの父が使っていたハンカチでした。
(テーブルの上にたまたまあったやつです)
私は思わず、笑ってしまいました。
その話を後から相方と長女にしたら、
やっぱり瞬時にして吹き出しました。
こうして文章で書くと、ちっともおもしろくないのに、
どうしてあのとき、あんなにおかしかったのか…?

生きていくことって、リアルです。
『アンダーグラウンド』の登場人物の1人が、
「腹ぺこのまま死にたくない」という趣旨のセリフを言っていたとき、
ちょっとぞっとしたのですが、
今なら笑えそうな気がしてきました。


2002年05月03日(金) きのうの夜は…

1967年5月3日は、香山リカちゃんの誕生日です。
…といっても、コメンテーターとしても活躍している
精神科医のあの人ではなく、お人形のリカちゃんですね。
彼女は永遠の小学5年生という設定ですが、
まともに歳を重ねていたら、
それこそリカちゃんくらいの子供がいてもおかしくない35歳…でした。
(実際昨年は、「妊娠したリカちゃん」のお人形が売り出され、
話題になりましたっけ)

ところで、福島県の小野町というところに、
リカちゃんキャッスルと
いうものがあるのを御存じでしょうか。
これは、おもちゃメーカー株式会社タカラの工場なのですが、
リカちゃん人形や、タカラのおもちゃの歴史などについての展示物を
見られる、ちょっとした博物館が併設されています。
たしか、1993年5月3日にオープンした折には、
「1967年5月3日生まれの方は入場無料」というような企画を
やっていたと記憶しています。
私も、一応地元の施設ということで、2度ほど行ったことがありますが、
近所のお弁当屋さんには、「リカちゃんお弁当」というのが売られていて、
オマケでプラスチック製のチープなアクセサリーがついていました。
オムライスとスパゲティと揚げ物とか、そんなだったと思います。
(…といっても、もう4〜5年行っていないので、
まだあるかどうかは不明です)

さて、こちらのリカちゃんキャッスルには、
この映画のヒロインも、来日時に足を運んだといううわさです。


きのうの夜は… About Last Night...
1986年アメリカ エドワード・ズイック監督


カルト的と言いたい人気を誇る映画
『セント・エルモス・ファイヤー』でも共演した
ロブ・ロウとデミー・ムーアが恋人同士で、
けだるい独特の雰囲気の、
それでいて「よくある青春恋愛もの」的な映画ですが、
実は、:原作が脚本家のデヴィッド・マメットだったりします。
映画というより演劇がお好きな方に、特にピンと来る名前では?

不倫疲れのOLデビー(ムーア)は、
ひょんなことから知り合ったダニー(ロウ)という青年と気が合い、
お互いを縛らない関係でいるという約束のもと、同棲し始めますが、
言うは易く、行うはナントヤラで、そうそううまくいくものではありません。

この映画、
「エッチのシーンと、怒鳴り合いのシーンしか覚えていない」
と言っていた人がいましたが、
全く違う人間同士が、妥協も譲歩もなく
生活をともにするとどうなるか、ということを
端的に表現していたように思います。

2人の場合、言いたいことを言い合って、傷つけ合いもして、
結局どうなってしまうのかは、ごらんになってのお楽しみです。
1つだけいえば、決して悲恋ではありませんでした。
(この程度なら、ネタバレにはならないと思いますので…)

デビーとダニーのそれぞれの親友ジョーン(エリザベス・パーキンス)や
バーニー(ジム・ベルーシ)も、しっかりと脇を固めていて、
地味だし、テーマがテーマだけに、軽んじられそうな作品ですが、
見てみれば、「期待していなかったけど、結構いけた」とおっしゃる方も、
いるのではないかと思います。

まだ自前の素材で勝負していたと思われるデミーのかわいらしさは、
かなり見ものです。
(最近は、どの辺が自前でどの辺が…というのを確かめようにも、
映画自体に出てくれないので、ちょっと寂しいところですが)


2002年05月02日(木) リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1986)

本日5月2日は、1957年に制定された歯科医師記念日です。
昨年は同じ切り口で、『エバースマイル・ニュージャージー』を御紹介しました。
歯医者さんがさりげなく登場する映画というのも、
多いような、少ないような…ですね。
でも、絶対にかかりたくないのは、この映画に登場する歯医者さんでしょう。


リトル・ショップ・オブ・ホラーズ
Little Shop of Horrors

1986年アメリカ フランク・オズ監督


オリジナル(1960年ロジャー・コーマン監督)は見ていないのですが、
このリメーク版は、楽しくて怖いミュージカルホラーコメディーでした。

花屋で働く貧相で要領の悪い男シーモア(リック・モラニス)は、
ある日、チャイナタウンで奇妙な花の鉢植えを買い、
憧れの同僚オードリー(エレン・グリーン)の名をとって、
「オードリー�供廚般症佞韻泙靴拭�

このオードリー�兇蓮△舛腓辰箸靴神弧紳里任后�
自分の意思で口を利くこともできました(ちなみに♂のよう)。
が、実は非常に変わったものを栄養分にして育つので、
シーモアはそれを都合するのにちょいと苦労します。
けれども、見る見る大きくなったその鉢植えのおかげで、
勤める花屋もシーモアも一躍有名なりました。

