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2005年06月30日(木)


■「箪笥」
韓国の美少女ホラーです。話がぜんぜんわからなくて(オチはわかるのだけど、シーンごとの意味が不明)、制作サイドと出演者サイドのコメンタリーを2本ほとんど見てしまいました。ちょっと疲れました。こないだ見た「下妻物語」で、コメンタリーというものが字幕のところに入っていることを知り、ちょっとびっくりしている今日この頃。今まで見逃したものが多そう。

で、筋はいちおう理解はできたのですが、設定自体に納得がいかなくて、うーん、評価がつけられません。誰か解説してくれないかなあと思いつつ、でもそれを書くとネタバレになるというジレンマが。姉妹がとても愛らしく、特に妹役の女の子(「秋の童話」の子役ですが、初めて可愛いと思いました)がいいところを全部持っていったなーという気がします。彼女がのほほんとしている分、姉役の女の子の存在感も際立って、姉役の彼女は立派だったと思います。可愛かった。

全体の印象としては、姉妹愛を描いたとても切ない物語となっていて、美しい音楽と映像が哀しい余韻を残しています。すっきりはしないけど、最近のホラーもののなかではよい出来ではないかと思います。でも無理に足してしまったホラー要素を抜いたら、もっと深い物語になったはず。少し残念です。映画にしろ小説にしろ、ジャンルが足枷になることって結構ありますよね。

最後の姉と継母(正確には違うんだけど)が一瞬交錯するシーンが一番よかったと思います。何か重大な分かれ道となるのは、こういう一瞬の偶然と選択かもしれません。

■「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎
ハテナで一言感想を書いているのですが、他のひとの感想をみると概ね褒めちぎられていて、微妙な感じです。ハテナのひとたちは甘いというか、優しい感想が多い気がする。基準が何か違うのでしょうね。けなすほどでもないんですけど、これはわたしのなかでは及第点にちょっと足りない感じ。

確かにラストは読むのを止められないような勢いがあって、そのあたりのツボの押し方は、さすが伊坂さんと思うのですが、全体を通してみるともっと気合を入れて書いて欲しいと思ってしまいました。設定はともかくとして、語りの部分を。この主人公の頭をひっぱたきたくなってしまって困りました。こんな大学生いたらヤダ。

ところで万博のブータン館に行って写真などを見てきたのですが、本当に日本人に似ているひとが多い。あとレッサーパンダ(レッドパンダと書いてあったかな)は絶滅しそうなんだそうです。立ったとか喜んでいる場合ではないのでは…?


2005年06月29日(水)


■愛知万博
万博は物心ついてから行くのは初めてで、ふーんとか思いながら回ってきました。全体を見渡してみると何をしたいのかよくわからなくて、祭?フェスティバル?物販展?みたいな、国ごとによってもずいぶん力の入れようも違っていて、なんともごちゃごちゃした感じの博覧会でした。こういうものなのかな。

ただ、いちおう環境問題がテーマなので、なんとなくそういう感じはありました。がんばっているパビリオンもいくつかはあり、全体としては面白かったです。

各国が出しているコモンエリアでは、自分の好きな感じの文化圏がよくわかりました。わたしはわりとアジアが好きなんですけど、マレーシアや、タイ周辺はちょっと違っていて、韓国・中国・モンゴルとかあの辺りが結構好きみたいです。それからイスラム圏に行くとトルコとかウズベキスタンとかよかったなあ。たぶん赤道のあたりで太陽がガンガンなところはわたしには明るすぎるんだと思います。

ひどい作りのハリボテが多かったので、生の魚(水槽)とか、写真が綺麗なところは、それだけでも結構いいんじゃ?という感じで、どんどん自分のなかの敷居が低くなっていくのが可笑しかったです。少しお金のあるところは、映像の見せ方を凝るところが多かったので、それは興味深かったです。少し前だと3Dでおお!と思っていたけれど、ずっと進化していて、いまどきの万博だなあと。なかでも日本館の球体(もう景色の中にいるのと同じ)の映像はここまで来たかという感じでした。

