■映画の感想です。映画館で観たもの中心。普通にネタバレしてるのでお気をつけください。
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2003年12月31日(水) 「めぐりあう時間たち」(+雑記:今年もお世話になりました)

 ※ ネタバレしてます。


私は(好き嫌いは結構はっきりしているものの)映画を作品として自分の中でランク付けするのがどうも苦手なので、“今年のベスト10!”とかそういうのを避けているんですが、でも本作は、これは間違いなく2003年に観た中のNo.1作品だと断言できる。それくらい心に残る映画でした。公開時に二度観て、ついこの前もスクリーンで再見したのですが、やっぱり素晴らしかった。傑作だと思います。とにかく、非常に美しく構築された物語なのです。


1923年のロンドン郊外では作家のヴァージニア・ウルフが「ダロウェイ夫人」を執筆し、1951年のLAでは主婦ローラが夫の誕生パーティの準備をし、2001年のNYでは編集者クラリッサが友人の受賞パーティのために奔走する。三つの時代・三つの場所でのある一日が流れるように交錯し、やがて一つに繋がってゆく。


三つの時代を描いているとはいえキーパーソンはヴァージニア・ウルフで、「ダロウェイ夫人」執筆に臨んでの彼女の思索があとの二人(二つの時代)の運命を司る。この時代時代への場面転換が実に見事で、 ―― 今便宜上“場面転換”と書きましたけど、実際は切れ目をほとんど感じさせず流れるように繊細に(しかし的確に)時が重なり合ってゆきます。実はこういう描写自体が既に「ダロウェイ夫人」を意識したテクニックの一つで、というのは、この小説は人の“意識の流れ”を区切りなく次々綴っていくという不思議な手法を追求して書かれた作品だからです。他にも、登場人物の名前(“クラリッサ”はもちろん、“リチャード”とか“サリー”とか)や、いずれもパーティを催す一日の出来事を描いていること、同性愛的要素を挿入していることなど、「ダロウェイ夫人」との共通点が各所に見られますが、何より最も賞賛すべきは、この映画の内容が観る者に「ダロウェイ夫人」と同じ印象を与えること。「ダロウェイ夫人」という小説にこめられた死の影、老い、恐れ、不安、日常に潜む手立てのない絶望、これらがほぼ同質に「めぐりあう時間たち」で表現されている。そうして結果的に、映画全体が「ダロウェイ夫人」へのオマージュになっているのです。これは例えば、昨日の「ライ麦畑をさがして」が「ライ麦畑でつかまえて」という小説を単なるアイテムとしてしか生かせていなかったことに比べて何たる違い、その差は歴然です。文学を題材にした映画として、文学作品をモチーフにした映画としてほとんど完璧な完成度ではないでしょうか。無論マイケル・カニンガムの原作「The Hours」の映像化(=文学作品の映画化)という面からも申し分のない出来映えなわけで、その意味で本作は二重の成功を収めていると言えるのです。

そしてこの物語を支える俳優陣の演技もとても良かった。主演三大女優から脇役に至るまで、みんな良かったです。特にエド・ハリスが素晴らしかったなあ。そういえば彼が着ていたガウンとリッチーの寝具が同じ生地なの、気付きました? 最期のシーンではヴァージニアの遺書の言葉と同じ台詞を言わせたりして、本当にどこをとっても隅々まで綿密に配慮され、作り込まれている。「美しく構築されている」と言ったのはこういう意味です。

そんなわけで、この作品には久々に感銘を受けたというか、こう、ガツンとやられた気分でした。過酷な運命を描きながら生の喜びを歌い上げるような映画もいいけれど(例えば今年観た中で言うとレイフの「太陽の雫」がそんな感じでしたが)、逆にこういう、美しい映像と華やかな女優陣で暗鬱たる生の哀しみを描いた作品も、人を感動させるに十分な、最高の芸術だと思います。



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めぐりあう時間たち 【THE HOURS】

2002年 アメリカ / 日本公開:2003年
監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープ
エド・ハリス、ミランダ・リチャードソン、ジョン・C・ライリー
(劇場鑑賞)



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ということで、年末ギリギリまで粘って粘って怒涛の更新(当社比)をしましたが(さすがに書くのに疲れたよ…)、このページをご覧下さっている皆様には今年もたいへんお世話になりました。ありがとうございますー。
実は、最初は行かないつもりだったのですが急遽予定を変更して、今日はこれから「カウントダウン映画でお正月2004年!」に行ってきます。ので、新年の更新はこの三作品「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」「ミスティック・リバー」「ゴシカ」の感想からになると思います。来年もよろしくお願い致しまっす。皆様良いお年を〜。




