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on a wall
亜栗鼠



 主との出逢い 7/(家を出た日)

諦めて過ごしている中で、私は主と出遭った。

主は、私に強さを与えてくれようとしていた。
主は、私に力を与えてくれようとしていた。
主は、私に居場所を与えてくれた。
主は、私に安心を与えてくれた。


ある日、いつものようにメッセンジャーで主とお話ししていると、夫が私の後ろをウロウロする。
そして、「ねぇ・・・。ねぇ・・・」と繰り返す。
セックスのお誘いだ。
拒否すると、「じゃあ寝よう。」と言う。
結局するのだ。
私は、主に夫がウロウロしていることを伝え、セックスするかもしれないことも伝えただろうか?焦るようにメッセンジャーを落とした。
私の話し方もいつもとどこか違ったのだろう。
主は、それに気付いてくださっていた。

布団に入ると、夫は一言「嫌なら抵抗しろ。」そう言って私に覆い被さって来た。
えっ・・・?
言われるままに抵抗した。
「嫌!やめて!」
身体をよじっても、押さえつけられる。
どういうつもりだ・・・
抵抗したってやめてはくれない。
私は抵抗するのをやめた。
その代わり、感じるのもやめた。
私は微動だにしなかった。
全く動かない、ただ息をする人形。
夫は、ダッチワイフになった私に愛撫を続ける。
そして、そのまま挿入しようとしてきた。
今度は私も本気で抵抗した。
怖かった。
この人、私を妊娠させようとしてる・・・
今度は子供で縛り付ける気だ・・・
どんなに抵抗しても、夫は続けた。
そして、私の中で果てた。

恐怖に震えた。
主とプレイするようになって、私はピルを飲んでいた。
だから、妊娠する心配はなかった。
私の感じた恐怖は、妊娠させて縛りつけようとした夫のやり方、思考。

私は、無言で後処理をして寝室を出た。
夫も、無言で暗い表情をしてうなだれていた。
話し掛けてくる夫に、「どういうつもり?」と訊くと、「俺だってそろそろ子供欲しいぞ。会社でもみんなに子供はまだか?って毎日聞かれるんだ。アンタに俺の気持ちは解からないだろう?アンタは誰にもそんなこと聞かれないだろう?俺は会う人会う人に毎日聞かれるんだぞ。」と。
だからって、無理矢理してもいいものなのか?
「嫌なら抵抗すればよかったんだ。」
そう言う夫に、「したよ。」と答えると、「そんなに嫌なら、蹴ってでも抵抗すればいいじゃないか。」と。
私は、もう何も答える気がなかった。
恐怖で表情も固まったまま変わらない。
「嫌なら出ていけ!今すぐ出ていけ!駅まで送って行ってやるから。」
そう言われ、一瞬着替えを取ろうとした。
すると夫は、「今、着替えようとしたな。出て行く気だったんだな。早く着替えろ。荷物は後で郵送してやるから。早く!早く!」とまくしたてる。
「こんな夜中に駅に連れていかれても、私どうしたらいいの?」
そう言うと、
「始発まで待ってればいいじゃないか。」
と。
結局、今出て行ったところで、すぐに連れ戻されるのは目に見えていた。
そして優しい夫を誇示しようとするのだ。
私は動くのをやめた。
明け方まで夫に責め続けられた。
心の中で「頑張れ・・・頑張れ・・・」と呟く。
私はその日、主にメッセンジャーで「頑張れ」と言ってもらっていた。
「頑張れ」とは決して言わない人だと知りながら、私は「頑張れと言って下さい。」とお願いしていたのだ。
それは、何か辛いことがあったときに、心の中で呪文のように呟くため。
何度も何度も呟きながら、本当に頑張っても良いのか、どこまで頑張れば良いのかを考えていた。
不安で不安で、怖くて怖くて。
もう、ここにはいられない。
もう、この人と一緒にはいられない。
私、逃げられなくなる・・・

明け方になり、やっと夫は寝た。
PCを立ち上げると、私のHPの掲示板に主の書き込みがあった。
「はじめまして。」と、なんでもない書き込み。
起きてるから、いつでも連絡しておいで。と云う意味だとは感じた。
けれど、出来なかった。
夫がどこで監視しているかわからない。
私は朝まで耐えた。
何もなかったかのように夫を起こし、仕事に送り出した。
そして主にメールした。

「こわい。どうしたらいいのかわからない。たすけて。」

なかなか主からの返事が無い。
電話をかけてみた。
出ない。
仕事中なのはわかっていた。
私の電話番号が着信履歴にあっても、何があるかわからないので電話はしないでくださいと言ってあった。
主から電話がかかってくるはずはない。
けれど、混乱していて、自分がどうすればいいのか分からなくなっていた。
私は、ただただ電話を握り締めて、今にも暴れ出しそうな自分の体を押さえていた。
すると、主から電話が入る。
「どうした?何かあった?落ち着いて。」
私は、泣きじゃくりながら必死で前夜の出来事を話した。
妊娠はしない。
でも怖い・・・怖い・・・

「当面の荷物を持って、今から出ておいで。駅まで迎えに行くから。」

回らない頭で考えた。
本当に・・・本当にいいの?
そんなことしたら、夫は壊れる・・・
仕事にも行かなくなる・・・
会社にも迷惑がかかる・・・
夫の人生を私が壊してしまう・・・

でも・・・
もうココにはいられない・・・


私は、ほんの少しの着替えをボストンバックに詰めて家を出た。
電車に乗り、主のいる街に向かった。
電車を降りて、主と待ち合わせの場所まで1km程歩く。
桜が沢山咲いていた。
初めて歩く道。
怖くて怖くてたまらなかった。
不安で不安でたまらなかった。
待ち合わせ場所に着いて、30分程ひとりで待っていた。
「私が行くまで泣いてはいけないよ。出来るね?頑張れ。」
頑張れ・・・頑張れ・・・
心の中で繰り返す。
トイレで鏡を見ると、表情が無い。
自分の顔が怖かった。

主の車が見えた。
車に乗って、主に触れた。
「頑張ったね。泣いてもいいよ。」
声を出して泣きじゃくった。
そして、やっと少し落ち着いた。


主は、どこかいつもと様子が違う私に気付き、いつ電話があっても対応出来るようにと、朝まで寝ずに待ってくれていた。
恐らく、主は恐れていた。
私が「死」を選んでしまうことを。