押井演出の「めざめの方舟」も面白くて、アリーナ席では地面のスクリーンの上に立つ事ができ、なおかつ映像のなかにいるような感覚が味わえました。画面に近すぎて映像自体はよく見えないのですが、でも感激しました。上から見るスロープ席の方では、飛行機の底を覗いているような感覚。両方見てもううっとりしました。DVDをお土産に買ってきて、水・空・大地の3テーマ全部を見たのですが、わたしが見てきた空のテーマが一番押井さんぽくて好きでした。この立体的な演出を手がけたことは、押井さんにとってとても大きな経験になったのではないかなと思います。アニメ映画も思っても見ない形で進化するのかも。

名古屋市の「大地の塔」は確か藤井フミヤ演出で、中は巨大な万華鏡。並ぶ時間を考えるとちょっとせちがらい気分にもなるのですが、塔全体としては素晴らしかったなと思います。塔からは水が流れ落ちて、場所によっては水が降って来てたいへん心地よかったです。それから風で鳴る楽器が素朴な音でよかったし、一般の人から募った切り絵作品が大量に配置されていて、圧巻でした。今回の万博ではもっとも象徴的な建物になっていたと思います。

そんな感じでなかなか満喫してきました。


2005年06月26日(日)


SleepScope展
切り絵作家・藤野真由子さんの個展に行ってきました。彼女が関係しているひとたちのミニライブもあって、なんの音楽なのかよくわからないのだけど、気持ちがよすぎて眠ってしまいました(カウンター席だったのに!)。ノイズのような静かな音が、ちょっと胎内にいる気分に。

このぐらいかな、と思っていた展示の量で、本当はもっとたくさんあったらいいなとは思うのですが、やっぱりこれくらいかなと思います。下北の現代ハイツというアパートの一階にあるアートカフェで、よいところでした(えらく迷いましたけど)。詩のイベントもできそう…とか最近はすぐ思ってしまう(笑)。切り絵というと、黒と白、というイメージがあるのですが、藤野さんの作品は色合いが優しいのが特徴。あと曲線がとても優美で本当に美しいです。絵というよりは、デザインに近いのかな。個人的には唯一黒を使っていた縦長の作品群が好きで、これは影絵のようにも見えて、懐かしいというか、ぐっとくるものがありました。28日まで。


2005年06月25日(土)


メールマガジン『さがな。』6/26号
「水鏡」というタイトルで詩を書きました。有料のメルマガですが、興味のある方はぜひ。一号ずつでも購読できるそうです。

■下妻物語
ああ、なんか似ているといろいろ思ったら、監督は山崎努×豊川悦司が卓球をやっている黒ラベルのCMの監督でした。なるほど。もう割り切って、彼のフィールドで作り上げているのが成功したんだと思います。最後までポップでバカバカしくて(でも熱くて)素晴らしい。

あと、音楽が菅野洋子さんで、これはちょっと気になりすぎたので、どうなのかな。というか、わたし攻殻のサントラ聴きすぎ(笑)。でも前に、アニメ版のオープニング曲をBGMにして黒瀬さんが短歌を朗読していて、あれはないだろうと思いました(笑)。あの曲を聴くと血が騒ぐので(笑)、もう朗読を聴くどころではなくて困りました。なつかしい。

深田恭子は野ばらさんの乙女像を体現できるただ一人の存在、といった感じで、本領発揮ではないでしょうか。ロリータファッション好きの可愛い女の子はたくさんいると思うのだけど、女優さんでというと他に浮かばないかも。似合いすぎ。土屋アンナも声がハスキーで、はまっていて面白かった。初めて可愛いと思いました。頭ちっちゃい。

牛久大仏、ずっと牛久観音だと思っていたのですが、よく見るとほんとに大仏だ。あの辺は行ったことがあるのだけど、何しに行ったんだったかな…。高校が茨城だったのでなんだか懐かしかったです。ちょっと茨城弁も話して欲しかったなと思いました。