一方、オードリーは、「稼ぎがいい」という理由でつき合っている
暴力的な歯科医(スティーブ・マーチン)に、
毎日のように殴られていました。
実は、オードリーもシーモアを憎からず思っているのですが、
自分のように蓮っ葉な女は彼にふさわしくないと思い、
引いていたのでした。
男に殴られ、オードリーが上げる黄色い悲鳴に耐えられず、
また、オードリー�兇砲修修里�されたこともあり、
シーモアは、オードリーを男から救うために、
「�供廚帆箸鵑如∪い砲盒欧蹐靴し弉茲鯲�てるのですが…

ミュージカル仕立てだけに、
華やかな歌や踊りのシーンが見どころですが、
出演者それぞれが魅力的でした。
リック・モラニスが、決して上手ではないけれど、
情感込めて歌うシーンは、「カエルのカーミット」のような愛らしさです。
オードリーを演じたエレン・グリーンは、せりふこそきーきー声でしたが、
歌うと堂々たるミュージカルスターの色香満点です。

でも、この映画で最も強い印象を残すのは、
歯科医役のスティーブ・マーティンではないでしょうか。
トム・ジョーンズ張りの力強い歌声で、
「Dentist!」という歌を披露しています。
吹替ではと思うほど見事ですが、
そういう情報はないので、多分、御自身で歌っていたのでしょう。
…は別として、「人に痛みを与えるのが歯科医の仕事」だと
勘違いしている彼の、すさまじいサディストぶりときたら、
虫歯・歯痛で悩んでいる人に、
歯医者に行くのをためらわせてしまうのでは、と思うほどでした。

オリジナル版が60年製作ということもありましょうが、
リメーク製作当時に当時流行っていたオールディーズの影響もあり、
50年代風のファッションや風俗も見どころの1つです。
特に、オードリーが空想する、シーモアとの温かな家庭の風景など、
口許が緩んでしまうほどラブリーでした。


2002年05月01日(水) 依頼人

1933年の5月1日、弁護士法が改正され、
女性も弁護士資格が取れるようになりました。

アメリカのその辺の事情はよくわかりませんが、
訴訟大国のアメリカには、魅力的な女性弁護士が登場する映画も
豊富にありますね。

依頼人 The Client
1994年アメリカ ジョエル・シュマッカー監督


最近、ちょっと肥り気味(らしい)なのが気になる
ブラッド・レンフローのデビュー作ですが、
彼はこの映画出演時、プライベートでも、
映画の設定と大差のない境遇だったそうです。

森で遊んでいたマーク(レンフロー)とリッキーの兄弟は、
ある男性の自殺現場に遭遇しますが、
彼は、重大な上院議員殺人事件の真相を握る男でした。
これを見てリッキーは重篤なPTSDに陥り、意識を失いますが、
彼につき添って病院に行った彼は、
待合ロビーで、「事故の相手方を訴えないか」と
「客引き」をする弁護士を見て
(アメリカ名物って感じですが)、
ヤバい現場を見てしまった自分を守ってくれる弁護士を雇おうと考え、
ポケットの1ドルで、
レジー・ラブという女性弁護士に「依頼」します。

レジーを演じたのはスーザン・サランドンでしたが、
はまっていました。
身勝手な夫のせいでアルコール依存症になったため、
2人の子供を奪われて離婚されたという辛い過去を持っていた彼女が、
けなげな少年の依頼をむげに断れるわけもなく…といったところです。
一方、自分の母(メーリー・ルイーズ・パーカー)が、
父(既に離婚)の酒癖の悪さのせいで苦労しているのを知るマークは、
酒飲みを偏見的に嫌っていて、
レジーの飲酒歴を知り、一旦は依頼を取り消そうとしますが、
彼女が、弱い自分としっかり見つめ合い、
一念発起して司法資格を取ったことを知って、
信頼してついていこうと決めます。

殺人事件の犯人と目されるマフィアを追う
検事(トミー・リー・ジョーンズ)なども含め、
マークは証言を求められたり、命をねらわれたりと、
各方面からつけねらわれるところとなりますが、
レジーはそんな彼を、献身的に守るのでした。

弁護士が登場する映画というと、
大抵は法廷での丁々発止が見どころですが、
この映画は、え、これも弁護士の仕事なの?と思うような展開なので、
「年の離れた男女のピュアなラブストーリー」か何かとして
見た方がいいようです。

私がこの映画が好きなのは、
実は、小ネタ・小道具が充実しているということも理由の1つです。
舞台がメンフィスということで、
「かつてキングと呼ばれし男」をモチーフにしたペッツ人形が登場したり、
レジーがネックレスにつけているトップが方位磁石だったり、
「レッド・ツェッペリンはサイコーのバンドだ」とマークが言えば、
レジーもそれに同意するけれど、
話を合わせようとしているだけだろうとバカにするマークに、
レジーが軽く「報復」したり、
息子を愛していながら、
かまってやれないマークの母の苛立ちや悲しみをも、
レジーがその包容力でもって受け入れたり、
「ほっとしてハラハラできる」サスペンスでした。

なお、これは後にテレビシリーズ化され、日本でも放送されましたが、
私はこれも大好きで、よく見ていました。
レジー役がジョベス・ウィリアムズで、
映画ではトミー・リー・ジョーンズが演じた検事を
ジョン・ハードが担当し、
レジーとは性差を超えたケンカ友達といった風情で、
2人の会話は楽しみの1つでした。
南部独特の人種差別にまつわるケースが多かったのも印象に残ります。


ユリノキマリ |MAIL |HomePage