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2005年08月28日(日)


仕事はちょっと忙しくなってきました。前のひとがどうやっていたのかよくわからなくて、彼女がひとりでやっていたことに関しては、誰もうまく説明できないので、依頼する側とこちらとお互いによくわからないまま右往左往していました。わからないってことは、仕事のうえでは本当に嫌なことです。そんなこんなで、こないだ額をドアで強打した傷が癒えたと思ったら、今日また頭をぶつけました。注意力散漫になっているってことなので、体をどこかにぶつけるようになったら、ちょっとゆったりとした時間を作ったほうがよいかもしれません。むー。

さて、いろいろ行ってきました。

■大巻伸嗣個展
三箇所でほぼ同時にやっているうちのふたつを見てきました。資生堂ギャラリーでは、白いフェルトの地面に色のついた砂のようなものでいちめんに草花が描かれていました。お客さんはその上を歩いて鑑賞するので、砂がまじりあってぐちゃぐちゃに。。変化していくこと自体がアートなのでしょうね。それにしても誰も踏み入れていない時点で見てみたかったなー。砂曼荼羅を思い出して切ない気持ちになりました。ものすごく贅沢な作品。9/25まで。

もうひとつ、東京画廊というところでは、壁面のパネルに無色の砂でやはり草花が描かれていました。こちらいわゆる砂絵のような感じで糊で貼られているので、販売もされていました。無色なもので、ほどよい立体感で絵が見えるのですが、それが本当に綺麗。絵も優雅で美しかったです。9/9まで。

■「佐藤雅彦研究室展 課題とその解答」
ギンザ・グラフィック・ギャラリーにで明日までです。なんか有名なひとらしいのですが、わたしの情報収集能力は穴だらけなんで、まったく初めて彼の名前や仕事ぶりを知りました。あたりまえに見えているものを科学的に考察し、さらに変化させてみるという感じで、数学的な学問をやっているんだとは思うのですけど、わたしからすると現代アートとやっていることは同じ。いろんなひとがいろんなことをやっていて、細かく枝分かれしているようで、実は近いところに居たり。そういったことはわりとあるような気がする。

■佐人
銀座の和喫茶というか、お茶屋さんで、予想していた感じとある意味全然違っていてびっくり。店主のおじさんが気さくすぎ(笑)。でも抹茶と和菓子を頼んだら、煎茶とクッキーとおせんべいまで出されたので、なんだかヘンに面白かったです。関係ないけど、抹茶って自分で点てたらやっぱり不味いだろうか。。

■京詩人東上ガル千駄木入ル
今回は音楽やスライドがあったりして、エスさんの声もきれいだし、妙に癒し空間風になっていました。出されたお茶の炭のような独特の匂いもなんだか癖になって、お代わりしてほわわんとなってました。あとなぜかビールも振る舞われたり。京都のひとっておもてなし好き?(笑)。もゆさんの目隠し朗読は、同性なんで絵的にドキドキはしないんだけど(笑)、見えないこととか、テキストのないこととかを想像してしまっていまだに見ていて緊張します。わたしはテキストは覚えられると思うのだけど、万が一真っ白になったときに対応できる気がしないので、カンニングペーパーないと怖いかも。

■エイリアンVS.プレデター
ええと、プレデターの話では盛り上がることがあったのだけど、そういえばエイリアン3を映画館に観に行ったことがありました。3はあまり面白くなかったですね。で、今回のこれはなかなか主役たちが出てこなくてじりじりしましたけど、出てきたら出てきたでまああれなんでですけど、別にエイリアンじゃなくても成り立つあたりが作品としては悲しかったです。プレデター作品としてみると結構ツボで、人間食ってたじゃん!とかとりあえずツッコミを入れてみました。思ったよりもいろいろ余計な要素が多くて、ちょっと考えすぎちゃったのかなーという感じもありました。まあこれはこれで。。




2005年08月21日(日) 映画レビュー更新しました


■映画レビュー、5件追加。
月一更新のつもりが、さぼってました。仕事の方はいろんな人が思い思いに頼んでくるので、暇で死にそうな日もあり、目が回りそうな日もあり。一日ホチキス止めとかコピーとかの日も。「今日日本で一番ホチキス止めたのわたしたちだよ!」とかゆってました。でも基本的に残業なしなのでいい感じです。最近見た映画は全国展開のものばかりだったので、9月には単館ものを観に行きたいなあ。あとチョコレート工場も来るので楽しみ。

トップページのミニフォトはアシモです。みっつあって、手前は2代目くらいのやつ。でかくてやぼったいですね。ロボって感じでわりと好きですけど。一番奥が今のアシモです。