2003年12月30日(火) ライ麦畑をさがして

うっかりジュードのお誕生日も過ぎ去ってしまった年の瀬ですが皆様いかがお過ごしでしょうかごめんよジュードお誕生日おめでとう!(<12/29) いや、先日のレイフの時みたく書きかけのテキストとか出てこないかなーと、ちょっと探してみたんですけどね、やっぱりそう都合良くはいかなかったよ(笑)。
さてそれはそうと、今年観た映画の感想は今年中に完結させたい!という気持がいちおうあるので、今更だけど感想書いてなかった分思い出して書くことにします。まずは「ライ麦畑をさがして」。これは公開時に劇場で観ました。ということは実に半年以上前(…)。ですので、言うまでもないことですが、今回の感想はあまり信用しないように(逃げ腰)。

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サリンジャーに傾倒している少年が主人公の青春ドラマです。彼は父親との確執とか大人達への嫌悪とか青春期の苛立ちを持て余してる18歳の少年で、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を肌身離さず身につけて愛読している。18歳って、もう少年と呼ぶにはちょっと厳しい年齢だけど、この子は実は事件を起こして数年間病院にいて今退院してきたばかりという設定なのね。そんな彼が、学校の課題で「その後のホールデン」というテーマが出されたことが発端となり、同級生の女の子と共に家出をします。サリンジャーに会うために。


うーんと、残念ながら、ありきたりな青春ドラマの域を出ていない、というのが率直な感想でありました。今年は4月の村上春樹新訳「キャッチャー・イン・ザ・ライ」出版に伴いサリンジャーが再注目されて、関連本やら雑誌の特集やら色々出ましたけど、そのブームに乗って公開の運びとなっただけなのでは…って、辛口ですか?まあ今日のところは大目に見て下さいよ。私サリンジャーに関することだとどうしても冷静な判断ができませんので(笑)。

何が気に入らないかというと、本作は、サリンジャーあるいは「ライ麦畑でつかまえて」という小説を単なるアイテムとしてしか使いこなせていないという点です。サリンジャーのこの小説は今ではもうほとんど古典のように扱われていて、「大人の世界に反抗する少年の物語」「インチキなものを拒絶する青春小説」という一般化した固定観念が一人歩きしてしまっている部分があるんだけども、まさにその流布しているイメージをそのまま少年から大人に成長するための材料として使ってるだけだという印象を受けました。「サリンジャーを神のように崇めていた少年が旅をして本当に大事なものは何かに気付く」と、単にこれだけで説明できてしまうストーリーである以上、極端な話、それならキーワードは別にサリンジャーじゃなくたっていいわけでしょ? なぜサリンジャーなのか、なぜ「ライ麦」なのかの必然性がピンとこない。もちろん設定上の理屈でいちおう説明がついているけど、あーつまり、理屈じゃないんだな、なんていうか、映画そのものからサリンジャーの空気を感じなかった。共感できなかった。(駄々っ子みたいな言い方ですみません。)

ただし、繰り返しになりますが、設定面でそれなりに「ライ麦」にちなんだ作りになっていたことは認めます。主人公がタバコを吸うことや死んだ兄弟を盲目的に尊敬しているところなどはホールデンになぞらえているんだろうし、それから、ジョン・レノン暗殺に関するエピソードは今更言うまでもありませんけど、他にサリンジャーが高校生の取材を受けたこと(そしてそれが転用されて隠遁のきっかけになったこと)や「ライ麦」を最初に持ち込んだ出版社に断られたことなどが少年の口から語られますが、これらは全部事実(とされていること)です。あ、あと彼が持ち歩いてる「ライ麦」が古いタイプのペーパーバックだったのはちょっと嬉しかったな。私写真でしか見たことなかったんです。初期のあの表紙、あれは今や幻なのですよ。


しかし「物語のラストの後、その後のホールデンについての仮説を立てろ」だなんて、怖ろしい課題を出すなあ(笑)。私にはとても答えられない。作者のサリンジャーにだって、果たして書けるんだろうか。「聖書に一章追加するようなものだ」というような台詞がありましたが(多分)、この点だけはまったく同感でした。




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ライ麦畑をさがして 【CHASING HOLDEN】 

2001年 アメリカ / 日本公開:2003年
監督:マルコム・クラーク
出演:DJクオールズ、レイチェル・ブランチャード、
ショーン・カナン、コリン・フォックス
(劇場鑑賞)