それから一週間、私は主の家で過ごした。
仕事にもついていき、24時間ずっと一緒に過ごした。
その間に夫も離婚することを承諾し、主との関係は大きく変わった。

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2002年09月28日(土)



 主との出逢い 7/(主と出会う前の話2)

結局離婚することは出来なかったが、私の心は変わらなかった。
夫が一人で生きていける環境が整ったら離婚するつもりでいた。

やり直す条件
一人でも生活していける環境を作ること。
私の気持ちが戻らなければ離婚すること。
性欲処理は自分ですること。
そして、もう二度と「死」を口にしないこと。

この約束は、2週間もしないうちに壊された。
どうしても自分で性欲を処理することが出来ないとセックスを求められる。
嫌だと言っても、「お願い・・お願い・・」の一点張り。
それでも拒否し続けると、「夫婦だろ。おかしいじゃないか。そろそろ子供も欲しいぞ。こんなことがいつまで続くんだ。耐えられない。」そんなことを言い始める。
約束が違う・・・
これ以上拒否し続けると、また今までと同じことが起きる。
またあの疲労感と脱力感を味わうことになる。
「出してくれるだけでいいから。」
そう言われ、お風呂場でローションをつけてただただ擦る。
私に触れようとする手を払いのけると、たちまち不機嫌になっていくのが分かる。
どこに触れられるのもたまらなく嫌だったのだ。
しかし、露骨にそれを見せると、またキレ始める。
結局私は定期的に性欲処理を強いられることになった。

結局何も変わることはなかった。
次第に、私が離婚を考えていたことなど無かったかのような生活に戻って行った。
また同じことを繰り返している・・・

4ヶ月後、もう一度別れを切り出してみた。
4ヶ月前のことで、私の気持ちも少しくらいは解かってくれているだろう。
などと考えていた私がどうかしていた。
「別れようって言ったらどうする?」
と切り出すと、夫はとたんにキレ始めた。
「まだそんなこと言ってるのか。じゃあ出ていけ。今すぐ出ていけ。早く荷物まとめろ。実家まで送って行ってやるから。早く荷物まとめろ。」
実家まで、約500kmある。
こんな状態の夫が運転する車になんて乗っていられない。
どうせ途中で何かが起こるんだ。
知らない土地で突然車止めて歩き出したりしはじめるんだ。
時速100km以上で走る車のドアを開けようとしたりするんだ。
そんな車に乗ってなんていられない。
夫は、興奮状態で自分の実家に電話した。
「亜栗鼠が別れたいって言ってるんだよ。もう家の中なんて滅茶苦茶だよ。今から実家に送って行くよ。だって亜栗鼠が別れたいって言ってるんだから。」
その間にも、私が手を止めていると、声を荒げて「アンタは早く荷物まとめろ。」と怒鳴る。
私の実家にも電話した。
「亜栗鼠も少し疲れているみたいで、暫く実家の方でゆっくりと休ませてやった方が良いと思いまして。今から送って帰りますので。」
と。
なんて優しい夫だろう。
端から見れば。

そんな状態で帰れる訳が無く、結局今までと同じように夫をなだめ、今までと同じ事を繰り返した。
私も、諦める決心を固めようとしていた。
私はこのまま、こうして生きていくんだ。
自分の感情を殺せば、なんて簡単なことだろう。
自分の心さえ無くしてしまえば、なんて楽な生活だろう。
セックスさえしていれば、夫は機嫌が良い。
セックスさえしていれば、夫は私の言い成り。
簡単なこと。

けれど、どこか諦めきれていなかったんだろう。
私は、どうしても子供をつくることが出来なかった。
子供を作ってしまったら、もう二度と私はここから抜け出せなくなるだろう。
私は、子供に縛られるのが目に見えていた。
最後の砦。
それまでは壊せなかった。
私は何と言われようと、絶対に避妊し続けた。
ズルイだろうか?
いやらしい人間だろうか?
誰に何と言われようと構わなかった。
夫の子供を愛する自信も無かった。


私は女王様じゃない。
言い成りになる男じゃつまらない。
させてあげるセックスなんてもう沢山。

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2002年09月27日(金)



 主との出逢い 7/(主と出会う前の話)

彼の日記を読み始めて半年程経っただろうか。
初めてメッセンジャーでお話ししてからは2ヶ月経っていなかった。
主従関係を結んで、実際にお逢いするようになってからは半月程。
逢った回数は6回。
SMの経験など全く無かった私にとっては充分ハードな調教だったけれど、主に言わせれば、まだまだエスエムの「エ」の字にも入ってないという状態だった。

とても短い期間だけれど、主従関係を結んでから、主に対する信頼というものは今までの人生で誰に感じたものよりも強いものだった。

この短い期間の中で、主は、結婚しても構わないとまで言ってくださっていた。
けれど、私は「結婚」というものに対して不安を抱かずにはいられなかった。
まだ離婚もしていない。
結婚に対しても疲れきっていた。
私は、正直に告げた。
「結婚は怖い。」と。
まだMに目覚めたばかりで、これから自分がどう変わっていくのかも怖かったし、主の望む奴隷になれるのかも不安だった。
いつか言われた奴隷としての最終的な姿・・・
乳首・クリトリスにはピアッシング、身体のどこかに主のデザインしたタトゥーを刻み、主の命令には絶対服従、主の命令があれば何時間でも机にもソファーにもなる、縛り飾られて主の作品となり、オブジェとして飾られる。
それは主の愛情表現であり、そこまでした奴隷を捨てることは絶対に無いと。
私にそれが出来るのか・・・

結婚を考えてくださっている事に対しては素直に嬉しく思っていた。
けれど、それに応えることが出来ない申し訳なさ。
そして、これ以上主に迷惑をかけるワケにはいかないという思い。
結婚以前に、私は離婚する力が失せていた。
私は、主と出逢ったから離婚したかったワケではなく、ずっと離婚を考えてはいたけれど、それだけの体力と精神力が無かっただけ。
主は、その力を与えてくれようとしていた。

