■映画の感想です。映画館で観たもの中心。普通にネタバレしてるのでお気をつけください。
■好きなのはハリウッドエンターテイメント。邦画は苦手。イケメン俳優に甘いです。美しい男を発掘するのがライフワークです。
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2004年03月30日(火) 「ペイチェック 消された記憶」

アフレックさんは苦手だ苦手だと言いながら最近の劇場公開作はかかさずチェックしているような気がするんですがほんとは好きなんでしょうか私!実は恋してたりして!きゃ!もしも突然アフレック祭りとか始めてしまってもその時はどうかそっとしておいてくださいネ。(ありえないありえない)

(※以下↓戯れ言感想のくせに結構ネタバレしてるかも。未見の方ご注意。)



アフレックさん脳いじられ中それはともかく、冗談じゃなくて今回のベン・アフレックさんはとっても良かったですよ! ダメっ子好きな私的にかなり好感度アップです。 素顔 じゃなかった、ええと、持ち味を見事に生かした役柄と申しましょうか、脳をいじられた直後の視線が定まらない呆けた顔とか台詞忘れたのかと心配してしまう微妙な間の取り方とか、ほとんど演技とは思えぬ(笑)素晴らしさ。いや〜これは間違いなく君の役だ!君以外にはできない! 自分で送った封筒の意味がわかんないからって思わず中身でクエスチョンマークを作ってみたりするその短絡的なセンスがグー!全然解決になってないYO!ピンチに陥るたびの慌てっぷりもグー!間抜けっぷりもグー!
一方でFBIの人とかも負けずに間抜けっていうか、あれだけ頭数そろえておきながらいとも簡単にベンを逃がしちゃうし、おまけに「どうして逃げられたんだ?!」ってそりゃあんたがタバコ吸ったからじゃん!不思議がるなよ!誰が見ても明らかだよ! ていうかあの取調室の椅子は何?回転椅子?何でぐるぐる回ってるのか気になって気になって仕方がなかったです。未来仕様ですか?
アーロン・エッカートもどうせベンを殺すつもりなら自分の監視下にいるうちに殺しちゃえばいいじゃんよー。何で律儀に記憶を消して街に放してから狙うのさ。もうみんな要領悪すぎ。銃突きつけあっておきながら結局素手で格闘始めるのはなぜだ!機械を壊しに戻ったはずなのにいつの間にか直してるのはなぜだ!あああツッコミ所満載で楽しすぎる。こういう映画大好きだ〜。先日の「タイムライン」に引き続き2004年上半期お気に入り娯楽作に決定。


まあひとつ文句を言わせてもらうとしたら、鳩が! 鳩が少ないよ監督!!(笑) ジョン・ウーの映画では毎回鳩の世話係がいるというもっぱらの噂ですが今回はその必要もなかったのではないでしょうか。わざわざあのシーンで飛ばしたのは意表突かれて面白かったけどね。どうせならその勢いで二挺拳銃も出して欲しかった。
あと思ったのは、ユマ・サーマンが全然綺麗に撮れてない(笑)。美人なのにその魅力をいまいち引き出せてないような。ジョン・ウーはやはり男達のドラマを撮るべきですね。ヒロイン役(だよね一応?)なのにユマが最も際立っていたのはアクションシーンだったという。しかも主演のベンよりずっと動きにキレがあったという(笑)。「キル・ビルvol.2」が楽しみです。(変なまとめ方)




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ペイチェック 消された記憶 【PAYCHECK】

2003年 アメリカ / 日本公開 2004年
監督:ジョン・ウー
出演:ベン・アフレック、ユマ・サーマン、アーロン・エッカート
(劇場鑑賞)



2004年03月21日(日) 「クイール」(+本物クイール(役を演じたラフィー君)に会ったよ!)