2003年12月26日(金) フル・フロンタル

二年くらい前に「ソダーバーグが『セックスと嘘とビデオテープ』の続編を撮る気らしい!」というまことしやかな噂があって(→参考1→参考2)、ならばひょっとして十余年の時を経てジェームズ・スペイダー召還か?!と我々ファンは色めき立ったものですが(笑)、それってどうやらこの映画のことだったらしいですね。もちろん実際には続編なんかじゃなくて(だからジェームズ・スペイダーも出てません<当たり前だ…)、監督自身「今『セ・嘘・ビ』を撮れば『フル・フロンタル』になっていただろう」と語っているという、ただそれだけのことでしたが。

ということで、本作は“ソダーバーグ原点回帰”と銘打ったインディ系狙いの作品です。ハリウッドのある大物プロデューサーの40歳の誕生パーティ当日を描いた群像劇。彼の新作に関わった人々それぞれが繰り広げる人間ドラマ。公式サイトは→コチラ!
構成的には二重三重の作りというか、そのプロデューサーの新作とされている映画が劇中劇としてランダムに挿入されて本筋と同時進行する作りになってます。最初はあれ?って思うんだけど映像にはっきり区別がつけられてるし(劇中劇は普通のフィルム映像、それ以外はドキュメンタリーなデジカメ映像)、カラクリがわかってしまえば観るのに何ら問題なし。二重三重と言ったのは、例えばジュリア・ロバーツは本編中でも女優という設定で映画の中で映画に出てるわけで、さらに本来のジュリア・ロバーツとして(この『フル・フロンタル』の役柄に対して)答えたコメントを映画の中で使われたりしてるのね。ってなんだかよくわかんないですよね。あー上手く説明できなくてすみません。

お話そのものよりも特徴的なのは舞台裏で、必要最小限のクルーで全編オールロケ、撮影期間はたった18日という強行突破だったらしいです。さらに出演者に対してルールを課し、その内容というのが、◇現場には自力で来ること ◇ヘア・メイクは自分でやること ◇衣装も自前 ◇アドリブ推奨 …って、ほらほら、これってアレですよ! こないだの『HOTEL』! あれと同じでしょ。あれも映画を題材にしてたし実際の印象としても似通ったところがあるんだけど、ただしこっちは『HOTEL』よりもずっと甘めでした。甘いっていうのは、“ツメが甘い”っていうのと“sweet”っていうのと両方の意味でね。『フル・フロンタル』は、何となく、インディ系を装ったハリウッド映画って感じだったんだよなあ。出てる人が有名人ばっかりだったからかなあ。ソダーバーグが身内を集めて仲間内で盛り上がって作ったような。つーかそれがインディ映画じゃん!と言われればそれはその通りなのですが…(笑)。いや、私はマイク・フィギスなんて意味不明オヤジは好きでもなんでもないけどやっぱ『HOTEL』のインパクトはそれなりにすごかったと思うわけ。あのイッちゃってる加減というか、観る人を問答無用で当惑させるムードはかなり堂に入ってたと思います。

それにしても、今更だけど、ソダーバーグって結構純粋に愛を求めている人なのではないでしょうか。必要以上に恥ずかしがり屋さんだし(観ればわかる)。ファインダー越しに人の心を裸にして昇華させるというコンセプトは確かに『セ・嘘・ビ』と通じるものがあって、こういう後味は私は決して嫌いじゃないです。好きか嫌いかという基準で言ったらそりゃ『HOTEL』より断然『フル・フロンタル』が好きですよ(笑)。


あーそれと、これを言わねば話にならん! みんな聞いて! やっぱりブラピは超絶カッコイイです! この人って、たいしたことやってるわけじゃなくてもつい見とれてしまうのは何故なんだろう?やっぱカッコイイからだよな!うん!(自己完結) なんかオーシャンズの時みたく可愛格好良かったです。ちょっとしか出てこなかったけど久々にスクリーンで見られて嬉しかったー。この映画、ブラピファンは特に、最後の最後まで席を立ってはダメですよ!




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フル・フロンタル 【FULL FRONTAL】

2002年 アメリカ / 日本公開 2003年
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ジュリア・ロバーツ、デヴィッド・ドゥカヴニー、キャサリン・キーナー、
ブレア・アンダーウッド、デヴィッド・ハイド・ピアース、ニッキー・カット
(その他ブラッド・ピットとかデヴィッド・フィンチャーなんかも出てます)
(劇場鑑賞)


2003年12月25日(木) ラスト サムライ

 ※ ネタバレ大いに含みます。まだ観てない人は読んじゃダメ!