全く知り合いのいない土地に来て2年が過ぎようとしていた。
職場では距離を置いた付き合いをしていたので、友達と呼べる人は全くいなかった。
そんな私に、主は、「何かあったらいつでも連絡しておいで。迎えに行ってあげるから。」そう言ってくださっていた。
それはとても心強いものだった。

以前、私が浮気をしているんじゃないかと疑った夫は、探偵を雇ったのか自分で盗聴器でも仕掛けたのか、相手の男性のことを調べ、家まで行ったことがあった。
3ヶ月おきに繰り返す夫の転職で経済的に苦しく、私が水商売をしていた頃、結婚生活に疲れ、仕事の帰りに呑んでいると、連絡が取れないと夜中に私の友人の家に押しかけ、迷惑そうな態度と、その友人が私の居場所を知っていたこと、ドアを閉めた後に「なんか目がイッてたよ。」と呟いた友人の言葉にキレた夫は、その友人のことを「社会的に生きていけないようにしてやる。」と、その友人の家に私を連れて行こうとしていた途中で、信号無視で車を廃車にする程の事故を起こした。
それでも「謝らないと社会的に生きていけないようにしてやる。」と言い張っている夫に、友人も怯え、理不尽ではあったけれど謝った。
私は情けなくてたまらなかった。

初めて主と逢う直前、私は、主にその話をした。
もしも見つかった時、夫は何をするか分からないと。
主に迷惑がかかってしまうかもしれないと。
主は、「私には何も捨てるものは無い。社会的に生きていけないようにすると言われたら、私は逆にその人を社会的に生きていけないようにしますよ。」そう言われた。
その言葉で、私は安心した。
迷惑かけてしまっても良いんですね・・・大丈夫なんですね・・・?
だから私は主と逢った。
安心して委ねることが出来た。


主従関係を結び、主と逢ってから半月、
逢った回数は6回。
7回目に逢った時、私はボストンバックを持って家を出た。




−主と出会う前の話−


結婚していた5年間、何度も何度も離婚の話はしていた。
それは、結婚した時から始まっていた。
主と出逢う半年程前、本当に心を決めて、仕事も辞め、夫の両親や周囲の人にも話をした。
今まで何度も話をしてきて、夫婦だけでは話にならないことを思い知っていたからだ。
夫の両親も理解してくれた。
間に入って話してくれると。
私は、一ヶ月前から計画を立てていた。
けれど、それは結局失敗に終わった。
私は、二人では話にならないから同席して欲しかったのだ。
しかし、直前になって突然夫の父親は、遠く離れた場所から電話で夫に話をした。
「亜栗鼠は別れたいと言っているけど、どうなってるんだ?」と。
その後は、今までの展開と同じになった。
夫は私を問い詰める。
「別れたいのか?」
「まだそんな事を言ってるのか。」
「何が不満なんだ?」
「俺だって頑張ってるのに、我侭だ。」
「そんなことじゃ、俺と別れても誰とも上手くいかないぞ。」
「別れたいのか?」
「本気なのか?」
「そうなんだろ?」
「計画的だな。」
「ズルイ奴だな。」
この時夫は運転中、私が正直に別れたい事を告げるとどうなってしまうのか、今までの経験から充分承知していた。
だから、結局私は何も言えずに必死でなだめる。
しかし、夫は段々とキレ始める。
運転が怪しくなってくるのがハッキリ分かる。
以前、こんな精神状態で、廃車になる程の事故を起こしている。
恐ろしくてたまらない。
死が怖いわけではなかった。
いっそこのまま事故で死ねたらどんなに良いだろうと思っていた。
私が恐れていたのは、誰かを巻き込んでしまうこと、死ねなかった時のその後の生活。
なんとか家に辿り着いて、話を続ける。
改めて別れたいことを告げると、夫は暴れ始めた。
決して暴力は振るわない。
暴れるだけだ。
そして、私が服用していた精神安定剤や眠剤をバックに詰め、出て行こうとする。
私の顔に3センチ程まで顔を近づけてきて、「もうアンタには救えない。」そう呟いた。
血の気が引く。
私が殺すの・・・?
そして私の目の前で、夫は手元にあったタオルを首に巻き、両端を自分の手で引っ張って首を絞めて見せた。
少しバカバカしくなった。
いい加減にして・・・
心の中で呟く。
どっと疲労が襲う。
必死で薬を取り返そうとしたが、男の力に勝てるはずがなく、夫は家を飛び出した。
夫を追いながら夫の実家に電話をすると、夫の母親は「もう出ていかせてもいいから。」と言う。
ああ、いいんだ。
親の許可はもらった。
そして、実家に電話をしたことに怒った夫に携帯も奪われた。
夫は車に乗って、鍵をかけた。
私は車の前に立った。
数十分、そんな状態が続いた。
出ていかせても良いとは言われたものの、やっぱり怖かった。
ここで行かせたら、私が殺したことになるの?
そう思うと、なかなか動けなかった。
夫は、薬を飲み始めた。
車の中でぼ〜っとしている夫。
なんとか説得して車の鍵を開けさせたが、夫が降りないので助手席に乗り込む。
夫は車を走らせた。
「ぼ〜っとする。ぼ〜っとする。」
そう言いながら。
少し家の周辺を走り、歩いて帰れる距離で車を止め、「降りろ」と言われる。
暫く悩んだが、私ももう疲れた。
私は車を降りて、一人歩いて家に戻った。
夫は死ぬのかな・・・?
私が殺したのかな・・・?
私は一人の人間の人生を滅茶苦茶にしたのかな・・・?
ボー然と座り込んでいた。
家の電話が鳴る。
夫からだった。
「ぼーっとする・・・ぼーっとする・・・」
「危ないから帰っておいで。」
「ぼーっとする・・・ぼーっとする・・・」
「どこ行くつもり?」
「あの海が見たい・・・」
「どの海?」
「あの海が見たい・・・」
「そう・・・帰っておいでよ。」
「ぼーっとする・・・ぼーっとする・・・」
そして何十分無言が続いただろう?
私も、もう何も話す気力が無くなっていた。
電話が切れ、10分程すると夫は帰って来た。