か、かわいい〜っ「さよなら、クロ」とか「マイ・ドッグ・スキップ」等は犬をモチーフにした人間の物語でしたが、本作は期待通りの犬映画でしたよ。主役は犬。犬が中心。なので犬バカなわたくしはこの作品について正しい評価ができません。もう号泣。ああやっぱり一人で観に行ってよかった…(笑)。いやもちろんこれは一般的に感動できる映画かどうかとは全然別の話、例えば「阿弥陀堂だより」で北林谷栄さんに泣かされてしまったのと同じ現象で、単に私が個人的に犬や老人というアイテムに弱いだけなのね。泣いちゃうのはほとんど条件反射みたいなものだからストーリーそのものはあまり関係ない(ってある意味身も蓋もない言い方/笑)。


走ってる走ってる「盲導犬クイールの一生」の映画化ということで、本当にクイールという一匹の盲導犬の生涯をたどっていくだけのお話なんだけど、生家から別れ、育ての親と別れ、やがてパートナーとも別れ…という、別れのシーンのたびに私は泣いておりましたよ(笑)。人間側ではなくて、その別れの時のクイールの表情を見るともうダメ。どっと泣けてくる。演出が特に感動的ってわけじゃないんだけど、なんていうかなあ、ただ犬の存在そのものが愛しいっていうか、今でも思い出すとちょっと泣きそう。
個人的には内容よりも映像を、よくぞ撮った!と褒め称えたいです。子犬の頃の可愛らしい仕草とかおもちゃを広げて夢中で遊ぶ様子とかぐっすり眠ってる姿とか不安げな表情とか、一体どうやって撮ったのー?と思いたくなる絶妙ショットの連続。相当辛抱強くカメラを回し続けたのではないでしょうか。それとも賢いな犬は指示すればきちんと演技するものなんでしょうか。私なんて飼い犬のカメラ目線の写真一枚撮るだけで四苦八苦してるのに。

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さて、それで!
この映画の中でクイールを演じたラブラドールレトリバーのラフィー君に実際に会ってきました〜!公開記念イベントの一環で川崎チネチッタにやってきたのだよ。
すっごくおとなしくてすっごくお利口、あと、映画の中で見たよりもずっと痩せてる印象でした。ドッグトレーナーの方のお話では、訓練は受けたものの明るくてほのぼのすぎる性格なので(笑)盲導犬には向かないと判断され、イベント犬として活躍していたところをクイール役に大抜擢されたとのこと。


▲左側でマイク持ってるのがドッグトレーナーの方。
右が巨大クイールぬいぐるみ、真ん中がクイールを演じたラフィー君。



▲アップ



▲写真撮影の時間



▲「ラフィ〜!ラフィ〜!」の声援に律儀に反応。(偉い!)



▲あっ、ぬいぐるみと同じ向き!

こんな感じ。PHSのカメラで撮ったので写りが悪くてすみません。ほんとにとっても可愛かったです。ラフィー君雨の中お疲れさまでした。

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クイール

2004年 日本
監督:崔洋一
原作:『盲導犬クイールの一生』秋元良平(写真)/石黒謙吾(文)
出演:ラブラドールレトリバー犬たくさん、
小林薫、椎名桔平、香川照之、寺島しのぶ
(劇場鑑賞)


2004年03月20日(土) 「シービスケット」

「恋愛適齢期」の興奮も冷めやらぬ日曜の夕暮れですが、それ以前に鑑賞済みでありながら感想書いてない作品がずいぶんと溜まってきたのでそろそろぼちぼち手をつけていこうと思います。まずは「シービスケット」!…ってそりゃまたいつの話だよ!って感じですが、えーと、公開終了間際に滑り込みセーフで観ました。

