女の世紀を旅する
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2010年12月12日(日) |
経済の活力を奪い,日本をダメにする民主党政権の税制改正 |
経済の活力を奪い,日本をダメにする民主党政権の税制改正
2010/12/12
●高所得者ばっかりの狙い撃ちでいいのか
民主党政権(菅直人首相)の場当たり的な政策には驚くばかりです。3歳未満の子ども手当を月1万3000円から2万円に引き上げる財源として,2011年度税制改正で,相続税を増税したり,高所得者の給与所得控除を縮小したりする案が有力になっています。
子ども手当はマニフェスト(政権公約)の目玉で,少しでも上積みしようというわけですが,同じ政権公約に盛り込まれた配偶者控除の廃止は,来春に統一地方選挙を控え,専業主婦層の反発を招きかねないと手を付けず,反発をしにくい高所得者を狙い撃ちして財源を確保する思惑が透けて見えます。そこにあるのは,税制改革の理念でなく,選挙目当ての帳尻合わせです。
なにも所得税や相続税の改革の必要性を否定しているのではありません。消費税増税を含めた税制抜本改革の中では当然議論すべきですが,消費税を封印したまま,高所得者を狙い撃ちする手法には,様々な問題が隠されています。
読売新聞の世論調査(9月)では,子ども手当を段階的に引き上げ,2012年度から満額の月2万6000円を支給することについて「評価しない」が68%に上がっています。厚生労働省の子ども手当の使い道調査では,「日常生活費」「家族の遊興費」など,子どもに限定せず使った親が30%もいました。そもそも評価されず,効果もはっきりしない政策を増税で行う必要があるのでしょうか。
第二は,経済の活力を奪いかねないことです。働けば報われ,やがては高い収入を得られる社会は,人々の意欲を引き出し,経済の活性化に欠かせません。一方で,仕事に就けない,就いても低い収入のままという現実があるのも確かですが,それはセーフティーネットを充実させて対応すべき問題です。
★ 夫婦子ども2人の世帯の所得税・住民税をみると,給与収入500万円では19.5万円なのに,1000万円では約6倍の113万と,現在でも高所得者ほど税金を払っています(前者と後者では93.5万円の差がある)。税制抜本改革の中で,消費税増税などとの兼ね合いで決めるなら別ですが,全体像も示さず,高所得者はもっと所得税を払え,相続税はもっと幅広く負担しろでは,働く意欲が失われ,経済成長にも響きかねません。(讀賣・編集委員 安部順一)
●相続税最高税率55%に。2010/12/112
政府税制調査会は12月11日,2011年度税制改正で,相続税の最高税率を現行の50%から55%に引き上げる方針を固めた。相続する財産額から差し引いて税金を安くする基礎控除は,定額部分を5000万円から3000万円に,相続人数に応じた加算額も一人当たり1000万円から600万円にそれそれ縮減する。 税率の区分は現在の6段階から8段階に増やす。15日にも閣議決定する税制改正大綱に盛り込む方針だ。 相続税の最高税率を引き上げ,基礎控除を縮減するのは,資産を多くもつ富裕層に負担増を求め,税収増を図るためだ。約4%と極端に富裕層に偏っている課税対象件数を約6%に増やし,是正する狙いもある。
例えば,夫婦と子供2人の家族で夫が亡くなった場合,現行では基礎控除は「5000万円+1000万円×3人」で8000万円だが,見直し後は「3000万円+600万円×3人」で4800万円に減る。
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