R女王様の秘密のお部屋...Dr.R

 

 

修羅場☆ラ☆バンバ - 2005年05月27日(金)

『レイナ先生。27日何か予定ある?無かったら当直代わって欲しいねんけど。え、もう今月の当直終わったん?じゃ、来月でも再来月でも先生と当直代わるし。これ(←お昼ごはん代わりのバナナ)あげるから。考えといてな〜』

…決してバナナに釣られたのではなく、研修医としてはこういうことを上の先生に言われると非っ常ぉぉぉおに断り難いモノでして、結局代理をお受けしてしまったのでした。

しかも『G先生とI先生(当院の1年生研修医たち)レイナ先生に付いて勉強するように言っといたから、よろしく〜』って、、、(滝汗)…悪いお見本っすか?

まあいいや。平日だし…と思っていたら、よもやこんな事になろうとは。

《レイナ女王様のとある長い夜》

20:30 急性胃腸炎の80代女性。既に近医で薬を処方され、殆ど症状は治まっている様子。
    脱水の補正をして帰宅していただく。
22:00 電話相談。動悸がするとのことだったが、救急隊員によると心拍数も落ち着き
    本人も症状消失したとのこと。今晩の所は大丈夫そう。来院せず。 
22:30 I先生@基本性格M♥に晩ご飯&明日の朝ご飯の買い出しをしてもらう。
    適当に選んできてね、と言ったら、ジャージャー麺にしてくれた。わーい。
    おかずも充実嬉しいな。お菓子もある♪I先生大好き。←単細胞…
23:15 外来から呼び出しがかかり、ジャージャー麺は食べかけのまま放置してダッシュ。
   呼吸器・循環器・消化器に受診している50代の男性が、片足の知覚異常で来院。
   神経学的徴候を調べるが知覚の他、特に引っかかる点はなし。頭部単純CTでも
   出血・梗塞・腫瘍なし。何???何かありそうだけど…翌日の神経内科受診指示。  
24:50 50代の男性。激しい腹痛で来院。上腹部板状硬、前屈姿勢で痛がる。
   調べてみるとこの患者さん、実は昨年に膵炎で入院の既往あり。アルコール依存症で
   専門の病院も紹介されており、当時の主治医に「禁酒しなければもう診ない!」
   とまで言わしめている…。患者さん本人は酒量はかなり控えてます、と言う。
   具体的にどれくらい控えていたのか尋ねてみると、一日の酒量
   ビール500ml缶×2本/day
   それは禁酒とは言いませんねっ(流涙)…うぅ…。
   CT画像は明らかに急性膵炎。流石に追い返せる訳もなく、入院。
   オンコールの消化器内科のDr.が、オーダーについて指導してくださる。
   『次からは自分で出来るよな』『…は、はい(滝汗)』
1:40 入院オーダーの途中で外来よりコール。
   『ニトロが切れたんで処方して欲しいという患者さんが、もう窓口に来られていて…』
   外来に降り、変わりないですか?と尋ねつつ10回分のニトロを処方。
   私は循環器専門ではないので、出来るだけ昼間の専門外来に来てくださいね…
   でも少しでもおかしいと思ったら、すぐ来てください。とフォローのつもり。
2:00 当院に慢性呼吸不全で通院中の80代男性が、呼吸苦を訴えて救急車搬送。
   救急隊員が『心電図がおかしいんです…』 見れば完全房室ブロック!心拍数24/分。
   肺気腫の増悪とばっかり思ってたのに、心臓…?! って言うか放っといたらこの人
   死んでしまう…!循環器の先生を呼んでペースメーカーを入れないと!!
   心の中で半泣きになりながら循環器のオンコールDr.に電話して助けを求める。
   呼んだ先生が到着するまで見込み時間30分。どうにかして保たせなければ…。
   硫酸アトロピンを1Aずつ5本くらい打ったけれど、やはりと言うか、効きが悪い。
   そうこうしているうちに、モニタの波形が真っ直ぐになって―――

心臓止まっちゃったよ。

   反射的に1年生ちゃん達を押しのけて、心マ。心マ。心マ。死なせてたまるかよ!!!
   どうにか心拍を戻したものの、ふとした瞬間にまた止まってしまう。先生早く来て(涙)
2:30 循環器内科の先生が到着。奥さんに手短に説明、同意書をとり、カテの準備へ。
    同時に看護師さんや技師さんも準備開始。我々はひたすら心拍の管理
3:00〜緊急心カテ。体外ペーシングを試みるがこの間心臓は止まったままだった
   心拍は再開したものの、意識が戻らない。救命出来たけど脳にダメージか…
   循環器病棟に入院の手続きを取り、移動。G先生@循内ローテ中が流れで主治医。
   入院カルテをまとめ、オーダーと指示。患者家族にも連絡しなきゃ!
5:00 一旦医局に。食べかけのジャージャー麺は干からびてパサパサ。でも食べた
5:10 循環器病棟へ戻り、待機
6:35 ご家族が到着。簡単なムンテラをさせて頂く。見通しはあくまで厳しい…。
    説明しながら何とも言えない気分になる。もっといい方法は無かったの?と
7:30 医局の机にて戦死。汗臭い自分にげんなり。そういえば顔も洗ってなかった
7:45 電話相談。急を要する症状と思われず、本日の通常外来受診を指示
8:20 同じく電話相談。やはり通常外来に来ていただくのが良さそう
8:50 当直日誌を書き上げたのち、7月の小児科研修のための抗体検査(麻疹・風疹・
   水痘・おたふくかぜ)。血を抜かれさらにヘロヘロに。ええい終了!終了!