足が立たなくなっている夫を寝かしつけ、私は夫の飲んだ薬を確認した。
夫の飲んだ薬は・・・
胃薬だった。

夕方から始まった話、もう外は明るくなりはじめていた。
この疲労感、脱力感、誰か解かってくれるだろうか?
結婚してから5年間、こんなことを何度も何度も繰り返してきた。
もう私の精神力は限界を超えていた。
精神的に弱い夫。
気持ちが解からないわけじゃない。
私も弱い。
だからダメなのだ。
私ではダメなのだ。
そう、私にはこの人を救うことは出来ないのだ。
こんな二人が一緒にいても、お互いがお互いを潰していくだけ。

目覚めると、夫はパソコンの前に座っていた。
そして、私にあるサイトを見せた。
自殺した少女の日記。
少女を自殺まで追い詰めた最大の原因は父親だったようだ。
そして、夫は私に言った。
「俺はこの父親と同じ事を亜栗鼠にしてたんだな。」
やっと気がついたか・・・
けれど、もう遅い。
もう戻れない。
私たちは離婚の話を進めた。
穏やかに話せるようになり、私も穏やかに何が苦痛だったのか本心を話した。
やっと夫も納得した。
けれど、最後にひとつだけお願いがあると。
「最後にもう一度だけセックスしたい。」
迷ったが、これで最後だと思えば・・・
と、最後のセックスをすることになった。
この情が、私の弱さだと気付きもせず。

セックスの後も、離婚を前提に話をしていた。
やっと離婚出来る。
そう思うと、また私の弱い優しさが出てしまっていた。
夫は、突然「アンタ、良い女だよな。離したくない。もう一度惚れさせてみせる。頑張るから、もう少し俺を見ててくれ。」そう言い出した。
「えっ・・・いや・・・それは・・・」
もう、有無を言わせない。
「やっぱり離婚はしない。」
夫のその言葉に、私はうなだれた。
そして、一緒に生活はしても、夫一人でも生活していける環境を作ること。
それは、私がいつ出て行っても一人で生きていける状態にすることを意味していた。
私の気持ちが戻らなければ、その時は離婚すること。
性欲処理は自分ですること。
それを条件に、また夫婦生活を続けることになった。
私の気持ちが戻らないことは明らかだったのに。
それでも、自分の気持ちを無視してしまえば、まだ楽に生活していけるのかもしれない。
そんなことを考えながら。

私の優しさは、弱さでしかなかった。

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2002年09月25日(水)



 生きている

随分と穏やかに笑えるようになった気がする。

辛い事、苦しい事はあるけれど
以前とは違う。

感情を殺して
心を無くして
諦めて生きていこうとしていたあの頃とは
全く違う


ココにはワタシの感情がある。
ココにはワタシの心がある。
ココにはワタシが在る。

ココではワタシは生きている。

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2002年09月24日(火)



 主との出逢い 6

『出会い』・『主との出逢い1〜5』の続きです。



「少し時間が出来たけど、出て来る?」

主は、作れる限りの時間を私の為に使ってくださっていた。
当時、主の仕事はとても忙しい時期で、後に主の生活サイクルを知ったとき、どれほど私の為に時間を割いてくださっていたのかを痛感した。
前日のチャットで私の様子がおかしいと感じて、仕事の合間のほんの少しの時間に家に帰ってメッセにあがり、「今日はもう仕事で帰ることが出来ないけど、大丈夫?」と、ほんの少しお話ししてくださったこともあった。
「私のモノですからね。しっかりメンテナンスしなきゃね。それが私の役割ですから。」
そんなことを言われた気がする。
奴隷、所有物などと言うけれど、決して都合の良いように使われることは無い。
いつだって私に精神の安定をもたらすように、変化していけるように導いてくださっている。
SMってそういうものだったのか・・・
おぼろげながら、やっと少し理解しはじめた。


どれくらいの時間いられるのかもわからなかったけれど、ほんの少しでも逢える時間があるのなら傍に居たい。
私は急いで出掛ける支度をした。
今度逢える時は何か手料理を作っていこうと思っていたのに、そんな時間は無い。
こんなものじゃ失礼かな・・・と思いながらも、鍋に入っていたシチューをタッパ―に詰めた。

何度逢っても、やっぱり緊張する。
とんでもなく方向音痴なので、道を間違えずに行けるのかという心配もしなければいけない。
主の車を見付けてホッとする。

いつまで一緒にいられるのか定まらなかったので、車の中でまったりと過ごす。
私は、ただただ傍にいられれば良かった。

「しっかりと焼き付けなさい。」
私の手を取り、主の顔にあてがい、ひとつひとつ憶えさせていく。
「目、鼻、口、頬、体温、感触、匂い、声、味、いつでも鮮明に思い出せるようにしっかりと焼き付けなさい。頭に、心に。いつでも傍に私を感じられるように。」
逢う度に私の中にしっかりと主が焼き付けられていく。


「こんなもので申し訳ないんですけど・・・」
と、タッパ―に詰めたシチューを渡して帰った。
夜、メッセでお話して、思っていたより喜んでいただけたようで少し安心した。
「今度は亜栗鼠が私の為だけに作ったものが食べたいな。」
そして、
「秘密なんだけどね・・・」
と、もっと嬉しい言葉を言ってくれた。
嬉しくて嬉しくて、ドキドキウキウキしながら、何を作ろうか考えるようになった。


「秘密なんだけどね・・・」
主がそうやって話す時
それは、主従関係を壊してしまうかもしれないような言葉を発する時。

「こんなこと言うと、立場がおかしくなるから絶対に秘密なんだけどね・・・」
そう言って私にくれた言葉
「亜栗鼠が欲しい。亜栗鼠の全てが欲しい。カラダも、いやらしい言葉を吐く口も、優しさも、醜い心も全て欲しい。」
涙が出た。
本当に私の全てを受け入れてくれるんだ。
そう思うと、涙が溢れてきた。


それでもやっぱり、恋愛感情と云うものを感じることはなかった。
ふたりの間にあるのは主従関係。

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2002年09月22日(日)



 ココニイルノハ ワタシデスカ?

教えて下さい

ワタシを

ワタシはダレですか?

ワタシはワタシでいることが出来ていますか?

ワタシはココに在りますか?