事業は成功したものの息子を失い妻にも去られた過去を持つ男、元カウボーイの調教師、少年時代に家族と別れなければならなかった騎手。この三人の男たちと、足に怪我を負い殺されかけていたシービスケットという競走馬が織りなす感動ドラマです。大恐慌時代のアメリカに勇気を与えた実話の映画化。
非常にアメリカ的というか、おそらくこういう感じだろうなー、と思い描いていたままの映画でした。挫折を経験した者が諦めず再チャレンジ、奇跡的な復活、そして恐慌時代のアメリカに勇気を与えた、と。映画はあくまで現実逃避、作り話だからこそ面白いと思っている私にとって、まさに本作のような、1)実話に基づいた、2)感動の人生ドラマ っていう映画はもう苦手中の苦手なんだけども(笑)、それでもなかなか楽しめた。前半はちょっと眠くなっちゃったけど。
カメラワークが特に見事で、レースシーンとか思いっきり騎手視点で見せてくれるので迫力あります。スピード感があるというか。序盤でトビー君がシービスケットに乗って森の中を疾走するシーンなんて自分も一緒に馬に乗ってるみたいで気持ちよかった。あと馬が美しかったなあ。きちんと演技してたよね。
トビー君はかわいかったです。赤毛だと違う人みたい。それからDJを演じたウィリアム・H・メイシーが面白かった!




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シービスケット 【SEABISCUIT】

2003年 アメリカ / 日本公開 2004年
監督:ゲイリー・ロス
出演:トビー・マグワイア、ジェフ・ブリッジス、クリス・クーパー、
エリザベス・バンクス、ウィリアム・H・メイシー
(劇場鑑賞)



2004年03月19日(金) 「恋愛適齢期」

キアヌから招待状が送られてきたので公開に先駆けて観て参りました皆様お先にごめんあそばせ〜☆

って要するに試写会に当たっただけなんですけど、やー奥さん!ちょっと奥さん!!今回のキアヌはヤバイですよ!珍しく直球ストレートに素敵というか、思わずうっとり見とれてしまう美しさでありました。やっぱりマト(リロ&レボ)よりこっちに期待していた私の勘は間違ってなかったーあー満足。とりあえずいまだかつてないほどにスマイル大放出なんですよ。ことあるごとにニコニコキラキラしちゃって、もう笑顔がアップになるたびによみうりホールに集った数百名の婦女子の視線キアヌに一極集中(推定)、40目の前にしてこの年上キラーぶりはどうよ!胸キュンだぜチクショー!私が心臓発作おこすっつーの!

それでキアヌは何と医者の役(!)なんですけど、ドクターとか呼ばれたりERでテキパキ救急処置しちゃったりして ありえない! いや間違えた、カッコイイ。聴診器のあて方とかかなり適当だったところは白衣姿に免じて許してあげます。あと、白衣以外にもいきなりブルーのシャツにベージュのチノパンで登場したりして、なんつーか、おそらくキアヌ史上最高のさわやかぶりでしたね。一方で 珍しく …じゃなかった、ほどよく色気も出ていたというか、ダイアン・キートンの首筋に熱烈キスをするわさりげなく肩に手を回すわ甘い台詞で口説くわ一体いつの間にこんな器用な芸当を覚えたんでしょうか(笑)。年上女性に恋する役ということで私はどうしても「ラジオタウンで恋をして」を思い浮かべてしまっていたんだけどあの時よりずっと大人になったねキアヌ!(当たり前)
それと、キアヌ新作のたびの恒例の心配事として、また無意味に歌い出したり踊り出したりして失笑を買っていたらどうしよう…!という懸念なども抱いておりましたが今回はそれもなくて 残念 …いえ、安心いたしました。



ということで本作はキアヌがお好きな方、とりわけキアヌにうっとりしたい女性の皆様にはかなりオススメです。中でもどちらかというとお嬢様方よりお姉様方にオススメです(笑)。あえて難点を挙げるなら正統派路線すぎるところが物足りない、そんな贅沢な感想を述べたくなる一品でございました。まあ、私の好み的には、これで最終的にキアヌがダイアン・キートンと結ばれていたら言うことなしなんですけどね(笑)。今度はそういう映画を誰か撮ってください。そういうの好きなんです。