深田恭子があのバカファッション(失敬)でスクーターで、田舎道を爆走するシーンでは涙が出そうに。ものすごくカメラは引いていて、当然顔も仕草も何もわからないんですが、その果てしない感じにほろっとしました。全体的に引いた構図がよいと思ったのは、田舎の風景とロリータファッションがもう合うのか合わないのかよくわからなくなってきて、わたしからするとほんとに遠いのだけど、野ばらマジックというか、桃子の生き様は別段無理している風でもなくて、あれはあれで実際にも成りたってしまうような気がします。深田恭子おそるべし。


昨日、どこか(海外)のサイトでシルヴィア・プラスの朗読を聴きました。映画の中の朗読とちゃんと感じが似ていて感激。パルトロウの朗読も素晴らしかったので、もっとたくさん読んだらよかったのにと思います。あのストーリーの作り方だと、やっぱりただの男女の物語のようにとらえられてしまうことも多いみたいで、もったいないなあ。いま思えば、ベル・ジャーについて触れられていないのは何故なんだろう。


2005年06月24日(金)


「シルヴィア」ビデオが出たみたいです。興味ある方はぜひ。

■「コラテラル」
いろいろ書いたのですが、うっかり消してしまいました。うー。書き直します。

コラテラルというのは”巻き添え”という意味らしいです。脚本がよくできていて、「なぜタクシーに乗る?」という疑問は早いうちに消えてよかったです。テンポもよいし、雰囲気もよいし、映像も綺麗。よくできている。

冒頭のトム・クルーズの登場シーンはなかなか渋いのですが、仕事モードに入ってからははしゃぎすぎというか、ああトムだと思って、そのあたりも面白く見ました。クールっていうより、なんだか楽しそうだ。相手役のジェイミー・フォックスは評判どおりよかったです。上手いのかはわからないけど、とにかくいい男っぷり。最初のシーンが丁寧に撮られていて、ここで彼のひととなりが十分に伝わってきたので、最後までなんとか物語が引き締まったような気がします。

ただ、CMにミスリードされていたようで、思っていたのとはちょっと違う感じでした。基本的に視点はタクシー運転手マックスからのもので、殺し屋ヴィンセントの仕事は最初の一件からすでに破綻しており、クールとはいいがたい。マックスとの会話を通して浮かんでくるヴィンセントの姿は、愛されなかった子供が傲慢な大人に育ってしまったという感じなのでした。ヴィンセントのキャラクタにもう少し説得力と深みがあれば、映画全体ももっと印象の深いものになっていたかも。展開は面白かったけれど、心は全然動かされなかった。

最後のシーン(あんなところに、くっついてる…!)ではトムのはしゃぎっぷりにホラーだホラーだとわたしも大はしゃぎ。なんか楽しそうに見えるんだな。


2005年06月21日(火)


■紫陽花
トップの写真は白山神社のアジサイです。補正をかけたら少し青くなりましたが、実際は白です。アジサイはなんだか撮るのが難しかったです。

梅雨入りもしたしと思って、先日傘を洗ってみたのですが、ぜんぜん落ちませぬ。折り目のところが汚れてしまって、ネットで調べて消しゴムを使ってみたり、普通に洗ってみたりしたのですが、変化なし。洗剤を使った部分の防水加工が取れたことだけは確実にわかりました…!

■「容疑者の夜行列車」多和田葉子
や。これはかなり面白かったです。どぎまぎしました。夜行列車に乗って、目的地に向かう”あなた”の物語。多和田さんですから、やっぱり普通の小説ではなくて、味わえるのは旅の醍醐味というよりは、どんどん自分が何者であるのかわからなくなっている感覚でした。こう書くとオースターみたいかな。でもオースターともちょっと違っていて、自分と他人の境界がなくなるのではなくて、アイデンティティの問題といった方がいいような気がします。

うまく説明できない(本当は説明する努力をしなくてはいかんのですが)ので、以下から抜粋させていただきますと、
http://www.excite.co.jp/book/guide/profile_102.html