もう一度教えて下さい

ワタシを

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2002年09月21日(土)



 甘え下手

なんだか無性に甘えたくて
理由なんてわからない
別に何があったわけでもない
ただ
ひたすら甘えたくて甘えたくて


けれど、
やっぱりお疲れの姿を見てしまうと
無理もしてほしくないし
なかなか甘えられない


甘えたい理由が見つからない
何と言って甘えれば良いのかわからない
どうやって甘えれば良いのかわからない

まだ甘え方が分らなくて
また寂しさを抱え込んでしまう



彼と離れて過ごした一ヶ月
無理だと分かっていながら
困らせてしまうかもしれないと思いながら
言わずにはいられなかった
「逢いたい・・・」
逢いに来て欲しいだなんて思っていなかった
ただただ
気持ちを伝えたかっただけ
そして付け加えた
「わかってる。言ってみたかっただけ・・・」


一緒に暮らしていると
そんな言葉がなかなか言えなくなってしまうのかもしれない

だから私は甘え下手なのか・・・

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2002年09月20日(金)



 思い出

初めて逢った日に通った場所

2回目に逢った日に行った場所


同じ場所に車を止めて
あの日のことを思い出す

「おかしくなっちゃう・・・」
と乱れた場所


キスをもらって
舌を噛んでもらって

今日はそれまで
ちょっと悶々・・・
いや、かなり悶々・・・
思い出の場所はなんだか恥ずかしい


なんだかとても懐かしい

季節が変わって
景色も匂いも変わった
二人の関係も変わったし
状況も全く変わった

あの頃は、こんな風になるなんて思ってもいなかった


いつのまにか懐かしいと思える場所になってる
いつのまにか思い出が出来てる

ふたりの思い出
まだまだこれから増えていく

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2002年09月19日(木)



 マッサージ

お疲れの彼の手と脚をマッサージ。

人に身体を触られるのが嫌いという彼、
今まで、プレイ中でも、手首から先と自身以外はほとんど触らせた事が無いという。

私、初めて逢った日にご主人様の全身に触れた・・・

こんなにご主人様の身体に触れたのは私だけ・・・?

自分でも不思議な感覚だったという。


極々普通のマッサージ、
こんな普通のマッサージでさえ、ココまで触れられるのは私だけ。

少しでも疲れが取れるように、心を込めてマッサージする。
10分程で彼は眠りについた。
いつものこと。
私がマッサージしていると、すぐに眠りにつく。
なんとなく嬉しい。
眠った後、30分くらいマッサージしていた。


今までどれだけ無茶をしてきたの?
今までどこで休んでいたの?
大きくたって、体はひとつしかないのに
どれだけのものを背負ってきたの?

なんて、これだけ手を煩わせている私が言えることじゃないのだけれど。
いつも手を煩わせている分、たまには私の出来ることで休めてもらいたい。


感謝しています。
貴方の深い優しさに
貴方の存在に
貴方と出逢えたことに
心から
ありがとうございます。

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2002年09月18日(水)



 こんな私を誉めてくださいますか?

あはははは。
妙に元気だ。

とても疲れたけれど
ちょっとテンション高めだけど
妙に冷静な自分がいる。

どこかに引っ掛かっていた下手な情がプツリと切れたのか
なんだかスッキリしたような気がする。

独りの帰り道
車を運転しながら
とても冷たい顔で笑っている自分がいた。


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2002年09月17日(火)



 ゲーム

人の優しい部分を素直に取り込み過ぎなのか
強くなること
冷酷になれと云うことなのか

確かに
私が見たあの人たちの優しさは
もう既に過去のもの
現在のこの仕打ちは、過去の優しさに恩義を感じていられるものじゃない

ゲームの始まり

手は差し述べられている
その手を掴むのは私
ヤルのも私

振り向いたら負け
血を吐くような思いをしてココまで来たんだ
負けられない
どんな結果になろうとも
一番負けてはならない相手は
自分


手は差し延べられている
ヤルのは私
でも、ひとりじゃない




正直、少し疲れている
正直、もうどうでもいいなんて投げやりになっている
正直、手の平を返した相手の態度にバカバカしさを感じている
正直、今にも後ろを振り返ろうとしている自分がいる

けれど
あの人たち、家族諸共地獄に堕としてやりたい
と思い始めているのも正直なトコロ



とりあえず、明日はひとりであの嫌な場所に行かなければならない
でも、ひとりじゃない
正直、かなり憂鬱
とにかく、明日は後ろを振り向かないことだけ
現実を見て、これからの作戦を立てる為の自分との戦い
頑張るしかない

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2002年09月16日(月)



 呼び方

かなり前から気付いてはいた。
彼が、彼の友達や会社の人に私の事を「奥さん」とか「嫁さん」と言ってくれていること。
私も、気が付けば彼のお母さんの事は自然に「おかあさん」と呼んでいる。
けれど、彼の事を私の友達に話す時、私はやっぱり「彼」と呼んでいる。
日記でも「彼」と書いている。

知っての通り、私はバツイチ。
だから、勿論以前「旦那」とか「夫」と呼んでいた人物がいる。
以前の結婚にあまり良い思い出は無い。
故に、「旦那」とか「夫」と呼ぶ事で思い出してしまうイメージがとても嫌なものだったりする。

ご主人様の事を、「旦那」なんて言えない。
「旦那さん」だなんて、これまた気恥ずかしくて言えない。

私の携帯に登録されている彼の名前は、最初に登録したまま変更していなかったから、ハンドルネームだった。
昨日、登録し直してみた。
今日、電話が鳴って、やっぱりちょっと気恥ずかしかった。
着信時に表示された名前は「旦那様」

これじゃ、奴隷じゃなくてデッチですね(笑)

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2002年09月15日(日)



 眠れない夜

貴方の体温を感じていたいのに

なんだか取り残されてしまっているようで

私はひとり起きあがる


暗い部屋

ディスプレイの灯りの前で何をするでもなく

ただ画面を見つめる


時々聞こえる

貴方の寝息 寝返りの音 寝言

少し温度を感じて安心する


眠れない夜

寂しさはあるけれど

孤独じゃない

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2002年09月14日(土)



 性感帯

息が出来なくなるまで昇りつめて
息が止まる程昇り続けて
狂って砕ける

狂ったままご奉仕
お口で感じて
また昇り続ける

ご主人様を感じれば
私のカラダ
どの部分でだって昇りつめることが出来る



首筋
乳房
乳首


背中







どこででも


カラダだけじゃない
ココロがご主人様を感じれば
私はイク


それが出来るのは
後にも先にも
貴方ひとり

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2002年09月13日(金)



