2009年06月13日(土) |
通り過ぎていく、夏。 |
雨の匂いを運ぶ 6月 空には雲の群れ 街に咲く傘の花
暑さが賑わう 7月 空には太陽の主張 額には噴き出る汗
通り過ぎいく 8月 空には真っ青な偶像 日向には確かな温度
想い出を作ろうと 飛び出した街 至る所に噴き出した人々の群れ
助長していく暑さと熱さ 空回りしている公園の隅
赤とんぼが教えてくれた 何気ない変化 霞み行く景色の隅で
主人公を気取っていた あの頃の自分 寓話の中の1ページの様だ。
停電の起きた夜のように 暗い街
国道を車で走れば 冷たい風が車体を揺らす
何処にもいない人影を 彷徨いあぐねる視線
暗い街に落とされた 暗い街を味わった 私の倫理は暗く染まる
横断歩道の上を母の手を握り 子供が行く
目の前に示された規則に 安息を覚え
何処に居ても人影は 暗い街には居ない
暗い街に照らされる 電燈の明かりは 暗い街を味わった 私の希望の様だった
暗い街で落ちていく 暗い街に染まっていく 私の概念 胸を締め付ける
通り過ぎていく日常に絶望しか感じなくて 通り過ぎていく日常に失望しか感じなくて
厭きれる程に堕落した毎日を 飽きる程 繰り返される風景を
固着した頭が理解に苦しむ 油断した体が失望に喘ぐ
一日の感度を捨てて 一日の感度を捨てて
麻痺していく平常心 麻痺していく社交性
閉ざされた思考の上に恥を上塗る 閉ざされた時間に孤独は膨らむ
一日の感度は廃れていく 一日の感度は萎びていく
以上の事を全て「愛情」というのならば この街にも 既に 希望論は存在しない
幸福論を捨てた現実主義者は 包括的に絶望を包みこみ 逃げ込んだ街角に傷だらけの肌を晒す
以上の事を踏まえて お前らは「愛情」の定義を何と置く? この街に 行き場を失くした ゴミが溢れる
幸福論を夢見ていた楽観者は 絶望に身を投ずる事しか出来ず 逃げ込んだ街角に裸で佇む事しか出来ないだろう
異常がもたらす正常を 正常がもたらす異常を
精神は分離して 孤独を癒すだろう。
男として未熟な僕は 人としてガサツな僕は
心を潰して 拳を握り 目の前の腐敗と対峙
男として稚拙な僕は 人として幼い僕は
心を震わせ 拳を叩き 目の前の冷遇と対峙
待機した少年期 劣化した肖像 暴力は時には雄弁
心の底で 波打つ躍動 目の前は真白 心の底で 感じた暗澹 目の前は真っ暗
魔が射した 道の途中 まだ日陰に入るには早すぎる 魔が射した 道の途上 まだ日向に居るには遅すぎた
心が震え囁く 夢 目の前の少年の肖像は
他でもない 僕だ。
橙色に染まる空に 僕は何を追うのか
迫りくる老いに 唯 焦りを感じ じたばた励む
後悔なんか 身に覚えは無いのに 僕一人 年月の重さに 恐怖を覚え
脳内を刺激する 錯覚 此処は何処かわからずじまい 心臓を護衛する 鎧 その真の狙いは 心の閉鎖
黒が支配する空に ぼつんと輝く星があるなら
僕は星へと迫っていく 唯 忙しさを言い訳に あたふたと逃げる
後悔しか 気づけば残っていない 僕一人 頭を抱えて 恐怖に埋まる
脳内を刺激する 不協和音 此処で鳴り響くのは 何のカウントダウン? 心臓が鼓動する 旋律 その真の意味は 死への道程
脳内を隔離する 戯言 此処が最後の砦なら 心臓が終止符を打たれる前に 奏でる その音の正体は 至福のメモリー
僕の居場所は此処では無いと 飛び出した あの時の判断は 正しかったのだろうか…?
湾曲した海岸線に 漂うのは薄黒い人々の欲望 蒼ざめた空に 漂うのは白く霞む人々の失望
痛めつけられた傷に 塩を塗す私鉄の通過音 知らぬ内に 絶望を簸た隠す隣人の笑顔
幸福に縛られた住宅街にショッピングモール 海に架かる大きな橋に 夢を乗せて辿り着くのは 現実と言う名の御伽噺
東京ニ憧レテ 志半ば 僕の心には北風が吹いている 東京ニ憧レタ 想いは今 故郷の景色が瞼に浮かぶ
狭いバスのシートの上に ぶちまけていた幼き夢 事実とは異なる現実 嘘もその内 上手くなる
料理の仕方も覚えた頃には 東京の街が 色褪せていた
東京ニ憧レル 少年は 南風を背に受けてやって来た 東京に憧レタ 少年は 北風に煽られて 此の街に埋まっていく
東京ニ憧レテ 志半ば 僕の脳裏に 母の声が 東京ニ憧レタ 想いは今 懐かしさへと移りいく…
街には明かりが灯る。
家路に向かう人並みの中 誰とは言わない いつも隣に並んだ影が 今は懐かしい
「さよなら」と口が動く その瞬間 今でも瞼の奥に焼き付いている
街には明かりが灯る。
家路へ向かう電車の中 誰でもない いつも傍で感じた温もりが 今は無い
二つ並んだ食器の影が キッチンに 今でも並ぶ 歯ブラシも二つ
終わり方を知らない 僕の 終れ方をを知らない 僕が
目指す時間。
街には明かりが射してくる…。
この時間 私が主役 この時間 私の時間
舞台の上は 私のお庭 舞台の上で 私は踊る
舞台があれば 私は主役
この時間 私だけの この時間 私だけが
舞台の上で 私は輝く 舞台の上が 私の時間
舞台さえあれば 私は私
私の舞台が 此処にある
動かなくなった時間 制御できない妄想
繰り返される暴走 勝手に動く唇
言葉にならなぬ 死なぬ想い 軽々しく貶める 最後の罠
電池が切れたマリオネット 切れた糸の先には
遺体 が 一つ
きっと 無念だっただろう。
走馬灯の様に駆け抜けた一瞬 漂うのは 後悔か?絶望か?
その美しさには毒がある その美しさには嘘がある
体をくねらせて 挿し込むのは 体の奥か?
その美しさには罠がある その美しさは偶像だ
体を捻じらせて 口に運ぶのは 何のつもり?
舌を這わせる体には 甘味とも辛味とも 問えない
揺らぎ が存在し その 穴の中に 導かれるのは
私の欲望。
御挨拶は程々に その美しさに酔いしれよう。
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