しかし、今日はどうしたのやら。うちの病院の当直は基本まったりなのに。
しかも私は一部地域からは平和の女神と呼ばれているのに。
何がいけなかったんでしょう。。。何が。。。









そうやったんや…!


女神、あっさり敗北…orz

※ま、勉強にはなりました。ハイ。でもG先生とは二度と当直しないわよ(泣)


...

ランキングはお好き?(2) - 2005年05月17日(火)

【あらすじ】
巷では病院ランキング本出版ブームが起きている模様。
でもアレって信じていいの?って言われたら、ちょっと自信ありません。。。
で、ペイペイなりに考えることを書き連ねてみようか、と思います。

とりあえず、私が個人的に”あやしいぞ”と思っているところ。

【1】アンケート投票は必ずしも公平でない
→患者(…ってそもそもどういう母集団なんだろう?そこがまず不明瞭だけどさ)による
 投票形式で、得票数の多い病院からランキングすることについて。
 一見公平そうですが、この方法では患者数によるバイアスが生じます。
 つまり来院/入院患者数が多くなければ上位に入ることが出来ない
 のですね。中小規模の病医院にもいいところは一杯ありますよ。

【2】いい病院にかかる≠いい医師にかかる
→大学や病院ごとの流派(?)や得手不得手といった傾向こそあれ、
 診療のレベルについては個人の技量に寄るところも大きいと感じます。
 ああいったランキング本の上位にある病院の医師なら全員が全員
 めちゃくちゃレベルが高いのか?と言われると、少々疑問。
 (いや、勿論、ある一定のレベル以上ではあるでしょう。でもあの順番が絶対ではないよ、と)
 
【3】手術数が多ければいいのかという問題
→普通に考えれば、ある手技をこなせばこなすほど、上手になるものです。
 ですから、件数が多いほど、その病院はその手術が得意だろう、という
 のは、ある意味では正解です。手術の分担の仕方によっては。
 某手術の年間件数が500件のA病院と、250件のB病院があるとします。
 A病院で術者となる医師の数は10人(均等に手術を割り振っているとします)
 B病院で術者をするのは3人。さて、一人当たりの数は?
 病院単位で手術数を見ることで、見逃してしまう部分もあります。
 また、年間手術数1000例のC病院では成功率が60%とします。
 同様に300例のD病院では成功率が90%。これではどうでしょう。
 
【4】じゃあ成功率を見ればいいじゃん!って言われても
→これもなかなか判断が難しいところです。
 先ほどのC病院(件数1000/年,成功率60%)とD病院(300/年,
 成功率90%)、実はC病院で手術を受ける患者さんは病気の進行度が
 4段階の3〜4とより進んでいる方で、全身状態も良くないのですが
 D病院で手術を受ける患者さんは進行度1〜2の比較的早期で、
 合併症なども殆どないとします。手術が上手なのはどちらでしょう?
 もうこうなってきたら、成功率って何よ?と思ってしまいそうです。

結局、流動的かつ曖昧な物を数値化しようとするとどこかで歪みが生じてしまう、ということでしょうか。そういえばレストランのランキングだって、1位より3位のところの方が美味しく感じることだってあるわけで。あっ、あと…

ミスコンのグランプリよりも

わたくしの方が美人だったりとかねっ♪

おーっほっほっほっ!!← 一生言ってろ

…ま、アホな喩えはともかくとして、
どうやって病院を選んだらいいんですか?
という問いへの正解は、、、

…正直言って、私にも分かりません。分かったら苦労しないっちゅーねん。

あっ、石投げないで…。お嫁入り前なんだから!きゃー(逃)!!


医療が人間対人間の行為である以上、そこに規格化された工業製品のような均一さを求めることは難しく、最終的には実際に受診して感触を見ることが一番のように思います。他人の推薦が、自分にも合うとは限りません。

一方ここまで批判を続けてきましたが、ランキング本も決定の一助になり得るものです。これまで多くの人にとって謎だった情報が(時々誤りや偏りがあったとしても)誰にでも手にとって見られる形になっているのですから。

皆さんが、溢れかえる情報に振り回されず、目と耳と感覚を研ぎ澄まして、ご自分に合ったいいお医者さんに出会えますように。


...

ランキングはお好き?(1) - 2005年05月03日(火)

誰が考えたかこのシステム。今や世の中ランキングだらけでございます。
音楽・映画のヒットランキング、美味しい店ランキング、コスメのクチコミランキング、大学の偏差値ランキング、今日の占い運勢ランキング等々等々…
忘れちゃいけない、エンピツもそうでした。

数年前からでしょうか。書店で『病院ランキング』本をよく見掛けます。
『患者が選んだ!』
『手術件数でわかる!』
『医師の信頼する病院○○○件を一挙掲載!』
『もうこれで病院選びに困らない!』

キャッチフレーズに惹かれてついつい立ち読みしちゃったりして。
てへっ。

医者なのに。  orz

いや、勤務先とか出身大学の附属病院とかが高い評価を受けていたらやっぱ嬉しいじゃないですか。人として。←?

けれど、ああいう類のランキング本、あれっと思う部分も多いのです。

『名医リスト』にどうしてこの人?と関係者誰もが首を傾げるような先生の名前があったり、勤務先がもう変わっていたり(←医局人事ゆえ…)





幸いその教室の方向性とか得意分野とかはそれほど変わっていない(と思われる)ので、実際影響は出ないでしょうが、そりゃどうかと。。。
本を頼りに病院行くのもなかなか茨の道だと思いました。ハイ。

まぁそもそも病院の善し悪しって数値的に変換してランキングできるものなんですか??というのが、最たる疑問なのですが…。

じゃあ、患者さんは何を指標にすればいいんですかッ!?

と詰め寄られているところを想像しながら、次回に続く。




...




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