A Will
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2006年06月30日(金) コーラのような夜だった。

もう一度言って。

そう言われて振り返ったら、君はゆっくりとグラスにコーラなんかついでた。
気泡の弾ける音が聞こえてきそうで、なんとなく言葉を発するのを躊躇った。



もう一度言って。

君が、また言うから。わたしはにっこり笑うことにする。
ぼんやりとした目を演出して、遠くの星なんか眺めたりしちゃって、
どうにかこんな夜が続けばいいと思った。


グラスの中のコーラは、夜と同じ色をしてる。


君の指が愛しそうにグラスを包んで、そして飲み干した。
グラスのかいた汗が滴って落ちて床を濡らして、その模様がなんだか北海道に見えるね、なんて笑ったんだ。


わたしはコーラの入ってないグラスが、朝日と同じ色なら良いと思った。




そんな朝が、ずっと続けば良い。


そんな風にも、思った。


2006年06月22日(木) 本当は終わらせてしまいたくなんてない。

遠くへ行きたい。
2本しかない足をうらむ。これで進むには遅すぎる。

花束を買った。
黄色と白と。

なぜか、わたしの好きな黄色の花の花言葉は成就しない恋の言葉ばかりだ。



迷うことを躊躇したら、心細くなった。
曇り空には、青の欠片も見当たらない。繋がってなんかいなかったんだ。


思い出すなんてまっぴらだ。
ビー玉。赤いひらひら。透かして見た空。欠伸。つられて欠伸。
空っぽの牛乳パック。吹き抜けた風。小さな駆け引き。あれは確信犯?

笑顔。歪む。駆け寄ってくる。伸びた腕。



言葉があれば、裏切ることだって出来たのに。



焼けない白い肌が、汗で湿ってた。
わたしは上の空で、今日の帰り道を考えてた。
転がったビー玉が、ずっとずっと下に、落ちた。


泣き出すことができたら、騙すことだって出来たのに。



ワイシャツ。ボタン。スニーカー。
視覚的に捉えられたものは、ほとんど白い。


忘れるには十分。
大丈夫、わたしはもう足の小ささを嘆いたりしない。

空を飛びたいなんて思うなら、翼に憧れたりなんてしない。




忘れるよ。さよなら。









さよなら。


2006年06月18日(日) しあわせは煩わしい。

さて。結論を言えば、何もなかった。

本当に。何も、なかった。



黄緑色の変な模様の入ったカッタシャツ。

それがあの時の君のいでたちだった。
長い指をセクシーだと思ったし、大きめの口がむずむず動くのを可愛いと思った。


そうだ。たったそれだけなんだ。



知らない、ということは甘いものを食べてるみたいな気分。
伝えてくれない、ということは少しのしあわせ。

だって、噛み締めたりしたら勿体無いじゃない。




これだけは解る。

わたしは、君のことで泣いたことなんか1度だってないんだ。
きっと、これからも。


君を想う、なんてどんだけバカバカしいか。



そう、だって。
来るか来ないか解らないようなメールを待ってるのは退屈なんだもん。




待つのは、あの日が最後だった。
そう、たぶん、君に1番心を動かされた日だ。認めるよ。

君は来なかった。

わたしは、そのときの気持ちを未だに言葉にできないでいる。



寂しかったのか、悲しかったのか、虚しかったのか、切なかったのか。

どれもこれも似つかわしくないような気がして、
それでいて、どれもこれも激しく近い。



すべてだと認める勇気はない。




来なかった。
わたしがいなくなった5分後に入ったメール。「ごめんかえちゃった?」

全部ひらがなだったのが、そう救いだったのかもしれない。




案外、大切にされていた。
別れを惜しまれた。


あぁそうか、嬉しかったのか。



今更メールで「起きてる?」なんて、約束にもルールにもないよ。
返信はしないでおく。





きっとわたし、今までで1番君に優しく出来たと思う。


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