「(渡独して半年経って)日本語を全くしゃべらないうちに、日本語がわたしの生活から離れていってしまった感じだった。触れる物にも、自分の気分にも、ぴったりする日本語が見つからないのだった。ドイツ語はぴったりしなくて当然だろうが、母国語が離れていってしまうのは、霧の中で文字が見えなくなっていくようで恐ろしかった。わたしは、言葉無しで、ものを感じ、考え、決心するようになってきた。
そのうちわたしは、この言葉のない生活をドイツ語や日本語に<翻訳>するようになってきた。」(『カタコトのうわごと』より)

この感覚を頭ではなくて、感覚として体験できる小説でした。すごいすごい。

個人的気に入っているのはとくに前半で、言葉のうまく通じない異国の土地に行って、騙されるかも…いや本当にいい人なのかも…とドキドキしながらいろんな人に接しているところには、ちょっと自分を重ねてしまいました(笑)。あと電車から落っこちたのには心底びっくりした。

多和田さんの文章には隙がなくて、常に的確、という感じがあります。なのに行間から全編を通してぶわーっと浮き上がってくるものもあって、この人は本当に怖いです。


2005年06月20日(月)


■裏庭朗読会
参加してきました。30人ぐらいいたのかな。盛況盛況。わたしの好きなひとがたくさんいたので、妙に癒し空間にもなったような(笑)。会場が小さいので息苦しい感じはどうしてもあるのですが、内容のボリューム的にはちょうどよい感じでした。渡邉さんの詩を最後まで聴くことができたのは、裏庭ならではの良さが出ていたと思います。あとわたしだけかもしれないけど、家が遠いので、17〜19時という時間帯がものすごくありがたかったです。終わったあとにゆっくりご飯を食べて帰っても、終電じゃないというのはなかなか感慨深かかったです。はは。

わたしは歌人の村上きわみさんのテキストと短歌を読みました。一読では可愛い印象のあるテキストですが、パワーというか破壊力があって(笑)とても好きなんです。でもやっぱり緊張しました。ああうう。ま、それはともかく、自分の好きなものに他のひとが興味を持ってくれることは嬉しいですね。

テキストで特に印象に残ったのは佐藤有希さんと奈緒ちゃんかな。佐藤さんは以前一度聴いたことがあるのですが、そのときより深度が増していて、とてもすてきな短歌でした。あと奈緒ちゃんの池永さんのテキストが可愛くてよかったです。奈緒ちゃんの声というか発音はわたしにはよく合うみたいで、言葉がちゃんと言葉として聞こえる稀なひとだったりします。あとは西さんとか渡邉さんとかは雰囲気が美しい人の朗読はやっぱりいいなあと思いました。


2005年06月17日(金)


■「漢方小説」中島たい子
けっこう迫力のあるタイトルなのですが、中身はまるでエッセイのようです。本職がシナリオライターとのことで、ああそんな感じ、とか素直に思ってしまいました。

賞と販売の関係なのか、紙技術の向上のせいか、最近は文字数が少なくても本をすぐ出す傾向にあるような気がします。久しぶりにちょっと厚めだぞと楽しみにしていたんですが(文字がぎっしり詰まっているほうがお得な気がしてしまう)、内容は非常にライトでした。軽いなーっ。でも本当に当り障りがないというか、主人公も病気なのに湿っぽくないし、わりと好感は持てました。

中は章ごとに分かれているのですが、もっと分割してエッセイのフリをして出してみるのも面白いんじゃなかろうかと思いました。読んでいて非常に疑わしいのは、実際にあったことをほとんどそのまま書いているのではないかと…。なんかそんな疑惑がふつふつと湧き上がって、最後まである種の気持ち悪さはあったかも。創作ならいいけれど、体験談としては拙い気が…。わたしは健康だから面白く読めるけど、病気で辛い思いをしたひとにとっては嫌な小説かもしれません。

読みどころとしては、東洋医学のさわり程度がなんとなくわかるようになっています。ポイントは、主人公が病気を本当に治そうと思っているのではなくて、なにか都合の悪いことのすりかえというか、言い訳のように病気でいようとしていたことを母親から指摘された部分。もうちょっと掘り下げていたらもっと面白かったと思うんだけどな。ツッコミどころとしては、章のタイトルに「わたしのテーマ」というのがあって、30過ぎて今さらそんな結論かよ!と思いましたです。そんなところを読むと、性格の可愛いひとが書いているのがよくわかります。


