-殻-
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僕等は、解放された。
口を噤んでいた時間は、氷解した。 まとわりつくような甘やかな重みを含んで、 ほんの少し先のことを僕等は語る。 幸せと呼ぶには、あまりにも軽い響きで。
君の語った切ない言葉は、情けない僕の背中を押した。
そうだったね。 僕等を繋ぐのは、そんなにも確かな寂しさだった。 僕はあまりにも安らかに過ぎる時間に溺れて、 その寂しさを忘れかけていた。 もういいじゃないか、と、僕は僕の肩を叩いた。 INDEX| PAST| NEXT | NEWEST |