明治維新の頃には横浜からあんなに大きく富士山が見えたのか!とか、勝元の村がぜんぜん吉野に見えないYO!(というか日本に見えないYO!)とか、そもそも筋金入りの保守サムライ勝元が何故あんな流暢に英語を話すんだ?とか、やはり鳥居とニンジャはいまだ日本描写に欠かせぬアイテムなのか┐(´ー`)┌ ヤレヤレ…等々、細かいツッコミ所はあるものの、総合的には面白かったです。というかむしろいいじゃんコレ!賛否両論あるみたいだけど私は擁護派だな。いやほら、だってフィクションですから。例えば制作側が「西南戦争の映画化である!」とでも豪語してるんならこっちも反撃するに吝かではありませんが(笑)、本作が娯楽性を多分に含む完全なフィクションであることは監督自らきっぱり明言していることですし、日本史学的な真の武士道というものが何であれ(そんなことは私だってよくわからん)、少なくともこのアメリカ人監督がサムライスピリットというものをどう捉えどこに美学を感じているかということは伝わってきたのでその健闘ぶりは評価すべきだと思うわけです。
反面、肝心なところが手薄というか、オールグレンと勝元が何故あんなに強い絆で結ばれたのか、そしてオールグレンとたかがなぜ互いに惹かれ合ったのか、物語の核となるそのあたりの過程にいまいち説得力がなかったのが残念でしたけど。
しかしまあ、ラストに明治天皇が「朕が目指す国家とは…」などと言い出したのには若干興醒めというか(笑)、いかにもアメリカ的ハリウッド的なまとめ方だなあという気がしました。あの弾丸嵐の中で一人奇跡的に生き残っちゃうところもお約束だし(笑)、この映画あくまで主人公はオールグレンなんだよね。日本の武士道をモチーフにした、彼自身のセルフ名誉回復物語。もちろんそういう映画なんだからこれでいいと思います。私こういうの大好きです。


あーあとトム・クルーズが意外に(失礼な)良かったなあ。ていうか、うわあトムクルかっこいいー!とか普通に思ってしまった自分に驚き。一体どうしちゃったのかしら最近の私!今更トム・クルーズにときめいたなんて恥ずかしくて人に言えないよぅ(言ってるけど)。でも実際どうだろう?結構格好良かったよね?二刀流も袴姿もサマになってたと思うんですが。 やっぱり日本人に近い体型だから …あ、いえ、ええっと、男の人の、こういう、全体的に長めでザクッと切ったような髪型が私は非常に好きなので、その辺もツボだったのかもしれません。あるいは単に甲冑萌えかもしれません(あるのかそんなの!)。日本語話す時何故か「自分は…」と高倉健風一人称になるところも素敵でした。あと泣き顔もめっちゃ素敵でした。色々良かったよトム。
渡辺謙の存在感は噂通りそれは見事で、さっきどうして侍が英語をペラペラ話せるんだよ!とかツッコミ入れましたけど、ほんとはそんなことちっとも気にならないくらいに台詞をモノにしていて素晴らしかったです。ゴールデングローブ賞ノミネートだそうで。やったね〜!
真田広之も、役柄上ロイヤルシェイクスピアカンパニー仕込みの英語をご披露いただけなかったのは残念でしたが、清兵衛の時とはまた違ったワイルドな侍っぷりがとても良かったです。桜をバックに、馬に乗ったトムと謙さんと真田広之がばんばんばーん!と並んでたりして、そんないい男スリーショットを拝めただけでも満足な一作でありました。相変わらず単純ですみません。

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それから、内容とは本当に全然関係ないんだけど、あのトムの見張り役の寡黙な侍、最初に名前を聞かれて答えなくて「じゃあボブだ」っていうやりとりに友人と私は二人して異様にウケてしまって、その後この人が画面にうつるたびに「ボブだ!ボブだ!」とか思って笑いをこらえるのが大変でした。しかも最後の最後まで思いっきり「ボォーーーーブ!」とか呼ばれてるし!
私は知らなかったんですが、この福本清三さんって有名な方なのだそうですね。大部屋俳優として44年のキャリアを誇る日本一の斬られ役。さっそく自伝本を読んでみたところ非常に面白かったです。ご本人たいへん謙虚なお人柄で、含羞のひと、と書き手の方が表現されてますが、まったくそんな感じ。トム・クルーズと共演ですね、と言われて「共演なんて、そんなそんな、私がやることなんか、たいしたことありまへんがな。共演なんて言ったら、トムさんが気を悪くしますがな」と(笑)。

↓これ



文庫になってます。〔→bk1〕



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ラスト サムライ 【THE LAST SAMURAI】

2003年 アメリカ / 日本公開 2003年
監督:エドワード・ズウィック
出演:トム・クルーズ、渡辺謙、真田広之
ティモシー・スポール、小雪
(劇場鑑賞)