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えーと、今更ですが念のため付け加えておきますと、キアヌは脇役ですよ。主演はジャック・ニコルソンとダイアン・キートン。やっぱ二人とも上手いな〜。思った以上に笑えます。会場は数分おきに爆笑の渦でした(笑)。個人的にヒットだったのは、前半病院でのニコルソンの半裸、そして中盤のキートンの豪快な泣きっぷり(笑)。
登場人物がみんな裕福だったり悪役がいなかったり相当現実離れしたお話ですが、私はこれくらい弾けている方が好きだなあ。ちょっと時間が長かったけど後味の良いラブコメでした。楽しかった! 公式サイトは→コチラ!




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恋愛適齢期 【SOMETHING'S GOTTA GIVE】

2003年 アメリカ / 日本公開 2004年
監督:ナンシー・マイヤーズ
出演:ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、
キアヌ・リーブス、アマンダ・ピート
(試写会鑑賞@有楽町よみうりホール)





2004年03月14日(日) (雑記:やっと見たアカデミー賞授賞式)

ということですっかり今更な話題で恐縮ですが、先週BS2で放送されてたこの前のアカデミー賞授賞式(超ダイジェスト版)をですね、この週末にやっと見ました。ので、気づいたことを憶えてるだけ箇条書き。

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◇謙さん無理して英語喋らなくても(笑)。惜しくも受賞は逃しましたがさっぱりした満足げな面もちでなかなか良かったですね。いっぱい映ってたし。
◇一方で山田洋次と真田広之はぜんぜん映らず。最後の記者会見だけってそんな。
◇ビリー・クリスタルの司会はやはり良い。
◇うわあなんだかジョニデがカワイイYO!この人って、クセのある役をシラッとこなしちゃうしたたかさを持ってるくせに、素の状態だと時折妙に純朴な表情を見せたりするからたまんない。名前呼ばれた時のはにかんだ笑顔とか最高だな。髪型もちょっと若い頃を思わせるものがあった。昔(10年以上前だと思うが)こんな髪型してたことあったよね?チェッカーズ時代のフミヤみたいな。
◇そんなジョニデのすぐ前にいたベニシオ・デル・トロは相変わらずワイルドでしたね…髪型から風貌から。ジョニデの方が4つも年上って信じられます?(笑)
◇髪型といえばジム・キャリーのあの髪型はどうしたんだ。
◇髪型といえばジュード…ああ噂通りおでこがずいぶん後退…い、いえ!いえ!相変わらず美しいわジュード!愛してるわジュード!
◇シャーリーズ・セロンが受賞した時に「モンスター」の映像がチラッと映りましたが、ほんと、ぜんぜん別人だね!びっくり。
ちょっと話がそれるけど、前にも書いたような気がするけど、このシャーリーズ・セロンという女優さんは私個人的に非常にジェラシーくすぐられまくりの人なんです。なぜなら彼女の共演男優遍歴が私好みの人ばかりだからです(アホか)。だってまずデビューでいきなりジェームズ・スペイダーの恋人役だし、ジョニデと夫婦もやってるし、キアヌとなんか夫婦恋人役で二回も共演してるんですよ、二回も!おまけに現恋人は耽美派路線まっしぐらのスチュアート・タウンゼントときた。あー羨ましい。(あくまで羨ましいだけで嫌いではないですが)
◇でも一緒にいたスチュアート・タウンゼント、あの衣装はちょっといかがなものかと!!白いジャケットに蝶ネクタイってなんかホテルのウエイターみたいじゃなかったですか(笑)。やはりタウンゼントたるもの耽美でキメねばなりません。ここはひとつレスタト風ヴァンパイア衣装かドリアン・グレイ風ゴシック衣装で登場していただきたかった。(冗談ですよ)
◇女優さんのファッションでいいなと思ったのはリヴ・タイラー。スラッとした体型を生かしてたと思います。髪型なんかも個性的。
◇それからソフィア・コッポラのドレスも良かった。似合ってた。あと、この人が受賞した瞬間にニコラス・ケイジが盛大に声援を送ってたのが印象的でした。ファミリーの固い絆を感じました(笑)。そういえば、全然関係ないけど、有名監督の娘つながりで思い出したんだけど、デヴィッド・リンチの娘って今どうしてるんでしょうか。「ボクシング・ヘレナ」というダメダメ映画が私はたいへん気に入っていて、ああいうのもっと撮ってほしいんですけど。
◇他にドレスで印象に残ってるのはキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。なんかもう貫禄だなー。黒髪に赤のドレスがよく映えてました。

