詩-生人-

2009年09月30日(水) 夜の闇に。

苦しい夜
浅い夜

夜の闇は いつも心をざわつかせる

煙たい日に
朝から力は入らず

夜の闇を 知らぬ間に待って居る

気づけばここでずっと

僕は

僕を

僕が

僕で

僕に

在る為に

貶め続けている。



2009年09月29日(火) 雨の街

雨上がりの空の下
ネオンライトが蠢く街

キラキラ光る輝き惑わされて
キラキラ光る夢を見ていた

遠くで黒い雲がざわついている
雨の匂いが街を包む

ゆらゆら揺れる柳の葉に
ゆらゆら揺れる炎の様に

降り始める雨の中
駆け足で巡る街
気づけばそこに 誰もいない

降り止む雨の雫
零れる足元照らすのは
微かに頼りない明かりだけ



2009年09月26日(土) 砂の言葉

幾つになっても
幾つ連なってみても

誰にも届かない言葉

この詩の様な稚拙な表現が延々と繰り返される日常
そんな日常から逃げ出したくて乗り継ぐ電車

都会はすぐに別世界へ運んでくれるが
この部屋の片隅で今日も僕は日常を繰り返す

僕が言葉を口にするとき
砂の粒が口元から零れて
自分でも何を喋っているのかがわからない

僕が言葉を口にするとき
砂の粒が舌の上を這い廻り
自分自身の嫌悪感に苛まれる

幾つになっても
幾つ連ねてみても

誰にも届かない言葉
誰にも届かない思い

砂の様に零れて消えた。




2009年09月25日(金) 静かな反響

何かが響く
暗闇に明かりが灯る

何かが蠢く
季節は駆け足で過ぎていく

まわりくどい表現が連鎖して
人の心はぼやけてしまう

何かがそこで
誰かがそこで

僕もそこで

静かに息を潜めながら...



2009年09月24日(木) 誰かが心の扉を

誰かが心の扉を叩いている
誰かが心の扉をノックする

温かな季節が過ぎて
凍える様な寒さが街を包んで行く

誰かが寒さで震えている
誰もが寒さに耐えている

誰かの心の扉を叩いている
誰かの心の扉にノックする

気づけば色づいた風景も
季節と共に去っていく

僕と君もそんな風に
いつしか別々の季節へと移り変わる

誰かが心の扉を叩いている
誰かが心の扉をノックする

間違いだらけの航海を
過ちだらけの道標を

気づけば人はいつも同じことに躓いて
気づけばそこで立ち止まる

誰かが心の扉に問いかける
示された言葉の意味を抱きしめて
誰かが心の扉のノブに手をかける
僕はここに居るから

誰かが心の扉を



2009年09月23日(水) 言葉の概念

言葉に言葉を被せて
誰もが同じ風に受け止めて
言葉と闘い
概念と向き合って

言葉が言葉に支配されていく
誰も気づけずに流されて
言葉は強大
概念を飲み込んで

言葉の響き一つで
誰もがイメージに侵されて
言葉は孤独
概念は閉鎖する

たかが 言葉一つだけれど
たかが 言葉一つだけれど

言葉の持つ「力」
概念の持つ「脆さ」

言葉は概念へと 概念は言葉へと
連鎖する。
螺旋する。



2009年09月22日(火) 負けぬ犬。

遠くで今日も吠えている

遠くの月に向かって吠えている

近くの星には吠えないのか?

遠くで明日も吠えるだろう

遠くの月に向かって吠えるだろう

近くの星には吠えないだろう

今日も同じ遠吠えを聞きながら

お風呂に浸り 星を眺める。



2009年09月21日(月) 長い終りの始まり。

温くなったコーヒーが一つ
テーブルの上に

君は遠くの車窓から 何を想っているだろう?
過ぎ去り続ける景色の中に 僕の姿を見つけられるだろうか?

いつもの午後がやってくる
温かな昼下がり 公園には小学生が鬼ごっこ
変わらない夜に向かって
時計は進む 君を乗せた電車と一緒に

洗いかけのマグカップが一つ
流しのところに

君を乗せた電車は今 どの街を走っているのか?
過ぎ去り続けた景色の先に 誰が君を待っているのだろう

変わらない夜がやってきた
TVの中では今日も誰かが笑っているよ
変われない朝に向かって
今日の終りが近づいてくる 長い終りが始まっていく

変われない朝がやってくる
同じことを繰り返していけば いつしか
君の面影は消えていくの?
想い出に終わりはやってくるのか...?
長い終りを待っている。



2009年09月20日(日) 小さな星

君に会いに行けば
途方もない宇宙を知った様で。

君に会いに行かなければ
途方もない宇宙に堕とされる様で

胸に芽生えた恐ろしさ
胸に宿った窮屈さ

君に会いに行けば
気付かなかった孤独感

君に会いに行かなければ
気づけなかった劣等感

途方もない無数の星々の中
輝けない星もあると云う

途方もない無数の星々の中
輝いた星がある

君に会わなければ
途方もない宇宙の中で

僕は 輝きを知らない星になっていただろう...



2009年09月19日(土) 憧れた君

憧れた君の捨てた空き缶を集めるのが私の趣味でした。

憧れた君は 誰にでも好かれる人でした。
憧れた君の隣には いつも笑顔を称えた女性が居て

私の心には不束な闇が黙々と棲んでいました。

憧れた君は とてもコーラが大好きで
気づけばいつも飲んでいる姿を見ていました

憧れた君の 飲み干したコーラの空き缶を捨てる仕草を
私はその内に好きになりました。

部屋の隅に 積み重なっていく赤い缶
部屋の隅に 積み重なる私の気持ち

憧れた君は そんな私をどう思いますか?
やはり 変態だと思いますか?

憧れた君に もしも蔑まされたら
私の心は 積み重なった缶たち同様に

呆気なく崩れていくでしょう...

憧れた君に 私は今日も120円を渡します。



2009年09月18日(金) 喫茶「南風」

カフェで一人 読書をしていたら
隣に南風がやってきた

カフェで一人 珈琲を飲んでいたら
隣で南風が笑って歌う

こんにちは
私の腕は暖かい
こんにちは
私の夢は温かい

カフェで一人 音楽を聴いていたら
隣の南風は笑顔で珈琲を飲み干す

カフェで一人 時計を眺めていたら
隣の南風も 時計を眺めて呟いた

こんにちは
私の温度もあとわずか
こんにちは
私の夢までもう少し

カフェで一人 
隣人は何処かに行ってしまった。

また来年、会えるだろう。


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沢野生人

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