2003年12月24日(水) アンダーワールド

さ、イブだろうがなんだろうがお構いなしに更新ですよ。「フォーン・ブース」に引き続き、相当前に観たくせに感想書いてなかったシリーズ第二弾「アンダーワールド」。頑張って思い出して書くぞ!
えーと、吸血族(ヴァンパイア)と人狼族(ライカン)の争いを描いたバイオレンスホラーです。人類が気付かぬところで千年以上に渡って続いていた彼等の闘争が、ある人間の青年医師の存在によって新たな局面を迎える。

ヴァンパイアが二丁拳銃構えて戦闘、血を飲む場面はほとんど皆無という、バイオレンス度が高くてわたくしの愛する耽美+デカダン度は低い仕上がりでしたが(笑)、これはこれでなかなか面白かったです。耽美度低いとか言ってもヴァンパイア屋敷の雰囲気なんかはそれなりにゴシックだったし(まあこれはライカン側との対比を強調する意味もあるんだけど)、鬱々と雨が降り続ける暗い街、派手な銃撃戦、モノクロに近いダークな映像、と、ビジュアル面で独自のこだわりが感じられました。そしたら監督はミュージックビデオ界出身の人なんだって。納得ー。
話の流れも嫌いじゃないなあ。ストーリー自体は陳腐といえば陳腐ですが、少なくとも戦いにきちんと意味を持たせていたという点で、例えば「リーグ・オブ・レジェンド」なんかよりははるかに良かったのではないかと(笑)。

あとは、キーパーソンとなる青年医師のヒロインっぷりが良かったです。いや彼はもちろん男性ですけども、ほぼモンスターしか出てこないこの映画において一人かよわい人間なので、ケイト・ベッキンセールに頼りっぱなし&守られっぱなし。これをヒロインと呼ばすして何と呼ぶ。それとこの人、変身しそうになったときの悶え方がちょっと普通じゃないっていうか、一人車の後部座席で荒い息を吐きつつ自ら胸をはだけたりしてかなり突っ走り気味のオーバーアクションなところが非常にグー!でした。その後注射器でほんのちょこっと血を抜かれるシーンでもハァハァ言いながら涙目で身悶えしたりして、あんた普通の健康診断でもいちいちそんなリアクションするのかよ!(つうか自分が医者じゃん!)って感じでしたけど(笑)。いやぁいいねぇキミ!名前なんていうの?スコット・スピードマン君?憶えておくよ!


以上、印象に残ってるのはそんなところかな。公式サイトは→コチラ!





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アンダーワールド 【UNDERWORLD】

2003年 アメリカ / 日本公開 2003年
監督:レン・ワイズマン
出演:ケイト・ベッキンセール、スコット・スピードマン、
マイケル・シーン、ビル・ナイ
(劇場鑑賞)



2003年12月22日(月) 「ベイビー・オブ・マコン」「プリンス・オブ・エジプト」

レイフ・ファインズさんお誕生日おめでとう!

…って2日も過ぎてから何言ってんだ!って話ですけど、でも忘れてたわけじゃないのよ〜。ただ時間がなかっただけなのよ〜。ということで、日付は既にイブですが私の心の中ではまだ12月22日ということにして、レイフ関連作を二作。もうクリスマスと一緒に祝っちゃえ! いや、実は古いファイルを整理してたら書いたまま放置されていた感想が出てきたんですよ。なので貧乏根性でアップすることにいたします。これ多分夏前に書いたんじゃないかなあ。古いテキストでごめんねレイフ。愛はいつでも新鮮だから許してね。

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■ ベイビー・オブ・マコン('93/英・独・仏) ■

あああレイフたんが大変なことに!!(笑)

という映画でした。いや全然笑い事ではないんですが。軽い気持ちで見始めると食あたり必至、構えて観ても確実に鬱になる、そんなグリーナウェイ監督の手腕に拍手喝采いたしましょう。ストーリーは上手く説明できないからもう潔く省略(そんな)。

気分の悪い映画であってもお構いなしにレイフ・ファインズは壮絶に美しかったです。出てきた時からいかにも英国美青年でワォ素ぅ敵ぃ〜!って感じだったんだけど、この人はやはり期待を裏切りませんネ、その後もあれよあれよという間にどんどん脱いでゆく(笑)。一糸まとわぬ姿でのたうち回る姿には感動すら覚えました。以上!(そんな)