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そんなところですかね。賞の行方に関しては先に知ってたし特に感慨もなく。いや、やっぱ「ロード・オブ・ザ・リング」は偉業ですよ。出演者みんな仲良さそうで一体となって喜んでるし、ほんとに良かったね〜という感じでした。



2004年03月11日(木) 「タイムライン」

とっくに公開終わってるじゃん今頃感想書くなよシリーーズ第二弾!の「タイムライン」。なんかガラにもなくスペイン映画だのフランス映画だの邦画だの観てたらアクション満載ツッコミ所も満載のハリウッド映画が無性に恋しくなってしまって、それで公開終了間際に映画館に駆け込みました。あーあと、すいません、白状すると、やっぱりポール・ウォーカーがちょっと好みですテヘ☆ いやこんな軟派が服着て歩いてるような男今更好きだとか言いたくないんだけどさー、中身はともかく顔と声が好みなんだもん。仕方ないよ。 ┐(´ー`)┌ やれやれ


それで映画の方は、期待していた通り見事な直球ばりばりハリウッド作品だったのでもう大満足ですよ。タイムトラベルで14世紀の英仏百年戦争時代に時空移動する話なんだけど、人体(および物体)を一度電子レベルまで分解して時空に転送するのなら向こうからこっちに戻って来る時14世紀のもの(周りの草とか)が混入しないのは何故?とか素朴な疑問を抱きつつ、都合良く壊れたり盗まれたりする(笑)あのペンダントみたいなのの利用価値もちょっとよくわかりません。それとみんな14世紀にとばされて捕まって「僕たちには知識という武器がある!」みたいに団結してたけどあんたらぜんぜん知識なんか役立ててないじゃん!原始的に逃げてるだけじゃん!特にポール・ウォーカーは主演(のはず)なのに活躍皆無、最初から最後まで逃げてばかりのそれは素晴らしいヘタレっぷり(そのくせしっかり手は早いので笑える)。あと、ヒロイン役のフランシス・オコナーがポール・ウォーカーにもたれ掛かって「ああ…人を殺してしまった…一生の重荷になるわ…!」とか悲痛な顔で嘆きながらその後一秒もたたないうちに敵兵士の頭を石で思いっきり殴りつけてるのには大笑いでした。もうガッツンガッツン撲殺してるんですよ!何が重荷だっつーの!やー最高!楽しすぎる。ハリウッド娯楽映画万歳!


なんかほめてるのか貶してるのかわからない書き方ですが、本当に楽しかったんです。予想してたよりずっと面白かった。小難しい理屈は抜きにしてアクション重視のアドベンチャーにした潔さも好感持てるし、実際アクションシーンもなかなか迫力あるしね(投石機とか)。なんつーか、やっぱ私はこういう映画が好きなんだなと改めて自覚した一本でありましたよ。これ原作は原作で面白そうですね。ちょっと読んでみたい感じです。




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タイムライン 【TIMELINE】

2003年 アメリカ / 日本公開 2004年
監督:リチャード・ドナー
出演:ポール・ウォーカー、フランシス・オコナー、
ジェラルド・バトラー、ビリー・コノリー、デヴィッド・シューリス
(劇場鑑賞)