今日はひさしぶりにのんびり昼寝などをしつつ、お掃除もしました。ベッドの上に掃除機を抱えて乗って、本棚の上のほこりを取ったり。前に一度もろもろ捨てまくったので、ずいぶん掃除がらくになりました。わたしの掃除はひきだしのなかをいじりまわすのがメインなので、物が少ないと本当に楽。服はまだ半分ぐらいに減らしたいなあ。


2005年08月20日(土)


■ガンダム祭
金曜夜から朝にかけてガンダム劇場版3作を放送するというガンダム祭をBSでやってました。間にガンダムを熱く語ろうという番組が入るので、本当に朝までという構成。2作目を見たところで脱落。3作目はビデオに撮ってもらったのですが、きれいに重ね撮りされてしまいました。。まあ続きはレンタルで。。

わたしはあまりちゃんと見たことがなかったんですけど、面白かったです。坊やだからさというあのセリフは、ああいう展開のなかで言ってたんだと思って、感慨深かったです。あの友情はニセモノだったのかーっ。でもシャーッと飛んでくるからシャアなんだもんな。。富野さんのロングインタビューで、彼はいつも怒っているイメージがあったので、丸くなったんだなあと思っていたら、最後の方はやっぱり吠えてた(笑)。20年の前のことをあれだけ怒りつづけられるって、ある意味すごいなあと思いました。ひとつのことを怒り続けるって結構エネルギーが必要だと思うのですけど。。

ひとつ、とても感心したのは、登場人物の顔がみんな変だったこと。一瞬だけしか映らないひとも含めてみんな顔がヘン。整っていない顔を描くって案外大変だと思いまする。

■森美術館 いろいろやってました。
「中国★美の十字路」
後漢から唐までの出土品の展示。傭や、動物をモチーフにした像などを中心にしているので見やすい構成。誰かの好みなのか、かわいいものが多かったです。埴輪的かわいらしさ。基本的には精巧なものが好きなんですが、動物ものが多かったので楽しめました。

「フォロー・ミー!」
こちらは中国の現代美術。30分の映像を丸々見たんですが、意味不明。。黄山の宣伝映画…? 他のものは基本的にわかりやすいものが多かったです。トランクのなかに布で作られた都市(東京、ニューヨーク等)が詰まっているものと、写真の人物や信号などを切り取ったもの(意味わからない説明ですみません。。)、飛び出す絵本みたいに立体になっているのですが、これが好きでした。

「都市の模型展」
ニューヨーク、上海、東京の写真から組み立てた紙模型です。ニューヨークは綺麗に碁盤の目になってました。でも殺伐とした感じで住みたくないなあと思いました。例のビルは透明なガラスになっていたのが切なかったです。たぶん作られたときにはまだあったんじゃないのかな。写真よりもずっと鳥瞰の感じがあってなかなかよかったです。それにしても、東京ってわかりずらい。。

映像は押井守監修、川井憲次音楽の、東京の川と橋と、川から見える風景をゆったりとめぐるもの。日本橋あたりから水道橋あたりまでをぐるり。なんというか、ぜんぜん綺麗ではないのだけど、なにか残照のような感じでよかったです。橋の名前が出てきて、どれもコンクリのちいさなものなのだけど、みんな名前を知っていて、ちょっと感傷的になりました。川井さんの音楽はいいなあ。

「東京シティビュー」
展望台です。いい場所にあるので、かなり楽しい。高いところ好き。でも遠近感が狂うので、お台場まで1キロぐらいに見えてしまう。。東京タワーとか5分ぐらいで行けそうな感じにみえました。羽田空港もよく見えて、ひとつ着陸すると、遠くの空から次の飛行機がぽっと現れるのが面白かったです。同じリズムでくりかえされるので、かなり見入ってしまいました。あと、アシモのショーがあるらしく、スタンバイ(軽く踊ってた)しているところを見ました。思ったよりも小さいですね。


2005年08月17日(水)


■「ぶらん乗り」いしいしんじ
かすかに残酷さを感じるのだけど、それがあるかないかは大きなことのように思います。たとえば梨木香歩はないんだな。。いしいしんじの本はやっぱり一歩間違うと息が詰まって読めない気がする。。これはすべてがほどよくて、かつこれだけ深く透明な物語は初めて読んだかもしれない。電車のなかじゃなかったら泣いていたと思う。

■アメリカン・スプレンダー
借りられました。ひとことでいうと映画そのものがコミックになっているという感覚。「ロジャー・ラビット」とか「ラン・ローラ・ラン」のような感じでもなくて、本当に映画なんだけどコミックなんだな。これは初めての体験でした。