■ プリンス・オブ・エジプト('98/米) ■

アニメです。レイフ・ファインズ中毒もそろそろ末期に入ってきておりますわたくし、好きすぎて好きすぎてもはや声だけでイケます。一見ディズニーっぽいけど制作はドリームワークス。旧約聖書の出エジプト記、すなわち神の奇跡とともにヘブライの民を解放したモーセの姿を、兄弟の愛・対立・葛藤を中心に描いたお話。
主役のモーセ(の声)がヴァル・キルマー、で、兄のラメセス王子(の声)がレイフなんだけど、なんか序盤から二人仲良く悪ふざけしたり騒いだりしてるので、目を閉じて聞いてるとヴァル・キルマーとレイフ・ファインズが仲良くはしゃいでる図が浮かんでしまってものすごく不思議でした(笑)。だってそんなシチュエーション絶対ありえなさそうじゃないですか。共演がなさそうってことだけじゃなくて、そもそも二人とも騒がしくはしゃいだりしなさそう。ていうか目を閉じるなって感じだね私。ちゃんと目を開けて観ようよね。映画なんだからね。

その他のキャスト(声)もやたらと豪華メンバーで素晴らしいです。内容全体の印象としては、モーセの偉業の話だけど兄弟の愛・対立・葛藤を中心とした話の運びになっていて、もちろんその分端折ってある部分も多いんだけど、スムーズでわかりやすく仕上がっているのでこれはこれで良いんじゃないかと思います。アニメだし。「十戒」で有名な海が割れるシーンなんかも迫力あって当時(99年頃)映画館で観てたら結構感動したんじゃないかなー。

でですね、これミュージカルアニメなんですよ。ですからレイフさん歌ってます。物語の山場である重要なシーンで力強く頑張って歌ってます。必見、いや必聴! まあ歌ってるのはほんの一瞬なんですけど、でも×××と聞いていたので(笑)気が気じゃなかったというか、あああ大丈夫かしら?大丈夫よね!別に「ホテル・カリフォルニア」を歌うわけじゃないんだし!(マニア向けネタ)などと失礼な心配をしてました。これはあれですよ、たとえて言うならキアヌが過去の様々な出演作で唐突に歌い出してしまったり踊り出したりしてしまった時のハラハラドキドキとちょっと似ているものがあって、要するにひょっとすると私の場合、この親心的ハラハラ感が愛に繋がっているのかもしれませんネ。(それもどうかと思います。)

しかし声だけの出演っていうのも結構良いものだなあ〜。私もともと声フェチっぽいところがあるので聞いてるだけで楽しい。それにその人の普段の持ち味とはちょっと違った一面が見られるっていうか、例えばレイフ・ファインズが激しく怒ったり叫んだり暴君的な物言いをしたりとかって実写(というのも変だけど)ではあんまりなさそうじゃない? うわあ怒鳴ってるよ!きゃ!とか、そんな感じですごい楽しかったです。不謹慎ですみません。同じ意味で、こんなに素直で実直で素朴で誠実なヴァル・キルマーというのも相当珍しいと思いました(笑)。


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さてそんなレイフ、今年で41歳になりました。うそぉ41歳?!こんな可愛らしい四十代が存在してていいんでしょうか皆さん。ちなみに今後の新作は、ニール・ジョーダン監督ニック・ノルティ主演の「ギャンブル・プレイ」。まあ新作とはいってもほとんどカメオに近い形だとは思いますけどね。IMDbではノークレジットなのに日本の公式サイトではしっかり名前を売られちゃってるところが笑えます。来月31日から公開。



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ベイビー・オブ・マコン 【THE BABY OF MACON】

1993年 イギリス・ドイツ・フランス / 日本公開 1993年
監督:ピーター・グリーナウェイ
出演:ジュリア・オーモンド、レイフ・ファインズ
(ビデオ鑑賞)


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プリンス・オブ・エジプト 【THE PRINCE OF EGYPT】〔アニメ〕

1998年 アメリカ / 日本公開:1999年
監督: ブレンダ・チャップマン、スティーヴ・ヒックナー、サイモン・ウェルズ
出演:ヴァル・キルマー、レイフ・ファインズ、ミシェル・ファイファー、
サンドラ・ブロック、ジェフ・ゴールドブラム、ヘレン・ミレン、
パトリック・スチュアート、スティーブ・マーティン
(ビデオ鑑賞)



2003年12月21日(日) フォーン・ブース

えーと、実は観たのが相当前なので(みぃさん感想サボっててごめん!)ほとんど内容忘れかけておりますが、頑張って思い出して書きます。鳴ってる公衆電話に出てみたところ、それが彼宛の脅迫電話だったというお話。電話を切ったら殺すと銃で狙われ絶体絶命、彼は謎の犯人から逃れることができるのか。