 終わりを感じた恐怖

もう、本当に終わってしまうのか・・・
そう思うと、一瞬身体がカッと熱くなって、すぐに血の気が引いていくのを感じた。
それまで溢れていた涙も、ピタリと止まった。
「もう戻りたくないよ。離したくないよ。離れたくないよ。」
やっと言葉を発したとき、また涙が溢れ出した。

「バカな事は言ってもいいけど、私を悲しませるような冗談は言うなよ。海よりも深く反省しなさい。」
とお叱りを頂いた。
深く深く反省してます。



亜栗鼠がいれば何もいらない・・・なワケない。
亜栗鼠がいてもアレもコレも欲しい。
でも、亜栗鼠を失うのならいらない。

私も。
手に入れることによって彼を失うモノならいらない。


この言葉はご主人様の言葉ではない。
例え私を安定させる為だとしても、こんな主従関係を崩すような言葉を真性Sのご主人様が吐くはずはない。
これは、紛れもなく彼の言葉。
私たちの関係は、もう主従関係ではない。
だから、私たちのしているSMは「ごっこ」なんだそうだ。
最近、それは理解出来てきた。
もう、私は本当のSMと云うものを体験することはないんだろう。
それでいいんだ。
私たちは夫婦なんだ。

それでも、これだけは感じる。
私は、ココにいるから私でいられる。
彼を感じているから私なんだ。

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2002年09月12日(木)



 愚痴(毒吐き注意)

ついに来たか。
前夫の置き土産。
向こうの両親も、他人になったら冷たいもんだ。
まあ、当たり前か。
この状況で奴が生きていられるとは思えない。
けれど、確証がなければ保険金もおりやしない。
どこまでバカな男なんだろう。
なんだかんだ言ってたけれど、結局は私に風俗にでも行けと云う事か。
一度は奴が学校に行くために私が風俗で働くことになって、面接まで受けたことがある。
その時の奴の嬉しそうな顔が今でも目に浮かぶ。
結局は、その後に別れを考えていることに気付かれてしまって取り止めになったのだけれど、嘘の優しさ振りかざすような奴のすることなんてこんなもんさ。





何故こんなやっかいな荷物を拾う
何故手放さない
何故そんなに背負う
捨てたって当然なのに
捨てられたって私は生きていくのに
もっと良い女、いくらでもいるのに
なんで私なんか・・・


また思考が昔に戻ろうとしてる。

どんなことをしても貴方を手放したくないと
そう思っているのに
自分から手を放そうとしてしまう。

幸せにまで貧乏性なんだな。
私。
あんなに貪欲になれと教えられているのに。

何を背負っても、ココに来て良かったと思ったあの時の気持ち、貴方の言葉、貴方の心
忘れちゃいけませんね。
ごめんなさい。

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2002年09月11日(水)



 初めての風景

人間の手の全く入っていない山
自然のままの山の麓
麓に流れる川
下に見える嶺
ひんやりとした空気
山の夜明け
夜明け直前の薄墨色の空
深紅の花をつけると云う桜の木

いつか、深紅の桜を見るのだろうか?

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2002年09月10日(火)



 温もり

昨日の誕生日のこともあって、
まだまだ寂しさ全開モード。

「なに?」
私が寂しくて仕方がないことを知っていて、どうして欲しいのか言わせる。
でも、今日は分り易いきっかけを作ってくれた。

「キスして欲しいの。触れていたいの。」
優しい優しいキスをくれた。
そして、手を握って少し眠った。

手に触れているだけで
手を握ってもらうだけで
涙が溢れ出す。
温かくて、嬉しくて、安心して。

この幸せな時間、もったいなくてなかなか眠れない。
「起きてもちゃんと傍にいるから安心して眠りな。」
涙がなかなか止まらない。
暫く静かに涙を流して、彼の手の温もりを確かめるように眠った。




私は焦っていた。
ゆっくり、ゆっくり
と自分に言い聞かせながらも
心の中はいつも焦っていた。

「今の亜栗鼠に縄はまだ早い。」
「今、亜栗鼠に縄を与えると、縄に逃げてしまう。」
「縄をかけられている間は自分を見てくれると思ってしまうんじゃないかな。」
「まずはしっかりと私を感じて欲しい。」
「私の心を、温もりを、匂いを、視線を。」
「誰よりも愛しているよ。」
「誰よりも見ているよ。」

お見通し・・・


ずっと焦っていた。
焦りが私のM度を急速に上げてしまっているのかもしれない。
越えなきゃ・・・
早く越えたい・・・
誰よりも私を見て欲しいから
誰よりも私に欲情して欲しいから

70%程だった私のM度、
いつの間にか130%まで上がってる。
早く、越えたかったの・・・

時間はたっぷりあるのにね。


大丈夫。
また少し、焦りは軽くなった。
貴方の温もりは、より強く感じられるようになった。

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2002年09月09日(月)



 誕生日

昨日の日記に、
「我侭になってみようかな」
なんて書いてたくせに、
やっぱり出来なかった哀しい性。


美味しいケーキ屋さんでショートケーキ買ってくれて、
彼とお母さんと3人で食べた♪
その後、私がこの辺りのお店をあまり知らないので、お母さんに道を教えてもらいながら一緒にお買い物。
車のシートが私には低いからと、クッションを買ってもらった♪
晩ご飯はお寿司。


その後は普段と何も変わらない。
彼はゲームを始めた。
寂しくて、寂しくて、
甘えたくて、私だけを見て欲しくて、
でも、誕生日なんてこんなもんか。
もう充分か。
これ以上望むのは贅沢か。
寂しいなんて泣いてたら強い女なんかにはなれないのか。
それとも、これもいつもの意地悪なのか。
ちゃんと言葉で態度で求めろと云う事なのか。
誕生日にまで?
なんて心の中で呟きながら涙を堪えていた。

そう、誕生日にまで。

私が甘えたくてしかたのなかったこと、
寂しくてしかたのなかったこと、
私だけを見て欲しくてしかたのなかったこと、
全て知っていて、自分で言わせようとしていた。

「自分だけが我慢すれば良いなんて考えは捨てろ。」
と散々言われているのだけれど。
「もっと我侭になってみろ。」
と散々言われているのだけれど。
これが自分だけが我慢すれば良いと我侭が言えなくなっている状態だと気付けない自分。
哀しい性。
これが、私の弱さなんだと彼は言う。