2005年06月16日(木)



一昨日、図書館に行ってカードを忘れて借りられなかったので、雨のなかてくてく歩いて行ってきました。7冊も借りてしまった…。最近は絵本を少しずつ読もうと思って、必ず絵本コーナーを周るのですが、何が面白いのかぜんぜんわかりませぬ。いっぱいありすぎて、なんだか下手に手を出せない感じです…。いろんなひとにオススメを訊いてみようかな。もういちど読みたい絵本…とかまるでないんだなあ。どうゆう子供時代だっのたか(笑)。

最近はワニラの影響でカエルを見ると過度に反応してしまって困ります(笑)。で、こんなのを借りました→「ちいさなピョン」。絵がちゃんとカエルなのに可愛くて泣けます。こんど見せてあげるからねー!>ワニラさんたち。




2005年06月14日(火)



昨日は生意気なことを書きました(笑)。生意気なことを言ったなと思うとき、なんだかどきどきしますね。慣れない感じの詩のイベントに行くとくらくらします。たぶん刺激にもなっているとは思うんですけど。よいタイミングでさがな。の原稿依頼をもらったのでがんばりまする。26日発行です。

■「天使」佐藤亜紀
ようやく読み終わりました。やっぱり何がなんだかわからなかったです(好き放題に書いているのはわかった)。物語のスピードと情報量の多さについていけてないんだな。いつものことなので慣れっこです。でもいいの。好き好き。現在、少しずつでも全部読もうと思っている作家が何人書いて、そのうちのひとりです。面白い小説はたくさんあっても、作家単位で波長が合うっていうのはなかなかないので、たぶんこれがらぶなんだと(笑)。詩もおんなじですね。


2005年06月13日(月)


■リリース・ルーム
会場の白山という場所とはものすごく長い付き合いなんですが、白山神社のアジサイ祭に初めて行きました。今年は梅雨入りも遅かったしで、いつもは朗読会の時期は満開らしいのですが、今回はまた8分咲きくらいかしらんという感じでした。いちおうお参りして、おみくじ引いて(また末吉だよ、で相変わらず商売繁盛、待ち人来るし、失せ物出るし、安産だといわれる…)、ひと通りめぐって来ました。アジサイという花は海外でもとても人気で、品種改良もせっせと行われているそうで、白山神社にもたくさんありました。特に珍しいのは鉢植えで入り口や社周りに集めておいてありました。あとは関東だと鎌倉の長谷寺にいっぱいありますね。以前行った時は百日紅が満開で、お花がたくさんあるお寺みたいでした。

リリース・ルームというのはコトバコの後の詩のイベントですが、初めてのワークショップです。わたしも生のワークショップは初めてだったので怯えながら参加(笑)。罵り合いとかするのかしらんと思って、ちょっとワクワクもしていたのですが、わりと穏やかでした。全体合評(ひとつの詩について3人ずつ感想を述べる)のあと、3、4人のグループに分かれての個別合評(?)という構成。

わたしは初回のミーティングに参加しなかったので、いったい何をするワークショップなのか実はよくわかっていなくて、個別合評の時間に鑑賞会みたいなことをやっていたら安田さんに驚かれました。好きな詩を訊いて、どこがどう好きかって聞くのがとても楽しかったのです。このひとはこの詩のこんなところが好きなひとなんだーと知ることができるのはとても貴重だと思いました。

わたしは詩と作者の繋がりはともかく、詩と読み手の繋がりはとても大事なことだと思って、たとえばわたしには全然必要のない詩はものすごくたくさんあるんですけど、でも必要な詩というのは、詩のうまさとは全く別のもので、ただ今の自分が寄り添うことができるか、交わることができるか、っていう部分に尽きるような気がします。出来はあるでしょうが、優劣があると思うのはどうかなと。その詩を必要とする人がどれだけいるか、ってことでしかないと思います。で、たくさんいればいいってものでもないと思います。それに全員が同じ詩を推したら怖いし。