ジョエル・シューマッカーそつのない仕事ぶりだなあ、という印象。決して諸手を挙げて絶賛できる作品ではありませんがそれなりに無難な仕上がりで、私は嫌いではないです。あれもこれも詰め込もうと欲張ってないところが好印象というか、犯人の動機犯行の具体的手口はあえて深く追及せず(<ああなんて好意的な見方なの私ってば!笑)、とにかく90分間観客を惹きつけておくことだけに心血注いでる姿勢が感じられて、その辺潔くて良いと思いました。潔いと言えば90分という上映時間の短さも潔くて良いです。この映画は、始めから終わりまで、要するにスチュが電話をかけ始めてから事件に決着がつくまで時間の切れ目が全くないリアルタイムドラマなので我々観客はただコトの成り行きを見守っていることしかできず、(画面分割したりして色々見た目を工夫してはいましたが、)こういう集中力の維持って90分ぐらいが限度なんじゃないかなあ、と思います。


などと、色々理屈をつけてみたものの、結局私はコリン・ファレルがお気に入りだから楽しめただけかもしれません。ていうか絶対そうだと思います(笑)。だって最初から最後までコリンちゃん出っぱなし! カッコつけて登場したくせ途中から髪振り乱して泣くし叫ぶしうろたえるしああああなんて可愛いのコリンちゃん! 映画館では犯人の電話の声がまるで神の声の如く後ろの方から響いて聞こえるので、鬼畜なわたくしのように犯人役に心を同化させれば(させるなよ!)可愛いコリンちゃんをいたぶる楽しみが味わえます。だって脅せば脅すほどに泣きながら命乞いとか始めるんですよ!その様子の可愛いことったらアナタ、もうちょっとたまんないですハァハァ。いや、冗談抜きで、コリン・ファレルはいつでもどんな映画でもどんな役でも全力投球なところが魅力だと思うなあ。今回軽薄男という設定ですが厳密に言うと実際に浮気してるわけじゃないし、それでも妻にバレるの恐れて公衆電話を使ってるあたり結構気弱で可愛いじゃないのよ。ね?

あと、私は犯人を知らなかったので、それはつまり、本来の意味で誰だか「知らなかった」ので、知ってた人よりも楽しめたのではないかと思いました。こんなこと公開終わってから言うのもナンですが(笑)、なるべく予備知識を入れずに観ることをオススメします。




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フォーン・ブース 【PHONE BOOTH】

2002年 アメリカ / 日本公開 2003年
監督:ジョエル・シューマッカー
出演:コリン・ファレル、キーファー・サザーランド
フォレスト・ウィッテカー、ラダ・ミッチェル、ケイティ・ホームズ
(劇場鑑賞)



2003年12月18日(木) 「スティール」(+久々レイフ)

アドレナリン大放出映画!という謳い文句なのに、可愛いニモたん&トム'sサムライスピリットの二大勢力に押されて日陰でひっそりと上映されている「スティール」です。主演はスティーブン・ドーフ。私はスティーブン・ドーフというといまだ反射的に「ああ『バックビート』の人」とか思ってしまうんですが、それって私の感覚が古いというよりは、多分この人があんまりヒット作に恵まれてないからじゃないかなあー。どうもB級作品にばかり出ているような気が。ほら、「デュースワイルド」とか(笑)。嫌いじゃないだけに勿体ないんだよなあ。
そして今回も例に漏れず、映画は見事にB級なのだった。えーと印象としては、「ハードキャッシュ」とか「トエンティマン・ブラザーズ」とか「ノックアラウンド・ガイズ」に近かったです。ああいう感じの犯罪ドラマ。ドーフ達はインラインスケートとか過激なスポーツを取り入れて銀行を襲う犯罪者チームで、お金よりも刺激を求めて罪を重ねていたんだけど、あるきっかけから次第に後に退けない状況に追い込まれていく。
まあ、過激なスポーツを取り入れるとか言っても迫力あったのは最初のスケートだけで(潜水やスピードクライミングに至っては練習してる場面しか出てこないし/笑)、どちらかというとカーチェイス・カーアクションの方にチカラ入ってるんじゃない?と思っていたらこれ監督が「TAXi」の人なんだってね。なるほど納得。トラックの片輪走行がすごかったです。あと話の流れなんかもイマイチだったけど、でもこういうタイプの映画はもともと嫌いじゃないので私はそこそこ楽しめたかな。それとスティーブン・ドーフもやっぱり嫌いじゃないです。もっとメジャーな映画に出てほしいんだけど。




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スティール 【$TEAL】

2002年 フランス / 日本公開 2003年
監督:ジェラール・ピレス
出演:スティーブン・ドーフ、ナターシャ・ヘンストリッジ、
ブルース・ペイン、スティーブン・バーコフ
(劇場鑑賞)