役者はみんな面白かったけど、主人公ハービー・ピーカー役のひとが、出てきた瞬間に見せたひどい顔(!)には特にくぎ付けになりました。怒っているわけでもないのだけど、あれはどういう表情なんだか(笑)。

しょうもない男の話なのかと思っていたら、性格はともかくとして、生き様としてはハービー・ピーカーは素晴らしかった。家族を養うことがテーマとインタビューで言っていて、ひたすら地味ではあるのだけど、いつのまにか彼自身がヒーローに見えてくるという不思議な作品でした。

ところで、わたしは予告編にはちょっとうるさいのですが(笑)、日本版にはNGを出したい。”ハートフルなラブコメ”みたいな予告なのですが、実際はオリジナル版に近くて、”ダメダメなんだけどハートはある”みたいな感じでしょうか。


2005年08月14日(日)


今日はいちにちダラダラ過ごしてみました。『介護入門』をダラダラ読みつつ、テレビでやっていた『尼僧物語』に見入ってしまった。オードリー・ヘプバーンだからなのかな。シスターに向いてないんじゃないかなと見ていたら、案の定。。

■リリース・ルーム
行ってきました。リベンジなことを見抜かれました、安田さんに(笑)。前回のときは猛省して(笑)つらつらここに書き連ねたのですが、今回はそういうのはあんまりありません。「よいものを書く」、の前段階に、「丁寧に書く」があることがわかったから。て、当たり前すぎて鼻から涙が出そうですが。わたしがときどき使う閉じない括弧のことを「オープンパレンシシス(発音はちょっとあやふや)」と言う手法だとヤリタさんに教えてもらって、皆でほほうと感じ入りました。しょっちゅう使っているような気がしていたけれど、そうでもないですね。

で、やっぱりわたしは「巧み」という言葉のなかに詩情があるとか、技術があるとか入れてもいいと思いました。それはそれとして評価されるべきものでありますが、何をどう書きたいのかという根源的な欲求や、切実さなどがほのかに伝わってくる作品を特別なものと思いたい気がするかなあ。


2005年08月09日(火)


おきあがりこぼしだった!
マグネット欲しい。。いろいろ売り切れていて、わたしが買ったものは、ペンギンがスイカに乗ってゆらゆらしてます。キャラクタグッズはわりと好きなんですが、これでもいちおう細かい好みがあって、ひとくちに説明するのはむつかしいです。新潮社のパンダもずいぶん好きだったのですが、今のイラストレーターになってからはさっぱり。昔のリアルパンダがよかったなあ。。池袋のリブロ1階にはまだいますね。頭に手を置きたくてたまりません。。


2005年08月08日(月)


■「象に乗った少年」
を観に行ってくる!とさわやかに親に告げてしまいました。うーん、いちおう合ってはいる。「皇帝ペンギン」→「南桂子追悼展」→「星になった少年」→「ベルナール・ビュフェ展」と週末の3日間で観てきました。さすがに寝る前にぐるぐるしてしまいました。

■「星になった少年」
レビューサイトなどをめぐってもあまり話題になっていないような気がするんですが、わたし的にはペンギンと象でもう今年の夏映画は幸せ!幸せという感じで満喫しています。あと妖怪大戦争でしめまする。(余裕があればスターウォーズも観たい)。

映画そのものとしては、おそらく少年のお母さんの手記本をかなり忠実に映画化したのではないかという、実にオーソドックスな作り。一緒に観たユーリちゃんと、2時間ドラマみたいだったねと話してました。お母さんの視点がずいぶん入っていて、常盤貴子が親子愛の映画、みたなことを言っていたのもあながち嘘ではありませんでした。わたしたちは性格がちょっと悪いもので、お母さんとの物語をなくしてヤギラ君が象にずっと乗っていればいいんじゃないかなとか、そんなことばっかり言ってました。でもヤギラ君はやっぱりよかったし、象もたくさん見れて楽しかったです。彼の、ごちそうの虫とかとかげを食べるようにすすめられたときとかにする微妙な表情が素でいいなあと思いました。あとでトカゲだけ食べて「うまいっ!」とタイ語でゆってた。タイ語はうまいのかわからないけれど、堂々としゃべっていて立派でした。

でもなんといっても象が主役。前の象のしっぽをつかんで列になって歩いているのとか、頭をぐるぐる振っているのとか素敵でした。

象というのは、夢に出てくる動物ナンバー2です。一番は猫。両方ともしゃべります。で、象にはなぜか憎まれていて追いまわされたりするので、前世では密猟者だったんじゃないかとかちょっと思ったり(笑)。