で、そんなことをしてたら、自分の詩の感想を結構聞きそびれたんですけど、知りたいことが聞けたのは、(本当に期待していなかったので)ものすごくありがたかったです。最近は何を書いても少しずつ違和感があって、殴られるのを覚悟で言えば、わたしはたぶんそれなりに巧く書くことはできるんです。でもそれで100万円もらえるとかならともかく(笑)、自分としては巧く書いて票をもらっても、なんの意味があるのかまったくわからない。でもだからといって書きたいものが書けていないというのは、なんか根本的にどこかでわたしは思い違いをしているような気がしていて、その理由がずっと知りたかったんですね。

うすうすわかってはいたことなんですが、むー。その他にへんな癖とか発見もしてよかったです。わかったからといっていきなりよくはならないでしょうが、まあがんばります(って気弱だな・笑)。

■ポエトリー結婚式
大村さん、もとこさんの結婚パーティに行ってきました。なんかとても嬉しいですね。大村さんのことは常々、素晴らしいひとだ!とみんなで言っていたのですが、もとこさんはそれ以上に素晴らしいです。まちがいないです(笑)

司会とか受付を新郎新婦がやっているというありえなさが(段取り悪いひとなのに!・笑)、大村さんらしくて笑ってしまいました。オープンマイクを見ていてしみじみ思ったのは、詩人てへんなひとが多いよな…と。でもみんな大村さんのことを愛しているのが伝わってきました。

あと、ものすごいがっついていたんですけど(空腹でくらくらしてたので…)、ベンズのご飯はすごく美味しかったです。


2005年06月12日(日)


■「悪魔とプリン嬢」 パウロ・コエーリョ
コエーリョの本は面白いんだけど、何かが足りないという感じがある。何が足りないのかうまく言えないんだけど、表面的なものとしては密度が足りないというか。あと何かをいれれば箱がちょうどよくなる、という感じがします。でもいつも好感を持ってしまうので、なんだかんだいって好きなのかも。

さて、今回はわたしの苦手な悪魔もの。映画にしろ本にしろ、苦手といいつつ結構触れる機会が多いのは、キリスト教の人びとにとってはものすごくなじみのある存在なんだろうなと思います。キングの小説にもよく出てくるし。悪魔が出てくる話では「スワン・ソング」がとても面白かったです。

プリン嬢のお話は人の心の隙間に入り込む悪、といった感じで、わりとなじみやすく、エクソシストなどもそうだけど、一生懸命お話してお話して、出て行くかどうか決める、みたいのは面白いと思います。すぱっと呪術みたいなのを使って退治していくのも、それはそれで爽快なのですけど。

これは三部作なんだそうで、ストーリーに繋がりはないのですが、「ひとは7日間で変われる」というテーマが共通しているそうです。前作と続けて読んでみると、変わるということは、「自分を取り戻す」ということだと言えると思います。そう、で、プリン嬢も悪魔をつれてきた男も確かに変わったのだけど、彼女らを取り巻く人々のことはほったらかしにしたのは、いいのかなーいいのかなーと思いました。最後の結末にはまだ納得できていません。


2005年06月10日(金)


今週は夕食時にやっていたBSの映画を見まくりました。

■キャラバン
最初の30分に間に合わなかったので(ヒルズに行ってたので…)、どこの国(※制作はフランス)の話かよくわからなかったのですが、チベットの方かなと思いました。標高が高そう。あとなんでみんな喧嘩しているのか最後の方までわからなかったのですが(笑)、伝統と若者たちの若さゆえの反発とのあいだのせめぎあいがあって、彼らがシンプルな暮らしをしているだけに、物語も人もシンプルで清々しかったです。長老が死の間際に残した言葉が素晴らしかった。それを聞けただけでも観てよかったと思いました。