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そして! さぁみなさーんー!「メイド・イン・マンハッタン」のDVDが発売されましたよー! 正統派ジェントルマンなレイフ・ファインズが堪能できますよー! 今ちょっとオマケ映像だけ見てみたんですけどね(<もう早速手に入れてる人)、いや、オマケでNG集がついてるんですけどね、なんつーかこう、久しぶりにレイフ・ファインズに萌えました。燃え上がりました。 「レッド・ドラゴン」DVDのオマケ映像では温厚な可愛い子ちゃんぶりでしたが今回はやんちゃ坊主的な可愛い子ちゃんというか、だってなんか飛び跳ねたりとかしてるんですよ!口は悪いし! あーもう、来週で41歳になる人とはとても思えません(笑)。本編も観るのが楽しみだ〜。(って一体何度観たら気が済むのだ私は)


2003年12月10日(水) ファインディング・ニモ

これは素直に面白かった〜。まさに家族のためのお正月映画。期待通りに安心して楽しめる一作と言ってよいでしょう。

ダイバーに連れ去られてしまった息子を助けるために父親が冒険の旅に出るという、ストーリーは本当に単純で何のヒネリもないんだけど、とにかく映像が素晴らしい。ただリアルでキレイなだけではなくて、すごく新鮮な感じなんですよ。これ海の中を舞台にしたことが大正解だったと思うなあー。未知の世界を垣間見る楽しみが味わえるというか、クラゲの大群やら海流に乗る様子やら、うわあ海の中ってすごい〜!的な感動がありました。
あと、これは観る前から思ってたんだけど、“親”が冒険の旅に出る物語ってちょっと珍しくないですかね?例えばライオンキングにしろ千と千尋にしろ、普通こういうアニメでは“子供”が冒険をして成長する姿を描くというのが王道のような気がしてたので、パパが頑張ってる様子ってなかなか面白いなと思いました。それも決して勇ましく捜索の旅に出るわけではなくて、息子がいなくなった時のパニック状態のまま無我夢中で泳ぎ回っていろんな人に出会って次第にそれが語りぐさになってゆく、その展開が押しつけがましくなくて好感持てました。


そしてニモがー!カワイー!小さい方の手(じゃなくて正確にはヒレだけど)を常にパタパタパタパタパタパタって動かしてる様子がもう超絶可愛かったです。あと「イソギンチャク」って正しく言えなくて「イソギ…イソ…い、いそにんにゃ…」とかなってるところ(笑)。微笑ましすぎ!
パパと旅をする青い魚ドリーちゃんは笑えました。ほとんどメメント状態の人(じゃなくて魚)なんだけど底抜けに明るくて、ちょっとそこらの芸人に見習ってほしいくらいの絶妙なボケ具合でしたね。個人的に“クジラ語”が大ヒット(笑)。くだらないのに妙に可笑しくて笑いこらえるのが大変だったよ。


それから水槽の中チームの方で、顔にキズがあるヤクザな感じのリーダー魚がいたじゃないですか。最初に出てきた時から、うわ何なのこのニヒル声!惚れそう!魚なのに!とか思ってたらウィレム・デフォーだったんですね。やっぱりね。あのなりきりっぷりはただ者じゃないと思った。他に有名どころでは、ペリカン役でジェフリー・ラッシュとか出てます。「ハルク」のエリック・バナの名前もあって、えぇどこ?どれだったの?と思ったらサメ隊の一人(一匹)だったそうだ。しかもあの、顔が横に細長い超個性派ザメですよ。もうすっかりイロモノ担当だなエリック!(違)


今回有楽町で観たんですけど、映画館の入り口付近では、フィギュアを使ってちょっとしたニモ展示場が出来上がっていて、みんな写真を撮っていた。負けずに私も撮りました。




ニモたんアップ



ニモとウミガメ(の子供)
後ろにいるものすごい顔のサメがエリック・バナです



全然関係ないけどとなりに置いてあったクイール(→公式
かわいくない?!超ビッグサイズなのよこれ!
「背中に乗らないでください」とか書いてあるの(実話)


そんな感じで楽しかったです。次はラストサムライ〜。早めに観るぞ〜。


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ファインディング・ニモ 【FINDING NEMO】〔アニメ〕 

2003年 アメリカ / 日本公開 2003年
監督:アンドリュー・スタントン
声の出演:アルバート・ブルックス、エレン・デジュネレス、アレクサンダー・グールド、
ウィレム・デフォー、ジェフリー・ラッシュ
(劇場鑑賞)


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