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2010年11月20日(土) マレーシアまで5000円”の格安エアライン「エアアジアX」

“マレーシアまで5000円”の格安エアライン「エアアジアX」、買って分かったその真相

                     2010年10月21日

            (文/鳥海 高太朗=航空・旅行アナリスト)


 親会社であるエアアジアのトニー・フェルナンデスCEOが就航発表会見の席上、就航記念キャンペーン運賃として片道5000円で販売することを発表。9月23日に発売され、キャンペーン運賃は発売開始から数時間でほぼ完売した。

 このエアアジアXのチケットの購入方法は? 航空券の条件、ルールはどうなっている? ここでは、実際に5000円の航空券をゲットした体験をもとに紹介したい。

 今回羽田に乗り入れるエアアジアXをはじめ、LCCの多くはインターネットを使った直販を基本としている。直販率が高ければ高いほど、販売コストを大幅にカットすることができるからだ。また、販売価格を需要に応じてリアルタイムに変更することができるメリットもあり、レベニュー(収益)管理においてもプラスに作用する。全てをインターネットに頼りたいところであるが、インターネットが利用できない人や問い合わせに対応するため、コールセンター(日本語対応可能)を完備している。

 航空券を購入したい人はまず、エアアジアのホームページにアクセスすることから始まる。エアアジアグループは、4時間以内の短距離フライトを「エアアジア」、4時間を超えるフライトについては「エアアジアX」というブランドで展開しているが、インターネットで購入する場合には同じホームページ内での予約が可能だ。

 以前は日本語のホームページはなく英語ページで購入するしかなかったが、9月23日の羽田=クアラルンプール線発売開始とともに日本語ページが開設された。日本語のクオリティーも比較的高く、茨城=上海線を運航する春秋航空の日本語ページに比べると格段に使いやすい、というのが実際に使った印象。次に実際に購入するまでのシミュレーションをしていこう。


同じ運賃内でも空席に応じて料金が変動

●羽田=クアラルンプール線 エアアジアX運航スケジュール
 
羽田空港 深夜23:45発 →→ クアラルンプール 6:30着(火・木・日曜日運航)
クアラルンプール 14:40発 →→ 羽田空港 22:30着(火・木・日曜日運航)


 エアアジアのホームページより羽田=クアラルンプール線の料金を検索する際には、前述のように週3便であることから、火曜・木曜・日曜の日付を選んで検索を行う必要がある。搭乗日と区間を選択すると、「キャンペーン」、「正規」、「プレミアム」(ビジネスクラス)と3つの運賃の運賃額が表示される。各運賃内でも空席に応じて運賃が変動する仕組みになっているので注意が必要だ。

 ちなみに就航記念として片道5000円で発売された運賃は「キャンペーン」に分類され、「正規」でも安い日では片道1万5000円の運賃が表示される。希望の運賃を選択した後、次のページに進むと、購入者の連絡先(名前・住所・電話番号・メールアドレス)、搭乗者情報の入力(名前・国籍・生年月日・パスポート情報)、さらに有料サービスの事前予約オプション(快適キット・手荷物・機内食など)を選んでいく。

 事前予約オプションは、羽田=クアラルンプール線では、機内快適キットは片道1000円。手荷物は1個目より有料で、10キロまでは1000円、20キロまでは1500円、25キロまでは2500円、30キロまでは4000円に設定されている。機内食は、ベジタリアン料理、マレー料理、多国籍料理、お子様料理より選択可能で、全ての料理が羽田発では700円、クアラルンプール発では400円で予約可能。搭載に余裕があれば機内での注文も可能となっている。

 そして次に座席指定へ。LCCの中には全席自由席を採用している航空会社が多くあるが、エアアジアXでは、事前に座席指定が可能。座席指定画面に入るとシートマップが表示され、好きな席が指定できる。シートマップ画面上で赤色になっているのが、足下が通常席よりも広い「ホットシート」(非常口前などの最前列)で、座席指定すると1区間3000円が航空券購入時にプラスされる。


座席指定画面。足下が通常席よりも広い「ホットシート」(非常口前などの最前列)に指定すると1区間3000円が航空券購入時にプラスされる。


●決済時に「満席」に!? 購入するまでは油断をするな

 そして、いよいよ決済画面に入る。LCCの航空券はクレジットカードでの決済となり、エアアジアで使用できるカードはVISA、マスター、JCBとなっている。画面には、運賃・空港税などの諸経費、手荷物などオプション代金の支払い、またカード決済における便宜手数料(1区間:150円)を含めた合計額が提示され、カード情報を入力すると確認画面が現れ、決済となる。片道5000円のキャンペーン運賃にて往復ともに手配できた場合、空港税などの諸経費が往路は3000円、復路は756円となり、オプションがなければ便宜手数料を含めて合計1万4056円となる。