■WATARIDORI
鳥が好きなせいか、思っていたよりうんと楽しめました。海ものでは「DEEP BLUE」というのがあるのですが、鳥の方は人間への批判も込められていて、観ていて少し苦しかったです。でも丸ごと見ないとと思います。文字通り鳥瞰。

■クジラ島の少女
とにかく主役の女の子が可愛いかった。彼女が歌い踊るだけで画面が引き締まるのですごかったです。ニュージーランドの方の先住民の島で、首長の後継ぎをめぐって厳格な祖父・父・孫娘の葛藤が描かれていました。おじいちゃん役の俳優もよくて、かろうじて伝統がどうとか言い張る部分の説得力が保たれたような気がします。それはつまり、島の人々の暮らし振りはもう近代化しすぎていて、後戻りはできないだろうと思ったのでした。きれいな物語だけど、これはたぶん最後の伝説なのです。

■奇跡の人
これも途中から見ました。主演のアン・バンクロフトが亡くなられたので、急遽放映されたんだと思います。彼女とヘレン役のパティ・デュークは本当に全身全霊で演じていますね。「どうしたらあなたの心に届くの」というサリヴァンのセリフにぐっときました。ある程度のしつけはできて、両親は満足している時期なのですが、サリヴァンが教えたいのはそういうことじゃないんだと。ものすごいエネルギーが伝わってきました。


2005年06月09日(木) 祝・6周年


■6周年になりました。
6年て…。小学校卒業しましたという感じですね。こわいよー。この6年はいろいろやっているにも関わらず、むしろ平坦な感じがする。うーむ。自分自身がそんなに変わっていないのだと思います。まあ、ナイーヴぢゃないんだな。気分的にはそろそろ次のステップへという感じなんですが、次ってどこだろう…。

■映画ページ
ログに5件移しました。


2005年06月08日(水)


■六本木ヒルズで涙する
そんなわけで、ヒルズに行ってきました。森美術館に行こうとしていたんですけど、22時までだからゆっくり行こうと思ってのんびりしていたら、なんと火曜だけ17時までなんだそうで、チケット販売の時間にぎりぎり間に合いませんでした。ほんとに泣くかと思った。うーん、展示会としては久しぶりに気になっているものだけに惜しいのですが、また改めて行くのもつらい…。 気を取り直して毛利庭園など行ってみたのですが、なんかコメントしずらい感じでした。庭だけあってもな。

しょうがないのでショッピングしてきました。チョコレートは当初の目的だったので張り切ってお店に入ったんですけど、わかってはいるんですが、やっぱり高いかも。リシャールというお店ではアーモンドのガナッシュを試食させてもらえました。でも味がよくわからなかった(微)。で、フランボワーズ・ガナッシュというのを買ってみました。木苺のチョコです。うーん、今食べてみたところ、苦いでし。前に食べたデカダンスとずいぶん味が違うなあ。ふむふむ。

もうひとつはル・ショコラ・デゥ・アッシュ。ここはけやき通りを入ってすぐのお店で、できたてのころは行列ができていましたね。おにいさんがドアを開け閉めしてくれます(笑)。2個で500円でした。高い! これじゃああんまりだと思って、板チョコも買ってきました。情熱的な、とかヘンな紹介文で味がちっとも想像できないのは避けて(笑)、フルーティでビターみたいな紹介文のを選んでみました。食べるのが楽しみです。

そのあとは日比谷で降りて東京駅まで歩きました。日比谷公園も行ってみようと思っていたんですが、うっかり忘れて直進してしまいました。車の往来は激しいのですが、お堀沿いなせいか、爽やかな通りでした。東京駅の目的はoazoという建物で、丸善の本店が入っているのですが、普通の大き目の本屋さんという感じでした。詩のコーナーはわりと広め。でも普通かな。アート系のコーナーが明らかに弱いので、それが残念でした。まあ、そんなに広い感じではなかったです。それとやっぱりビジネスマンが多くて、というか1階がいきなりビジネス書なのが丸の内らしいといえばらしいのか。


2005年06月05日(日)