2004年03月08日(月) 「嗤う伊右衛門」

これまだ感想書いてなかったんだよなあ。違うところで違う語り方をしてしまったのですっかり書いた気でいたよ。観たのずいぶん前です。っていうかそろそろ公開終わってますか?最近はそんなのばっかりで申し訳ない。


原作は、今をときめく直木賞作家京極先生の四谷怪談新解釈でございます。全体的に原作に忠実だったので原作を知ってる人ほど満足できるのではないかと。京極流の台詞回しなんかも雰囲気的に上手く生かされてたし。ただ印象としては若干甘めかなー。伊右衛門と岩の恋愛感情、二人が愛し合っているという様子がはっきりと描かれている。このあたり、原作では割と曖昧なんですよ。ほとんど意地の張り合いにしか見えない、外国人だと理解できないんじゃないかという(笑)日本人特有の心の綾がベースになっていて、そこが絶妙なのね。もちろん映画でもその心の綾エッセンスはきちんと表現されておりますので、まあ私個人的にはおおむね満足であったわけですが。

しかし一方でこの映画、原作読んでない人には不評かもしれません。誰がどういう思惑で何をした結果ああいうことになったのか、多分わかりにくい。監督は原作に線を引きながら何度も何度も読み込んで構想を練り上げたそうで、こういうのって誰でも経験あると思うんだけど、作品世界にあまりに没頭し長い間そればかり考えていると本来説明が必要な部分も次第に当たり前のこととして扱うようになってしまったりするじゃないですか。ちょっとそういう感じを受けたなあ。例えば喜兵衛が最期に「泥が、泥が…」と呟く、あれなんか完全に原作読んでないと意味不明でしょ。それから又市と針売りお槇のエピソードはさっくり削ってしまっても良かったと思います。伊右衛門と岩の物語には直接関係ないんだし、二人の永遠の愛をテーマに描くスタンスでいくなら必要なかったのでは。

あーなんだか原作との比較感想ばかりですみません。私は舞台のことを全然知らないので蜷川監督的にどうだったかという語り方ができないのですが、時代劇なのに全然わざとらしい時代劇ではなく、どこか現代劇っぽいムードなところは良かったと思います。直助役池内君のキレっぷりとか、江戸時代の若者というより現代のチンピラって感じなんだけど(笑)、そういうところがかえって良い。刀でズバッと人を斬るたびに、ジャーーーン!チャララチャララチャラララララ〜♪とかパイプオルガンの音色が流れ始めるセンスも、「キル・ビル」ばりに噴水のごとく吹き上がる血しぶきも、個人的には好きです。欲を言うともっとグロくても良かったかな。伊右衛門が帰った後喜兵衛が自宅でお梅をいたぶるシーンなんか原作では京極節バリバリのそれは見事な卑劣っぷりなのでぜひ再現してほしかった!って言ってる私が一番卑劣ですか。あらごめんあそばせ。いやでも、これ本当に禁忌にまみれた救いのない話なんですよ。

喜兵衛といえば、椎名桔平みたいな線の細い人が喜兵衛ってどうよ?とか観る前には思ってましたが、これがなかなか悪くなかったですね! あとは又市役の香川照之が良かったです。小雪ちゃんは綺麗だった。唐沢寿明も良かったですよ。だって好きだから。


ところで考えてみたらこの作品、2004年初の邦画でしたよ。フランス映画に引き続き今年は苦手な邦画も順調なスタートだな。ちなみに次作邦画は「クイール」になる予定です。絶対泣いちゃうから一人で観に行こう(笑)。椎名桔平と香川照之はこっちにも出てるらしいですね。



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嗤う伊右衛門

2004年 日本
監督:蜷川幸雄
原作:京極夏彦『嗤う伊右衛門』
出演:唐沢寿明、小雪、椎名桔平、
香川照之、池内博之
(劇場鑑賞)



2004年03月02日(火) 「ドッグヴィル」

 ※ネタバレ全開。未見の方は読んじゃダメですよ!! 