ああ、それでなんだかやっぱり気分が高揚していて、帰りに象の絵のTシャツ(ヤギラ君のTシャツに実はくぎ付けだった)とSUICAのペンギンマスコットを買ってしまいました。でも、お財布の金魚がいなくなってしまいました。。


2005年08月05日(金)


■8月
駅からの帰り道、とうとつに、8月だと気づいて感慨深い気持ちにひたる。8月というのは特別な月で、わたしの8月はいろいろな場所に繋がっているようにいつも思う。だらだらとした暑さと夜のしめった空気と。冬とはちがって決してしんとしない、りんとしない、高揚と焦燥がいりまじったざらざらした感じとか。つまりちょっと煩悩が高ぶる季節ではないかと。昔から夏休みであって、夏休みの終わりの月であるし。うっかりしていたのですが、勤め先の会社はお盆休みがないそうで、祝日もないし、今年は仕事ばかりしてそう。睡眠時間を削らずに時間をひねりだす方法をずっと考えているのだけど、もうちょっと太って体力をつけるしかないという結論にいたって、現実は厳しそうです。今日はがんばって皇帝ペンギンを見てきました。

■皇帝ペンギン
先に文句を言ってしまおう。。音楽がよくないです(曲が悪いわけではないのですが、自然音を消してしまってうるさかった)。声の入ったものはエンディングだけにして欲しかったです。あと想像していた以上にセリフが多く、少し萎えました。石田ひかりの声はなんだかトーンが高くて彼女がしゃべるたびにびっくりする。字幕版なら気にならないかも。それからできれば海中のシーンももう少し欲しいかな。彼らがもっとも生き生きとするのはやっぱり海中だと思うので。

蛇足ですが、皇帝ペンギンを家で飼うのはやはり無理なのでは、と「ペンギンの憂鬱」という小説につっこみを入れておきます(笑)。

でもペンギン大好きなので、機会があればまた観たい。つまづいたりじたばたしたりしていると、もえーもえーとはしゃいでしまうのですが、彼らの繁殖活動は思っていた以上に過酷で涙ぐましかったです。うう。卵とか雛とか雄の親鳥とかいっぱい凍死と餓死してた。

南極の風景はこの世のものとは思われないほど美しくて、人間がいないせいかもしれないけれど、本当にどこか別の星みたいでした。

■「神様のボート」江國香織
愛するひととの約束を守って、放浪する母娘を描いた物語。

なんだかんだいって気になる江國香織です。これはひさびさによいと思いました。途中まではいつも以上にとんちんかんな主人公葉子さんと、そのべったべたな母娘関係に辟易していたのですが、もうひとりの主人公草子ちゃんの存在でかろうじて、というか本当に繊細なバランスで、物語の均衡も取れていてなんとか読めました。

母親の葉子さんがおかしすぎるキャラなので、その分草子がとても現実的な役割を担っている。個でみると、愛するひととの約束のために、16年も放浪する葉子さんは確かにおかしいのだけど、でも絵國さんこういうの得意でしょって思うから、逆に草子ちゃんというキャラクタが際立って素晴らしい存在に思える。物語のはじめの方は草子ちゃんも小学生で、ふたりがまじりあっていたのだけど、草子ちゃんが成長するにつれ、どんどん別々の骨格をなしていくさまが見事でした。

これは家族の物語でもあり、恋愛小説でもあって、うーん、恋愛小説として読むと、わたしは葉子さんの愛する男性が出てこないのがよかったと思いました。葉子さんは様々にこの男性について語るんだけど、しょせん葉子さんの証言しかないわけだし…、みたいな曖昧さがよかった。ところがもうひとりの男性、葉子さんの元旦那さんの方はリアルな存在として登場してくるのだけど、ちょっとうっとうしかったです。桃井先生。年老いた音楽の先生。こういう枯れたキャラ、最近多くないですか?

葉子さんは夢のなかを生きているので(彼女にとってはそれが現実なのですが)、当然成長した娘の草子ちゃんとは衝突することになる。このときのやりとりがとても静かなのに、ものすごく破壊力があって、でもわたしはここに一番共感して、読み終えてみると(とんちんかんと思ってた)葉子さんの人生に、手ごたえのようなものが確かにあって、今回は江國さんにしてやられました。葉子さんだけの物語だったとしたら、こういう普通の終わり方にはならなかったと思う。でも草子ちゃんという存在があって、だからこうなるって思っていたとおりの展開になって、そうならざるをえないっていう展開でもあって、それがとてもよかったと思うのです。