 購入した航空券(eチケット)はメールで送られてくるので、送られたeチケットの控えを当日空港に持参することで搭乗手続きが可能だ(Webチェックイン、自動チェックインも可能)。初めて利用する時には不慣れで時間がかかるが、慣れればそれほど難しくはない。


 購入完了までには数ページにわたって予約・購入に必要な情報を入力していくことになるが、いざ最後にクレジットカード番号を入力して購入しようとしたら「満席」で購入できないケースもある。私自身、入力途中に往路が埋まってしまったようで、決済時に満席で購入できなかった。スピーディーな手続きが安く購入できるコツなのだろうか。

 それ以外で気をつけたいのは、入力ミス。名前のスペル間違いが1文字でもあると、飛行機に搭乗できない場合もあるので、決済前に搭乗日・名前のスペルなどの情報は再度確認してから決済することを心がけよう。全てが自己責任なのである。決済が終わるまでは油断をしないように。万が一、間違いをしてしまったことに気付いたらすぐにコールセンターに相談してみよう。


●運賃は片道ごとに設定、旅程の自由度が高い

 大手航空会社で販売されている正規割引航空券や格安航空券の多くは「往復○万円」といった運賃表示がされているが、LCCでは片道ごとに運賃設定をしている場合がほとんど。エアアジアでもホームページ上では往復での購入も可能であるが、片道ごとの運賃を組み合わせた計算になっている。片道ごとの組み合わせとなることから、往路と復路の運賃種類が異なっても問題なく、また“弾丸トラベラー”にとってネックになっている現地での最低滞在期間(アジアでは現地2泊、欧米では現地3泊が一般的)を気にする必要もない。大手航空会社に比べてフレキシブル(自由)な行程を組むことができる点は、個人旅行者にとってありがたい。

●全ての運賃で予約変更が有料で可能

「正規」「プレミアム」なら搭乗者氏名の変更も可能
 また、多くのLCCでは購入後の予約変更・キャンセルが一切できない場合が多いが、エアアジアでは全ての運賃で手数料を支払うことで予約変更が可能(出発の48時間前まで)。気になる予約変更手数料は、羽田=クアラルンプール線の場合は1区間4000円。同じカテゴリー内の運賃もしくは上位運賃への変更も可能で、差額が生じる場合には差額料金+4000円となる。この仕組みは、大手航空会社が販売する正規割引航空券の多くが購入後の変更が一切できない運賃が多いことを考えると異例である。その反面、キャンセルによる払い戻しは不可となっていることから、万が一予約便に搭乗できない場合は、チケットの放棄もしくは手数料の支払っての予約変更、さらに次で紹介する名義変更のいずれかの対応を迫られる。

 実はエアアジアXには、大手航空会社にないサービスがある。それが航空券の「名義変更」だ。例えば旅行を計画していたが仕事の都合などで急に行けなくなったときに、1区間あたり4000円を支払うことで名前の変更が可能となり、家族や友人などに代わりに行ってもらうことができる。搭乗者氏名の変更は、出発の12時間前まで可能(コールセンターにて対応)だが、エアアジアのコールセンターに問い合わせしたところ、クレジットカード処理の都合で24時間前までの変更を推奨しているとの回答。ただし名義変更が可能なのは「正規」「プレミアム」の運賃に限られ、片道5000円で発売された「キャンペーン」運賃は適用外となる。

●乗り継ぎやイレギュラー時には注意

 エアアジアXを含めたLCCは、基本的に都市間をダイレクトに結ぶ「ポイントtoポイント」戦略を取っていることから、乗り継ぎがある場合には、大手航空会社では一般的な最終目的地までの搭乗券発行や荷物を運んでくれる「スルーチェックイン」のサービスが基本的にない。エアアジアXで、羽田→クアラルンプール線の利用後にシンガポールやバリ島などへ乗り継ぐ場合でも、クアラルンプールでいったんマレーシアの入国審査を通過しなければならず、エアアジア同士の乗り継ぎでも4時間以上空ける必要がある。

 万が一遅延してもエアアジア同士であれば同社の次便への振り替えが可能となるが、他航空会社への乗り継ぎの場合には一切の保障がないので、その点にも注意する必要がある。またLCCは機材故障や天候などで欠航した際には他社便への振り替えなどは行わないため、次に運航する自社便まで待たなければならない。特に羽田=クアラルンプール線は週3往復のみの運航であることから、数日間の足止めを我慢するか、別の航空会社の航空券を別途購入するかの判断を迫られることになる。


今回の就航記念片道5000円のキャンペーン運賃は発売直後に完売となったが、今後も継続的にキャンペーン運賃が発売されるとのこと。キャンペーン運賃は、エアアジアのホームページ上で告知されることから、安い運賃を購入するために定期的にホームページをチェックすることを心がけよう。まさに国内旅行感覚で海外へ行ける時代の到来である。


カルメンチャキ |MAIL

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