だだっ広い屋内、床に線を引いただけ。登場人物はみな身振りだけでドアを開け、あたかもそこに壁があるように、村があるように振る舞いながら演技する三時間。

よくもまぁこんな映画を思いついたなー。感心するよ…というかほとんど降参。気分のいい話じゃないし好きか嫌いか問われたら決して好きとは言えないけれども、この独創的なアイデア+完成度は評価しないわけにはいかないです。すっかり引き込まれて三時間があっという間だった。


閉ざされた共同体に余所者が単独で接触した時のひとつのモデル、エゴを増長させ次第にエスカレートしてゆく集団心理がまず見どころで、簡素を極めたこの舞台装置に加えて、章立ての構成やナレーションを用いることにより寓話的な演出に成功しています。絵本を読んでるような、お伽噺を聞かされてるような効果。まあ、お伽噺っつうか、グリム兄弟もビックリの残酷童話ですが(笑)。
それでこの独特の構成だけでも十分見応えある出来映えなんだけど、というか、私は途中までああこういう映画なのねーとわかったつもりで見くびっていたんだけど、実は終盤、話の流れにもうひとひねりあるところが面白い。一体エゴとは何なのか。ドッグヴィルの村人達と来訪者グレースと、どちらが傲慢だったのか、あるいは両方か。これね、公式サイトの著名人コメント見ると「最後はスカッとしました!」などと言ってる方がずいぶんいらっしゃいますが、ラストの復讐で気が晴れた〜とか思った人は要注意ですよ(笑)。それじゃ監督の思うつぼ。独りよがりな自己犠牲の果てに涙を流して村に制裁を与えたグレースと、仕方がないんだ本当はやりたくないんだと言いながら荷台で彼女をレイプしたドライバーにそれほど違いがありますか? 人を赦せる、導くことができるという思い上がりもまた傲慢の一つの型である、グレースパパが指摘していたのはその点です。「権力を持つものはそれを行使する義務がある」と終盤何度か繰り返されますが、所詮それは優位に立つ側の理屈でしかない。…や、もちろん、だからといって私は村人達の非道ぶりを擁護してるわけじゃなくて、つまり結局、答えはない。このお話には答えも教訓もないんです。

で、このグレースというキャラクターを今を時めくハリウッド女優に演じさせた、そこを深読みすると痛烈なアメリカ批判ということになるのかな。アメリカ三部作の第一部だそうですね。ただ私個人的には、特定の国家の暗喩というよりは、もう少し普遍的な印象を受けたなあー。ちょっとカフカとか安部公房とかを読んだときみたいな感じ。

しかしトリアー監督って人は筋金入りの鬼畜ですね。ニコール・キッドマンが細い首にごっつい鎖を巻かれて重りを引きながらヨロヨロ歩く、見世物めいたあの姿を見た時に、こんな屈辱を絵に描いたような図をよく撮れたもんだと心底感服いたしました(ほめてます)。
そんなニコール・キッドマンは本作といい「めぐりあう時間たち」といい「ムーランルージュ」といい、トムと別れてから(笑)ほんと私好みの作品が続くなあー。今度の「コールドマウンテン」も楽しみです。

あ、あと、「ソラリス」とか「セクレタリー」で見かけたジェレミー・デイヴィス君が出ていたよ。やっぱりクネクネしていたよ(笑)。芸風なのか?




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ドッグヴィル 【DOGVILLE】

2003年 デンマーク / 日本公開 2004年
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ニコール・キッドマン、ポール・ベタニー、クロエ・セヴィニー、
パトリシア・クラークソン、ステラン・スカルスガルド、ローレン・バコール
(劇場鑑賞)



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