寝る前になって、やっと少し甘えられた。
甘えるのは弱さじゃないと。
我侭を言えるようになれと。


ココに来て
一緒に住み始めて
一緒に居る時間は長くなったけれど
私の為だけの時間は
前よりもずっと少なくなったような気がする。

やっとそれを云うと、
「気のせいじゃないよ。亜栗鼠がちゃんとそれを求めないから。」
そう言われた。

そう、いつだって彼は待ってくれているのに
我慢癖が抜けなくて、
何も言えなくて、
ただただ泣いている私。


「来年は一日中ひっついて甘えられるようになってるかな?」
って、来年の課題出されちゃいました(汗)

あったりまえさぁっ!
もう、こんな寂しい誕生日ヤダもんっ(><。)
頑張るもんっ!

って、あんまり気負いしすぎちゃって疲れてしまうのも私の悪い癖なので
ゆっくりとね。
ゆっくり。
でも、あんまりゆっくりしてると、ちっとも甘えられずに寂しくなっちゃうので
やっぱり急がなくては(笑)


また少し前に進むきっかけになった誕生日だったのかな。

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2002年09月08日(日)



 甘えたい

お月様が近いのかな?
昨日辺りから、心臓がハタハタする。
いつものことだけど、結構遅れてる。
まさかとは思うけれど、やっぱり薬は使えない。
ひたすら寂しくて、ただただ甘えたい。

明日は少し我侭になってもいいかな?

誕生日だし。。。

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2002年09月07日(土)



 目覚ましぶるぶるぶるぶる・・・・・

朝、携帯の目覚ましが鳴って
「携帯が鳴ってるよ」
と起こされて
寝ぼけながら携帯を取ってきて
目覚ましを止めてまた寝た。

スヌーズ機能が付いているので
5分後にもう一度鳴る
「鳴ってるよ」
とまた起こされて
携帯を手にして
バイブ連動になっている鳴ったままの携帯を
彼の背中に


ぶるぶるぶるぶる・・・・・



押し当てていたらしい。



「らしい」とは
そう、寝起きの悪い私。
寝ぼけていた為、
全く記憶にございません。
一体何をしたかったんでしょ?

で、私が起きる為にかけた目覚ましで
目が覚めたのは彼の方で
私はぶるぶるする携帯を彼の背中に押し当て
スヤスヤと眠っていたのでありました(汗)

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2002年09月06日(金)



 離れない

ご主人様にマーキングされたこのカラダ
ご主人様の匂いの染み込んだこのカラダ
ご主人様のカタチを憶えたこのカラダ
貴方の記憶を刻み込まれたこのココロ
貴方に全てを捧げたこのワタシ

もう他の誰のトコロへも行けやしない
行きたくない
ココに居たいよ
ココが良いよ
貴方の傍から離れたくないよ


当分消えない痕を下さい。
とお願いして
腕に噛み痕を付けてもらった。
ご主人様には牙がある。
ご主人様の牙が刺さる
強烈な痛み
目に見える痕はあまり残っていないけれど
この強烈な痛みは確実に残っている。

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2002年09月05日(木)



 日常の調教−その後−

過換気起こして、嘔吐までしたこの間の「日常の調教」
あの翌日、彼は私に色々と話しかけてくれていた(らしい)
「らしい」と云うのは、寝ている私に話しかけていたから(汗)
前に、一度だけ私が寝ていると思って話しかけてくれている彼の声を聞いたことがある。
とても強くて優しい言葉だった。
だから、何を話してくれていたのかは分らなくても心は満たされた。


あんまり言うと亜栗鼠が図に乗るから(笑)
と言ってあまり話してくれない。
少しだけ話してくれた。

死にたいと思う程辛かったと思うよ
よく頑張ったね
よく乗り越えたね
亜栗鼠を誰にも渡したくない
だからしっかりと焼き付けておきたい
亜栗鼠の脳に、心に、カラダに
冷たい私も、意地悪な私も、怖い私も、優しい私も
全て
もっと強くなりな
もっと賢くなりな
笑って私を見送れるように


まだ彼を見送る日のことは考えられない。
今はまだ、ただただ泣きじゃくることしか出来ないんだろう。
泣いて泣いて、前に進むことも忘れてしまいそう。
けれど、これだけは今の時点で言葉にして残しておこう。
「私は生きる。」
いつ彼にもしものことがあったとしても、
突然彼が私を残して逝ってしまったとしても、
私は決して後を追ったりはしない。
私は、生きていく。

今の時点では、これは自分自身に言い聞かせる為。
いつか、もっと強いものに出来るように。
彼への、ご主人様への、そして自分自身に対しての約束。


どんな状況になっても、前を向いて歩いていけるように
私は強くなる。
私は賢くなる。
どんな状況になっても、彼を私の中に刻んで生きていけるように
私は美しくなる。



ふと思い出す。
ずっとずっと前にご主人様が言った言葉
まだ私がココに来る前のご主人様の言葉
「強い女にしてあげるよ。強く賢い女に。何事にも影響されない強く賢い女に。」

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2002年09月04日(水)



 主との出逢い5

ご主人様の家に泊まって、翌朝、ご主人様の仕事について行った。
長い長い海岸線を走っていた。
ご主人様の日記を思い出す。

この海が、ご主人様が涙したと云う海か。
ご主人様の日記、何故かよく憶えている。
こんな関係になる以前の日記、コンタクトすら全くとっていなかった頃の日記
それでも何故かほとんどの文章が頭の中にあった。