■人生相談
今日の読売新聞は面白かった。人生相談で相談者の手紙の締めくくりに”夫と話し合えるくらいなら相談なんかしません”というふうなことが書いてあって、じゃあ相談すんなよーと笑ったあと、よくよく考えてみるとこれって面倒なことはしたくないけど問題解決したいって話ですよね。怖いなあ。不満が書いてあるだけだったので、”まずは何をどうしたいのか考えてみては?”という解答でした。ものごとってシンプルに考えると最終的には受け入れるか受け入れないかの二者択一で、そこにいたるまでに戦ったりとか迷ったりとかするんだと思うんですけど、その過程がないひとが多いなあと最近思います。

過去の人生相談でものすごくウケたのは、鈴木光司が、人生に希望がもてないんです…みたいな中年男性の相談に、ヨットを買いなさい、ヨットはいいですよ〜という解答をしていて、バカかと(笑)。

■書評コーナー
あと、綿矢りささんが、文章をずっと発表していなかったんだけど、文庫の解説をしているのを発見→瞠目したという記事。瞠目って…(笑)と思いつつ、今度立ち読みしてこようと思います。嶽本のばら「エミリー」、森博嗣「迷宮百年の睡魔」で、セレクトがまた微妙で面白いですね。

あとはこれ↓ アマゾンの驚異的なサービスのシステム(超極秘なんだそうです)を明かした潜入ルポ。人間機械化みたいなシステムでなりたっている…というような話らしいです。アマゾンでもちゃんと買える。アマゾンの倉庫、どれだけ大きいのだろう…。それからこれ↓。柳美里が「自由からの逃走」を紹介してました。わたしにとっても思い出の一冊です。大学に入って初めて読まされた本で、ほとんど理解ができなかったのですが、それでも今の自分の物事の考え方・見方の指針になっているような気がします。これを読ませたゼミの教授とはその後縁はなかったけど、今まで出会ったなかでは最も熱いひとだったなと思います。熱いっていうと語弊がありますが、ちゃんとした大人だった。正しいことと間違っていることを一生懸命考えて、理想をきちんと持っているひとでした。もっといろいろ教えてもらえばよかった、それからちゃんと勉強しなくてごめんなさいと今になって思います。
 


2005年06月02日(木)


■トゥー・ブラザーズ
人間のせいで離れ離れになったトラの兄弟が、偶然再会することになったのは闘技場で…というような話です。仔トラがとにかくかわいい、とそれにつきるのですが、作品としてはなんか腑に落ちないものが…。ハッピーエンドには違いないのですが、なんか本当にいい話なのかよくわからない。人間が一番怖いです。ハイ。人間の主人公は仏像の首切ってましたが、反省したんだろうか…。

■「泳ぐのに安全でも適切でもありません」江國香織
このひとの書くものは、心配していろいろ忠告した友人から「もうわたしのことはほっといてよ!」というふうに拒絶されているのと似た感じがいつもする。それでいて、彼がどんなに素晴らしいかをとうとうと語ってくるような。

もちろん自分自身がそういうことになるときもあるにはあるけれど、もうなかなか照準が合わないなあと思う。もうずっとそうなのだけど、どうしても期待してしまう。なんだか彼女は殻(=安全なおうち)に閉じこもってしまったような気がしてしまう。ちょっとかなしい。


2005年06月01日(水)


■裏庭朗読会
ワニラ主催の朗読会の詳細がでました。もうサイト消えたりしないといいなー(笑)。ちらし作りと受付のお手伝いをしています。静かでやさしい雰囲気の朗読会になるといいなあと思います。

■がまくんとかえるくんシリーズ。
ぜんぶ読み終わりました。50冊ぐらいあるといいのに(笑)。

■「袋小路の男」絲山秋子
表題作は文句なく面白かったです。今まで読んだ中では一番。ただ、その次に入っている「小田切孝の言い分」という作品で、袋小路で言わなかったことを全部書いちゃったという感じで、彼女はこういうところがダメだと思う。いつも思うのは、なんでこんなに素直に全部書いちゃうんだろうかと。今回は特に袋小路がよかっただけに残念です。