「この海を誰かと一緒に見ることがあるとは思わなかったよ。私が涙した風景、亜栗鼠は何を感じるかな?」

私は何を感じただろう?
あまりに大きな海
絶え間無く打ち寄せる大きな波
長く長く続く海岸線
続く砂浜

海辺で育った私にとって海とは
とても懐かしい場所。
父が飲みこまれた恐ろしい場所。
潮風が包んでくれるような落ち着く場所。
寂しい場所。

海岸線を走りながら、色々な事を考えていた。
けれど、何を感じたのだろう?
言葉に出来ない何かを感じていた。
少し、哀しみに近いものだったかもしれない。


しりとりをした。
「亜栗鼠が勝ったら、何でも一つ言う事をきいてあげるよ。」
私がお願いしたのは、私の事をどう見ているのか日記に書いて欲しい。ということ。
それはそのまま返された。
私が負けたら、ご主人様への思いを私の日記に書かなければならない。
当時の私の日記は、夫も見ていた。
ご主人様への思いなど書けるはずなどない。
が、
結局私が負けた。


ご主人様の家に帰り、食事をして暫くお話していた。
心地良い場所だった。
心が落ち着く場所だった。
本当の自分で、心を裸にしていられる唯一の場所。

「ココはどうですか?」
そう聞かれて、
「もっと居たい。」
そんなことを答えた気がする。

ご主人様の弱い部分も見た。
始めの頃、
「私にだって辛いことはありますよ。けれど、それを見せてしまったら頼れなくなるでしょう?」
そう言われて、私はご主人様の弱い部分は見ないようにしてきた。
時々見せる辛そうな表情も、あえて見ないようにしてきた。
ご主人様の弱い部分に触れた時、今までの関係が少し変わったような気がした。


そして、ご主人様に抱かれて
私は一人自分の家に帰った。

私がご主人様に抱いているこの感情は一体なんなのだろう?
どんどんと不思議な感情に支配されていくのを感じていた。

まだ夫の帰っていない家に帰り、私は日記を書いた。
その日記が ↓コレ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

『私の愛する日記作家様』

最近、ネットで何をしてるかって、他人様の日記を読みあさっております。
普通なら他人の日記なんて読めないんだけど、web日記って面白いです。
本当に全然知らない赤の他人の日記が読めちゃうんだから。

時には全く知らない赤の他人の日記に励まされたり、時には自分と重なってドキッとしたり、大爆笑してみたり、なんだかよく解らないけど凄く惹き付けられたり。。。
世の中には色んな人がいるんだなぁ。
とつくづく感じます。

基本的に、私が吸い寄せられるのは生きてる人の日記。
なんか意味不明ですかね?
んー、とにかく生きてる人。
生きようとしている人。

どんなに強そうに見える人でも必ず弱い部分はあるワケで、「私は強い人間です。」なんて言い切れる人はほとんど居ないと思うんです。
ただ、何かしら強いモノを持っている人というのは凄く惹かれます。
それが“信念”っていうんですかね。
とにかく、そんな強い何かを少しでも頂きながら、それを少しずつ自分自身で大きくしていけたら素敵だなぁ。

なんて、ちょっと真面目なこと考えてみました。

全然知らない赤の他人様から、そんな素敵なモノが頂けるだなんて素晴らしいじゃぁあ〜りませんかっ!
こんな素敵な日記の出会いっていいですね。

そんな日記の影響かな?
最近、風景がみたいな・・・
なんて思います。

海がみたい。
潮風を感じたい。

桜がみたい。
桜の舞う風の匂いを感じたい。

雨の音に耳を澄まして、
雨の匂いを感じて。
ずぶ濡れになって、
風邪ひいて・・・

って ちがーうっ!(笑)

せっかく柄にもなくこんなロマンチックなこと書いてたと思ってたのに、やっぱり最後には堕とさなきゃいけないような気がしてしまう堕天使なのでした(笑)
とほほ。


いやぁ、かなり真剣に桜が見たいのよっ!
団子より花になってきた今日この頃お年頃。
どっか良いスポットないかしらんっ?


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

昔の私のキャラはお笑い系。
極力面白おかしいことばかり書いていました。
なんでもないことも、出来る限り面白おかしく書いて笑い飛ばしてしまおう。という方向性の日記でした。
それが、私が自分を誤魔化して生きる為の術だったのです。
けれど、このキャラが全く別人というワケではなく、確かに私の中にある一つのキャラではあります。
今でも私自身の中で、このキャラは自然に存在しています。


昔の私の日記を知っている方、見覚えがあるでしょうか?
そう、この日記の日記作家様というのはご主人様のことだったのです。

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2002年09月02日(月)



 日常の調教

始まりは何だったんだっけかな?
ついさっきのことなのに、なかなか思い出せない程苦しかった。

そうそう、食事のこと。
そしてゲームのこと。
いや、別にきっかけは何でも良かったんだろう。
自分が何も出来なくて、
全く何も出来ていなくて、
何だか全てを否定されたような、
自分の存在価値が無くなっていくような

ダメなの?
これじゃダメなの?
私はダメなの?

過呼吸起こしそうな状態になって
言葉も声も出なくなって
トイレで吐いた
頭が真っ白になっていきそうで
自分の存在が見えなくなりそうで
どうして自分がココに居るのかさえ見失いそうで
もう、歩くのを止めようとしていたり、
後ろに戻って行こうとしていたり、

頭の中だけが暴れていた。
声が出ないのはヒステリー。
以前は、一日中声が出ないままだということもあった。
声を出すことも、言葉を発することも止めようとしていたから。
「戻っちゃいけない。」
回らない頭で必死に言い聞かせて、なんとか声を探す。
なんとか声が出た。
少しだけ言葉も出た。
私、まだ立ち止まってはいない。
ゆっくりだけど、まだ歩いてる。


私に伝えようと、教えようとしていたのは
『自分で判断すること』
『自分で決定すること』


「SMは、手段であって目的ではない。」
ご主人様はそう言っていた。
そう、
きっと、手段が変わっただけ。
目的は同じ。

多分、SMの方が楽だった。
ご主人様の後ろを歩いて、
ご主人様の下に在って、
縄で縛られて鞭で打たれている方が、きっと楽だった。

隣を歩く道を選んだのは私。
それを望んだのも私。


怖かった。
自分が消えていきそうで。
自分を消していきそうで。
間違った方法で自分の存在を確認しそうで。


他人を中心にばかり考えて生きてきた私。
自分の意思で、自分で決定することを覚えなければ。
強くなる為に。
賢くなる為に。
ご主人様を、彼を、胸に刻んで生きていく為に。



今日は少し疲れました。
少しだけ、少しだけ休ませて下さい。
少し休んだら、また歩き出しますから。

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2002年09月01日(日)
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